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⭕ 晏洛の街 2


──*──*──*── 4日後


──*──*──*── 看護室


マオキノ:分身体

今日きょうひるエリ 」


怪我人

かたじけない…… 」


マオキノ:分身体

「 慌てず、ゆっくり食べるエリ。

  薬膳茶を飲みながら食べるエリ 」


 マオキノの分身たいは意識を戻した怪我人の御世話をしくしていた。

 わざ(わざ)セロフィートがじき(じき)に厳選した薬草を使った栄養満点で食べ易い薬膳料理と飲み易い薬膳茶を食事の時間になると運んでいた。


マオキノ:分身体

「 食事が終わったら筋肉の血行を改善させるマッサージをするエリ 」


怪我人

なにからなにまで御世話になりっぱなしで…… 」


マオキノ:分身体

「 療養に焦りは禁物エリ。

  必ず自分の足で歩けるようになるエリ。

  それまで腐らず諦めず地道にリハビリを続けるエリ 」






──*──*──*── 居間


マオ

「 マオキノ──。

  怪我人の様子は感じだ? 」


マオキノ:本体

身体からだを起こして食事は出来てますエリ。

  マッサージで血流をくはしてますエリ。

  ただ……筋肉のおとろえが目立ちますエリ 」


マオ

「 筋肉のおとろえ?

  寝たきりだからか? 」


キノコン:本体

「 毒の後遺症ですエリ。

  歩けなくなる事はないですエリ。

  元気になるには時間が掛かりますエリ 」


セロフィート

「 気をまぎらわせるなにかが必要ですね。

  僧侶が夢中になれるようなにかが── 」


マオ

「 オレ、話してみたい! 」


セロフィート

「 そうですね。

  だ名前も聞いてませんし、仲間の僧侶の事も伝えなければいけません 」


マオ

「 そだな……。

  2人の僧侶が亡くなったのを伝えるのはつらいよ…… 」






──*──*──*── 翌日


──*──*──*── 看護室


 セロと一緒にあらため看護室にはいる。

 怪我人は上半身を起こした状態で両目を閉じた状態で静かにしている。


マオ

「 ──なにしてるんだ?

  起きたまま寝てるのかな? 」


セロフィート

「 彼は今、瞑想をしています 」


マオ

「 瞑想ってなんだ? 」


セロフィート

「 気持ちを落ち着け、精神を一点に集中しているのでしょう。

  げんさつと対話でもしているのかも知れませんね 」


マオ

げんさつって佛門で信仰されてるほとけ様──だっけ??

  唯の人間がほとけ様と対話なんて出来るのか?? 」


セロフィート

「 必要あれば、夢を使い用件を伝えられます 」


マオ

「 そういうもんなのか? 」


セロフィート

「 使えるモノはなんでも使い、教えられます。

  人間の方がけないだけです 」


怪我人

「 ──ぐに返事が出来なくて申し訳無い…… 」


 瞑想が終わったのか、怪我人は申し訳無さそうな顔でセロとオレを見ている。


セロフィート

「 構いません。

  ワタシ達の方こそ瞑想のお邪魔をしてしまいました 」


怪我人

「 いえ──、とんでもないです(////)」


セロフィート

「 初めまして、ですね。

  ワタシはくすり主人あるじくすをしているセロフィートと言います。

  この子はワタシの助手をしてくれている弟のマオです 」 


マオ

「 初めまして! 」


セロフィート

「 マオとマオキノが貴方達を連れて戻ってときは驚きました。

  回復してくれてなによりです 」


怪我人

貴方あなたがたの善意に感謝致します 」


セロフィート

「 貴方のお名前を聞いてもいですか? 」


怪我人

「 これは大変失礼を……。

  私はげんじょうさんぞうほうと申します。

  ≪ てんじく ≫を目指して旅をしている道中でした 」


マオ

げんじょうさんぞうほう…………うわっ、マジかよ!!

  げんさつの神託を受けたとかで説法(きょう)記録(もん)を求めて≪ てんじく ≫に──!? 」


玄奘三蔵法師

「 それも有るのですが──、かんぜんおんさつ様の錫杖を届けなければならないのです 」


マオ

「 うん?

  錫杖?? 」


セロフィート

さんぞうほうさん、体力が回復しても≪ てんじく ≫を目指す旅を再開するのはめた方がいです 」


玄奘三蔵法師

ですか!? 」


セロフィート

さんぞうほうさんが受けた毒の後遺症があるからです。

  過酷でつらい長旅には貴方の身体からだは耐えられません。

  錫杖を届ける道中で息絶えてしまうのがオチです。

  助かったいのちを粗末にしてはいけません。

  げんさつも望まれないでしょう 」


玄奘三蔵法師

「 ですが──、神託を無視する訳にはいきません!!

  私は約束したのです。

  必ずかんぜんおんさつ様の錫杖を≪ てんじく ≫へ届けると── 」


セロフィート

「 そうですか。

  決心は固そうですね。

  それとは別にさんぞうほうさんに御伝えしなければならない事があります 」


玄奘三蔵法師

なんでしょうか? 」


セロフィート

「 貴方とともに旅をされていた仲間の僧侶さん──御2人が亡くなりました 」


玄奘三蔵法師

「 ──2人が…………ですか!?

  、亡くなったのですか?! 」


セロフィート

「 その日のうちに──。

  刃物で刺された傷が深かった事と体内にはいった強い毒の所為です。

  御2人は自身のていして犯人から貴方をまもったのですね。

  貴方も刃物で刺されましたが、傷は浅く毒も少量でした。

  仲間にいのちを救われましたね 」


玄奘三蔵法師

「 そうですか…………。

  私をまもって2人が……。

  ──私の仲間は……あぁ、そうです!

  もう1人…るのです…。

  りんれいは──、りんれいは無事でしょうか!?

  ますか? 」


セロフィート

りんれいさん……です?

  マオ、どうでしたか? 」


マオ

「 オレがマオキノと見たとき、地面に倒れていたのは3人だけだったよ。

  野次馬が多かったし、りんれいさんが、どんな容姿をしてる人かも知らないから…… 」


玄奘三蔵法師

「 そうですか……。

  無事に逃げていてくれたらいのですが…… 」


セロフィート

「 安心してください、さんぞうほうさん。

  貴方達を襲った犯人も行方知れずなりんれいさんも此方こちらで探します。

  貴方は元気になる事を最優先に療養してください 」


玄奘三蔵法師

がとう御座います 」


セロフィート

「 完治したあと、どうしても≪ てんじく ≫へ行く気持ちが変わらなければ、マオとワタシが旅に同行しましょう 」


マオ

「 えっ!?

  セロ、ほんか? 」


セロフィート

「 勿論です。

  ワタシはくすです。

  さんぞうほうさんが長旅で体調を崩す事のないように体調管理を担いましょう。

  マオは剣士です。

  妖怪の相手は御手の物です。

  こころづよく頼もしいですよ 」


玄奘三蔵法師

「 ………………いのでしょうか?

  恩人の貴方達に旅の同行をしてもらっても…… 」


セロフィート

さんぞうほうさん、1人で≪ てんじく ≫を目指すのは無謀です。

  げんさつも望まぬでしょう 」


マオ

「 そうだよ、さんぞうさん!

  1人で旅なんて無理だよ!

  妖怪は僧侶を襲わないって聞くけど、ぎゅう魔王の配下は僧侶も襲うらしいじゃんか!

  つかまったら≪ てんじくどころじゃなくなるよ!

  妖怪退治はオレに任して、さんぞうさんは旅のあいだは馬にたまがってたらいんだよ! 」


玄奘三蔵法師

がとう御座います(////)」


セロフィート

かんぜんおんさつの錫杖……ですか 」


マオ

「 セロ、どうしたんだ? 」


セロフィート

さんぞうほうさんがまで妖怪に襲われずに辿り着けたのは、錫杖のちからられていたからでしょう 」


マオ

「 どゆことだよ? 」


セロフィート

「 妖怪が理性を失い狂暴化し、人間を襲うようになった御時世に、≪ てんじく ≫へ向かわせるのは無謀な事です。

  それでも≪ てんじく ≫へ向かわせるには相応の意味が有るからです。

  ≪ てんじく ≫を目指す為にげんさつに託された錫杖はほうたぐいと思われます 」


マオ

ほうたぐいかぁ~~。

  で──、肝心の錫杖はに有るんだ?? 」


セロフィート

に有ります。

  盗まれなくてかったですね、さんぞうほうさん 」


玄奘三蔵法師

「 あぁ…………かんぜんおんさつ様の錫杖…………かった(////)」


マオ

「{ セロ、どうしたんだよ、アレ!

   オレもマオキノも見なかったし、持っててないぞ! }」


セロフィート

「{ 錫杖を持ち去った犯人から返してもらいました。

   いまごろは目の前から錫杖がこつぜんと消えた事に慌てている事でしょう }」


マオ

「{ マジかよ。

   で──、さんぞうさん達を襲った犯人が誰なのか目星は付いてるのか? }」


セロフィート

「{ りんれいさんに決まってます }」


マオ

「{ えっ?!

   どゆことだよ?! }」


セロフィート

「{ あとで教えます }」


マオ

「{ お、おぅ…… }」


セロフィート

「 その錫杖にはしんしょう宿やどっていますね 」


玄奘三蔵法師

「 えっ?

  …………分かるのですか? 」


マオ

「 セロ、しんしょうって? 」


セロフィート

しん(諸天善神)ぶつ(,諸菩薩)ほう便べんしんです。

  しゃぶつげんさつかんぜんおんさつしん(諸天善神)ぶつ(,諸菩薩)ほう便べんしんです 」


マオ

なんしん(諸天善神)ぶつ(,諸菩薩)ほう便べんしんが錫杖に宿やどってるんだ? 」


セロフィート

「 実体を維持させる為でしょう。

  しん(諸天善神)ぶつ(,諸菩薩)には姿,形が無く、無味無臭です。

  但し、ほう便べんしんは違います。

  ほう便べんしんには実体が有ります。

  ですが、かいでは実体を長く維持させる事が出来ません 」


マオ

「 だから錫杖に宿やどって実体化する為の能力ちからを温存させる──って事か? 」


セロフィート

「 事情は分かりませんけど、≪ 大陸 ≫のあちこちしんしょうが封印されているのでしょう。

  げんさつかに封印されたほう便べんしんであるしんしょう達をさんぞうほうさんに探させ、解放させ、回収させたいのでしょう。

  回収したしんしょう達は錫杖に宿やどり、≪ てんじく ≫を目指し、旅をするさんぞうほうさんを妖怪達からります。

  しかし、頻繁にしんしょう達の能力ちからを借りる事は出来ないでしょう 」


マオ

「 じゃあ、しんしょう達の能力ちからを借りれないときぎゅう魔王の配下に襲われたりしたら── 」


セロフィート

「 錫杖を取り上げられてしまえば終わります 」


マオ

「 ゾッとするな~~ 」


セロフィート

「 だからこそのマオです。

  マオがさんぞうほうさんの代わりに妖怪を倒せば、しんしょう達の能力ちからを温存する事が出来ます。

  “ ここぞ ” といときに使えるようになります 」


玄奘三蔵法師

「 セロフィートさんは詳しいのですね。

  くすは信仰心が強いのでしょうか? 」


セロフィート

「 人に依ります 」


マオ

「 セロは特別だもんな! 」


セロフィート

「 大事な錫杖ですから盗まれないように気を付けてください 」


玄奘三蔵法師

がとう御座います…… 」


セロフィート

「 時間を持て余しているようなら、これを読まれてください 」


玄奘三蔵法師

「 セロフィートさん、これは…… 」


セロフィート

しゃぶつが人格・しゃの口をかりかれただいじょう佛教の一部です。

  マオとワタシの御先祖様も若かりし頃には≪ てんじく ≫を目指して旅に出ていました。

  そのときに御先祖様が写経して持ち帰ってたのが此方こちらです 」


玄奘三蔵法師

がとう御座います!

  これが≪ てんじく ≫で写経されただいじょう佛教の一部…… 」


セロフィート

「 ≪ てんじく ≫へ無事に到着さえ出来れば、膨大な量の説法(きょう)記録(もん)を写経する事が出来ます。

  楽しみですね 」


マオ

「 セロぉ~~~~ 」


セロフィート

さんぞうほうさん、マオとワタシは失礼します。

  マオ、行きましょう 」


マオ

「 うん……。

  じゃあね、さんぞうさん!

  またはなしてもい? 」


玄奘三蔵法師

「 勿論です。

  でもてください 」


 セロとオレはマオキノの分身たいとバトンタッチして看護室から出た。

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