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俺のスキル【配信】、コメント欄が戦国武将だった~秀吉の教えでどん底から成り上がる~  作者: 清松
第一章 曇天に差し込む光

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剣以外は割と……

「動け……なさそうね」

「ッ……だ、大丈夫、直ぐに……!!」


 何とか立ち上がるが視界はぐらぐらだし膝が踊っている。

 足手纏いになるわけにはと焦る俺にリゼはクスリと笑いかけた。


「良いわ。ちょっと聞いただけだし。それならそれでやりようはあるもの」


 リゼはだらりと腕を垂らし一歩前にでた。

 俺より強いのは間違いないのだろう。

 それでも駆け出しに変わりはない。一人でなんて無茶だ逃げてくれと止めようとして、


「――――」


 俺は言葉を失った。

 一瞬その姿がかき消えたかと思えばリゼはオークたちの懐に飛び込んでいた。

 そして流れるような動きで剣を振るい一匹の目を切り裂いたではないか。


「■■■■■■■■■■■■!!!!」


 オークの絶叫が響く。怒りだ。

 奴らの眼中には最早、リゼの姿しかない。

 たった一撃で奴らのヘイトを自分に向けて見せた手腕は見事という他なかった。


「なぁにキレてんの? バッカみたい♪」


 ケラケラと小馬鹿にするように笑いながらリゼは踊る。

 実際はただの回避行動なのだろう。

 でもあんまりにも綺麗で舞を舞っているようにしか見えないのだ。


>@Super_monkey

死線を愉しんどるわ。偶におるんよな、ああいうのが。


 一つ、二つ、三つ、軽快にステップを刻みタン! と強く大地を蹴る。

 胸を空に向けるように跳ね上がったリゼの体が上下逆さになったところで、


「――――はい、おしまい」


 三度刃が煌めき三つの首が刎ねられた。


「うぇ!? ばっちい!」


 音もなく着地すると同時に切断面から噴水のように血が飛び出した。

 リゼはそれが降り掛かるよりも早くその場を脱し俺の下までやって来る。

 びっくりするほど速い。今さっき見せた立ち回りもそうだがこれで本当に駆け出し……?


「さて、と。手当しないとね。じっとしてなさい」


 剣を鞘に収めしゃがみ込むとリゼはポーチから治療道具を取り出した。


「す、すまん……いやその前にありがとうか。本当に助かった」

「フフ、気にする必要はないわ。だってお礼を言う相手が死んだら私だって困るもの」

「お礼?」

「あれからさ。考えたのよ。あんたのこと言ったこと」


 俺の治療をしながらリゼは語り始めた。

 あの夜から今日に至るまでの顛末を。


「反論の余地がないぐらいその通りだと思ったわ。ううん、私も分かってたの。

ただぬるま湯に浸かっていたいって私の弱い心が見ない振りをしてた。

でもそれじゃ駄目。本当に好きなら自分が傷つくことも二人が傷つくことも恐れちゃいけない」

だから宿に帰って告白したわ。アリシアが席を外してたから都合が良かったしね」


 結果は……やはりと言うべきか振られたそうな。

 小さい頃からずっとそのアリシアとやらのことが好きだったのだという。

 そして戻って来た彼女にも告白したことを正直に告げた。


「あんたの言う通りだったわ。アリシアは気付いてた。私の想いに」


 謝られたわと小さく溜息を吐く。


「……もし、あそこで私が勇気を出さなければアリシアはずっと後ろめたさを感じてたでしょうね」


 あんたが指摘したようにと苦笑するリゼを見てやっぱりかと思った。

 何となく気付いている気はしていたのだ。

 女同士だからこそ分かるものがあるのだろう。


「あんたの言葉がなかったら私たちはきっと歪みを抱えたままどこかで静かな破綻を迎えてたわ」


 だからありがとう。そう深々と頭を下げられた。


「良かったな」

「ええ」


 治療が終わる。

 切り傷や打撲はあるが幸いにして骨はいかれていない。

 これなら今日は無理だが、明日からまたやれるだろう。


「まだ討伐依頼続けるの? それなら付き合うわよ」

「それはありがたいけど……今日は切り上げるよ」


 狩れたアルミラージは三匹。一日の稼ぎには到底、足りない。

 だが今はそれよりも優先すべきことがある。


「そ。無理しないのは大切だものね。……私としても都合が良いっちゃ都合が良いし」

「え?」

「戻ったら話すわ」


 気になるけど、


「悪い。その前に用事を済ませて良いか?」

「用事?」

「ギルドに報告しなきゃいけない。戻ることを決めたのはそっちが主な理由なんだ」

「報告って何の?」


 俺は黙ってオークの死体を指さす。


「アイツらがどうしたの?」

「……ここらでオークが出ることはまずあり得ない」


 元居た場所に強いモンスターが現れて逃げて来た。

 変わった個体だから通常種では選ばないような場所に巣を作ったのか。

 理由を色々あるだろうがどれにしてもギルドに報告しなければいけない。

 既に把握している可能性もあるが、それならそれで俺が損をするだけ。何の問題もない。


「リゼも報告に付き合ってくれるか?」

「それは良いけど……私、何も出来ないわよ。そういうの苦手だし」

「そこらは職員さんも喋り易いようにフォローしてくれるよ。勿論、俺もする」

「そ、そう? じゃあ良いけど。報告するなら証拠が必要よね? 首持って帰る?」

「……いやリゼの冒険者カードに討伐カウントがされてるから大丈夫だよ」

「あ、そういやそうだわ」


 一応物的証拠としても牙を持っていくつもりだがと付け加えると、


「そっか。牙ならそこまで嵩張らないわね」


 オークがここに居ることを気にしてない。

 冒険者カードのシステムを忘れてた。

 俺の中で一つ、仮説が思い浮かぶ。


(リゼって滅茶苦茶強いけどそれ以外のところは割りと……?)

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