⭕ 新たな刺客 1
マオキノに言われて2時の方向を見ると、確かに誰かが岩の上に立っている姿が見える。
太陽の逆光で顔は見えない。
獅聖幻夢
「 さてはて…………何方でしょうね? 」
幻夢さん、少しずつだけどセロに似て来てないかな!?
セロと一緒にヤバい実験をしてるから似て来ちゃうんだよ!!
気を付けてぇ!!
厳蒔弓弦
「 変質者か? 」
マオ
「 ………………。
お巡りさん呼ばないとだね 」
この世界にちゃんとした警察官みたいな人が居てくれたらの話だけど!
獅聖幻夢
「 捕まえて連行しましょうか?
キャンプ地の見張りをしてくれているマオキノ殿達への “ お土産 ” にしてはどうでしょう? 」
厳蒔弓弦
「 それも良いな。
変質者の数は減らした方が良い 」
弓弦さんも幻夢さんも意外と好戦的なんだよな~~。
玄武さんが居てくれたら止めてくれたかも知れない……。
オレが弓弦さんと幻夢さんを止めるストッパーにならないとだ!
マオ
「 一寸待ってよ、弓弦さん,幻夢さん!
未だ変質者と決まった訳じゃないし、悪い人とも決まった訳じゃないよ 」
獅聖幻夢
「 マオ殿は慎重なのですね。
捕まえてから判断しても良いと思います。
“ 疑わしきは罰せよ ” と言うではないですか 」
マオ
「 疑わしいだけで罰するのは先走り過ぎると思うけどな~~。
だよな、マオキノ? 」
オレがマオキノに同意を求めるとマオキノは涎を拭いていた。
マオキノ:本体
「 先ずは捕まえるべきだと思いますエリ! 」
マオ
「 涎を垂らしながらキリッとした顔しても絞まらないぞ、マオキノぉ~~!! 」
厳蒔弓弦
「 ──見てみろ、マオ。
変質者の周囲に何かが現れたぞ 」
マオ
「 何かって? 」
獅聖幻夢
「 ………………あれは何でしょう??
見慣れない格好をしていますね 」
マオ
「 ──あれって、キョンシーだ!
あのキョンシー、体術とか使って来る武道派のキョンシーだよ!
気を付けて!! 」
獅聖幻夢
「 キョンシー?
あれがセロ殿が話してくれたキョンシーなのですか?
ではあのキョンシーは全て死体なのですね!!
陰陽術とは異なる別の術法で死体を自在に操っているのですね!! 」
マオ
「 幻夢さん、嬉しい気持ちは分かならくはないけど、今は落ち着いて!
冷静になってほしいな! 」
厳蒔弓弦
「 幻夢も闇呪術とやらで死体を操れるのではなかったか?
何が違うんだ? 」
マオ
「{ 弓弦さん!
それは聞いちゃ駄目なヤツだよ! }」
厳蒔弓弦
「 そうなのか?
然しな、陰陽師ではない私には違いが分からないんだ 」
マオ
「{ それはオレも同じだよ!
だけど、今は聞いちゃ駄目だよ…… }」
厳蒔弓弦
「 そ…そうなのか?? 」
獅聖幻夢
「 確かに闇呪術でも死体は操れます。
ですが──、あれとは明らかに違うのです。
その違いを私は調べて知りたいのです 」
厳蒔弓弦
「 そうなのか。
ならばキョンシーを捕獲するか? 」
獅聖幻夢
「 いいえ、弓弦殿。
キョンシーを操っている御仁が欲しいです 」
厳蒔弓弦
「 分かった 」
マオ
「 えっ、何が分かったの弓弦さん? 」
厳蒔弓弦
「 マオキノ、キョンシーを任せて良いか? 」
マオキノ:本体
「 はいですエリ 」
厳蒔弓弦
「 キョンシーの相手はマオキノと分身体達に任せよう。
私が先ず、変質者に向けて矢を10本程射ろう。
変質者が怯んでいる間に幻夢は法力を込めた矢を変質者へ向けて射るんだ。
動けなくなった変質者をマオが気絶させ、そのまま変質者を捕まえる。
どうだ? 」
獅聖幻夢
「 素晴らしい案です、弓弦殿!!
マオ殿、気絶は峰打ちでお願いします! 」
マオ
「 う、うん……。
分かったよ… 」
此処で「 嫌だ 」とは言えない空気が漂っている。
殺るしか──じゃなくて、峰打ちだったな。
殺したら駄目なら逆刃刀を使うしかない。
オレは逆刃刀を何時でも抜ける体勢にして、岩の上に立っている人物に向かって走り出した。
マオ様が走り出すのと同時に弓弦様は、愛用の魔喰らいの弓を構えましたエリ。
弓弦様は岩の上に立っている不審者へ目掛けて矢を射り始めましたエリ。
不審者に向かって容赦の無い矢が襲い掛かりますエリ。
不審者は飛んで来る矢に驚いてますエリ。
幻夢さまも構えた弓矢に法力を込めて不審者へ射ますエリ。
弓弦様が射った矢の中に幻夢さまが射った矢が紛れて命中しましたエリ。
何本かの矢が不審者の身体に刺さってますエリ。
身動きの取れない不審者はマオ様が逆刃刀で峰打ちしましたエリ。
気絶した不審者はマオ様が捕獲しましたエリ。
因みに不審者が呼び寄せたキョンシー達は、ボクの分身体達が美味しく頂きましたエリ♥️♥️♥️
マオ
「 コイツ!
靈幽道士だ!
何でこんな所に居るんだよ? 」
厳蒔弓弦
「 確かに靈幽道士の様だな 」
獅聖幻夢
「 靈幽道士ですか!?
彼が道士……。
彼からキョンシーの作り方を聞き出したいです 」
厳蒔弓弦
「 落ち着け、幻夢。
揺すっても今は起きないと思うぞ 」
マオ
「 そうだよ、幻夢さん。
取り敢えず、逃げれない様に縄でグルグル巻きにしとこうよ 」
初めて御対面する “ 道士 ” と呼ばれる術者を前にして興奮しているのか、幻夢さんは靈幽道士の胸ぐらを両手で掴んでユッサユッサと揺らしている。
厳蒔弓弦
「 それが賢明だな 」
マオキノ:本体
「 縄なら此方を使ってくださいませエリ 」
マオ
「 有り難な、マオキノ 」
オレはマオキノが笠から取り出してくれた縄を受け取って、靈幽道士の身体をグルグル巻きにして縛った。
両手首と両足首も忘れずに確りと縛った。
マオ
「 煩く喚かれても困るし、猿轡もしとかないとな 」
マオキノ:本体
「 此方を使ってくださいませエリ 」
マオ
「 有り難な、マオキノ。
………………マオキノ、この猿轡って── 」
マオキノ:本体
「 SMプレイで人気の猿轡ですエリ 」
マオ
「 何でそんな如何わしい猿轡を持ってるんだよ?
普通の猿轡で良いんだけどな…… 」
オレはマオキノが笠から取り出してくれた猿轡を受け取り、靈幽道士の口に装着してやった。
マオ
「 これで良しかな? 」
厳蒔弓弦
「 これなら目が覚めても暴れる事は出来ないだろう。
キャンプ地へ運ぶか 」
マオキノ:本体
「 ボクが運びますエリ! 」
マオキノはキリッとした顔で、ビシッと敬礼をする。
マオ
「 じゃあ、マオキノに任せるよ 」
マオキノ:本体
「 はいですエリ! 」
がんじ絡めに縛った靈幽道士をマオキノは嬉しそうに引き摺り始めた。
運ぶんじゃないのかよ……。
マオキノが喜んでるから黙っとく事にした。
オレって優しいな。
弓弦さんも何か言いたそうな顔をしていたけど、嬉しそうなマオキノには何も言わず仕舞いだった。
オレ達はキャンプ地へ向かって歩き出した。
獅聖幻夢
「 どの様にしてキョンシーの作り方を聞き出しましょうか?
頭の中を弄くった方が良いでしょうか?
然し、私はセロ殿の様に上手くは出来ませんし…… 」
マオ
「 幻夢さ~~ん、『 頭の中を弄くる 』なんてセロみたいな事を言わないでよ。
──っていうか、陰陽術で出来るの?
セロは古代魔法を使ってする訳だけど── 」
獅聖幻夢
「 私の場合は陰陽術ではなく、闇呪術を使います 」
マオ
「 闇呪術…… 」
闇呪術も陰陽術なんじゃないのかよ?
違いが分からん……。
獅聖幻夢
「 頭の中を弄くっている間、苦痛を伴ってしまうのです。
失神をしてしまう者が多く、廃人となってしまう場合も有ります。
楽しいのですが……、あまり弄りたくはないですね 」
マオ
「 廃人になっちゃうんだ……。
闇呪術って恐いね…… 」
「 楽しい 」って……。
セロが2人に増えたみたいで何か嫌だな……。
マオキノ:本体
「 幻夢さま、此方を使ってくださいませエリ 」
獅聖幻夢
「 マオキノ殿、此方は何なのですか? 」
マオキノ:本体
「 自白剤SPEXEΖですエリ 」
マオ
「 何だよ?
その物騒な名前の自白剤は……。
名前だけで十分過ぎる程にヤバそうなんだけどぉ~~ 」
マオキノ:本体
「 濃厚なキノコン汁もたっぷりと入ってますエリ 」
マオ
「 激ヤバい自白剤じゃないかよ 」
厳蒔弓弦
「 “ 名は体を表す ” と言うな 」
マオキノは笠から出した瓶を自慢気に見せてくれる。
マオキノ:本体
「 これはセロ様が開発に開発を重ねて完成させた新しい自白剤ですエリ。
これをグイッと一気に自白をさせたい相手の鼻の穴へ流し込みますエリ。
口から出ない様に口は塞いでくださいませエリ。
聞き出したい事を何でも話してくれる様になりますエリ 」
厳蒔弓弦
「 鼻から入れるのか?
口から飲ますのではないのか? 」
マオキノ:本体
「 尋問らしく鼻から入れて苦しませますエリ★ 」
厳蒔弓弦
「 そ…そうか…… 」
弓弦さんが引いてるよぉ!!
マオキノ:本体
「 自白剤が効き始めたら愉快な拷も──尋問の時間を御楽しみくださいませエリ 」
獅聖幻夢
「 貴重な自白剤を態々有り難う御座います。
私が使っても良いのですか? 」
マオキノ:本体
「 一杯あるから問題無いですエリ 」
獅聖幻夢
「 では御言葉に甘えて有り難く使わせて頂きますね 」
幻夢さんはマオキノからヤバ過ぎる自白剤を嬉しそうに受け取る。
セロめ、未だ自白剤なんて作ってたんだな……。
厳蒔弓弦
「 彼が不憫でならないな…… 」
マオ
「 そうだね…… 」
良心を具現化した様な弓弦さんは何かを諦めたかの様に首を左右に振っている。
マオ
「 キョンシーの作り方だけじゃなくて、蝙蝠道士や鉄扇公主の事も聞き出せるかも知れないよな?
牛魔王の死因とか牛魔王の蘇生実験の事なんかも知れる可能性も無きにしも有らずなんじゃないかな?
鉄扇公主を唆せて牛魔王の蘇生実験を教えた奴の正体も分かるかも知れないよ? 」
厳蒔弓弦
「 それもそうだな。
此方にとっては敵なのだったな…… 」
マオ
「 靈幽道士を捕まえられたのは嬉しい収穫だよ! 」
うん、そういう事にしておこう。
マオキノ:本体
「 キャンプ地に到着しますエリ 」
マオ
「 幻夢さん、靈幽道士の尋問は何処でするの? 」
獅聖幻夢
「 セロ殿と一緒に尋問しようと思います 」
マオ
「 そうなんだ?
御手柔らかにね? 」
獅聖幻夢
「 それはセロ殿次第ではないでしょうか? 」
厳蒔弓弦
「 ははは──。
それは言えているな 」
そんなこんなでオレ達は無事にキャンプ地へ到着したのだった。
キャンプ地ではマオキノ達が楽しそうに夕食の支度をしてくれている。
罧寧が両手を元気に振りながら出迎えてくれた。




