序章
ずっとずっと昔。
神様が当たり前のように存在していた時。
数千年前、世界には『魔法』が満ちていた。
『魔術』ではなく、『魔法』が。
『魔法』と『魔術』は似ているが、確実に違っていた。
『魔術』はソレを使用する者の魔力や、周囲にある魔力を使って行使するもの。
それに対して『魔法』は『神』の力を借るものであり、『神』と契約した者だけが使用できるもの。
どちらが優れているかと言うと、それはとても難しい。
『魔術』は『魔法』に比べ比較的簡単で誰にでも使えると言う利点があるが、その力は『魔法』より遥かに小さなものである。
『魔法』は『魔術』とは比べものにならない力を得る事が出来るが、『神』と契約する事は非情に困難だ。
その上『魔法』を行使する者は一時的とはいえ『神』の力をその身に取り込むので、その『魔法』に比例して反動もあった。
全体的に見ると、やはり『魔術』を選ぶ者の方が多かった。
魔力事態はほとんどの人が持っているし、魔力と知識があれば誰でも使えるものだったからだ。
だが『魔法』を使う者はその性質上、『魔術』を使う者の半数もいなかった。
神と契約できる程高度な技量を持つ『魔法使い』は、そう多くはいなかった。
それでも、例え少なかったとしても、昔は『魔法使い』がいたのだ。
しかし、『人間』と『神』が戦争を行った事により、『魔法』を使う者はいなくなった。
大陸の形が変わる程の戦争が起こった。
小さな島国のほとんどは『神』の攻撃を受けた結果、消滅したところもあった。
消滅を免れても、その地に住む者はほとんど死に絶えた。
長い長い戦争の末に、勝つ事が出来たのは『人間』だった。
いや、勝ったというよりは『神』が人間を見限ったと言ったほうが正しいかもしれない。
何はともあれ、戦争は終わり、人間達には平和が訪れたが、その代わりに『魔法』を使える者はいなくなってしまった。
この物語はそんな事があった数千年後。