予言
3、予言
あの日から数年後。
王に拾われたことにより、さまざまな知識を身につけることができた。
生きていく上での知識、教養、先見の目——そして、今なお聞こえてくる「声」。
自らを救い上げてくれたその声は、あの日を境にずっと脳裏に焼きついている。
時折、夢にも現れてくる景色。神のみぞ知る世界。桃色の空。空が地に存在する。
人の世界とはかけ離れた、その異様な光景。
その景色を見るたびに、神はこう呟くのだ。
「我が声に答えよ。我が言葉に耳を傾けよ。
お前は選ばれたのだ。我が教えを伝え、広めよ」
王宮で暮らす中で、レイスは多くの人々の姿を見てきた。
孤児院とは違う世界だと思っていたが、人間というものは、実に欲に忠実である。
玉座を狙う者、金を求める者、人に執着する者。
もし人間が神と自分の掌の上で泳いでいるのだとすれば、それは実に滑稽だ。
神は視認することはできない。
自分のような存在でしか啓示を受け取れないというのであれば、予言者として神の言葉を伝えよう。
それが神の望みであり、自分自身もまた、神の掌に動かされているというのなら——
なんと滑稽で、そして愉快なことだろう。
それで良い。それこそが、自分がこの世に生を受けた理由なのだ。