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⭕ 宋枩の村 3


セロフィート

「 人物である人格・しゃは──、しゃクドン( ゴータマ )、出家前のしっ(しっ)(だっ)たい()じんしんかりて世間に出現されたほとけである神格・しゃぶつが、人格・しゃの口をかりかれた教えが佛教です。

  “ とうらいぶつ ” とはに出現するけんしんほっしんです。

  じんしんの生誕と同時にに出現し、ときを待ち、ほんぜんそうけんげんされます。

 (しゃ)()(しゃく)(そん)が同居し、がいめんからの識別は不可能です。

  依って、人格のしゃだと考え発言した者には人格・しゃが答え、神格のぶっだと考え発言した者には人間しゃの口をかりて神格のしゃくそんが発言され、多く説法されました。

  但し、当時の時代は学問のていが低くく、その時代の水準に合わせた教えをかれました。

  当時に高度な教えをいたとしても、学問のていも教学水準も低く、知識がとぼしく理解力も低い当時の人間には到底理解は出来ない説法ばかりでしょう。

  教えの中には方便的に説かれている説法も有ります。

  とどのつまり、当時の知能レベルに合わせた低い教えをかれていた訳です。

  法はかれていてもしんいていません 」


マオ

「 セロ──、さり無く昔の人達をディスってないか? 」


セロフィート

「 はい?

  ディスってません。

  ワタシは事実をべているだけです。

  そもそもてんじく ≫に納められているしゃの説法のすべては、しゃが亡くなったあと、弟子達が寄せ集まりしゃくそんが当時にかれていた説法の記憶を頼りに記録をし、きょうもんという形で残しました。

  〈 とうらいぶつ 〉が直接,じき(じき)に書き残したきょうもんではなく、しゃの御世話をしていた従兄弟いとこの弟子が身近で聞いていた説法が纏められているだけです。

  “ 無いよりはマシ ” なていの説法記録です。

  本来の意味もしんの正しさも失われてしまった低レベルな経文をがたがり崇拝する人間はじつに愉快です♪ 」


マオ

「 セロ!

  少しは自重しろよ…… 」


セロフィート

「 自重です?

  ふむ……ではマオに問いましょう。

  知能の低い原始人に合わせていたしゃくそんの教えが有るとしましょう。

  それを身近で聞いていたしゃの弟子達はこうとうで自分の弟子達に伝えました。

  みゃく(みゃく)と弟子達に受け継がれたしゃくそんの説法はすうひゃくねんときて、弟子達の手に依って説法が寄せ集められ、きょうもんという形でこうせいへ残されました。

  きょうもんの内容は幼稚で低能な原始人に合わせてかれている説法です。

  “ がたい ” と思えます? 」


マオ

「 原始人は言い過ぎだろ…… 」


セロフィート

「 例えばなしです。

  しゃくそんが直接かれた教えであり、しゃくそんじき(じき)に説法を書き残し、原始人達へ残したきょうもんならば、当時の時代にとっての “ 本物の教え ” と言えましょう。

  当然、なにものにも変えがたい価値が有ります。

  教えの中身が原始人レベルの低い説法であったとしても≪ 大陸 ≫のたからと言っても過言ではありません。

  ですが、残念な事にしゃくそんみずから説法を書き残す事はされませんでした。

  当時のしゃくそん,当時の弟子達をまったく知らないすうひゃくねんの弟子達が、御互いに聞いた説法を寄せ集め、書き残した説法記録──きょうもんは “ 本物の教え ” とは言えません。

  がたがり、崇拝するのは人間の勝手です。

  いのちを懸けて旅をし、祖国へ教えを持ち帰るほどの価値は無いにひとしいきょうもんを求め、誰も疑う事もなくひろめるのですから滑稽でなりません 」


マオ

「 ……………………。

  『 しゃくそんが原始人達に対して “ かく(かく)しか(じか)いていた ” って事を1番弟子が聞いてましたよ ” って内容の寄せ集め──って事か?

  ……………………がたい…………のかなぁ……?? 」


御客:おっさん

にいちゃん達──、僧侶様でも無いのに随分と詳しいんだねぇ?

  俺は吃驚だよ…… 」


セロフィート

「 吟遊大詩人ですから、いろ(いろ)はなしを集めているのです。

  説法記録を残したのが、しゃくそんを知る弟子達だったのか──、遥か未来の弟子達だったのか──、そんな事は些細な事であり、たいした問題ではないです。

  1番大事なのは、“ しゃぶつであるしん(諸天善神)ぶつ(,諸菩薩)が、じんしんかりけんに出現し、だいじょう佛教をき、こうせいに残された ” という事実です。

  当時のしゃくそんや当時の弟子達を知らぬ遥か未来の弟子達が説法を寄せ集めて作った説法(きょう)記録(もん)よりも、当時のしゃくそんを知り、当時のしゃくそんの御世話をした1番弟子がそばで聞いていた説法を書き残した説法(きょう)記録(もん)である──とした方がロマンが有ります。

  人間はロマンを求め、よりロマンを感じられることがらを事実にしたがる傾向が有ります。

  悲しいかな人間のさがですね 」


マオ

「 より信憑性の強い方にロマンを感じ易いって事かな?

  遥か未来の弟子達が残した説法(きょう)記録(もん)より、当時のしゃくそんを知る弟子達が残した説法(きょう)記録(もん)の方が人間的に考えて都合がいって事か? 」


セロフィート

「 ふふふ……そうなります。

  より広く多くのしゅじょうだいじょう佛教をひろめる手段としては──、しゃくそんの1番弟子とともに作り、こうせいに残した説法(きょう)記録(もん)の方が持っていですね 」


マオ

「 セロ……言い方ぁ~~~~ 」


セロフィート

「 はいはい。

  はなしを戻しましょう。

  亡くなられたぎゅう魔王さんは暗殺でもされました? 」


御客:おっさん

「 暗殺ぅ?!

  とんでもないよ!

  ぎゅう魔王を暗殺するいのち知らずな奴なんてやしないさ!

  ≪ 都 ≫を治めている領主だからねぇ。

  忠実な配下も多いし、ぎゅう魔王にちかける者なんて限られてるよ 」


セロフィート

「 そうですね。

  妻であるてっせんこうしゅさんならば、夫であるぎゅう魔王さんの食事に毒を盛り、毒殺する事は可能です 」


マオ

「 セロ!

  なにを言うんだよ!?

  妻が夫に毒を盛ってころす理由がに有るよ!? 」


セロフィート

ぎゅう魔王さんの浮気とか? 」


マオ

なんでオレを見て言うんだよ!

  オレはだってセロ一筋だろが!! 」


セロフィート

「 妻が夫を毒殺する理由など、探せばいくらでも有ります 」


マオ

「 浮気したぐらいで毒殺するかよ…… 」


セロフィート

「 ワタシなら〈 合成獣キメイラ 〉の玩具おもちゃにしますけど? 」


マオ

めてくれよ…… 」


御客:おっさん

「 いや~~、あながち浮気説は間違っちゃねぇかも知れないよ。

  ぎゅう魔王ってのは6つなんだが、どのぎゅう魔王も “ 無類の酒とおんなき ” って噂は昔から聞いていたし、実際に愛人をはべらせて豪遊していたぎゅう魔王も実際にたんだ。

  性欲が強いんだろうねぇ。

  奥さんだけじゃものりなかったのかも知れないよ。

  昔から “ 浮気は男のしょう ” って言われてるぐらいだからねぇ 」


マオ

「 ………………へぇ……凄いね……。

  でもさ、自分で夫を毒殺しといて、ころした夫を “ 蘇生させよう ” なんて思うかな??

  オレは奥さんのてっせんこうしゅが夫のぎゅう魔王をころしたとは思えないな~~ 」


セロフィート

「 そうでしょうか。

  とある計画を達成させる為に必要な通過点に過ぎなければどうでしょう。

  計画を成功させる為にはぎゅう魔王さんをころす必要が有り、蘇生実験も計画を成功させる為に必要な通過点の1つだとしたらどうです? 」


マオ

てっせんこうしゅが計画してる “ なにか ” を成功させる為に必要な手順だったら……。

  てっせんこうしゅは “ なにを計画してる ” って言うんだよ? 」


セロフィート

「 ワタシにも分かりません。

  仮にてっせんこうしゅさんの目的が、妖怪や半妖を狂わせ,凶暴化させ,人間を襲わせ,人間のかずを減らす事だったらどうです?

  確実に計画は成功してます。

  ぎゅう魔王さんの蘇生実験が原因で妖怪や半妖の様子が豹変し、理性を失い狂暴化した──と言うのならば、先ずはてっせんこうしゅさんに疑いの目を向けるべきでしょう。

  彼女は加害者かも知れません 」


マオ

「 ………………セロ……みょうこだわるなぁ~~。

  てっせんこうしゅおっとごろしの殺人犯にしたいのかよ 」


セロフィート

「 マオ──、勘違いしないでください。

  てっせんこうしゅさんは確実におっとごろしの犯人です 」


御客:おっさん

「 そりゃ~~おっかねぇはなしだ!

  い酒のさかなになるよ! 」


セロフィート

「 それはなによりです。

  ときぎゅう魔王さんの蘇生実験とやらが始まったあと、5人の兄弟達はなにも手を打たなかったのですか? 」


御客:おっさん

「 いや、ほかぎゅう魔王達は1年近く平常をたもっていたと聞くよ。

  だが……つぎ(つぎ)ほかぎゅう魔王達も狂い出して凶暴化してしまったらしいよ。

  平常をたもっていたときは、蘇生実験をめさせる為に配下をてっせんこうしゅの元へ向かわせたりしていたらしいんだが──、やたらと強い()()が用心棒にるらしくてな、ぎゅう魔王達の配下達がつぎ(つぎ)と返り討ちに遭っては門前ばらいをらっていたらしいんだ。

  “ 信じられないほど強い ” って噂を聞いた事があるぜ。

  当時の風の噂では──、“ せいてんたいせいそんくうなんじゃないか ” って言われていたんだ。

  そんくう妖術を使うからねぇ。

  腕っぷしが強くて、悪戯きで暴れん坊の乱暴者でね、困った妖怪なんだ 」


マオ

せいてんたいせいそんくうか──。

  サ◯イ人に変身するそんくうが強いんだろうな? 」


セロフィート

せいてんたいせいそんくうですか。

  妖怪ならば、蘇生実験の被害を受けて狂暴化している可能性も有りますね。

  用心するとしましょう 」


マオ

「 そだな。

  ちなみにてっせんこうしゅる≪ 都 ≫ってなんばんに通過する関所なの? 」


御客:おっさん

「 3番目に通過する関所だよ。

  4なんだからね。

  てっせんこうしゅる≪ 都 ≫は簡単にははいれないだろうねぇ……。

  僧侶様ならはいれるかも知れないけど……配下達に襲われてわれちまうだろうねぇ…… 」


マオ

ほかの関所も通過するのはむずかしいのかな? 」


御客:おっさん

ぎゅう魔王が健在だからねぇ。

  ≪ 都 ≫にはいって関所を通過するにはぎゅう魔王を倒さないとむずかしいかも知れないねぇ…… 」


セロフィート

「 親切に教えてくださりがとう御座います。

  随分と物知りなのですね 」


御客:おっさん

「 へっへっへ……。

  40年前から世界が豹変しちまって楽しみが無くなっちまったからねぇ……。

  情報つうにもなっちまうわな…… 」


セロフィート

「 とても有意義な情報を頂きました。

  今夜のさかだいは全額、ワタシが支払います。

  好きなだけ飲んでください 」


御客:おっさん

「 いや──、とんでもねぇよ。

  俺も久しりに楽しかったしな!

  にいちゃん達ならげんじょうさんぞうほう様とはなしが会うかも知れないねぇ 」


マオ

げんじょうさんぞうほうぃ??

  それって誰さん?? 」


御客:おっさん

「 有名な僧侶様だよ。

  なんでもげんさつ様の神託を受けて、≪ てんじく ≫の在る西を目指して旅をされているらしいんだ。

  そのうち、≪ そんしょうの村 ≫にも立ち寄ると思うよ 」


マオ

「 ふぅん?

  この御時世に≪ てんじく ≫を目指して旅してるなんて、げんさつ様も随分とこくな事を神託するんだな? 」


セロフィート

げんさつしゃぶつと同様にしん(諸天善神)ぶつ(,諸菩薩)ほう便べんしんです。

  相応の意味が有るのでしょう。

  げんじょうさんぞうほう──、覚えておきましょう 」


マオ

「 ≪ てんじく ≫を目指してる──って事はだいじょう佛教がかれてる説法(きょう)記録(もん)が目的なのかな? 」


御客:おっさん

「 僧侶様が≪ てんじく ≫を目指すのは、それしか理由はないよ。

  それだけがたきょうもんなのさ 」


マオ

「 当時の人間達のレベルに合わせてしゃいた現代に合わない幼稚な説法を纏めた説法(きょう)記録(もん)なんだろ?

  知ったらショックを受けるんじゃないのかな?

  しゃが死んだすうひゃくねんってから佛門の弟子達が纏めた説法(きょう)記録(もん)なんだろ。

  なんかさ、いたたまれないよ…… 」


セロフィート

「 教えないのも大人の優しさです。

  知らん顔しときましょう 」


マオ

「 ………………そだな。

  此方こっちからわざ(わざ)張り切って旅をしてるげんじょうさんぞうほうの腰を折る必要も無いよな…… 」






 それからも情報つうで酒きなはなしをしながらゆうを済ませた。

 ゆうにはセロがしいを1曲披露した。

 御客達はセロのせいうたごえに酔いしれて骨抜き状態になった。

 御客の酒を飲む手も進んで食堂けん酒場は大盛況となった。


 セロがしいを歌い終わって席に戻ってときには、おっさんの姿は消えていた。

 だいぶん飲んでたし、宿泊室に戻ったのかな??

 セロとオレも食堂をあとにして宿泊室に向かった。

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