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俺のスキル【配信】、コメント欄が戦国武将だった~秀吉の教えでどん底から成り上がる~  作者: 清松
第一章 曇天に差し込む光

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それでええ

「……そんなことして何の意味があるのよ?」


 咎めるようにリゼは俺を睨みつける。

 言いたいことは分からないでもない。

 既に幼馴染二人はくっついてて勝敗は決してしまった。

 今から告白してどうなるというのか。

 普通に振られるか、仮に想いが成就してもそれはそれで問題だ。

 どちらにせよ波風が立ってギクシャクするだけで得なことは一つもないのだから。


「“裏切られた”とそう思ったんだろう?」

「そうよ。でもそれは私の勝手な」

「思い込みであろうとお前がそう感じたという事実は無視するべきじゃない」


 小さな不満の種はやがて後悔という大きな花になりかねない。

 蕾のまま立ち枯れてしまえばそれで良いけれど開花してしまえば最悪だ。


「お前、一生引き摺るぞ」

「ッ」


 それは二人が結婚した時かもしれない。それは二人の間に子供が出来た時かもしれない。

 ふとした瞬間、後悔の花から香って来る青春の残影はきっとリゼの心を蝕む。


「そしてその度にお前は素直に祝福出来ない自分を嫌悪するはずだ」


 身を引くという決断からも察せられるように彼女はそういう人間なのだ。

 だからこそ想いを伝えてケジメをつけるべきというのが俺の本音だった。


「墓に持ち込む後悔は一つでも少ない方が良いだろう?」


 死ぬまでにどれだけの悔いを減らせるか。どれだけの喜びを積み重ねられるか。

 生きるというのはそういうことなのだと俺は思うのだ。


「でも」

「それにこれは幼馴染二人のためでもある」

「え」

「男の方はどうか分からない」


 こういう時、男は鈍感というのが物語の相場だがこれは現実。どちらとも言えない。

 でも女の方はどうだろう? 高確率でリゼの想いに気付いていたのではないか?

 姉貴分として見守って来たのなら尚更だ。


「もしも気付いていたのなら、だ。一度もぶつからずに済ませてしまえば一生引き摺るぞ」


 直接会ったことがないので俺に彼らの人柄は分からない。

 しかし、二人の幸福を祈って身を引くとリゼが決断出来るぐらいには善良であることは予想できる。

 だからこそ妹分が惚れていた男を奪ったという後ろめたさは拭えないと思うのだ。

 そこを無視するべきではない。


「結婚式でお前から祝福を受ける時、子供が生まれてお前から祝いの品を受け取る時」


 その都度、アリシアは後ろめたさという棘に心を苛まれる。


「……」

「で、でも気付いていなかったら無駄に」

「ならないよ」


 確かに一時、ギクシャクはするかもしれない。

 それでも一度曝け出してしまえばどこかで折り合いはつく。

 何時か笑い話に出来る時が必ずやって来る。


「まあお前がメソメソした生き様を晒すなら話は別だけどな」


 或いは、と挑発するように続ける。


「その幼馴染二人がしょうもない人間だったならこれも話は変わるか」

「二人を馬鹿にするな!!」


 これまで腰が引けていたのにリゼは即座に噛み付いた。

 これが何よりもの証明だ。


「ほら、お前がそうやって怒れるような人たちなんじゃないか」


 傷ついてもその先にあるより良い未来を目指せる。

 俺の言葉にリゼは考え込むように口を閉ざした。


(あぁ、柄にもないことやってる)


 自分でも気付かない内に熱くなっていたようだ。

 恋愛事の経験もないのに何を偉そうに。

 ああ恥ずかしい恥ずかしい。


(他人に説教垂れる前にやることあるだろうに)


 リゼは俺と同じ駆け出しだが身なりはしっかりしている。

 だから恋愛事で思い煩う余裕もあるわけだ。


(その点、俺は見てくれからしてもう……情けねえ)


 リゼは黙り込んでしまったし俺もこれ以上何かを言えそうにはない。

 言うべきことはもう言ってしまったし。


(気まずいから正直帰りたいけどご飯がまだ届いてないんだよなあ)


 頼んだご飯を食べずに帰る余裕なんてないのだ。

 気まずい沈黙に耐えながら、注文が届くのを待った。


「ご馳走さん」


 届いたらなるべく早く平らげて勘定を済ませた。


「……何よ。自分の方が大変そうなのに熱くなっちゃって」


 去り際、リゼが何か言っていたように思うが内容は分からない。

 悪態だろうか。致し方ないことだ。

 まあ俺のことは良い。彼女がせめて一つでも悔いを減らせるように祈ろう。


(モヤモヤしたまま宿に帰るのも何だし少し遠回りして帰ろう……)


 月を見上げながら歩いているとふと思った。


(モンキーさんって凄いな)


 そう語りかけると、


>@Super_monkey 何じゃい急に? いや儂が凄いんは確かじゃがな。


 うぉ、すげえ自信。


(アレックスさんの時みたいにモンキーさんならリゼにもちゃんと助言出来たんだろうなって)


 貰った優しさを誰かになんて思ったが結局駄目だった。

 失敗したからこそ余計にモンキーさんの凄さが身に染みたのだ。


>@Super_monkey

……確かに女の口説き方は下手よな。


 口説いてねえよ。


>@Super_monkey

じゃがまあ、おみゃあはそれでええ。


 そうかな?


>@Super_monkey

そうじゃ。この儂が保証してやる。


 凹んでいた気持ちが少し上向いて来た。

 何というかこの人の言葉(文字だけど)には力がこもっている気がしてならない。


>@Super_monkey

よし、気分転換に色街でも行くか!


 行かねえよ。

今日はここまでになります。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

励みになるので気に入って頂けたらブクマ、評価よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
真っ直ぐな主人公と一癖ありそうなリスナーの絡みが良いですねー 続き楽しみにしてます!
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