⭕ 巒圜の都 4
──*──*──*── 宿泊旅館
牛魔王城で楽しい体験活動を終えて宿泊旅館へ戻って来た。
地下を通ってこっそりだけどな。
因みに罧寧も連れて来た。
マオ
「 マオキノぉ~~!
弓弦さんは居るかな? 」
マオキノ
「 マオ様、お帰りなさいませエリ。
弓弦様なら三蔵と囲碁を楽しんでますエリ 」
マオ
「 有り難な、マオキノ! 」
マオキノ
「 マオ様、そいつは罧寧ですエリね 」
マオ
「 マオキノ、呼び方に気を付けてくれよな。
{ 罧寧もオレの眷属候補なんだからさ }」
マオキノ
「 はいですエリ。
お前、菻犁の双子の弟エリね 」
マオ
「 マオキノ!
言ってる傍からぁ~~ 」
罧寧
「 そうだけど……。
菻犁は……お母さんと一緒にお父さんを生き返らせる為に悪い事をしてる筈だよ…… 」
マオキノ
「 お前も三蔵と錫杖を狙ってるエリ? 」
罧寧
「 ──!?
僕は──菻犁とは違う!!
僕は──お母さんの計画に協力なんてしたくなかった!
お母さんの為に悪い事するなんて嫌だから……断ったらから……地下に閉じ込められて監禁されてた…… 」
マオ
「 何で協力したくなかったんだ?
牛魔王の蘇生実験が成功すれば、お父さんを生き返らせる事が出来るかも知れないんだろ? 」
罧寧
「 …………マオさん迄 “ 死人は生き返る ” なんて本気で思ってるの??
菻犁と僕が産まれた時にはお父さんは居なかった。
既に死んでいたし、この世に居ない人だったんだよ。
顔も声も素性も知らない相手に対して “ 生き返らせたい ” なんて思えないよ。
お母さんが何であんなにお父さんを生き返らせたいのか僕には分からない……。
だから……僕は…お母さんには共感する事は出来なかった…… 」
ま、まぁ……実際には父親じゃなくて祖父になるもんな……。
罧寧
「 僕は我が儘を言って断ったけど、菻犁は違ってた。
菻犁は……お母さんに依存してた。
褒められたい欲求が強くて──、お父さんを生き返らせる為に怪しい実験の手伝いを自分から始めたんだ…… 」
マオ
「 そうだったんだな…… 」
マオキノ
「 お前は牛魔王の蘇生実験を鉄扇公主に吹き込んだ怪しい奴を知ってるエリ? 」
罧寧
「 えっ?
お母さんに吹き込んだ??
怪しい奴??
………………僕は菻犁じゃないから……お母さんにベッタリはしてなかった。
怪しい人が居たかなんて分からないよ…… 」
マオキノ
「( 怪しい人物の情報すら引き出せないエリなんて、とんだ予想外に役立たずエリ~~ )」
マオ
「 怪しい人物を見掛けたか否かは菻犁に聞いた方が良いのか。
マオキノ、それとなく菻犁に尋ねてみてくれないか? 」
マオキノ
「 はいですエリ 」
マオ
「 罧寧、弓弦さんの所に行こう。
囲碁も教えてもらえるし、一石二鳥だろ 」
罧寧
「 う、うん(////)」
オレは罧寧の背中を押して弓弦さんと玄奘さんを探す事にした。
とは言っても大体の見当は付いてるんだ!
──*──*──*── 遊戯室
マオ
「 やっぱりね!
此処だと思ったんだ! 」
罧寧を連れて旅館の中に在る遊戯室へ直行したら、案の定居てくれた。
玄奘さんは真剣な顔で碁盤を見ている。
玄奘さんも囲碁の奥深さを知っちゃったみたいだな。
玄奘三蔵法師
「 ……………………投了です……。
これで17敗ですか… 」
厳蒔弓弦
「 上達はしている。
呑み込みが早くて教え甲斐がある 」
玄奘三蔵法師
「 有り難う御座います、弓弦殿(////)」
どうやら決着が付いたみたいだ。
マオ
「 弓弦さん,玄奘さん── 」
玄奘三蔵法師
「 マオ殿!
セロフィート殿と出掛けたとばかり思っていました 」
マオ
「 セロとは別行動してるんだ。
実は──、弓弦さんに御願いがあって── 」
厳蒔弓弦
「 お帰り、マオ。
御願いとは珍しいな。
出掛け先で何か有ったのか? 」
マオ
「 えぇと──、彼は罧寧って言うんだ。
菻犁の双子の弟だよ 」
玄奘三蔵法師
「 菻犁殿の弟──。
初めまして、私は玄奘三蔵法師と言います 」
厳蒔弓弦
「 私は厳蒔弓弦だ 」
マオ
「 罧寧は弓使いなんだ。
弓技が上達する様に同じ弓使いの弓弦さんに稽古を付けてもらえないかな──って思って 」
厳蒔弓弦
「 稽古?
稽古も何もひたすら的に目掛けて矢を射るだけだが?
射っていれば勝手に上達するものだ 」
マオ
「 えぇ~~…… 」
厳蒔弓弦
「 私には弓使いの師は居なかったからな。
独学で弓技の腕を上げた。
強いて言うなら、体力作りはした方が良い。
腕の力と下半身の足腰を鍛える必要も有る。
背筋を伸ばして常に正しい姿勢を意識し生活する必要も有るな 」
玄奘三蔵法師
「 それを教えたら良いのでは? 」
厳蒔弓弦
「 弓を触る以前に基礎体力を付ける事だ。
先ずはマオが稽古を付けてはどうだ?
重心を安定させる体幹トレーニングとやらを教えたら良いだろう 」
マオ
「 …………あのさ、罧寧が弓を射る所を見てあげてくれないかな? 」
厳蒔弓弦
「 それは構わないが…… 」
玄奘三蔵法師
「 では早速、弓を射れる場所へ移動しましょう! 」
何でかは分からないけど、玄奘さんは協力的だ。
弓使いが増えるのが嬉しいのかな?
厳蒔弓弦
「 ………………仕方無いな。
三蔵が良いなら囲碁は切り上げるとしよう 」
マオ
「 対局中に御免ね、弓弦さん… 」
厳蒔弓弦
「 気にするな。
久し振りにマオも囲碁をするか?
三蔵と打ってほしい 」
マオ
「 オレ、指導碁しか打てないんだけど良いの? 」
厳蒔弓弦
「 色んな相手と打てるのが楽しいんだ。
同じ相手とばかり打っていては視野が狭いままだろう 」
マオ
「 良いよ。
罧寧の弓の腕を見てもらえるんだもんな 」
罧寧
「 あの──、僕も囲碁は打てます!
強くないけど…… “ 筋は良い ” って言われました!
僕も一緒に囲碁──したいです! 」
厳蒔弓弦
「 ははは。
良いだろう。
囲碁友が増えるのは嬉しいからな 」
罧寧が囲碁を打てて良かったぁ~~。
弓弦さんが罧寧に興味を持ってくれたみたいだ。
仲良くなるには共通点が多い方が良いもんな!
幻夢さん、罧寧に囲碁を教えてくれて有り難う!!
──*──*──*── 裏庭
旅館を切り盛りしているキノコンに弓を射れそうな場所を教えてもらった。
弓道用の丸い的は無い。
その代わりにキノコンが藁人形を用意してくれた。
何で藁人形なんだよ……。
玄奘三蔵法師
「 また大きな藁人形ですね 」
厳蒔弓弦
「 大人サイズの藁人形か。
子供には丁度良い大きさだな 」
マオ
「 藁人形に向かって射るなんて、実戦的だね? 」
厳蒔弓弦
「 罧寧、先ずは藁人形の腹部を狙い矢を射ってみろ 」
罧寧
「 はい! 」
罧寧は愛用している弓矢を構えると藁人形の腹部を狙っている。
狙いを定めた罧寧が手を離して矢を射る。
矢は真っ直ぐには飛ばなくて、藁人形の首を刺さった。
マオ
「 腹部を狙ったのに首に命中かよ。
こわっ!! 」
罧寧
「 外しちゃった…… 」
厳蒔弓弦
「 次は左肩を狙ってみろ 」
罧寧
「 はい! 」
罧寧は真剣か顔で弓矢を構えて以下省略──。
罧寧が射った矢は藁人形の顔に刺さっている。
マオ
「 左肩なのに顔に命中かよ…… 」
厳蒔弓弦
「 次は右膝を狙ってみろ 」
罧寧
「 は、はいっ! 」
とまぁ──、こんな感じで弓弦さんは藁人形の部位を言って、罧寧が矢を射る作業が続いた。
恐ろしいのが何本もの矢が藁人形の下腹部──股間部分に集中して刺さっている光景だ。
エグい…………。
決して股間部分を狙って射っている訳ではないって事はオレにだって分かる。
罧寧は至って真剣だ。
弓弦さんが指定した部位へ命中させようと頑張っている姿は真剣そのものだ。
玄奘三蔵法師
「 凄いですね……。
1本足りとも藁人形から外れていません!
全て藁人形に命中しています!!
マオ殿、罧寧殿の腕は凄いですね! 」
マオ
「 そ、そうだね……。
的が大きいからじゃないかな?
大人サイズだし…… 」
玄奘さんは藁人形の股間部分に刺さりまくってる矢を見ても何とも思わないのかな?
藁人形が人間だったらヤバい光景だよ!!
厳蒔弓弦
「 ………………。
今日は切り上げよう。
マオ──、三蔵と罧寧と一緒に遊戯室へ戻っていてくれないか 」
マオ
「 えっ、良いけど……。
弓弦さんは? 」
厳蒔弓弦
「 後から行く。
直ぐに追い付く 」
マオ
「 分かったよ 」
オレは玄奘さんと罧寧と一緒に遊戯室へ向かった。
玄奘さんは罧寧の弓の腕を褒めている。
罧寧も満更ではないのか嬉しそうだ。
マオ達が立ち去ったのを見送った厳蒔弓弦は矢の刺さった藁人形をじっくりと眺める。
厳蒔弓弦
「 実に面白いな。
大した逸材だ。
キノコン、この藁人形をセロに見せてほしい。
罧寧を弟子にしたい。
出来る事なら幻夢と2人で育てたいものだが──。
幻夢にも見てもらいたいのだが……セロに頼めないだろうか? 」
キノコン
「 畏まりましたエリ。
セロフィート様へ藁人形を御届けさせて頂きますエリ。
幻夢さまの事も聞いてみますエリ 」
厳蒔弓弦
「 頼む 」
厳蒔弓弦は矢の刺さった藁人形をキノコンに託すと裏庭を出て行った。
◎ 訂正しました。
眷族 ─→ 眷属




