✒ ドキドキ!初めての依頼 4
◎ 今回は少し長文になってしまいました。
何処で切れば良かったのか……。
厳蒔弓弦
「 キノコン、偵察隊のキノコンから何か連絡は入ってるのか? 」
キノコン:本体
「 ──蝙蝠しか飛んでないみたいですエリ。
蝙蝠を操っている者の姿は確認する事が出来てませんエリ 」
厳蒔弓弦
「 遠隔操作か何か蝙蝠を操っているのか?
然し、上手く霧を利用しているな。
キノコンの能力で霧を晴らす事は出来ないか? 」
キノコン:本体
「 唯の霧ではなさそうですエリ。
キノコンでは晴らせませんエリ~~ 」
厳蒔弓弦
「 そうか、厄介な霧なのだな。
霧の中では不利だな。
セロフィートに何とかしてもらえないのか? 」
キノコン:本体
「 御尋ねしてみますエリ! 」
キノコンが何処かに居るであろうセロフィートに連絡を取っている間、厳蒔弓弦は法力を込めて矢を射り続ける。
大量の蝙蝠が地面に落ち、燃え尽きるがキリが無いのが現状だった。
厳蒔弓弦
「( 聞こえている声が蝙蝠を操っているのか?
それにしても妙な蝙蝠でもある──。
声を消せれば現状も変わると思うのだが──。
シュンシュンならば、後先を考えず、式神や式隷を大量に放つのだろうが──。
玄武も式神を使うだろうな。
幻夢ならば最近新に生み出した特級呪靈を向かわせそうだな )」
玄奘三蔵法師
「 厳蒔殿、どうされたのですか? 」
厳蒔弓弦
「 仲間の事を考えていた。
仲間ならば、どの様に対処するだろうと思ってな 」
沙悟浄
「 …………こんなに霧が濃いと身動きが取れないよ……。
御師さまぁ~~ 」
厳蒔弓弦
「 結局は、セロに頼る事になってしまうのが申し訳無いな…。
通常の霧ならば私でも晴らせたのだろうが…… 」
玄奘三蔵法師
「 そんな事は有りません。
私こそ神将降ろしで霧を晴らす事が出来れば良かったのですが── 」
沙悟浄
「 セロフィートさんが霧を晴らせるかも知れないのはどうして?
半妖の薬師さんなのに…… 」
厳蒔弓弦
「 半妖??
( 相変わらず設定を考えるのが好きなのだな、セロは── )
セロは唯の半妖ではないからな。
万能では無いが、大抵の事は出来てしまえる凄い半妖だ 」
玄奘三蔵法師
「 それは私も直に見て納得しています。
セロフィート殿は頼りになる人であるのは確かです 」
キノコン:本体
「 弓弦様、セロフィート様からの伝言ですエリ 」
厳蒔弓弦
「 セロは何と言っているんだ? 」
キノコン:本体
「 芭蕉扇を転送してくれるそうですエリ。
芭蕉扇で霧を吹き飛ばす事が出来るそうですエリ 」
玄奘三蔵法師
「 芭蕉扇──。
それは鉄扇公主が愛用している宝具なのでは?
何故セロフィート殿が持っているのでしょうか? 」
厳蒔弓弦
「 セロなら可能だろう 」
キノコン:本体
「 弓弦様、セロフィート様から芭蕉扇が転送されましたエリ 」
厳蒔弓弦
「 これが芭蕉扇なのか? 」
キノコン:本体
「 妖力を込めて使う様ですエリ 」
厳蒔弓弦
「 妖力か。
沙悟浄──、妖力を込めて扇いでみてくれ 」
沙悟浄
「 えっ、僕がですか!?
出来るのかな…… 」
キノコン:本体
「 沙悟浄なら出来るエリ。
降妖の宝杖へ妖力を込める手順と同じエリ。
芭蕉扇の隅々まで妖力を行き渡せるエリ 」
沙悟浄
「 う、うん。
やってみる! 」
沙悟浄はキノコンから芭蕉扇を受け取ると自分の妖力を込め始めた。
降妖の宝杖へ妖力を込める要領で芭蕉扇へ妖力を込める。
沙悟浄は芭蕉扇が両手に馴染んだ様に感じた。
妖力が満ちた芭蕉扇を晴れない霧へ向けて思い切り上から下へ振り下ろして扇いでみると、濃い霧が嘘の様に彼方へ吹き飛んで行った。
沙悟浄
「 凄い……。
霧が消えたぁ!! 」
玄奘三蔵法師
「 蝙蝠の姿も無いですね。
あの呪文の様な気味の悪い声も聞こえなくなりました! 」
厳蒔弓弦
「 一先ずは一件落着──で良いのか? 」
キノコン:本体
「 偵察に向かわせた分身体が戻って来ましたエリ 」
沙悟浄
「 あっ──、御師さま! 」
霧が晴れた事もあり、離れた場所で観覧をしていたセロフィート,マオ,猪八戒,マオキノの姿が見える様になっていた。
厳蒔弓弦
「 茶を飲みながら観覧とはセロらしいな… 」
険しい顔をしていた厳蒔弓弦にも笑みが溢れる。
厳蒔弓弦
「( マオも元気そうだな… )」
キノコン:本体
「 予定外のイレギュラーが発生したエリけど、無事に依頼を解決させる事が出来ましたエリ。
セロフィート様への献上品もゲットしたエリ 」
厳蒔弓弦
「 献上品とは、その子供か? 」
キノコン:本体
「 はいですエリ。
コイツが使っていた笛もですエリ 」
厳蒔弓弦
「 そうか。
不憫としか言い様がないな…… 」
霧が晴れた事もあり、玄奘三蔵法師と沙悟浄の元へ猪八戒とマオが走って向かって来る。
セロフィートは相変わらず走らずに歩いている。
猪八戒
「 沙悟浄ぉ~~~~!!
何が起きたんや?
心配しとったんやでぇ~~!! 」
沙悟浄
「 ………………御師さま…………先ずは口回りを拭いてくださいぃ~~~~ 」
明らかに霧が晴れる寸前まで茶菓子を食べていた事が分かる程に猪八戒の口回りは食べ滓で汚れていた。
沙悟浄は持っていた清潔な布巾を出すと猪八戒に差し出す。
猪八戒
「 こりゃ、おおきにやでぇ。
いや~~心配過ぎて茶菓子も喉を通らんかったんやでぇ 」
沙悟浄
「 そ、そうですか……。
御心配御掛けしました…… 」
マオ
「 玄奘さん!
良かったぁ~~~~、無事だったんだね!
──えぇと……どうして弓弦さんが此処に?? 」
厳蒔弓弦
「 久し振りだな、マオ。
どうやら御札で召喚されたらしいんだ 」
マオ
「 御札で召喚??
どゆこと??
でも、会えて嬉しいよ!
元気そうだね! 」
厳蒔弓弦
「 あぁ──、お蔭様でな。
マオも元気そうだな。
セロも相変わらずの様だな 」
マオ
「 まぁね……。
畑を荒らす野犬退治の簡単な依頼だった筈なのに急に霧が出て見えなくなったんだ。
何だったの? 」
厳蒔弓弦
「 さてな。
私も霧に包まれている状況下で召喚されたからな、霧の発生理由は分からないんだ 」
キノコン:本体
「 マオ様、鉄扇公主の息子を確保しましたエリ 」
マオ
「 息子ぉ?
その縄でグルグル巻きされてる子供か? 」
キノコン:本体
「 はいですエリ 」
マオ
「 怪我してるし辛そうだけど、大丈夫なのか? 」
キノコン:本体
「 妖怪ですエリ。
手当てしなくても死にはしませんエリ 」
マオ
「 容赦ないな…… 」
セロフィート
「 キノコン、菻犁さんを捕らえたそうですね 」
キノコン:本体
「 はいですエリ!
息はしてますエリ 」
キノコンはセロフィートに向かってビシッと敬礼をする。
キノコンは笠から笛を取り出す。
キノコン:本体
「 セロフィート様、戦利品ですエリ。
菻犁が使っていた笛ですエリ 」
キノコンは深々と頭を下げながら笛をセロフィートへ献上する。
セロフィート
「 良くやりました。
この笛も宝具の様です。
菻犁さんの傷の手当てをしましょう。
猪八戒さん、菻犁さんの片親も仙人です。
猪八戒さんの弟子にしてください 」
猪八戒
「 なんやて!?
セロフィートはん、相手は鉄扇公主の子供なんでっしゃろ?
そげなおっかない奴を弟子にするんかいな~~ 」
セロフィート
「 德を積みたいのでしょう?
仙人になる素質を持つ子供です。
改心させれば德も多く積めるのではないです? 」
猪八戒
「 セロフィートはんは無茶言いますなぁ。
確かに德は積みたいでっせ。
けどなぁ──ワテには沙悟浄が居りますんや。
ワテは師匠として沙悟浄の意思を尊重したいさかい 」
セロフィート
「 では弟弟子にするか否かは、沙悟浄さんに決めてもらうとしましょう。
決定権は沙悟浄さんに有ります 」
マオ
「{ 猪八戒さん、上手い逃げ方したよね?
面倒事を沙悟浄に回すなんて、セコい事するよ }」
厳蒔弓弦
「{ そうだろうか。
弟子の意見を聞き、参考にするのは良き判断だと思うぞ。
いきなり知らぬ相手を連れて来られて『 今から弟弟子だから面倒を見ろ 』と言われるのも途方に暮れるものだ。
困惑するし、辛いものがある。
1番弟子にも心の準備は必要ではないか?
1番弟子の意見を聞き、思いを汲み取ろうとする姿勢は、師匠として良い判断だと私は思う。
師匠にも弟子に相談し、意見を仰ぎ、労る細やかな優しさは必要だ。
私の経験上の事だがな…… }」
マオ
「{ そ、そうなんだ?
弓弦さん、師弟関係や兄弟弟子関係で苦労した事があるんだ? }」
厳蒔弓弦
「{ 苦労の連続で鍛えられたのも事実だがな }」
マオ
「{ 沙悟浄はどうするんだろう?
猪八戒さんとセロから丸投げされて困ってるよ…… }」
厳蒔弓弦
「{ 短い時間しか関わって無いが、沙悟浄は優しい子だと思う。
苦労する事が多いだろうが、周囲に居る私達が手助けをすれば良い。
1人で背負わせるには未だ幼いからな }」
マオ
「{ 弓弦さん──。
そうだね!
オレ達がフォローして支えたら良いんだよな!
弓弦さん、有り難う!
オレ、沙悟浄に話してくるよ! }」
厳蒔弓弦
「{ そうか。
それが良いな。
ならば私も行こう。
私には兄弟弟子の経験がある。
参考程度のアドバイスなら出来るからな }」
そんな訳で、オレは弓弦さんと一緒に沙悟浄の元へ向かった。
で──、結局の処だけど、沙悟浄は負傷している菻犁を自分の弟弟子にする選択をした。
何でかと言うと、猪八戒さんの弟子にならなかった場合の菻犁が遭う状況をセロから聞いたからだ。
キノコン達から拷問とも呼べる取り調べを受けた後、用無しとなった菻犁はセロの薬剤投与の実験台として、寿命を迎えるその日まで生かして殺さずの人生を送る事になる──って話を聞いて、決心したそうだ。
セロの事だから有言実行する。
ガチマジで殺り兼ねないから笑えない。
弓弦さんは菻犁を弟弟子として受け入れる大きな決断をした沙悟浄を真剣に褒めていた。
沙悟浄の選択が1人の人生を救った事になるんだ。
沙悟浄は弟子である身ながら大きな德を積んだんだ。
猪八戒さんが沙悟浄の決めた選択を聞いた時、僅かに両肩を落として小さな溜め息を吐いたのを目撃した事は内緒にしとこうと思う。
猪八戒さんは敵である鉄扇公主の息子を自身の弟子にするのは遠慮したかったみたいだ。
まぁでもさ、両親が犯罪者だからって、産まれて来た子供が “ 犯罪者じゃない ” ってのと同じだと思う。
両親が犯罪者であったとしても、子供には犯罪者の両親の手から離れて、安心で安全な場所に保護されて、至極真っ当な環境の中に身を投じて、真っ当な生活を送り、真っ当な人々達と関わって、真っ当な大人に成長する権利がある。
希望という名の権利を奪ったり、幸せになる為の努力を邪魔する権利は誰にもない。
犯罪者の子供だって、幸せを望んで努力したって良いんだ。
態々自分から人生を諦めて腐る必要なんか無い。
保護をする義務は周囲の大人達に有るんだよな。
手を差し伸べて、子供達が安心して安全に生きられる環境を整えてあげたら良いんだ。
オギャーと産まれ出た時、両親も環境も子供には選べない。
宿命は変えられやしないけど、産まれ出た後の運命は自分の頑張り次第や周囲の人達の優しい思い遣りや接し方で変える事が出来る。
菻犁も同じなんだ。
菻犁が鉄扇公主と紅孩児の子供に産まれたのだって、菻犁にはどうする事も出来ない宿命だった。
何で牛魔王の息子で紅孩児の弟として育てられたのかは分からないけど、他人様には言えない複雑な家庭の事情が有ったんだろう──って事にしとく。
菻犁が実母に騙されて、今迄どんな悪事に手を染めさせられて来て、悪行を犯して悪業を積まされ続けて来たのかは分からない。
だけど、救いが全くない訳じゃない。
菻犁は罪を償い贖罪するチャンスを与えられた。
人外仙人である猪八戒さんの弟子として、仙人になる為に下心を抱かず菩提心を持ってボランティア精神で善行を行い、功徳の貯金を貯めに貯めて、来世に生まれ変わる未来の自分の為に黒字繰り越しを出来る様に德を積んで──、来世に産まれ出る宿命を変える為のチャンスを与えられたんだ。
功徳の法華の大輪を咲かせるのは難しい事だし、仙人になれたからって終わる訳じゃない。
寿命を迎えて天寿を全うする迄、続く長くて終わりの見えない修行でもある。
途中で止めてしまうのは菻犁の自由だ。
だって〈 当来佛 〉から直接、正しい善の積み方を教えてもらえないし、〈 当来佛 〉と同行二人が出来ない。
困った時や分からない時には、〈 当来佛 〉に相談する事も出来やしない。
正しい心掛けで、正しく善を積む事が出来ないんだから、途中で挫折して断念してしまっても誰も菻犁を責めたりはしないだろう。
仙人も僧侶も皆、手探りで善行を行って、德を積んで功徳を貯めないといけないんだ。
酷な修行だと思う。
仙人,人間,妖怪視点で善行をしても、〈 当来佛 〉から見たら善行になってない事なんて山程あるからだ。
〈 当来佛 〉の眼鏡に適た善行をするのって、中々難しい事なんだよな。
道徳的,人道的な善行でも、心が伴わないと真の意味での善行にはならないし、功徳も積めない。
偽善は所詮偽善であって、偽善がどんなに集まったって、善にはならないからだ。
偽善も全くしないよりはマシで、偽善で助けられる人は沢山居るのも事実だ。
偽善を否定はしないけど、偽善で “ 功徳は積めない ” って事は知っといて損はないと思うんだよな。
なんて──、全部セロの受け売りだけどな~~。
◎ お助けキャラとして投入させた弓弦でしたけど、あまり役に立てず終わってしまいました。
キャラを活かすのって難しいですね。




