⭕ 巒圜の都 5
──*──*──*── 遊戯室
裏庭から戻って来たら、オレは早速、玄奘さんと囲碁を始めた。
罧寧は興味津々に盤上を見ている。
玄奘三蔵法師
「 マオ殿も囲碁が打てるとは知りませんでした。
誰から教わったのですか? 」
マオ
「 弓弦さんだよ。
セロも弓弦さんから囲碁を教わったんだ 」
玄奘三蔵法師
「 セロフィート殿も囲碁を打てるのですね 」
マオ
「 マオキノもキノコンも囲碁を打てるよ。
オレからの助言は “ セロとは打たない ” って事かな。
心を折られて碁石を見ただけで吐き気を催す事になるからな 」
玄奘三蔵法師
「 そうなのですか? 」
マオ
「 神の一手よりも遥か高見の存在なんだよ、セロは。
弓弦さんは手加減するのが苦手だから、強くなりたいならキノコンと打つと良いよ。
相手の強さに合わせてちゃんと手加減してくれるし、欠点とかも親切に教えてくれるんだ 」
玄奘三蔵法師
「 そうなのですか?
囲碁を打てる人は以外と居るのですね 」
マオ
「 ははは。
退屈はしないと思うよ。
オレはマオキノとセノコンに鍛えてもらったけど、未だに弓弦さんから1勝も出来ないから諦めてるんだ。
囲碁は嫌いじゃないけど、自分からする程ではなくなったかな 」
罧寧
「 弓弦さんって、そんなに強いの? 」
マオ
「 オレが勝てないぐらいだからな。
弓弦さんより強いのが玄武さんで──、弓弦さんでも勝てない相手なんだ。
幻夢さんの強さは分からないな~~。
弓弦さんより強いと思うよ。
シュンシュンが “ 勝てない ” って文句を言うぐらいだからな。
玄武さんより長く生きてるから強いかも? 」
罧寧
「 幻夢さんって、そんなに強い人なんだ…… 」
マオ
「 玄奘さんも罧寧も先ずはオレに勝てないとだな! 」
罧寧
「 僕、弓も囲碁も頑張る!! 」
玄奘三蔵法師
「 マオ殿に勝てる様に精進します 」
マオ
「 オレも手加減は出来ないんだ……。
オレに勝てなくても囲碁は嫌いにならないでほしいな 」
罧寧も碁盤と碁石を持って来たから、1対2で打つ事になった。
オレが玄奘さんと罧寧を相手にする形だ。
厳蒔弓弦
「 ──やっているな。
三蔵も罧寧も苦戦しているみたいだな 」
マオ
「 弓弦さん! 」
罧寧
「 ……………………投了です…… 」
厳蒔弓弦
「 それは未だ早いな 」
罧寧
「 えっ?
でも……何処に打てば良いのか分からないし…… 」
厳蒔弓弦
「 碁石の色を変えて打ってみよう。
これなら未だ逆転するチャンスはあるからな 」
罧寧
「 えぇ~~?!
白に勝てるの?? 」
マオ
「 ちょっ、弓弦さん!?
手伝うなんて狡いよ! 」
厳蒔弓弦
「 一旦、勝負は着いたのだろう。
碁石の色を変えて打つのだし、構わないだろう 」
マオ
「 セロみたいな事、言うんだから~~! 」
そんな訳で、弓弦さんが赤石を使って罧寧にレクチャーしながら打つ事になった。
「 逆転のチャンスはある 」って言葉を聞いた玄奘さんも興味津々だ。
マオ
「 罧寧の次は玄奘さんか…… 」
だけど、罧寧にレクチャーしながら教えている弓弦さんは何か楽しそうだ。
弓弦さんは赤石を次々に置くから、オレも負けじと白石を次々に置く。
勝っていた白石は赤石に追いやられて負けている。
弓弦さん、何か生き生きしてないかな!?
罧寧
「 凄ぉ~~い!!
負けてたのに逆転してるぅ~~ 」
玄奘三蔵法師
「 まるで夢でも見ている様です 」
厳蒔弓弦
「 ──残念だが、今の私には此処迄が限界だな。
玄武なら私にも気付けない手を打つのだろうが…… 」
マオ
「 弓弦さん、今でも十分過ぎるからね!
此処で玄武さんの名前を出さないでよ…… 」
厳蒔弓弦
「 すまない。
つい、な 」
マオ
「 オレの投了ぉ~~ 」
厳蒔弓弦
「 次は三蔵の番だな 」
マオ
「 また逆転されるぅ~~ 」
厳蒔弓弦
「 三蔵も投了する迄は自分を信じて打つと良い 」
玄奘三蔵法師
「 分かりました 」
玄奘さんは真剣な顔で黒石を打って来る。
オレは玄奘さんに対して指導碁しか打てない。
因みに弓弦さんは隣で盤上の棋譜を記録している。
罧寧は記録の仕方は初めて見るみたいだ。
弓弦さんは碁を打つ度に棋譜を記録している。
棋譜を見るのが好きな玄武さんの為だ。
相変わらず仲が良いみたいで安心した。
玄奘三蔵法師
「 ──投了です…。
然し、此処から逆転するのは…… 」
マオ
「 あぁ~~~~、弓弦さんはしちゃうから!
また逆転かぁ…… 」
そんな訳で、またまた赤石を使った弓弦さんに逆転されてしまった。
やっぱりオレは弓弦さんには勝てないんだな~~……。
オレが落ち込んでいる間、弓弦さんは棋譜を記録している。
?
「 これはこれは──。
また見事に逆転されてますね。
これなら白石が逆転する事も難しい── 」
オレが落ち込んでいると背後から声がする。
マオ
「 ──幻夢さん!? 」
獅聖幻夢
「 先程振りですね、マオ殿。
弓弦殿も、お久し振りです。
息災の様で何よりです 」
厳蒔弓弦
「 幻夢も此方に来ていたのか 」
獅聖幻夢
「 セロ殿から楽しい誘いを受けましたので、来てしまいました♥️ 」
厳蒔弓弦
「 楽しい誘い?
また呪靈絡みか? 」
獅聖幻夢
「 いえ、今回は呪靈ではないのです。
完成したら、良い矢の的にもなると思います 」
厳蒔弓弦
「 うん??
態々矢の的を作ってくれているのか? 」
獅聖幻夢
「 完成を楽しみにしていてください 」
厳蒔弓弦
「 分かった。
楽しみに待っていよう 」
あっ、幻夢さんも弓弦さんには “ キョンシー作り ” をしてる事は言わないんだな~~。
完成したキョンシーを見せて吃驚させる気かな?
絶対に吃驚するだろうな……。
獅聖幻夢
「 マオ殿、黄石は有りますか?
私が白石を逆転させてみせます 」
マオ
「 出来るの? 」
獅聖幻夢
「 セロ殿に鍛えられましたからね 」
厳蒔弓弦
「 白石が逆転する一手を私も見てみたい。
幻夢、打ってくれ 」
マオ
「 幻夢さん、黄石だよ 」
獅聖幻夢
「 有り難う御座います、マオ殿。
白石が逆転する一手は──此処です 」
厳蒔弓弦
「 其処か!
見落としていた……。
気付けない私は未々だな…… 」
獅聖幻夢
「 次は此方の盤上ですね。
白石の逆転の一手は──此処です 」
厳蒔弓弦
「 其処か! 」
わぁーーーー、弓弦さんが興奮してるぅ!
弓弦さんも相当な囲碁好きだよな。
流石は≪ 日本国 ≫の囲碁界で本因坊を死守していただけあるよな。
玄奘三蔵法師
「 気付けない一手が沢山あるのですね 」
罧寧
「 僕も強くないたい… 」
玄奘さんと罧寧が羨望の眼差しで盤上を見ている中、弓弦さんは真剣に赤石を打っている。
幻夢さんは黄石で赤石をジワジワと追い詰めている。
やっぱり幻夢さんは強いんだ。
厳蒔弓弦
「 ……………………投了だ…… 」
獅聖幻夢
「 ………………ふむ…。
弓弦殿、セロ殿に鍛えて頂きましょう 」
厳蒔弓弦
「 ………………………… 」
あっ、弓弦さんが固まって無口になった。
獅聖幻夢
「 セロ殿には私から話しておきますね 」
厳蒔弓弦
「 …………………………あ、あぁ…… 」
弓弦さん……。
右手が震えてるぅ~~!!
そんなにセロと打つのが嫌なのかな?
弓弦さんはオレの恩人だ。
助け船を出したい!
マオ
「 ──セロは忙しいみたいだからさ、幻夢さんが相手をするのはどうかな?
幻夢さんだって強いじゃん。
罧寧に囲碁を教えたのも幻夢さんだしさ!
オレも幻夢さんと打ちたいな! 」
厳蒔弓弦
「 マオ……(////)」
獅聖幻夢
「 マオ殿……。
分かりました。
時間の取れる時に打ちましょう。
1対4で良いですか? 」
マオ
「 うん!
勿論だよ、幻夢さん。
有り難う! 」
良かったぁ~~!
何とか幻夢さんがセロの代わりに囲碁を打ってくれる事になった!
ホッ…………。
そんなこんなで夕食の時間になる迄、幻夢さんはオレ達を相手に囲碁を打ってくれた。
夕食の時間になると幻夢さんはセロの元へ戻って行った。




