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俺のスキル【配信】コメント欄が戦国武将だった~秀吉の教えでどん底から成り上がる~  作者: 清松
第一章 曇天に差し込む光

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私が先に好きになったのに

 口説かないよと呆れ気味に答える。


>@Super_monkey

何じゃい勿体ない。ありゃ怒っとるわけじゃなくて傷心ぞ。

ああいう時に優しくされたら女はコローっといくもんじゃ。よっしゃ男になって来い!!


 なるか。


(声はかけるけどナンパなんてするつもりはないよ)


 傷心につけこんでなんて無理だ。

 後ろめたさで楽しめないことは目に見えている。


>@Super_monkey

む? 口説かんなら何のために声をかける。


 モンキーさんが言ったことだ。


(他人に施しが出来るのは心に余裕のある人間だけだってさ)


 アレックスさんには下心ありきだった。でもそのお陰で少し、道が開けたのだ。

 彼にもいずれ何らかの形で恩を返すつもりだが、


(俺が貰った優しさを誰かに渡したいじゃないか)


 あとはまあちょっとしたシンパシーもあるけどな。

 勝手な思い込みかもしれない。でも何となく思ったんだ。

 あの子も俺と同じで居場所を見失いかけてたんじゃないかって。


>@Super_monkey

……ほうか。好きにせえ。おみゃあはそれでええ。


 文字だけなのに何でか温かみを感じた。

 子供を見守る親のような、そういう温かさだ。

 ともあれモンキーさんにも勇気を貰ったし正直結構怖いけど話かけるとしよう。


「や、ご一緒して良いかい?」

「……」


 ガンを飛ばされる。

 つり目なもんだからもうおっかねえことおっかねえこと。

 日本で暮らしてた時の俺ならやばかったかもしれん。


「やけにピりついてるもんで気になってさ。良ければ話聞くぜ」

「……あんた、空気読めないって言われるでしょ」


 普通、こうもあからさまに近付くなオーラ出してる奴に絡まないわよ。

 呆れたように女は言って小さく溜息を一つ。


「まあ良いわ。まずは名を名乗りなさい。それが礼儀ってもんでしょ?」

「正論だ。俺は真。君は?」

「……リゼよ」


 リゼか。綺麗な名前だな。


「OKリゼだな。それで? その不機嫌顔の理由は何なんだい?」

「別に。そう大したことじゃないわよ」


 曰く彼女は三月半ばに男女二人の幼馴染と共に寒村からやって来たのだという。

 男の方は一つ下で弟分みたいなジャン。女の方は一つ上で姉貴分みたいなアリシア。


「ジャンの奴が冒険者になって一旗揚げるとか言い出してさ」


 夢見過ぎと思いつつもしょうがないわねと付き合うことにしたらしい。

 口では仕方ないなんて言ってるけどその表情は優しい。

 これひょっとして、と思っているとモンキーさんにもリアクションがあった。


>@Super_monkey

あー……はいはい、そういうのう。


 俺も鋭い方ではないが何となく察せた。

 これは多分、そういうことなのだろう。

 正直な話、困った。俺にその手の経験は皆無だから。


「昨日、夜中に目が覚めたら二人がベッドにいなかったのよ。それで探しに行ったら」


 わなわなと震えるリゼの目には薄っすら涙が浮かんでいた。


「あ、アイツら宿の裏でき、キスしてたの……!!」

「裏切られた気持ちになったかい?」

「……ええそうよ! わ、私が私が先にジャンを好きになったのに……!!」


 なのに、なのにと言葉が続かずリゼは項垂れる。


「なるほどね。それであんなイラついてたわけだ」

「醜い女の嫉妬と笑えば良いじゃない」

「笑うもんか」

「何、同情?」

「いや、君を見てて母の言葉を思い出したんだ」


 俺は本気で誰かに恋したことがないからイマイチ分からなかった。

 でもリゼを見てたら何となく母が言ってたことが理解出来た気がする。


「曰く、愛するというのはこの世のどんなものより素晴らしいことだ」


 何もかもが上手くいくわけではない。

 愛ゆえに生まれる苦く、醜い感情も確かに存在する。

 こればっかりはどうしたって切り離せない。


「それに流されてしまうのか、抗い飲み込むのか。愛する時、人は幾度も試される」


 母はそう言ったのだ。


「……私は今、試されてるって?」

「俺はそう思った。だからそんなお前を笑うことは出来ない」


 愛と向き合う人間を嘲笑うということは愛の価値を否定すること。

 俺も誰かを愛するということは素晴らしいと思うからそんなことは出来ない。


「……悪かったわね。絡んじゃって」


 少しバツが悪そうに謝られたが別に気にしてない。

 そもそも絡んだの俺だしな。


「良いさ。美人と相席してるんだ。愚痴を聞くぐらいは必要経費だろうよ」

「ハン、そうね。その通りだわ。ならもう少し愚痴を聞いてもらうけど良いわよね?」

「勿論」


 そこからリゼの愚痴が始まった。

 ただ愚痴と言っても最初のような刺々しさはなくやるせなさと諦め。

 そしてほんの少しの寂しさを滲ませた気持ちを切り替えるもののように思えた。


「で、どうするんだい?」

「……身を引くわよ。裏切られたと思いはしたけれど、二人が大切なのも嘘じゃないから」


 好き合う気持ちは止められない。

 そんなこと、本当は分かっていたのだという。


「何も言わずに身を引くのかい?」

「ええ。変に気を揉ませたくないもの。……ありがとね真。あんたのお陰で気持ちに整理が」

「それじゃ駄目だ」

「え」


 モンキーさんのように気の利いた助言は出来ない。

 でも俺は俺なりに思うことをリゼに伝えるべきだと思った。


「――――お前はちゃんと気持ちを伝えるべきだ」

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