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⭕ 宋枩の村 2


──*──*──*── 宋枩の村


 ≪ そんしょうの村 ≫へはいったら先ずは宿屋さがしから始める。

 ひとどおりが少ないし、活気も控え目だ。

 時間帯も関係してるのかも知れない。


マオ

「 セロとオレみたいなたびびとは見掛けないな 」


セロフィート

「 妖怪が出ますし、おいそれと旅など出来ないのでしょう 」


マオ

「 それもそっか。

  ヒョロッとはしてても軽装で襲ってるくらいだもんな。

  う~~ん、やっぱりさ、この≪ 村 ≫でも道場を開業したら稼げるかも? 」


セロフィート

「 それならにでも村長さん宅へ挨拶に行きましょう 」


マオ

「 そだな。

  前の≪ 村 ≫みたいに新品の戦利品を見せたらタダで場所を提供してくれるかも知れないもんな! 」


 セロとオレは前に滞在していた≪ 村 ≫で道場を開業していた。

 勿論、商売だからカネは取る。

 無報酬で慈善事業をするなんて事、ガッポリするのが好きなセロがする訳がない。


 妖怪に襲われたときに多少なりとも対処が出来るように受け身の取り方,身の守り方,戦い方の基礎を教えて生計を立てて、路銀を稼いでいたんだ。

 ≪ 村 ≫の周囲に頑丈な柵を作ったり、そとなくても妖怪達を撃退する方法とかも追加料金で伝授したりした。


 まぁ、道場の経営は通常の〈 うつわ()にん(ニン)ぎょう() 〉に任せて、体術や武術に関しては戦闘用〈 うつわ()にん(ニン)ぎょう() 〉に任せていたし、≪ 村 ≫の周囲の強化に関しては、大工仕事やディアイワイが得意で器用なキノコンに丸投げだったけどな!


 セロとオレは開業者って立場ってだけで、特になにかしてた訳じゃなく、のんびりと滞在生活を堪能していただけだ。

 それを≪ そんしょうの村 ≫でも実施する予定だったりする。


 前の≪ 村 ≫には道場を任せている〈 うつわ()にん(ニン)ぎょう() 〉と1体のキノコンを残してている。

 キノコンの創造主ゴディオールであるセロの為に≪ 村 ≫を≪ 都 ≫並みに発展させて献上する気らしい。

 キノコンはセロを崇拝している盲信者だから、≪ 村 ≫の全権を手にれて、やり遂げそうだ。


 多分、この≪ そんしょうの村 ≫も同じ感じになるんだろうな。

 前の≪ 村 ≫はキノコンが1体るだけで雰囲気がガラリと変わって明るくなったからな、もそうなるかも知れないな~~。

 村長に断られても、セロなら勝手に村長の記憶を改竄してでも許可をさせそうだ。

 勿論、オレはセロをめたりしない。

 無駄だから!!






セロフィート

「 マオ、この宿屋にしましょう 」


マオ

「 酒場けんようの宿屋かぁ。

  吟遊詩人らしくしいを歌って稼げるな 」


セロフィート

「 ガッポリ出来ます♪ 」


マオ

「 そだな~~ 」


 セロに大金をはたいて交際を申し込んでる不届き千万でていやからが寄ってるんだろうな~~~~。

 まぁ、セロに丸裸にされたあとは、記憶を改竄されてひとの無い裏路地にポイだろうけどな~~。


──*──*──*── 宿屋


受付

「 ようこそ、いらっしゃいませ。

  お食事ですか? 」


セロフィート

「 宿泊は出来ます?

  1ヵ月ほど滞在したいです 」


受付

「 1ヵ月もですか!?

  がとう御座います!

  ぐに部屋を用意させて頂きます! 」


セロフィート

「 部屋は1室でいです。

  1泊代,あさ代,ゆう代を合わせた宿泊代を30日分、まえばらいしても構いません? 」


受付

「 えっ……は、はい……。

  まえばらいして頂けるのは大変がたいのですが…………相当な金額になりますよ? 」


セロフィート

「 構いません。

  あとばらいはしない主義です 」


 セロはぬのぶくろを出す。

 ぬのぶくろの中には〈 (原質)(みなもと) 〉で構成した貨幣がっている。


 受け付けの人がぬのぶくろの中を確認している。


受付

たしかに1ヵ月分、頂きました。

  こんなに路銀を御持ちのたびびとさんは初めて会いました 」


セロフィート

(宋枩)(の村)に到着する道中に妖怪達を倒しました。

  戦利品もと頂きました 」


受付

「 よ…妖怪達を倒したんですか!? 」


セロフィート

「 はい♪

  ワタシのマオは剣士です 」


マオ

「 あははは………… 」


受付

「 お強いんですね… 」


セロフィート

「 食堂でゆうを頂いてもいです? 」


受付

「 あっ、はい!

  あ──、今夜から宿泊ですよね。

  あさ代は御返し致します。

  ゆうが済みましたら宿泊室へ行く前に受け付けに寄ってください。

  明日あしたの2人分の食券を御渡し致します 」


セロフィート

「 分かりました 」


受付

此方こちらは今夜の食券になります。

  食券は食堂で回収していますので籠のなかれてください 」


セロフィート

「 分かりました。

  がとう御座います 」


 セロは受け付けの人から食券を受け取る。

 セロと一緒に食堂へはいった。


──*──*──*── 食堂


 食堂にある籠の中に食券をれて、いてる席に移動して椅子に腰を下ろして座る。

 暫くすると出来立ての料理が運ばれてた。


マオ

「 1ヵ月りの食堂料理だな! 」


セロフィート

「 いただくとしましょう 」






マオ

「 悪くないあじだな。

  一寸ちょっとクセが有るけど、慣れたら気にならなくなるかな? 」


セロフィート

「 調味料が必要ですね 」


マオ

あじテロでもする気か? 」


セロフィート

「 またガッポリ出来ますね♪ 」


マオ

「 そだな~~~~ 」


御客:おっさん

「 おっ──!

  アンタ、珍しい格好してるねぇ~~。

  たびびとかい? 」


マオ

「 うん。

  ≪ けんぼうの村 ≫から歩いてたんだ 」


御客:おっさん

「 へぇ~~~~!

  ≪ けんぼうの村 ≫からたってぇ!?

  そいつぁすげぇじゃねぇか。

  ≪ けんぼうの村 ≫から≪ そんしょうの村 ≫のあいだにもいくつか≪ 村 ≫が在ったんだが、妖怪どもに滅ぼされてしまってな…… 」


マオ

「 見掛けたよ。

  随分と派手に襲われたあとだった……。

  妖怪は人間に随分と容赦ないんだな 」


御客:おっさん

「 ………………そうだな…。

  それにはした()ゆう()が有るんだぜ 」


マオ

()ゆう()ぇ??

  妖怪が人間を襲うのに()ゆう()なんか有るの? 」


セロフィート

「 妖怪は人間を襲いころしはしてもべはしませんね。

  妖怪は人間をエサ認定していないようです 」


御客:おっさん

「 いや、妖怪の中には人間をう奴もるさ。

  ぎゅう魔王の配下だった妖怪は別格だ。

  ヤツは≪ てんじく ≫を目指す僧侶様も襲うんだ。

  いやはやまったもって罰当たりな妖怪だよ…… 」


マオ

ぎゅう魔王??

  てんじくぅ??

 僧侶をらう??

  初めて聞く単語ばっかだな 」


セロフィート

「 そうですね。

  詳しく教えてくれます?

  情報の正確に見合ったさかだいを支払いましょう 」


マオ

「 セロ──?!

 { そんな事しなくても情報なんていくらでも収集出来るじゃんかよ }」


セロフィート

「 マオ、ひといは大事です 」


マオ

「 どの口が言うんだよ…… 」


御客:おっさん

「 随分とふとぱらにいちゃんだな。

  流石は≪ けんぼうの村 ≫からつわものは違うねぇ!!

  いだろう。

  俺が知ってる事は教えてやるよ 」


セロフィート

がとう御座います 」


御客:おっさん

「 信じられないかも知れないがね、今から約40年前までは妖怪と人間は仲良く共存共栄していたんだ。

  妖怪と人間が夫婦になる事も珍しくなかったし、半妖の子供も多くたよ。

  妖怪と人間がともに勉学を学ぶ学校だって在ったんだ 」


マオ

「 そうなんだ?

  ほんに今では考えられないね 」


御客:おっさん

ぎゅう魔王の妻・てっせんこうしゅってのが、死んじまったぎゅう魔王の蘇生実験ってのを始めたのがガネになってね、妖怪が一斉に暴走して狂暴化ちまったのさ 」


マオ

「 蘇生実験??

  生き返らせたいの??

  そんなの成功しないよ。

  死んだらたましいは肉体を離れて輪廻の流れへ還るんだ。

  生き返らせるなんて無理だよ。

  40年も前ならぎゅう魔王のたましいいまごろかのだれかに生まれ変わって生きてるって 」


御客:おっさん

にいちゃんは僧侶様みたいな事を言うんだな 」


マオ

「 そうかな? 」


セロフィート

「 蘇生実験ですか。

  なにやら面白そうな実験ですね。

  是非とも見学してみたいものです 」


マオ

「 セロぉ~~~~ 」


セロフィート

「 出来もしない事を “ 出来る ” と言い、精神的に参っていたてっせんこうしゅさんを言葉巧み誘惑し、信じ込ませ、40年も騙し続けているのです。

  迄しても実験に興味が湧くのは当然でしょう 」


マオ

「 まぁ……たしかにな~~。

  詐欺師に騙されてて、存分に利用されてて、カモられてる──って事は分かるよ。

  そのてっせんこうしゅさんも災難だよな 」


セロフィート

てっせんこうしゅさんの住まいはに在りますか? 」


御客:おっさん

「 ≪ てんじく ≫に行くなら通過するよ。

  ぎゅう魔王がおさめている≪ 都 ≫は関所になっていてね、通過いんって呼ばれてるスタンプが6つ必要なんだ。

  スタンプが6つ揃ってないと≪ てんじく ≫に到着しても入国審査をパス出来ないのさ 」


マオ

「 へぇ~~。

  関所でスタンプを貰わないと駄目なんだ?

  じゃあ、6つの≪ 都 ≫に立ち寄らないと駄目なんだ?

  面倒だな~~ 」


御客:おっさん

「 こればっかりは仕方無いね。

  なにぎゅう魔王は6人兄弟だからねぇ。

  6つの≪ 都 ≫には1体ずつぎゅう魔王がて治めているのさ。

  まぁ、40年前から≪ 都 ≫で暮らしてる人間達は妖怪の奴隷みたいにひどい扱いを受けているらしいけどねぇ。

  今じゃ誰も≪ 都 ≫にはちかかないし、≪ てんじく ≫を目指して旅をする僧侶様も減ったよ。

  ぎゅう魔王の配下達は僧侶様をつかまえて食べちまうからな! 」


セロフィート

ほかの妖怪は僧侶を襲いません? 」


御客:おっさん

「 あぁ、襲わねぇよ。

  僧侶様はほとけ様の御弟子様だからな。

  妖怪もほとけ様のぶつばつが恐いんだろうよ。

  40年前は人間と一緒に佛教を学んでいたからな……。

  そのりなのかは分からないが、理性が残ってるのかも知れないねぇ 」


マオ

「 ふ~~ん。

  僧侶は襲われないんだな。

  セロ──、僧侶に変装して旅をしないか?

  それなら妖怪と戦う必要ないしさ! 」


御客:おっさん

にいちゃん、そりゃ無理だ。

  妖怪は偽物の僧侶と本物の僧侶様を区別する事が出来るんだ。

  変装しても襲われちまうよ 」


マオ

「 えぇ~~~~。

  バレちゃうの?

  なんで分かるんだろう…… 」


セロフィート

「 “ 人間みなぶっしょうあり ” ときょうもんにもかれているように、しん(諸天善神)ぶつ(,諸菩薩)れいかんかんじゅするしきのうが有ります。

  妖怪は人間よりもれいかんが強く敏感なのでしょう。

  僧侶さんに会った事がないので推測になりますけど、一般市民よりれいかんは強いかも知れません 」


マオ

ほとけ様の弟子だからか? 」


セロフィート

ぶつもんはいるのです。

  洗礼のさいに祝福を授かるでしょう 」


マオ

「 洗礼ってなんだよ?

  祝福って?? 」


セロフィート

「 洗礼とは、かんおう修行です。

  祝福とは、れいかんおうつうのうりき──れいかんのうまたはかんおうりきる事です 」


マオ

かんおう修行って?

  修行僧がくやってるなんぎょうぎょうみたいなヤツか? 」


セロフィート

すいぎょうねつぎょうだんじきぎょうぜっしょくぎょうぎょう,おこもりのぎょうなど(など)なんぎょうぎょうをしてもさとりのかてとはなりません。

  それゆえしゃくそんどうぎょうとして禁止しています 」


マオ

「 じゃあ、どんなかんおう修行をしたら、れいかんおうつうのうりきを授かるんだ?? 」


セロフィート

「 いやですね、マオ。

  ワタシは吟遊大詩人です。

  ぶつもんはいってませんし、知る訳ないでしょうに 」


マオ

「 誤魔化すなよ…… 」


セロフィート

「 誤魔化してません 」


マオ

ところでさ、しゃくそんって誰さん?? 」


御客:おっさん

にいちゃん、しゃくそん様を知らないのかい!?

  がたきょうもんを≪ てんじく ≫に残してくださったさいこう・おしゃ様だよ 」


マオ

さいこう??

  おしゃ様ぁ?? 」


セロフィート

しゃとは “ 佛教をいた人物 ” として有名です。

  “ しゃくそん ” という呼び方は “ とうらいぶつ ” の事を意味します 」


マオ

とうらいぶつ……。

  〈 とうらいぶつ 〉って言えば、じんしんかりけんに出現したしん(諸天善神)ぶつ(,諸菩薩)の事だよな? 」


セロフィート

「 そうです。

  く覚えてましたね。

  偉いです、マオ 」


マオ

「 まぁな!

  だって、しん(諸天善神)ぶつ(,諸菩薩)はセロの1番なんだろ!

  セロの為に頑張って覚えたんだ! 」


セロフィート

がとう、マオ。

  嬉しいです(////)

  ──この≪ 大陸 ≫では、“ しん(諸天善神)ぶつ(,諸菩薩) ” と言うよりも “ しゃぶつ ” と呼んだ方がるかも知れませんね 」


マオ

「 信仰されてる神様だからか? 」


セロフィート

「 この≪ 大陸 ≫のりんみんに “ 神様 ” と言っても首をかしげるでしょう。

  “ ほとけさま ” と呼んだ方がつうじます 」

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