⭕ 煬瓏の都を目指して
──*──*──*── 翌日
──*──*──*── 極楽亭
マオキノが分身体と作った渾身の力作である馬車を前に沙悟浄ははしゃいでいる。
昨日もマオキノ達が馬車を作る工程を一緒に見ていたけど、沙悟浄は瞳をキラキラと輝かせながら見ていた。
もしかしたら、建築──と迄は行かなくてもDIYに目覚めてしまったかも知れない??
沙悟浄
「 うわぁ~~!
これが完成した馬車なんだぁ~~ 」
セロフィート
「 流石です。
マオキノに任せて正解でしたね、マオ 」
マオ
「 そだな。
馭者はマオキノがしてくれるんだよな。
馬車を引いてくれる馬は〈 馬人形 〉なんだな。
白い馬って事は、玄奘さんが乗ってた〈 馬人形 〉だな 」
厳蒔弓弦
「 見事な馬車だな。
シンプルが1番だ 」
猪八戒
「 見事は見事なんやけど、小さくないでっか。
ワテ等は大所帯やで。
全員、馬車に乗れるんかいな? 」
孫悟空
「 俺様は錦斗雲に乗るから良いとして、7人も乗れねえんじゃねぇのかぁ? 」
セロフィート
「 その心配はないです。
外見とは裏腹に中身は広くなってます。
土足禁止ですから、靴は脱いでください 」
マオキノ
「 脱がれた履き物は此方に入れてくださいませエリ 」
マオキノは馬車の後ろに取り付けられている横長い木箱の上蓋を上げる。
どうやら人数分の履き物を入れれる下駄箱らしい。
猪八戒
「 土足厳禁の馬車とは珍しいでんなぁ 」
先ずは菻犁と沙悟浄が靴を脱いで馬車の中へ入る。
沙悟浄
「 うわぁ~~!!
何これぇ!?
凄ぉい!!
どうなってるのぉ~~?? 」
猪八戒
「 どないしたんや、沙悟浄 」
沙悟浄
「 馬車の中が嘘みたいに広くて──、部屋の中みたいになってるんです!
それに中から外が丸見えなんです!! 」
猪八戒
「 はぁ?
何言っとんのや。
こんな小さい馬車の中が広いやて? 」
玄奘三蔵法師
「 外からは中を見れませんけど、中から外が丸見えとは一体…… 」
厳蒔弓弦
「 セロが何かしたのだろう。
入ってみれば分かる 」
玄奘三蔵法師
「 それもそうですね 」
という訳で、玄奘さん,弓弦さん,猪八戒さんが靴を脱いで馬車の中へ入る。
中からは玄奘さんと猪八戒さんが驚く声が聞こえた。
猪八戒さんの興奮ぶりは沙悟浄以上だ。
セロフィート
「 マオ、ワタシ達も乗りましょう 」
マオ
「 そだな。
悟空は外で良いのか? 」
孫悟空
「 あぁ、俺様は風を感じてぇんだわ。
( セロフィートさんと同じ空間には居たくねぇからだけどな! )」
セロフィート
「 それは残念です。
この馬車から半径3mは安全地帯です。
安心して飛行してください 」
孫悟空
「 お、おぅ…… 」
セロとオレはブーツを脱いで馬車へ乗り込む。
──*──*──*── 馬車の中
マオ
「 おぉっ!
確かに凄いな!
中から外が丸見えじゃん! 」
セロフィート
「 移動中、景色を楽しめる様にしてみました。
馬車の中は常に一定の温度を保っています。
寒い冬でも薄着で快適に過ごせる様にします 」
マオ
「 天井も丸見えだな。
夜には満天の星空を見放題だな!
確かに馬車の中とは思えない程広いな。
8畳ぐらいかな? 」
セロフィート
「 10畳分です。
荷物は此処に入れてください 」
馭者が座る後ろに設置されている横長い木箱の上蓋を上げると荷物を収納するスペースがある。
上蓋を閉じると机に使える収納木箱だ。
馬車の中には絨毯が敷かれている。
ソファーは無いけど、座布団やクッション,折り畳めるテーブルが置かれている。
本棚もあって、卓上ゲームも置いてある。
卓上ゲームといっても、囲碁,オセロ,トランプ,かるた,ジェンガ,福笑い,すごろく,ジグソーパズル──っていうポピュラーな物しか無いけどな。
マオキノ
「 それでは出発しますエリ 」
馭者のマオキノが〈 馬人形 〉を歩かせる。
馬車が動いている振動が心地好く感じられる揺れに軽減されている。
これなら誰も馬車酔いをしないだろう。
沙悟浄は菻犁と一緒に仲良く外を眺めている。
玄奘さんは弓弦さんと一緒に景色を楽しみながら囲碁を打っている。
玄奘さん、囲碁を覚えたんだな。
猪八戒さんは大の字になって、天井から見える空を眺めながらゴロ寝を楽しんでいる。
飛んでる鳥を見ながら「 美味そうやわぁ。焼き鳥食いたいわぁ 」なんて言いながら涎を拭いている。
昼食は焼き鳥かも知れない。
オレはセロが用意した書き方帳を使って文字の練習だ。
オレだって景色を楽しみだから寛ぎたいのに、セロは許してくれない。
スパルタだ……。
そんな感じで馬車を使っての旅が始まった。
マオキノ
「 ≪ 犖榮の街 ≫を出ますエリ 」
態々マオキノが教えてくれる。
乳製品を広めた≪ 犖榮の街 ≫とも “ さよなら ” か。
彼此でキノコン達が街民達と一緒に壊れた建物を建て直している。
マオ
「 キノコン達、大活躍だな 」
セロフィート
「 ≪ 犖榮の街 ≫はキノコンと乳製品に依って、今迄以上に発展するでしょう 」
マオ
「 犖榮の《 寺院 》から他の《 寺院 》へ乳製品が運ばれて、どんどん乳製品が広がって行くんだな 」
目指すは≪ 煬瓏の都 ≫だ。
≪ 煬瓏の都 ≫に着く迄には幾つもの≪ 村 ≫と≪ 街 ≫を通過しないといけない。
先が長い旅だ。
馬車移動になったから遅れを取り戻す事は出来ると思うけど、玄奘さんが故郷に戻れるのは何年後になるだろうな……。
マオ
「 処でさ、セロ。
≪ 大陸 ≫には〈 皇 〉が居るから〈 当来佛 〉は現れないんじゃなかったか?
此処って≪ 大陸 ≫だろ?
〈 当来佛 〉が現れるのはおかしいんじゃないか? 」
セロフィート
「 何もおかしくないです。
≪ 大陸 ≫の中に≪ 天竺 ≫は無いですし 」
マオ
「 ≪ 天竺 ≫が無い??
どゆことだよ? 」
猪八戒
「 ≪ 天竺 ≫には港から船に乗って海を渡って行くんやで 」
マオ
「 えっ、船に乗るの!? 」
猪八戒
「 そやで。
≪ 天竺 ≫は≪ 島 ≫やさかい。
順調なら2週間の船旅やわな 」
マオ
「 ≪ 天竺 ≫って≪ 島 ≫なんだ……。
だから〈 当来佛 〉が現れたのか…… 」
セロフィート
「 元々は≪ 浮島 ≫の1つでした。
それが地上に落下し、≪ 島 ≫となったのが≪ 天竺 ≫です。
名前に “ 天 ” が付けられたのは、≪ 浮島 ≫だった頃の名残です 」
マオ
「 今でも空には≪ 浮島 ≫が在るんだ? 」
猪八戒
「 それは分からへん。
≪ 浮島 ≫を目撃したもんは居らへんからなぁ 」
セロフィート
「 殆んどの≪ 浮島 ≫は海の上に浮いてます。
≪ 大陸 ≫からは見えません 」
マオ
「 へぇ~~。
何かロマンが有るな! 」
セロフィート
「 マオ、口ではなく手を動かしてください 」
マオ
「 分かったよ………… 」
オレは文字の練習に集中する事にした。
≪ 浮島 ≫かぁ……。
他にも浮いてるなら行ってみたいもんだ。




