⭕ 罧寧の初依頼 4
──*──*──*── 翌日
──*──*──*── フィールド
罧寧が幻夢さんと協力して残りの羽弗を狩っている最中、オレは玄奘さんと一緒に別の場所で堯巳って言う蛇の生け捕りをしていた。
野球バット程の太さと長さの蛇──堯巳は好戦的で容赦無く襲い掛かって来る。
然も群れで!!
生け捕りにしないといけないから、かなり苦戦している。
玄奘さんは襲い掛かって来る堯巳に合わせて錫杖に纏わせる属性を変えて攻撃している。
玄奘さんが錫杖で打撃して気絶した堯巳をマオキノ達が速やかに捕獲してくれるから助かっている。
オレは堯巳を斬り殺してしまわない様に逆刃刀を使って打撃する。
力加減が難しくて神経を使うから余計に疲れる。
強くなり過ぎるってのも不便だよなぁ~~。
途中でマオキノが用意してくれた弁当を食べて休憩を挟んだ後も、玄奘さんと手分けをして堯巳狩りを続けた。
マオ
「 ふぅ……。
弓弦さんは50って言ってたけど、何体の堯巳を捕まえれたかな? 」
マオキノ:分身体
「 後、20体ですエリ 」
マオ
「 えぇっ!?
手分けして30体かよ……。
結構、時間が掛かってるな~~。
玄奘さん、上手く属性を変えれてるみたいだな。
オレもアミュレットが有れば逆刃刀に属性を纏わせて堯巳を殴れるのにな…。
急速冷凍に出来るから楽に狩れるってのに…… 」
マオキノ:分身体
「 マオ様、楽する事ばかり考えてますエリ 」
マオ
「 当たり前だろ~~。
便利に慣れたら終わりだよ。
残り20体、頑張るか! 」
16時前には堯巳狩りを無事に終わらせる事が出来た。
疲れている玄奘さんにはマオキノ達と一緒にキャンプ地へ戻ってもらった。
錫杖に纏わせる属性を変える作業は意外に疲れるらしい。
オレは1人で弓弦さんの元へ向かう。
フィールド上を見渡しては現状の把握に専念している弓弦さんは、現場監督みたいな感じかな。
時々矢を射っては近付いて来る余計な動物を仕留めている。
流石の命中率で感服する。
マオ
「 ──弓弦さん!
堯巳を狩り終わったよ。
予想外に時間が掛かっちゃったよ…… 」
厳蒔弓弦
「 そうか。
御苦労だったな 」
マオ
「 幻夢さんと罧寧は? 」
厳蒔弓弦
「 あぁ──、羽弗は無事に狩り終えたぞ。
今は土蠡を狩っている最中だ 」
マオ
「 モグラ??
モグラ叩きのモグラの事?
抑──居るの? 」
厳蒔弓弦
「 ははは…。
そのモグラではないな。
土蠡と言う名前の昆虫だ。
蜘蛛に似ているが蜘蛛では無いんだ 」
弓弦さんは依頼書に描かれている絵を見せてくれた。
マオ
「 これが土蠡?
紛らわしい名前だなぁ~~。
結構、大きいね 」
厳蒔弓弦
「 矢の的には丁度良いだろう 」
マオ
「 そだね… 」
厳蒔弓弦
「 マオも疲れているだろう。
キャンプ地で一休みしていたらどうだ。
罧寧には幻夢が居るし、私も手助けするから大丈夫だ 」
マオ
「 うん、有り難う。
じゃあ、夕食まで休んでるよ。
助けが必要なら遠慮無く呼んでね 」
厳蒔弓弦
「 あぁ、そうさせてもらうとしよう 」
オレは弓弦さんの言葉に甘えてキャンプ地で休ませてもらう事にした。
──*──*──*── キャンプ地
──*──*──*── テントの中
キャンプ地へ戻ってテントの中へ入ると玄奘さんが何かを読んでいた。
マオ
「 玄奘さん、何を読んでるの? 」
玄奘三蔵法師
「 マオ殿。
初心者でも楽しく囲碁を学べるまんがという本を読ませて頂いています 」
マオ
「 は?
漫画ぁ??
この≪ 大陸 ≫に漫画なんて高度な娯楽が有ったっけ?? 」
玄奘三蔵法師
「 マオキノ殿が描かれているんです 」
マオ
「 えっ!?
マオキノが??
どゆことぉ~~ 」
そんな訳で、オレは別のテントへ向かう事にする。
因みにキャンプ地の周辺にはマオキノ達が立っていて見張りをしてくれている。
マオキノが居るだろうテントにはキノコンのアップリケが縫い付けられているから親切だ。
──*──*──*── キノコンのテント
マオ
「 マオキノ──ってぇ、何してるんだ? 」
マオキノ:本体
「 マオ様!
今、囲碁漫画を制作中ですエリ 」
マオ
「 囲碁漫画?
それって玄奘さんが読んでた漫画か? 」
マオキノ:本体
「 はいですエリ。
囲碁を知らない初心者に読んでもらう事を目的にしてますエリ。
楽しく囲碁を学べる囲碁漫画ですエリ 」
マオ
「 どんなタイトルなんだ? 」
マオキノ:本体
「 タイトルは【 神の一手の先へ 】ですエリ。
神の一手を追い求める主人公と神の一手の先を追い求める陰陽師の胸熱展開も楽しめる囲碁バトル漫画ですエリ 」
マオ
「 囲碁バトル漫画??
えと……囲碁バトルって、どゆこと?? 」
マオキノ:本体
「 説明させて頂きますエリ。
主人公は囲碁を知らない10歳の少年ですエリ。
主人公は実家の蔵の中で年代物の古い碁盤を見付けますエリ。
その碁盤には幽霊が宿っていましたエリ。
幽霊は古の時代に名を馳せていた “ 鬼才の術者 ” 陰陽師ですエリ 」
マオ
「 陰陽師の幽霊?? 」
マオキノ:本体
「 はいですエリ。
主人公は蔵から碁盤を持ち出して部屋へ運びますエリ。
部屋に碁盤を置いて、黒ずんだ汚れ──血痕を拭いていると『 君には見えるのですか? 』と声が聞こえますエリ。
主人公は碁盤に宿っていた幽霊に取り憑かれてしまいますエリ。
幽霊に取り憑かれた後、碁盤に染み付いていた血痕は消えましたエリ。
幽霊と話せる様になった主人公は、幽霊から囲碁を教わる事になりますエリ。
囲碁を打つ為には碁石が必要ですエリ。
碁石の入った碁笥を探しに主人公は幽霊と共に再び倉へ向かいますエリ。
幽霊は囲碁を知らない主人公の指南役となり、直々に囲碁を教えますエリ。
主人公は幽霊と共に神の一手を追い求めて囲碁の世界へ踏み出しますエリ 」
マオ
「 う~~ん……。
どっかで聞いた事の有る内容と類似してる気がするんだけど? 」
マオキノ:本体
「 細かい事は気にしちゃ駄目ですエリ 」
マオ
「 細かくないと思うけどな~~。
主人公は自分に取り憑いた幽霊と同行二人で囲碁の世界に入るんだよな?
色んな大会に出て結果を出すから囲碁バトルなのか? 」
マオキノ
「 違いますエリ。
幽霊は陰陽師ですエリ。
禁忌とされる陰陽術で呪靈を生み出し、操れる凄腕の陰陽師ですエリ 」
マオ
「 呪靈を操れる陰陽師で囲碁が強い──って、まるで幻夢さんみたいだな 」
マオキノ:本体
「 幽霊のモデルは幻夢さまですエリ。
主人公のモデルはマオ様ですエリ 」
マオ
「 セロは登場しないのか?
セロが登場しないとセロが怒らないか? 」
マオキノ:本体
「 セロ様はプロ棋士の本因坊として登場しますエリ。
中盤に入ると大会へ出掛けていた主人公の実家が燃えてしまいますエリ。
家族と実家を失い途方に暮れていた主人公は、手を差し伸べてくれた本因坊の厚意を受けて一緒に暮らす事になりますエリ 」
マオ
「 そうなんだ…。
それならセロも怒らないかもな? 」
マオキノ:本体
「 世間では悪しき術者──邪鬼道を極めた魔道士が邪悪なキョンシーを操り、夜な夜な悪事を働いてますエリ。
邪悪なキョンシー達とは囲碁勝負をしますエリ。
囲碁勝負で勝つとキョンシーは消滅しますエリ 」
マオ
「 だから囲碁バトルなのか?
でもさ、何で敵キョンシーが囲碁をするんだ? 」
マオキノ:本体
「 囲碁漫画だからですエリ。
因みに敵キョンシーはプロ棋士並みに強いですエリ。
主人公の棋力では太刀打ち出来ませんエリ。
敵キョンシーを囲碁勝負で負かす為に、幽霊が主人公に憑依をして囲碁勝負に挑みますエリ 」
マオ
「 へ?
幻夢さんがオレに──じゃなくて、主人公に憑依して囲碁バトルをするのか?
それは新しい試みかも…… 」
マオキノ:本体
「 幽霊が主人公に憑依すると、陰陽術を使える様になりますエリ。
呪靈を召喚して操る事も可能になりますエリ 」
マオ
「 えっ、そうなの!?
何かワクワクして来たかも! 」
マオキノ:本体
「 相手のアゲハマを取ったり、相手より有利な良手を打つと召喚した呪靈で敵キョンシーを攻撃する事が出来ますエリ。
取ったアゲハマの数で攻撃回数も変わりますエリ 」
マオ
「 な…なんか、バトルっぽくなってる!!
手に汗握る展開を読める訳だな! 」
マオキノ:本体
「 敵キョンシーを倒すと、主人公の棋力が上がりますエリ。
棋力が上がると、囲碁大会で有利になりますエリ。
対局戦相手の棋力を上回ると囲碁大会で勝つ事が出来ますエリ。
大会で対局相手に勝つ為にも夜な夜な敵キョンシーを倒して棋力を上げていきますエリ 」
マオ
「 嫌でも敵キョンシーを倒さないと囲碁大会で当たる対局相手には勝てない様になってる訳か──。
主人公は10歳なのに随分とハードな人生を送る事になるんだな…。
囲碁大会の時に幻夢さんが主人公に憑依して打つ事は出来ないのか? 」
マオキノ:本体
「 そういうズッコは出来ませんエリ。
主人公は囲碁大会でズッコはしませんエリ。
幽霊が主人公に憑依を出来るのは敵キョンシーの相手をする時だけですエリ 」
マオ
「 そうなんだな…… 」
マオキノ:本体
「 初めて参加した囲碁大会で知り合った少年と主人公は友達になりますエリ。
主人公にとっては人生初の囲碁友ですエリ。
モデルは霄囹ちゃまですエリ 」
マオ
「 シュンシュンも登場するんだな。
友達は必要だよな!
じゃあさ、囲碁友と書いて “ ライバル ” と読むって関係になるのか? 」
マオキノ:本体
「 なりませんエリ。
囲碁友の正体は敵キョンシーを操り悪さをさせる邪鬼道を極めた魔道士ですエリ。
物語のラスボスですエリ 」
マオ
「 は??
シュンシュンがラスボスぅ??
初めて囲碁友なのにラスボスってマジかよ!? 」
マオキノ:本体
「 皆が期待する胸熱展開ですエリ 」
マオ
「 胸熱展開って言うより、胸糞悪い展開じゃないかな?
別にライバルじゃないんだから、ラスボスにしなくても良いんじゃないか? 」
マオキノ:本体
「 【 信頼していた親友が実はラスボスでした 】は少年漫画では定番ですエリ。
盛り上がる展開が必要ですエリ 」
マオ
「 だからって…… 」
マオキノ:本体
「 この囲碁漫画は来月から発刊される “ 月刊囲碁 ” に掲載されますエリ 」
マオ
「 来月に発刊?
囲碁雑誌ぃ?
本格的に囲碁を広めるのか?
昨日出たばっかりの話だろ 」
マオキノ:本体
「 キノコンを通してセロ様に伝えましたエリ。
月刊囲碁は碁会所で会員登録した碁会員に無料配布されますエリ。
子供も大人も読める囲碁雑誌を目指しますエリ 」
マオ
「 そ、そうなんだ……。
どんな雑誌か見てみたいな? 」
マオキノ:本体
「 有りますエリ。
此方が来月から初発刊される囲碁雑誌ですエリ。
どうぞですエリ 」
マオ
「 有り難な。
これが囲碁雑誌……。
意外と薄いんだな? 」
オレはマオキノから受け取った薄い囲碁雑誌を開いて中身を見る。
パラパラ捲っているとマオキノが描いている漫画が始まった。
マオキノ──漫画も描けるなんて器用だな。
物語の舞台は≪ 日本国 ≫じゃないみたいだ。
どっちかって言うと──、世界観は此方の世界に似せてるのかも??
絵は丁寧に描かれている。
綺麗で読み易い。
まぁ、オレの場合は台詞を読んでるだけで眠気に襲われちゃうから絵だけを見るようにしてる。
セロと〈 魂の契約 〉をした副作用なんじゃないかと思ってる。
セロと〈 魂の契約 〉をする前は、ちゃんと本を読めていたからだ。
迷惑な副作用だよ、全く!!
マオ
「 この世界にも蔵は在るんだな 」
確か、玄武さんが囲碁ファンからプレゼントされた人気囲碁漫画では──、主人公は祖父の家に在る蔵の中で古びた碁盤を見付けた様な気がする。
碁盤に染み付いてた血痕にも蔵の中で気付いて、幽霊に取り憑かれたんじゃなかったかな?
やっぱ似てるよな。
主人公はオレを “ モデルにしてる ” って言うけど、まんまオレだよ。
幽霊は──、まんま幻夢さんだ。
この美しい幻夢さんが、禁忌とされる陰陽術で呪靈を生み出して操る凄腕の陰陽師なんだよな…。
リアルな設定だ。
最初は陰陽師の設定は隠してるみたいだな。
主人公が蔵で碁盤を見付けて、部屋へ運び込んで、黒ずんだ血痕に気付いて、拭いていたら声が聞こえて、透けてる幻夢さんが登場して出逢った所で終わっている。
次回へ続くだ。
マオ
「 続きが気になる所で終わったな。
惚れ惚れする絵だよ、マオキノ。
凄い才能だな! 」
マオキノ:本体
「 有り難う御座いますエリ。
ボクの分身体なら全く同じ絵を描けますエリ。
キノコンの本体に依って作画は微妙に変わりますエリ 」
マオ
「 じゃあ、マオキノとセノコンでも同じ絵を描いても微妙に違うんだ?
セノコンが描いたらセロが美化されそうだな? 」
マオキノ:本体
「 セロ様は美化する迄も無いですエリ。
セロ様の魅力の全てを漫画で伝える事は出来ませんエリ 」
マオ
「 ははは……。
処でさ、セロの絵は無いのか? 」
マオキノ:本体
「 未だ登場してませんエリ 」
マオ
「 描いてはくれないんだな…… 」
マオキノ:分身体
「 夕食の準備が整いましたエリ~~ 」
テントの外でマオキノがタンバリンを鳴らしている。
何でタンバリンを使っているのかと言うと──、楽器のタンバリンを武器として戦う召喚勇者の短編漫画をマオキノがネットで公開していた時期があって、意外にもバズって有名になった事があったからだ。
◎ 憑依は「 ファントム・ブレイブ 」の主人公が霊魂を物体に憑依させて戦わせる事が出来る能力です。
コンファインは長いので、コンファンと短くしました。
どんな能力なのか詳細が気になる読者さんは「 ファントム・ブレイブ 」の実況中継を見てもらえたら分かると思います。
私は途中の戦闘シーンで心が折れ、断念したのでクリアしていません。
「 2周目はじめました 」を買い、楽してEDを見た奴です。




