⭕ 晏洛の街 1
──*──*──*── 2日後
≪ 宋枩の村 ≫を出て漸く≪ 笆菁の村 ≫に到着したけど、妖怪に襲撃されて蹂躙された後だった。
村人達だった死体が転がっていて、大量の烏が死体に群がっている。
雑食の烏にしてみれば人間の死体も御馳走なんだろうな。
セロフィート
「 酷い有り様です。
とても40年前まで人間と共存共栄していた妖怪の仕業とは思えません。
死体が残っているのを見ると、牛魔王さんの配下達の仕業ではなさそうです 」
マオ
「 セロ──、また≪ 村 ≫の跡地にキノコンを1体残して行くのか? 」
セロフィート
「 勿論です。
≪ 笆菁の村 ≫と≪ 宋枩の村 ≫を繋ぐ道も作らせます。
馬車を使い往来が出来る様に横幅の広い道を作らせますし、新しい≪ 笆菁の村 ≫をキノコンに作らせます。
少しずつ拠点を増やして行きましょう 」
マオ
「 ははは~~~~。
やりたい放題だなぁ~~ 」
セロフィート
「 ≪ 笆菁の村 ≫の開墾,開拓はキノコンに任せて、次の≪ 村 ≫を目指しましょう 」
マオ
「 そだな… 」
今迄も妖怪に滅ぼされて廃墟になった≪ 村 ≫にはキノコンを1体だけ残して来ている。
キノコンが≪ 大陸 ≫を支配する日も遠くないかも知れない。
≪ 村 ≫同士を繋ぐ道を作るのは良い案だと思う。
キノコンなら妖怪に襲われても返り討ちするしな!
マオ
「 次の≪ 村 ≫の名前は何て言うんだ? 」
セロフィート
「 ≪ 晏洛の街 ≫です。
〈 馬人形 〉でなら3日の距離です。
途中に渓谷が有り、橋を渡る必要が有ります 」
マオ
「 今度は≪ 街 ≫なんだな 」
セロフィート
「 ≪ 晏洛の街 ≫では、ルートが3通り有ります。
東門から出れば≪ 崋喬の村 ≫へ行けます。
西門から出れば≪ 亰笄の村 ≫へ行けます。
南門から出れば≪ 旻册の村 ≫へ行けます。
マオとワタシが≪ 晏洛の街 ≫へ入るのは北門になります 」
マオ
「 因みにさ≪ 天竺 ≫へ向かうなら何処の門を出るんだ? 」
セロフィート
「 西門を出て≪ 亰笄の村 ≫へ向かいます。
幾つかの≪ 村 ≫を通過すると第1の関所が在る≪ 都 ≫に到着します 」
マオ
「 6男坊の牛魔王が牛耳ってる≪ 都 ≫か…… 」
セロフィート
「 ≪ 晏洛の街 ≫で1ヵ月程滞在しましょう 」
マオ
「 そうだな。
≪ 街 ≫なら観光する場所も在りそうだよな 」
そんな訳で目的地が決まるや否や、〈 馬人形 〉は≪ 晏洛の街 ≫を目指して駆け出した。
──*──*──*── 3日後
──*──*──*── 晏洛の街
マオ
「 此処が≪ 晏洛の街 ≫なんだな。
立派な門だな 」
セロフィート
「 入りましょう 」
セロとオレは≪ 晏洛の街 ≫の手前で〈 馬人形 〉から降りてから、徒歩で≪ 晏洛の街 ≫を目指した。
立派な門を通って≪ 晏洛の街 ≫に入ると、人が大勢居て賑やかだった。
≪ 街 ≫だから妖怪も襲わないのかな?
宿泊する宿屋を探して、1ヵ月間の宿泊手続きを済ませたら、セロと一緒に観光を楽しんだ。
≪ 晏洛の街 ≫ではズタボロな空き屋の土地を買い取って、小さいながら薬屋を改行した。
販売員も店舗の管理も〈 器人形 〉に一任して丸投げするのは何時もの事だ。
店内の棚にはセロが完全に趣味で作った怪しさ爆発的な薬が置かれている。
セロは調合薬師として、店内の地下室で趣味の薬作りを満喫している。
因みに地下室にはオレの部屋もある。
セロ専用の調合室は、時間の流れが異なっていて、調合室の1時間が外では1秒となっている。
外での30秒が調合室では30時間って事だ。
オレは何をしてるのかと言うと、≪ 晏洛の街 ≫を毎日ブラブラと歩いて探検して楽しんでいる。
偶にはこういう暮らしも良いよな!
マオ
「 今日は西門付近に行ってみようかな? 」
という訳で、セロが召喚してくれたオレ専属の御世話係りをしてくれているマオキノに監視されながら、西門を目指して歩く。
とは言ってもマオキノはミニマムサイズになっていて、オレの頭の上に鎮座している。
可愛い過ぎるだろぉ~~~~♥️♥️♥️
マオキノ
「 マオ様、人集りが出来てますエリ 」
マオ
「 人集り?
何だろな?? 」
マオキノ
「 マオ様、人間が倒れてますエリ 」
マオ
「 え?
人が倒れてるのか?
何で道端で…… 」
マオキノ
「 マオ様、どうされますエリ。
放置しますエリ? 」
マオ
「 しないよ!
マオキノ、助けるぞ!!
応急処置の準備だ! 」
マオキノ
「 お任せくださいませエリ 」
ミニマムサイズだったマオキノが通常サイズに戻る。
笠の中から救急箱を取り出してくれたマオキノが、地面に倒れている人達に手早く応急手当て始めた。
慣れた手付きでテキパキと応急手当てをしてくれるマオキノの横でオレにも出来る事を手伝った。
アミュレットを身に付けていたら回復魔法で傷を完治さるだけじゃなくて体力の回復も出来たのに!!
肝心な時にアミュレットを持ってないなんて──!!
マオキノ
「 マオ様、応急処置は済みましたエリ。
治療の出来る場所へ運ぶ必要が有りますエリ 」
マオ
「 よし──、薬屋に運ぼう!
地下室に部屋があるし、セロなら助けてくれる筈だ!! 」
マオキノ
「 はいですエリ 」
マオキノは分裂をすると応急処置をした怪我人達を軽々と担いで移動を始めた。
オレも薬屋を目指して走った。
──*──*──*── 薬屋
──*──*──*── 地下室
──*──*──*── 空き部屋
オレはマオキノと一緒に薬屋に戻った。
マオキノの分身体が地下室の空き部屋を使える様に整えてくれる。
怪我人をベッドに寝かせた後は、マオキノの分身体が看病をしてくれる事になった。
マオ
「 マオキノ──。
オレ、セロにアミュレットを借りて来るから! 」
部屋を飛び出したオレは、セロの調合室へ走った。
──*──*──*── 調合室
マオ
「 セロ──!!
アミュレットを貸してくれ!! 」
セロフィート
「 はい?
マオ、主語を忘れないでください 」
マオ
「 主語ぉ!? 」
セロフィート
「 アミュレットが必要な理由です 」
マオ
「 理由──。
死に掛けてる怪我人が居るんだ!
助けたいからアミュレット!! 」
セロフィート
「 マオの御人好しさん 」
セロは困った様な笑顔でアミュレットを出してくれた。
マオ
「 有り難な、セロ!! 」
オレはセロからアミュレットを引ったくる形で取ると調合室を出た。
怪我人を寝かせている部屋へ走る。
──*──*──*── 空き部屋
マオ
「 マオキノ、アミュレットを借りて来たよ。
誰から回復したら良いんだ? 」
マオキノ:本体
「 マオ様、此方の方ですエリ。
未だ辛うじて息をしてますエリ 」
マオ
「 分かった! 」
オレは怪我人の手を握ると慎重に回復魔法を使った。
マオキノ:本体
「 解毒液を飲ませましたエリ。
全身に回る前で幸いでしたエリ。
毒はジワジワと体内から排泄されますエリ 」
マオ
「 有り難な、マオキノ。
隣の2人の様子は? 」
マオキノ:本体
「 手遅れでしたエリ。
刺された時には大量の毒が体内へ入った事で、毒の回りが早かったですエリ 」
マオ
「 何で毒を仕込んだ刃物で刺されないといけなかったんだよ?
この人達の格好って── 」
?
「 僧侶ですね 」
マオキノ:本体
「 セロ様ぁ!! 」
セロフィート
「 マオキノ、大義でした。
死体を別の部屋に移しなさい 」
マオキノ:本体
「 畏まりましたエリ! 」
セロに敬礼したマオキノは分身体達と協力をして亡くなってしまった2体の死体を部屋から運び出して行った。
マオ
「 セロ…… 」
セロフィート
「 そんな顔しないでください。
彼は運が良いです。
一命を取り止めますよ 」
マオ
「 本当か? 」
セロフィート
「 先程の僧侶達が身を呈して庇ったお蔭でしょうね。
刺された傷は僧侶達よりも浅いですし、毒も少量だったのでしょう。
ワタシの作った解毒液を飲ませたのですから心配は要りません 」
マオ
「 1人でも助けられて良かったぁ~~ 」
セロフィート
「 僧侶である彼等を刺し、毒殺しようとした犯人はキノコン達に捜索させるとします。
情報収集の為に分散させているキノコン達にも協力させるとしましょう 」
マオ
「 ………………僧侶を毒殺なんて随分と物騒な≪ 街 ≫じゃんか。
吃驚だよ 」
セロフィート
「 面白くなって来ましたね♪ 」
マオ
「 セロぉ~~。
事件が起きる度に喜ぶなよな! 」
セロフィート
「 それは無理です♪
何はともあれ、彼の意識が戻るのを待ちましょう 」
マオ
「 そうだな。
早く元気になってほしいよ 」
ベッドに寝かせている怪我人──僧侶は誰なんだろう…………。