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俺のスキル【配信】、コメント欄が戦国武将だった~秀吉の教えでどん底から成り上がる~  作者: 清松
暁は銀色

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13/16

デート

 清算と手続きを終えリゼと共に市場へ繰り出した。

 昼間だけあって活気に溢れており、リゼも楽しそうだ。


「あ! ちょっとちょっとあれ美味しそうじゃない?」


 指さしたのはコカトリスの串焼きを売っている屋台。

 幾つかのタレと塩のやつがあるようだ。

 異世界でもやっぱ鶏肉系はタレと塩で分類されるんだな。


「昼飯まだだし、店じゃなくて屋台ので済ませるか」

「そうしましょ! すいませーん!!」


 俺は塩を二本、リゼは辛そうなタレのを二本注文した。

 油紙に包まれたそれを受け取り屋台を後にする。


「立ち食いも良いが、どっかで座って……」

「あれも良さそうね」


 聞いてねえよ。

 次に目をつけたのはベビーカステラみたいな焼き菓子の屋台。

 リゼはささっと二人分を購入し袋を手に戻って来た。

 ちょっと抜けてはいるが俺の分もちゃんと買ってくれるあたりに人柄が出てるよな。


「じゃ、食べましょうか。私もうお腹ぺこぺこだし」

「そうだな」


 広場のベンチに並んで腰掛け早速食べようとするが、


「え」

「何よ?」

「あ、いやいきなりお菓子なのかなって」


 リゼは意気揚々とカステラの袋に手を伸ばしたのでつい声が出てしまった。


「辛い串焼きの前に甘いお菓子食べると味がぼやけそうだからさ」


 まあでも個人の好みだよな。

 邪魔して悪いと謝ろうとしたら、


「……言われてみればそうね」

「おい」


 ああ、何か少し分かったかも。

 リゼがポンコツになる理由の一つはテンションに身を任せがちだからなんだ。

 今回はそれで喜びが直近のものに上書きされてカステラに行ったんだと思う。

 ただ酒場でのやり取りを見るに他人が絡んでたら自制は効くんだろうな。

 誰かを慮る気持ちが歯止めをかける。そこも人柄だろう。


>@Super_monkey こりゃ幼馴染二人もこ奴を残して行くのを悩むわな。


 同意する。

 ポジティブな方面で抜けてしまうのはまだ良い。いやこれも心配だけど。

 幼馴染が気にしたのは多分、リゼが誰かを慮って損をするような時なんじゃなかろうか。


「まあ良いじゃない。それよりほら、食べましょ!」

「そうだな」


 これまで知った部分だけでも俺はリゼを人として好ましく思う。

 だからこそ、彼女の足りない部分を補えるよう頑張ろうと改めて決意した。


(……その切っ掛けが飯ってのは締まらないが)


 まあ良いやと俺も串焼きにかぶりつく。

 疲れた体に塩気のある肉。そりゃ染みますわな。半端なくうめえ。


「飯食ったらどうするよ?」

「装備見に行きましょ」


 急に真面目な提案じゃん。

 しっかりしてる部分とそうでない部分の緩急がデカいって。


「確かにリゼも防具ぐらい」

「いや私じゃなくて。私はこれで良いのよ。薄着のが“冴える”から」


 ……敢えて守りを薄くすることで緊張感をってことか。


「あと何より気持ち良いし。冬とかもこれぐらいのが気分上がるのよね」


 冬でも半袖半ズボンの小学生かな?

 まあ本人の感覚がこれで良いと言ってるならそれで良いんだろう。

 戦闘方面は分からんし……うん?


「じゃあ何で装備?」

「あんたの片手剣。まだ保つけどちょっと怪しい感じするし代えを用意しておいた方が良いわよ」

「……ありがとう。そうするよ」


 理屈ではなく感覚的なものだろう。

 だが戦闘に関する嗅覚について疑いはない。

 オークとの戦いを思い出せばそれは明白だ。

 あの時の立ち回りについて聞いてみたら明確に理屈があったわけではなかった。

 何となくこんな感じでやれば上手いことやれるだろうという直感に従ったそうな。


「ええ、そうしなさいな。ああでも私も一つ買おうかしら」

「今回の報酬もあるし遠慮しなくて良いぞ。やっぱ新しい剣か?」

「いやリボン」

「は?」


 お洒落? いや別に個人の財布から出すなら良いけどさ。


「戦ってて気づいたんだけどほら、私って髪長いでしょ?」

「ああ。綺麗な髪してるよな」

「ちょ……いきなり変なこと言わないでよ」


 変なことではないだろ。いや本当、お世辞抜きに綺麗な髪をしてる。

 正直、手入れとかマメなタイプではなさそうなのにな。


「でも髪がどうし――あ、戦闘中邪魔だからか!」


 切ってしまえばと思わなくもないがそこは女性だ。

 自慢の髪をそう簡単に切り落としたくはないだろう。

 だからリボンで括って戦闘中は邪魔にならないようにってわけね。


「髪をまとめるのはそうだけど邪魔だからじゃないわよ」

「え、違うの?」


 なるほどそれならパーティの財布でと思ったがあっさり否定された。


「じゃあ何で」

「首を晒すため。そっちのが良い感じになると思うの」

「……なるほど」


 心配ではあるが戦闘方面は任せると決めたのだから飲み込む。


「ああ私の財布で買うから気にしなくて良いわよ」

「いや戦闘に関係するんならパーティの財布から出す。それが当然だ」

「そう? じゃあお言葉に甘えて」


 そんなわけで食後は装備を新調し、その後は特に目的もなく市場を見て回った。

 そして日が沈み始め夕飯をどうするか考えていると、


「今日、楽しくなかった?」


 突然リゼがそう切り出した。


「え、いや普通に楽しかったけど」

「そっか」


 困惑しつつそう返すと、


「――――じゃあ真って笑うのが下手なのね」


 どこか真剣な顔でリゼは言った。

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― 新着の感想 ―
今までの人生や、この世界に来てからも色々あったのでしょうね。  感情を表に出すのが苦手になったのかな。 仲間も出来てモンキーさんも居る。 これからも頑張れ。
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