──*──*──*── 1週間後
弓弦さんが猪八戒さんと一緒に《 華街 》へ出掛けた日から1週間が経った。
盛大に宣伝をした囲碁大会が今日から始まるんだ。
お祭り騒ぎみたいに大勢の都民達が参加してくれていて賑やかだ。
今日もキノコン達がギュッシーやギュウト君の着ぐるみと一緒に囲碁大会のチラシを都民に配布している。
囲碁大会当日に配布されているチラシには5色団子の引換券が付いている。
6日前から配布されていたチラシは、1日ずつカウントダウンされていて、違う引換券が付いていた。
今日のチラシを含めた6枚を持参して、囲碁大会の会場内に配置されている屋台に引換券付きチラシを渡すと記念品と交換してもらる様になっている。
小腹が空いた時に丁度良い食べ物だったり、渇いた喉を潤す飲み物だったり色々だ。
実はオレも引換券付きのチラシを持ってたりする。
マオ
「 よぉ~~~し、チラシを持って屋台を巡るぞ!! 」
沙悟浄
「 うん!
僕、みたらし団子が食べた~~い♥️ 」
罧寧
「 僕は苺大福餅が食べたい(////)」
菻犁
「 断然、栗大福餅だし! 」
孫悟空
「 5色団子……食いてぇ…… 」
セロフィート
「 ワタシ達は先に会場へ向かいます。
悟空さん、マオ達の護衛を任せます。
呉々も羽目を外し過ぎない様に。
マオ達から離れず、見失わないでください 」
孫悟空
「 了解してます!
お任せくだせぇ!! 」
孫悟空は背筋をピピンと伸ばして、胸を張りながら尻尾もピピンと立てて、セロに向かって敬礼をする。
一体全体どうしたんだよ??
マオ
「 悟空……キノコン達に何されたんだ? 」
孫悟空
「 別に何もされてねぇです!! 」
マオ
「 そ、そうかな?? 」
絶対に調教されてるんじゃないか?
孫悟空は《 華街 》で、大勢の娼妓ぎ女じょ達とヤりたい放題で美お味いしく頂きまくっていたらしい。
管理を任されている〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉は至極当然の責務としてセロへチクる。
〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉から報告を受けたセロは、《 華はな街まち 》から帰って来きた孫そん悟ご空くうをキノコン達に連行させた。
キノコン達に連行された孫そん悟ご空くうが、《 キノコンタウン 》の中なかで、どんな目に遭わされたのかは分からない。
因ちなみに顔面ボコボコ状態でヘタれていた孫そん悟ご空くうの襟首を掴んで旅館へ戻って来きた弓ゆ弦づるさんは、珍しく大層な御立腹具合だった。
《 華はな街まち 》で「 ストリートファイトでも挑いどまれたのか? 」って思ってしまう程ほどに痛いた々いたしくもボロ雑巾の様ようにズタボロ姿の孫そん悟ご空くう。
孫そん悟ご空くうは≪ 仙人界 ≫を追放されたとは言え、戦闘に特化したバリバリ最強な仙人だ。
その孫そん悟ご空くうをズタボロにボコった相手は誰なんだか。
激しく気になった所存だ。
もしかして、孫そん悟ご空くうは《 華はな街まち 》で弓ゆ弦づるさんに対して何なにかや・ら・か・し・た・のか??
成人前の弓ゆ弦づるさんはか・な・り・好戦的で話し方もトゲトゲしていたし、口調も悪かった。
成人前の弓ゆ弦づるさんと出逢っても「 仲良くなれる自信が無い! 」って思ってしまうぐらいには喧嘩っぱやかったんだよな。
成人して落ち着いていた弓ゆ弦づるさんだったから仲良くなれる事が出来たんだ。
出逢えた時期と当とう時じの状況が良よかったんだよな。
普段から淡たん々たんとしていて落ち着いている弓ゆ弦づるさんが御立腹していた──って事はだよ、相当な出来事が《 華はな街まち 》で起きたんだろう。
だけど「 何なにが遇ったのか 」を聞くのが恐い状況だった。
こっそり猪ちょ八はっ戒かいさんに聞こうとしたけど、猪ちょ八はっ戒かいさんは「 ワテは何なにも見とらへんでぇ! 何なにも聞いとらへんでぇ! 何なにも知らへんでぇっ!! 」って惚とぼけて教えてくれなかったし、“ 弓ゆ弦づるはん ” だった呼び方が “ 弓ゆ弦づるさん ” に変わってたんだよな……。
猪ちょ八はっ戒かいさんは、神様の事を “ 神かみさん ” って呼ぶし、佛ほとけ様の事を “ 佛ほとけさん ” って呼ぶ。
セロに対しては “ セロフィートさん ” って呼ぶのかと思ったら未いまだに “ セロフィートはん ” って呼んでいる。
なのに弓ゆ弦づるさんに対しては “ 弓ゆ弦づるさん ” だ。
これは猪ちょ八はっ戒かいさんの中なかで、セロよりも弓ゆ弦づるさんの方が “ ヤバい人だ ” って認定された事を意味してるんだと思う。
本来なら1番ヤバい人はセロなんだけど、セロは猪ちょ八はっ戒かいさんに対してビビらせる様ような事はしてないし、猪ちょ八はっ戒かいさんも態わざ々わざセロを逆撫でする様ような事はしていない。
現在の猪ちょ八はっ戒かいさんにとってセロは危険人物では無いって事だ。
御互いに良好な関係をキープしままま接してるもんな。
猪ちょ八はっ戒かいさんに “ 怒らせたらヤバい人 ” に認定された事を弓ゆ弦づるさんは気き付づいているのかな??
……………………気にしないかも知れない。
そんな訳で──、キノコン達に調教された孫そん悟ご空くうは弓ゆ弦づるさんの事を “ 兄貴 ” と呼ぶようになっていた。
マジで弓ゆ弦づるさんに何なにをして、弓ゆ弦づるさんから何なにをされたんだよ!!
孫そん悟ご空くうに “ 兄貴 ” と呼ばれる様ようになった弓ゆ弦づるさんは、大きな溜め息を吐はきながら諦めた様子で受け入いれていた。
うん──、弓ゆ弦づるさんを怒らせるのは絶対に駄目だな。
オレは孫そん悟ご空くうと猪ちょ八はっ戒かいさんから学んだよ!!
──*──*──*── 囲碁大会・屋台
セロ,幻げん夢むさん,弓ゆ弦づるさん,玄げん奘じょうさん,猪ちょ八はっ戒かいさん,マオキノ,キノコン達に見送られながら旅館を出発した。
マオキノはオレに付いて来きたそうだったけど、セロに止とめられたみたいだ。
マオキノは号泣しながら黄色いハンカチを振ってくれていたけど、大袈裟だと思った。
マオ
「 色んな屋台が在るな~~! 」
うどん,蕎麦,焼きうどん,焼きそば,おでん,たこ焼き,お好み焼き,フランクフルト,わたあめ,いちご飴──。
≪ 日にっ本ぽん国こく ≫の屋台ではお・馴・染・み・の食べ物を買える様ようになっている。
奮発し過ぎじゃないかな~~。
沙悟浄
「 わたあめ、買っちゃいました♪
ふわふわしてる雲を食べてるみたいです♥️ 」
罧寧
「 僕は黄色を買ったよ! 」
菻犁
「 僕は桃色と水色! 」
マオ
「 菻りん犁れい、2色しょくとは欲張ったな 」
マオ
「 じゃあ、オレは緑にしようかな 」
孫悟空
「 山吹色が有ったら錦きん斗と雲うんだな! 」
マオ
「 悟ご空くうは何なに色いろのわ・た・あ・め・が良いいんだ? 」
孫悟空
「 俺様も食くって良いいのか? 」
マオ
「 当たり前だろ。
セロから、お小遣いを貰ってるんだ。
悟ご空くうの分もオレが買うよ。
今日きょうは屋台の料理を制覇するつもりで買うぞ! 」
孫悟空
「 太ふとっ腹ぱらだぜ、マオ── 」
そんな訳で──、オレ達は14時まで屋台巡りと食べ歩きを楽しんだ。
沙悟浄
「 そろそろ会場に向かう時間ですね 」
罧寧
「 緊張して来きたよぉ~~ 」
菻犁
「 対局する相手は子供なんだから、緊張する事ないだろ 」
罧寧
「 何なに言ってんの!
大勢の人の前で打つんだよ!
緊張して当然でしょ! 」
マオ
「 ほらほら、喧嘩しないで行くぞ。
悟ご空くうは大人相手に打つんだろ?
頑張れな 」
孫悟空
「 お、おぅ……。
勝ち残らないとセロフィートさんにど・ん・な・目に遭わされるか分からねぇからな! 」
たったの6日か間かんしかなかったけど、沙さ悟ご浄じょう,菻りん犁れい,孫そん悟ご空くうはセロに囲碁を教わって打てる様ようになった。
セロ曰いわくは基礎は教えたらしい。
直すぐに負ける事はないだろう。
──*──*──*── 囲碁大会・会場
マオ
「 えぇと──、特別ゲストは此方こっちだったな 」
沙悟浄
「 あっ、弓ゆ弦づるさんと幻げん夢むさんだ!
キノコンと打ってますね 」
菻犁
「 弓ゆ弦づるさん…(////)」
罧寧
「 幻げん夢むさん…(////)」
菻りん犁れいと罧しん寧ねいの声が被かぶる。
どうやら菻りん犁れいは弓ゆ弦づるさんに惚ほれていて、罧しん寧ねいは幻げん夢むさんに惚ほれてるみたいだ。
恋する乙女みたいに瞳の中なかに♥️ハートが見える。
残念だけど、弓ゆ弦づるさんも幻げん夢むさんも異性に対して興味が薄いタイプみたいだから、好きになっても両想いにはなれないと思うんだよな……。
弓ゆ弦づるさんが唯一好すいてる相手ってのは──、女装をした姿のオレだしな……。
複雑ぅ~~。
多分だけど、オレの性別が正真正銘の女子だったら、弓ゆ弦づるさんはオレに見向きもしなかっただろう。
仲良くもなれなかったかも知れない。
弓ゆ弦づるさんには故郷にパワフル過ぎる双子のお姉さんが居いて、お姉さん達が原因で女性が苦手になったらしい。
異性に対して態わざ々わざ自分から関わろうとしない人なんだ。
ボンキュッボンな天てん女にょのミカトさんに好すかれた時ときですら迷惑がっていたから、プロポーションが良よくても駄目だと思う。
特に強引でグイグイとアピールして来くる様ような慎つつみ深ぶかさの欠片も感じない女子は相手にもされないだろう。
ゴミ虫を見る様ような目で睨まれて見み下くだされるのがオチだ。
叶わぬ恋って辛つらいよな。
万年セロに片想いしてるオレには分かる。
口では「 両想い 」とか「 相思相愛 」って言ってはいるけど、実際にはセロとオレの関係なんて “ 持ち主と所有物 ” の関係でしかない。
セロにとってオレは “ 壊れ難にくくて長持ちする玩具おもちゃ ” でしかない。
愛玩動物ペットより格下の存在でしかないんだ。
それでもオレにはセロしか居いない。
セロの居いない人生なんて考えられない。
セロに捨てられでもしたらオレは──。
オレの帰りを待ってくれている家族が暮らす故エルゼシ郷ア大陸へ帰って〈 皇コウ 〉になるのかな……。
キノコン
「 孫そん悟ご空くう、来きたエリね。
ボクと打つエリ。
勝負前まえのウォーミングアップするエリ 」
孫悟空
「 うっげぇ~~~~。
打ちたくねぇ~~~~ 」
嫌いやがる孫そん悟ご空くうを確保したキノコンは、孫そん悟ご空くうを引き摺ずりながら去って行った。
御愁傷様だ──。
セロフィート
「 マオ、来きましたね 」
マオ
「 セロ! 」
セロフィート
「 腕が鈍なまっていないか打ちましょう 」
マオ
「 御手柔らかにな?
処ところでさ、囲碁が強い芸げい妓ぎ妓ぎ女じょは何ど処こに居いるんだ? 」
セロフィート
「 別べっ室しつを用意してます。
対局迄は寛くつろいでくれてます 」
マオ
「 どんな人なんだろうな~~?
綺麗な人かな? 」
セロフィート
「 《 華はな街まち 》で働いているぐらいですし、容姿は良よいに決まってます。
気になります? 」
マオ
「 ……………………オレにはセロが居いるからな!
気にしないよ 」
セロフィート
「 強がらないでください 」
マオ
「 別に強がってないし…(////)」
セロフィート
「 はいはい。
そういう事にしときましょう 」
嬉しそうに微笑んでくれるセロに手を握られたオレは、空あいている場所に座る。
すかさずキノコンが碁盤と碁ご笥けを持って来きて置いてくれる。
セロフィート
「 マオが先行ですよ 」
マオ
「 よし来きた! 」
オレは生唾を呑み込んでから、伸ばした指で黒石を摘つまむ。
何なん十じゅう年が経ってもオレの碁石の持ち方は変わらない。
そう、初心者の持ち方のままだ。
セロフィート
「 マオ、初心者の持ち方に磨きが掛かってますね。
マオの持ち方を見た対局者は、必ず油断し自分の勝利を確信する事でしょう。
対局者の心理を揺さぶるのは良よい作戦です 」
マオ
「 思ってもいない事を如い何かにもっぽく言うなよな!
オレの方が恥ずかしくなるだろが(////)」
セロフィート
「 おや──。
初心者の振ふりをして相手の油断を誘う作戦として、敢えて初心者の持ち方をしているのではなかったです? 」
マオ
「 “ 違う ” って分かってて言ってるだろ! 」
セロフィート
「 ふふふ(////)
マオ、何ど処こに打ちます?
最初の一手で現在のマオの棋力を測はかれます 」
マオ
「 言うなよ~~ 」
オレはムスッと顔を膨らませて、黒石を打つ。
オズオズとセロの顔を見上げて見たら、セロの両目が一瞬だけ細まった気がした。
何い時つもオレに向けてくれる瞳じゃなかった気がする。
黒石を置いた場所を拙まずったのか??
セロフィート
「 マオ──、本気でワタシの進行を止とめてみなさい 」
マオ
「 えっ?! 」
セロフィート
「 出来なければ──、そうですね。
{ キョンシーの試作品を≪ 仙人界 ≫へ転送し、未曾有の危機をプレゼントするとしましょう }」
マオ
「 はぁぁぁぁぁぁあ!?
何なにを言い出すんだよ!?
{ 試作品のキョンシーって何なんだよ!
何なんで関係無い≪ 仙人界 ≫を巻き込むんだよ! }」
セロフィート
「{ 仙人に負けてしまう様ような弱いキョンシー等など作っても面白くないでしょうに。
キョンシーを作るのに必要なのは状態の良よい死体です。
仙人の死体を使えば、強いキョンシーを作れると思いません? }」
マオ
「{ だからって──!
そんな理由で≪ 仙人界 ≫を襲うなんて── }」
セロフィート
「 マオが盤上でワタシを止とめれば良よいだけです。
{ 黒石が白石を止とめる事が出来れば──、何なにも起こりません♪ }
マオの全力をワタシに見せてください 」
セロはと・ん・で・も・な・い・提案をサラッとブッ込んで来きた。
オレが囲碁でセロに勝てないって分かりきってるくせに、何なんて無茶な事を言うんだろう?
囲碁以外でもセロには勝てないけどな!
セロフィート
「 マオ──、君きみがワタシに勝てない事は承知の上です。
ワタシに勝てなくても構いません。
白石の進行を阻はばみ、止とめれば良よいのです。
それぐらい出来なければ、弓ゆ弦づるさんからアゲハマを取る事も出来ません 」
マオ
「 痛い所を突くなよ…… 」
取り敢えず、セロの打つ白石の進行を阻はばんでみたら良いいんだよな?
≪ 仙人界 ≫の平穏が、オレの腕に懸かっているなんて──、鬼畜ドSエスだよ、セロは!!