⭕ 巒圜の都 1
◎ 今回も力尽きたので、ショートカットしました。
──*──*──*── 巒圜の都
≪ 煬瓏の都 ≫に在る関所を出発して約5ヵ月後──漸く3つ目の関所が在る≪ 巒圜の都 ≫に到着した。
馬車での移動じゃなかったら、1年 ~ 3年は余裕で掛かっていたかも知れないと思うとゾッとする。
馬車で良かった。
何で〈 馬人形 〉が引いてくれる馬車移動で5ヵ月も掛かってしまったのかと言うと、流行り病の所為で足止めを食らっていたからだ。
足止めをされなければ2ヵ月も掛からず到着が出来ていたかも知れない。
まぁ、何はともあれ無事に≪ 巒圜の都 ≫に着けたから良いんだけど。
≪ 巒圜の都 ≫にも玄奘三蔵法師一行が宿泊する宿屋──立派な旅館が用意されていて、≪ 巒圜の都 ≫に入ったら旅館のハッピを着たキノコンが出迎えをしてくれた。
馬車の中から外を見ていると《 寺院 》に行列が出来ている。
マオ
「 あれは何の行列なんだ? 」
セロフィート
「 乳製品を買い求める信者の行列です 」
マオ
「 乳製品?!
順調に寺院販売してるんだ。
転送陣様々だな 」
セロフィート
「 宿屋に宿泊すると乳製品料理を食べる事が出来ます。
宿泊する際に、信者には “ 信者割り引き ” が有ります 」
マオ
「 信者割り引きぃ? 」
セロフィート
「 1人に付き、宿泊費が1割り引きされます。
5人家族なら半額になります 」
マオ
「 随分と太っ腹だな 」
セロフィート
「 元手がタダですし 」
マオ
「 そだったな…… 」
そんな訳で、馬車は旅館の前に到着した。
やっぱり立派な旅館だと思う。
孫悟空も猪八戒さんも沙悟浄も馬車の中ではしゃいでいる。
結局、錦斗雲に乗って外を飛んでいた孫悟空も馬車の快適さには勝てず、旅の殆んどを馬車の中で過ごしていた。
孫悟空は酒好きで女好きで喧嘩好きで腕っぷしが強くて乱暴者で、俺様至上主義の自己中野郎で言葉遣いも態度も悪いけど、憎めない奴だ。
ニカッと笑うと太陽みたいに周りを照らす。
根っから悪い奴じゃないし、打ち解けれさえすれば気の良い仲間として付き合う事は出来る。
意外と義理堅いし、兄貴分だった事も有るのか、長生きしてる分、年下の面倒見も悪くない。
猪八戒さんは孫悟空に対して苦手意識があったみたいだけど、今では兄弟の様に御互い肩を組み合って笑い合うぐらい仲が良い。
仙人同士ってのも有るだろうけど猪八戒さんも無類の酒好きだからな~~。
打ち解けるのは意外と早かったんだ。
沙悟浄は弟弟子が出来たし、師匠の猪八戒さんがあんな感じなもんだから、“ 自分が確りしないと ” って気持ちが有るんだろう。
気苦労が耐えなさそうで不憫だ。
玄奘さんと弓弦さんが沙悟浄と菻犁を見守ってるし、助言をしたり手助けをしてくれてるから安心ではある。
菻犁は相変わらず大人しい。
最初の乱暴さや生意気さは何処に捨てたのか、借りて来た猫みたいだ。
それだけセロの存在が脅威でトラウマなんだろう。
沙悟浄のフォローも菻犁には効果が無いみたいだし。
セロが菻犁に掛けた言葉も悪かったのかも知れないな。
今でもセロに名前を呼ばれるだけで、真っ青な顔色に変わって失禁しそうなになるし……。
因みにセロが菻犁に掛けた心無い言葉は以下だ。
【 錫杖を奪うにしても少々早過ぎましたね。どうせならば、全ての神将を解放し、宿し終えた錫杖を奪うべきでした。焦り過ぎて時機を見誤りましたね。菻犁さんは、無能過ぎます 】
傷心の菻犁に掛ける言葉ではないとオレも思ったよ。
セロは「 ワタシはアドバイスをしただけです 」って、ニコニコ笑顔で言ってたけど、塩対応過ぎる。
セロは鬼畜ドSだから、痛々しい傷口に山葵とか辛子とか塩とか刷り込むのが好きだから仕方無いのかも知れないけど、相手は子供なんだから少しぐらいは手加減しても良かったと思えて止まない。
玄奘さん,猪八戒さんが気に掛けてくれてるから任せている。
菻犁は未だに弓弦さんを苦手意識してるのか、モジモジしてるしなぁ……。
初めはトイレに行きたいのを言えなくて我慢してるのかと思っていたけど、違ったみたいだから今ではモジモジしていても見て見ぬ振りしている。
当の弓弦さんは全くと言って良い程、菻犁に対しては無関心だ。
そんなこんなで馬車を降りて、渡された宿泊室の鍵をキノコンから受け取る。
解散して、各々が宿泊室に自分の荷物を置き終わったら、夕食の時間まで自由行動になった。
オレはセロに手を握られて何処かへ連れて行かれる。
どうやらこの旅館には地下が有るらしい。
然もだ、キノコンしか出入りの出来ない徹底振りと来たもんだ。
──*──*──*── 地下
マオ
「 セロ、オレを何処に連れてく気だよ 」
セロフィート
「 《 キノコンタウン 》です 」
マオ
「 キノコンタウン?
《 キノコンタウン 》へ行って何するんだよ? 」
セロフィート
「 《 キノコンタウン 》には、この≪ 大陸 ≫でキノコン達が占領した≪ 村 ≫≪ 街 ≫≪ 都 ≫の旅館や宿屋の地下に作った《 キノコンタウン 》と繋がる転移陣が有ります。
その転移陣を使えば、好きな時に一瞬で行きたい《 キノコンタウン 》へ転移を出来る様にしてます。
これからも《 キノコンタウン 》は増えますし、転移陣も増え続けます 」
マオ
「 占領って……。
言い方ぁ~~ 」
セロフィート
「 因みに《 キノコンタウン 》は《 寺院 》の地下,《 寺子屋 》の地下とも繋がってます。
転移陣を使えば≪ 巒圜の都 ≫に在る《 寺院 》の地下,《 寺子屋 》の地下へ転移する事も出来ます 」
マオ
「 キノコン達の移動が随分と楽になってるんだな 」
セロは人間には優しくないけど、キノコンには優しいんだよな。
マオ
「 セロがキノコン達に優しくて嬉しいよ! 」
セロフィート
「 優しくしてるつもりは無いですけど? 」
マオ
「 良いんだよ!
オレが勝手に思ってるだけだしな 」
セロフィート
「 はいはい 」
──*──*──*── キノコンタウン
マオ
「 此処が《 キノコンタウン 》なんだな。
何かさ、昔見た《 キノコンタウン 》と違くないか? 」
セロフィート
「 個性が有りますし、違うのは当然です 」
セロと一緒に《 キノコンタウン 》に入ると、大勢のキノコン達が出迎えてくれた。
キノコン
「 セロフィート様エリ!
マオ様も居るエリ! 」
キノコン達が嬉しそうにわらわらと集まって来る。
セロはキノコン達の創造主で絶対主でもあるから崇拝されている。
見えない♥️が沢山飛んでるんだろうなぁ~~。
セロフィート
「 道を開けなさい 」
キノコン
「 はいですエリ!
皆ぁ~~、セロフィート様とマオ様に敬礼エリ! 」
キノコン
「「「「「 エリ!! 」」」」」
キノコン
「「「「「 エリ!! 」」」」」
キノコン
「「「「「 エリ!! 」」」」」
キノコン
「「「「「 エリ!! 」」」」」
キノコン達が一斉に道を開け、セロとオレに向けて素晴らしい敬礼を見せてくれる。
何時見ても気持ちの良い敬礼だ。
マオ
「 セロ、《 キノコンタウン 》の奥に何が有るんだ? 」
セロフィート
「 此処を通ると牛魔王城の地下へ出る事が出来ます 」
マオ
「 へ?
牛魔王城の地下ぁ?? 」
セロフィート
「 そうです。
牛魔王城は観光の目玉として1階から上を全て一般公開してます。
地下への出入りはキノコンしか出来ない様になってます 」
マオ
「 一般公開?
めっちゃ利用してんだな 」
セロフィート
「 広いですし、有効利用しない手は無いでしょう。
部屋数が多いので様々なテナント店を入れ、ガッポリしてます 」
マオ
「 どんな店が入ってるのか興味あるな。
後で見に行こうな 」
セロフィート
「 ふふふ…。
2人きりのデートは久し振りですね♪ 」
セロと歩いてると地下の雰囲気が変わった。
通路を歩いているとドアを見付けた。
ドアには〔 罧寧 〕と書かれたドアプレートが付いている。
マオ
「 セロ、罧寧って? 」
セロフィート
「 マオの忘れん坊さん。
菻犁さんの双子の弟さんです。
保護をしてから大陸語の読み書き,算術を学ばせてました。
受け身,体術,護身術の稽古も付けてます 」
マオ
「 ふぅん。
オレの眷属候補なんだよな 」
セロフィート
「 中に入りましょう 」
マオ
「 勝手に入って良いのかよ? 」
セロフィート
「 捕虜にプライベート等無いです 」
マオ
「 保護しといて捕虜はないだろ? 」
──*──*──*── 罧寧の部屋
セロがドアを開けると子供──罧寧が誰かと何かをしている。
何をしているのかというと────。
マオ
「 囲碁をしてる?!
何で──、幻夢さんが居るの!? 」
此処でまさかの幻夢さんの登場。
何でかな…………、嫌な予感がするんだけどぉ!!
獅聖幻夢
「 マオ殿、久し振りですね 」
マオ
「 う、うん──。
久し振りだね。
幻夢さんが来てるなんて思わなかったよ。
何で罧寧と囲碁してるの? 」
獅聖幻夢
「 牛魔王城の一部屋を借りて、私の描いた水墨画を販売しています 」
マオ
「 えっ……、水墨画の販売?? 」
獅聖幻夢
「 はい♪
囲碁の打ち方も都民に教えてます。
とは言っても経営に関しては〈 器人形 〉に全面的に任せてますから、私は好きな時に水墨画を描いているだけです。
今日はセロ殿が訪ねて来ると聞いて、罧寧殿に囲碁を教えていました 」
マオ
「 そうなんだ…… 」
罧寧
「 幻夢さん、もう行っちゃうの? 」
獅聖幻夢
「 はい。
囲碁は次の機会に打ちましょう 」
幻夢さんは罧寧の頭を撫でると立ち上がる。
セロフィート
「 では行きましょう 」
マオ
「 『 行く 』って、何処へだ? 」
セロフィート
「 ふふふ…。
秘密基地です♪ 」
マオ
「 秘密基地ぃ? 」
セロフィート
「 はい♪ 」
獅聖幻夢
「 キョンシー作りをする為の実験室ですね 」
マオ
「 あっ──、キョンシー作りって!
本当にキョンシーを作るつもりなのかよ、セロ! 」
セロフィート
「 勿論です。
ワタシは今から幻夢さんと秘密基地でキョンシー作りを始めます。
滞在中は此処に居ます。
マオとは別行動になりますね 」
マオ
「 えっ、今から?!
オレとのデートは!? 」
セロフィート
「 御預けになります。
折角ですし、罧寧さんに牛魔王城を案内してもらってください 」
マオ
「 えぇっ?! 」
セロフィート
「 罧寧さんにも息抜きは必要です。
マオなら護衛になりますし 」
マオ
「 護衛って── 」
セロフィート
「 マオ、罧寧さんを頼みますね。
幻夢さん、行きましょう 」
獅聖幻夢
「 新鮮な死体は複製呪靈に調達させました 」
セロフィート
「 有り難う御座います。
ワタシもキノコンに調達させました。
何体目で成功するのか楽しみです 」
獅聖幻夢
「 えぇ全くです。
楽しい実験に胸が高鳴っています 」
セロと幻夢さんは2人で楽しそうに話している。
オレには分からない話だ。
“ 新鮮な死体を調達した ” ってのが気になるけど、今は聞かないでおこうと思う。
だってほら──、罧寧が困った顔をしてオロオロしているからだ。
オレは困惑気味の罧寧を連れて、部屋を出る事にした。
オレの眷属候補でもあるし、仲良くしといて損はないだろう。
マオ
「 えぇと──、初めまして。
オレはマオ・ユーグナル。
気軽に “ マオ ” って呼んでくれな。
君の事は “ 罧寧 ” で良いよな? 」
罧寧
「 は…はい…… 」
マオ
「 セロは幻夢さんと用事で何処かへ行っちゃったから──、オレ達は上の牛魔王城を見て回らないか?
オレは初めてだから、案内とかしてもらえたら助かるんだけど…… 」
罧寧
「 うん…。
牛魔王城の案内なら任せて!
元実家だから隅々まで案内を出来るよ 」
マオ
「 有り難な。
此処からどうやって1階に上がるんだ? 」
罧寧
「 着いて来て! 」
罧寧は部屋を出ると通路を歩いてオレを案内してくれる。
菻犁とは双子って事だけど、礼儀正しくて随分と違うんだな。
通路を歩いているとキノコンの絵が描かれた扉の前に到着した。
キノコンしか出入りの出来ない扉って事だ。
マオ
「 罧寧はこの扉を通れるのか? 」
罧寧
「 うん。
1階に在るSCのBRに出るんだ 」
マオ
「 SCのBRぅ?
BRが出入り口になってるんだな 」
セロと楽しいデートする為の下見って事にしようと思う。
絶対にセロとデートするんだ!!
そんな訳で──、オレは罧寧と一緒に扉を通った。
◎ 訂正しました。
眷族 ─→ 眷属
◎ キノコンタウンのモデルは、「 マール王国の人形姫 」「 マール王国の人形姫 ~ リトルプリンセス ~ 」に登場するニャンコタウン,ニャンシータウンです。
気になる読者さんは検索してみてください。
多分、画像とか出て来ると思います。
ニャンコとニャンシーも可愛いです♥




