⭕ 宋枩の村 4
──*──*──*── 25日後
≪ 宋枩の村 ≫に滞在してから25日が経過した。
滞在した翌日には村長に会った。
何や彼やあって、村長から開墾前の荒れ地を買い取って、キノコンに整地させてから道場を建ててもらった。
道場の運営は完全に〈 器人形 〉に丸投げ──じゃなくて一任している。
道場では入門者に受け身,体術,武術を教えている。
≪ 宋枩の村 ≫の周辺にはキノコンを中心にして丈夫な柵やバリケードが作られている。
火矢を放たれても燃えない様にコーティング魔法で強化されている材料を使っているから強度は抜群だ。
作業を手伝ってくれる村人達に振る舞う料理はキノコンが作っていて、評判が頗る良い。
食事を目当てに作業を手伝いたいと寄って来る村人も多いみたいだ。
マオ
「 キノコンが居るから≪ 村 ≫の雰囲気も随分と明るくなったよな。
前より賑やかになってるよ 」
セロフィート
「 ≪ 村 ≫を襲う妖怪の脅威から衛られてますし、心から安堵している現れでしょう 」
≪ 村 ≫とバリケードの間には約1Kmあって、作業者達が寝泊まり出来るテントや作業場が作られている。
キノコンは分裂して、現場監督として作業者達に的確な指示を出している。
リーダーシップに長けてるなぁ。
外見が可愛くて声も可愛い癒し系のマスコットキャラポジションのキノコン達は作業者達に対する飴と鞭が絶妙だ。
マオ
「 そう言えばさ──、玄奘三蔵法師って来ないよな。
≪ 宋枩の村 ≫に立ち寄らなかったのかな? 」
セロフィート
「 そんな人が居ましたね。
忘れてました♪ 」
マオ
「 セロぉ~~。
後5日で≪ 村 ≫を出るのに会えずに終わっちゃうのかな? 」
セロフィート
「 縁が無ければ無いでも良いでしょう 」
マオ
「 えぇ~~……。
どんな人か会ってみたかったのにな…… 」
そんな訳もあって、オレは結局、玄奘三蔵法師に会う事も見掛ける事も噂を聞く事も無く、5日後にはセロと一緒に≪ 宋枩の村 ≫を出たんだ。
──*──*──*── フィールド
≪ 宋枩の村 ≫を出たら徒歩で次の≪ 村 ≫を目指す。
マオ
「 セロ、次の≪ 村 ≫は何て言うんだ? 」
セロフィート
「 ≪ 笆菁の村 ≫です。
妖怪に襲われていなければ──ですけど 」
マオ
「 そっかぁ……。
そうだよな。
妖怪って≪ 村 ≫を襲撃して、人間を殺しまくって楽しむんだもんな~~ 」
セロフィート
「 この≪ 大陸 ≫には妖怪が悪事を働いてますから、人間の盗賊は見掛けません 」
マオ
「 人間の盗賊も妖怪からすれば村人と同じなんだろうな。
はぁ~~。
妖怪狩りも飽きたな~~ 」
セロフィート
「 マオ、これからも妖怪狩りは続きます。
飽きないでください 」
マオ
「 あぁ~~あ!
妖怪に襲われない僧侶のフリしたいよな~~ 」
セロフィート
「 マオ…… 」
マオ
「 いっその事さ、玄奘三蔵法師と旅が出来たら妖怪に襲われないんじゃないか? 」
セロフィート
「 無理を言わないでください。
早々に出会えはしません 」
マオ
「 古代魔法で玄奘三蔵法師の居場所とか探れないのか? 」
セロフィート
「 マオ…… 」
セロは困った様な、悲しそうな目でオレを見詰めて来る。
まるでオレが悪者みたいじゃないかよぉ!!
マオ
「 歩くの飽きたぁ~~~~!! 」
セロフィート
「 マオ、弱音を吐かないでください。
≪ 宋枩の村 ≫を出てから未だ8時間しか歩いてません 」
マオ
「 8時間 “ も ” だろが!!
ぶっ通しで歩きっぱなんだぞ!!
セロ、馬を出してくれよ~~ 」
セロフィート
「 マオ、君は乗馬は出来ます? 」
マオ
「 乗馬って!? 」
セロフィート
「 乗馬が出来なければ馬の手綱は握れません 」
マオ
「 むぅ~~。
セロは出来るのかよ? 」
セロフィート
「 出来ない訳ないでしょうに 」
マオ
「 マジかよ……。
セロが乗馬を出来るなら良いじゃんか。
オレを馬に乗せて走ってくれよ 」
セロフィート
「 馬に乗る吟遊詩人が何処に居ますか 」
マオ
「 良いじゃんか、別に!
吟遊詩人が馬に乗って何が悪いんだよ!!
オレは馬に乗りたい!!
歩きたくないっ!! 」
セロフィート
「 マオ……。
仕方無いですね。
今回だけ特別ですよ? 」
マオ
「 セロぉ~~~~♥️
流石、オレだけのセロだよ!! 」
ニコリ──と笑顔を絶やさないセロは、オレの為に馬を出してくれた。
セロが出してくれた馬は〈 馬人形 〉だ。
シュンシュンに見せられた “ 北斗◯拳 ” って言うアニメに登場する “ ラ◯ウ ” って名前のロリコンオヤジが何時も乗ってる愛馬みたいに逞しくてデカい!!
何でラ◯ウがロリコンオヤジかって??
ピンク色の幼い女の子に「 リ◯、オレの嫁になれ! 」ってセクハラ発言をしていたからだ。
主人公の恋人が好きだったくせに、恋が成就しなかったからって、未成年の女の子に唾を付けようとするなんて、ヤバい奴だろ?
未成年の女の子に大の大人が求婚するなん犯罪だろ!?
アニメってのは凄いな!
セロに召喚された〈 馬人形 〉は、綺麗な真っ白い色をしていて、真っ白い鬣が美しい。
額にユニコーンの様な角とかペガサスみたいな翼が生えていても全然違和感を感じないくらいの〈 馬人形 〉だ。
翼の生えていない背中には立派な鞍が付けられている。
マオ
「 馬って言ったら普通は黒か茶色だろ?
真っ白なんだな 」
セロフィート
「 吟遊大詩人が乗る馬です。
白くて当然でしょう?
マオ、背中に乗ってください 」
マオ
「 おぅ!
馬に乗ったらさ、目線がセロの身長より高い位置に来るんだよな。
ワクワクするな~~(////)」
オレは軽くジャンプをして〈 馬人形 〉の背中に跨がる。
オレが〈 馬人形 〉の背中に飛び乗った後、セロがオレの左右の太股に何かを付け始めた。
マオ
「 セロ──、何してるんだ? 」
セロフィート
「 マオが落馬しない様にベルトを付けて固定してます。
〈 馬人形 〉が激しく動いても落馬しなくて済みます 」
マオ
「 落馬…… 」
セロフィート
「 このベルトは伸縮性が有り、丈夫で切れたりしません。
太股を締め付けたり、ズレたりしないので安心してください 」
マオ
「 お、おぅ…… 」
ベルトは初めから鞍の取っ手とに取り付けられている物みたいだ。
こんなんで本当に落馬を防げるのかな??
オレにベルトを取り付け終えたセロが、軽々と〈 馬人形 〉の背中に飛び乗ると優雅に跨がる。
セロフィート
「 マオ、鞍に付いてる取っ手を握っていてください。
手離さない様に気を付けてください 」
マオ
「 うん。
握り易い位置に有るから助かるよ。
──これが高身長から見える景色なんだな(////)
馬の背中って最高ぉ~~♥️ 」
セロフィート
「 先ずは普通の速度で歩かせます。
慣れたら少し早足で歩かせます 」
マオ
「 うん。
はぁ~~~~(////)
良いなぁ~~(////)
これが……高身長の目線かぁ~~♥️♥️ 」
セロフィート
「 ふふふ……。
マオ、可愛いです(////)」
マオ
「 セロ──、もっと早く馬に乗りたかったよ! 」
セロフィート
「 はいはい。
マオが飽きる迄は〈 馬人形 〉に乗って移動するとしましょう 」
マオ
「 セロ、≪ 笆菁の村 ≫には何日で着くんだ? 」
セロフィート
「 徒歩で3日半は掛かりますけど、〈 馬人形 〉が本気を出して走れば1日も掛かりません 」
マオ
「 えっ、そうなのか?
〈 馬人形 〉って凄いんだな! 」
セロフィート
「 〈 馬人形 〉を走らせるのは、マオが乗馬に慣れてからですよ 」
マオ
「 分かったよ。
絶景な景色だな~~(////)」
セロフィート
「 大袈裟です(////)」
セロの巧みな手綱捌きは見事な物で、オレも1人で乗馬を出来る様になりたい──って思った。
軽快な〈 馬人形 〉の速度でフィールドを進んで行く。
道中では血気お盛んな妖怪達に何度か襲われたけど──、セロの神業とも言える手綱捌きに依って、妖怪達は実に呆気なく全滅した。
〈 馬人形 〉の前足の蹴り技と後ろ足の蹴り技には恐ろしい程の破壊力を見せ付けられた。
〈 馬人形 〉の前足と後ろ足は、容赦なく妖怪達を蹴り飛ばし、地面に激しく蹴り倒された妖怪達の顔面を容赦なく踏み潰した。
妖怪達の顔はグシャグシャで頭蓋骨は完全に砕けてしまい、即死状態だ。
地面には妖怪達の血痕が大量に飛び散って汚なく汚れている。
胴体を踏み潰されている妖怪も何体も居て、瀕死状態だ。
上半身と下半身が離れている妖怪達は完全に絶命している。
セロフィート
「 ──良い運動になりましたね。
マオ、酔ってません? 」
マオ
「 大丈夫だよ、何とかな。
想像以上に激しい動きだったから振り落とされなくて良かったよ 」
〈 馬人形 〉にどう動くべきか指示を出していたのは手綱を握っているセロだ。
かなりグロい殺し方を選んだもんだな。
セロは手綱を握ると性格が豹変するのか??
マオ
「 セロ、エグい妖怪の死体は、どうするんだ? 」
セロフィート
「 戦利品を回収したら〈 テフ 〉へ変換しますけど? 」
マオ
「 だよな~~ 」
セロフィート
「 マオ、夜
眠たくなったら寝てください 」
マオ
「 うん……。
ずっと〈 馬
セロフィート
「 ふふふ…。
嬉しい事を言ってくれますね(////)
ワタシの声だけでは不満です? 」
マオ
「 まぁな~~。
歩かなくて良
セロフィート
「 ワタシもマオの顔が見れないのは寂しいです 」
マオ
「 じゃあ、セロとオレは相思相愛──両想いだな! 」
セロフィート
「 はて──、そうです? 」
マオ
「 そうなの!
早く≪ 笆
セロと顔を合わせたいよ! 」
セロフィート
「 はいはい。
〈 馬
その後
セロ──、やっぱり手
そう思えて止