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⭕ 雹が降る山 5


猪八戒

「 ──それにしてもなんでセロフィートはん達は森になんはいったんや? 」


 オレと同様に鍋プリンを食べながらちょはっかいさんが疑問を投げ掛けてる。

 ちょはっかいさんって豚の割には綺麗に料理やデザートを食べている。

 普通にきたなく食べ散らかしたりして周りをよごすかと思ってたのに吃驚だ。


玄奘三蔵法師

「 この先の山を目指しています。

  は山を登る予定です 」


猪八戒

「 ≪ てんじく ≫を目指してんのに山登りかいな?

  やまえしても≪ てんじく ≫へは着けへんでぇ 」


玄奘三蔵法師

「 いえ、やまえをするつもりではないのです 」


猪八戒

「 ほな、なんの為に山登りするんや? 」


 ちょはっかいさんはひだりどなりに座っているげんじょうさんと話している。

 仙人とじき(じき)に話せてげんじょうさんも嬉しそうだ。

 ちょはっかいさんの疑問に対して丁寧に答えている。

 流石は僧侶と言うべきか。


猪八戒

「 ほっほぅ~~。

  雲1つない晴天なのに雹が降るんかいな!

  そりゃ、不思議やなぁ 」


玄奘三蔵法師

「 今はだ錫杖が反応していないので、封印されているしんしょうなのかは分からないのですが…… 」


猪八戒

「 錫杖が反応かいな……。

  山にはいらんと反応せえへんのかいな?

  しかし、錫杖の中にしんしょう宿やどっとるとは不思議やわ 」


玄奘三蔵法師

かんぜんおんさつ様の錫杖らしいのです。

  私は封印されているしんしょう様を解放しながら≪ てんじく ≫を目指しているのです。

  ですから≪ てんじく ≫に到着するのはなんねんになるか── 」


猪八戒

さんぞうほうはん、人間の寿命は100年でっせ!

  あんさんはだ20代でっしゃろ?

  だ80年もあるやんか。

  大丈夫や、気長に楽しく旅しまひょ。

  つらくるしい旅よりも楽しい旅の方が、土産みやげばなしになるんやでぇ。

  1人で旅しとるんやないんや、貴重な旅を心の底から楽しみなはれ! 」


玄奘三蔵法師

ちょはっかい様──、がとう御座います(////)」


猪八戒

さんぞうほうはん、もっと肩の力を抜きぃな。

  堅苦しいのはあかへんでぇ。

  心をはなすんやでぇ!

  そやな──、先ずはワテの事を気軽に “ はっかい ” って呼んでみよか。

  ワテも “ さんぞうはん ” って呼ぶさかい、どや? 」


玄奘三蔵法師

「 えぇぇぇぇ!?

  いくなんでも仙人様の名前を呼び捨てには出来ません!! 」


猪八戒

「 堅苦しいでぇ、さんぞうはん。

  心を解放するんや。

  本人のワテが “ えぇでぇ ” って言っとんのや。

  勇気を出して呼んでみぃな!

  男なら度胸と根性を見せんかい!

  さんぞうはんに付いとるただの飾りなんかぁ!? 」


玄奘三蔵法師

「 か……飾りではありません!!(////)

  私はれっきとした男です!! 」


猪八戒

「 男を名乗るんやったら、男らしさを見せたらんかい! 」


玄奘三蔵法師

「 ──はっかい…………さん(////)」


猪八戒

「 恥じらうんやないわ。

  さんぞうはんは乙女おとめかいな~~。

  敬称なんか付けんでえぇんやで。

  ワテは旅の仲間やろ。

  仲間に敬称て付けて呼ばへんねんでぇ 」


 ちょはっかいさんは意外にもげんじょうさんに対してグイグイ攻めている。

 もしかしてちょはっかいさんはげんじょうさんを気にったのかな??

 仲良くなるのはい事だよな!


 げんじょうさんはグイグイと攻めてるちょはっかいさんに対して苦戦してるみたいだ。

 タジタジしているげんじょうさんはレアかも知れない。

 見ていて楽しいなぁ~~。

 うん、プリンも進む!











猪八戒

「 ほっほぅ~~。

  それはほんまでっかい? 」


セロフィート

「 事実です。

  これもだいじょう佛教の説法(きょう)記録(もん)かれている内容です 」


猪八戒

「 ほぉ~~ん……。

  奥が深いんやなぁ。

  しゃぶつさんもげんさつさんもかんぜんおんさつさんも錫杖んなか宿やどっとるしんしょうさんもしん(諸天善神)ぶつ(,諸菩薩)ほう便べんしんなんかいな。

  まったくの別もんではないんやなぁ~~ 」


マオ

「 方言みたいなもんなんだってさ。

  地方に依って呼び方が違ったりするじゃんか。

  茶碗って一般的には “ 茶碗 ” って呼ばれてるけど、別の地方へ行けば独特の呼び名で統一されてたりするじゃんか。

  もとは “ 茶碗 ” なのに地方に依っては全然違う名前で親しまれてるし、浸透してるじゃんか。

  宗教の信仰しんも同じなんだよな。

  人間の方が自分達の都合に合わせて、名前を付けて役割を振っては勝手に信仰しんかずを増やして行ったんだ。

  だから、色んな名前で呼ばれているし、違う名前で宗教の信仰しんとして信仰のしょにされてるんだよな 」


セロフィート

く覚えていました。

  偉いです、マオ 」


マオ

「 ふっふ~~ん。

  これでオレがオツムのりない馬鹿じゃない──って事の証明が出来るだろ!」


セロフィート

「 それとこれとは別です 」


マオ

なんでだよぉ~~ 」


セロフィート

だいじょう佛教の中身を教えを伝える事よりも、先ずは “ だいじょう佛教という教えが存在する ” という事を広く知らせる為に当時のりんみん達の水準に合わせてかれたのかも知れません。

  くちコミの方が広がるのも早いでしょうし 」


マオ

たしかにな~~。

  くちコミのちからってあなどれないもんな。

  の時代でもうわさばなしは蜜のあじって言うもんな! 」


セロフィート

「 マオ──、それを言うなら “ にんの不幸は蜜のあじ ” です 」


マオ

「 そうだっけ?

  どっでもだろ~~ 」


セロフィート

い訳ないでしょう 」


マオキノ:本体

「 マオ様はオツムが弱いですエリ~~。

  からマオ様のメニューだけ魚料理のフルコースに変更致しますエリ 」


マオ

「 マオキノぉ~~。

  勝手にメニューの変更をしないでほしいんだけどな! 」


マオキノ:本体

「 安心してくださいませエリ。

  当初のマオのメニューはちょはっかいの分として出させて頂きますエリ 」


マオ

「 えぇ~~~~ 」


猪八戒

「 そらぁ、ごっそさんになりますなぁ(////)

  ところで気になったんたんやけどもな──、なんでセロフィートはんは “ だいじょうぶっきょう ” って言ってんのや?

  “ だいじょうぶっきょう ” やないんかいな? 」


セロフィート

「 “ 仏 ” と “ 佛 ” の違いですね。

  『 だいじょう仏教だ 』と言う人の殆んどは、“ 人格・釈迦がいた ” と思い込み、信じているからです。

  〈 とうらいぶつ 〉という存在を否定し、信じない人達は “ 仏 ” を使った “ だいじょう仏教 ” と言います。

  『 だいじょう佛教だ 』と言う人は、“ 神格・ぶっいた ” と素直に信じています。

  〈 とうらいぶつ 〉という存在を肯定し、信じている人達は “ 佛 ” を使った “ だいじょう佛教 ” と言います。

  それだけの違いです 」


マオ

「 へぇ~~。

  そうだったんだな~~ 」


セロフィート

「 マオ、きみには前に教えた筈ですけど? 」


マオ

「 えっ……マジで?

  …………………………勿論、覚えてたぞ!

  ワザと知らない振りをしてたんだ! 」


セロフィート

「 マオのうそきさん♪

  マオに教えたのは今回が初めてです 」


マオ

「 はぁぁぁぁあん!?

  オレを騙したのかよ!

  そういうのめてくれよな!! 」


セロフィート

「 マオの反応が見たかったんです 」


マオ

「 セロの馬鹿っ!! 」


猪八戒

なかのえぇ親子でんなぁ 」


マオ

「 お……親子…………兄弟なんだけど…… 」


猪八戒

「 おちゃめな冗談でんがな。

  マオはんは引っ掛かり易いんやなぁ。

  素直ぎるのも問題やでぇ。

  それにしても、えろぉ似とりまへんなぁ?

  ほんまに兄弟なんでっか? 」


セロフィート

「 母親が違うのです。

  マオの父親と母親は人間ですけど、ワタシの母親はようなのです 」


猪八戒

「 よっ……ようやって?!

  はっの妖怪は絶滅したと聞いとったんやけど──、生き残りがってんやなぁ…… 」


マオ

「 えぇと……ようとかはっってなんなんだ?? 」


セロフィート

「 マオにも話してませんでしたね。

  きゅうきつねの末裔を “ よう ” と呼びます。

  “ よう ” は全身が真っ白なきつねで、べつめいで “ はっ ” とも呼ばれています。

  美しい毛並みや瞳を求めてよくぶかい人間達に乱獲され、千年ほど前には姿を消しました。

  なので、“ 絶滅した ” と信じられていたのです 」


マオ

「 とんだ初耳だよ!

  ──で、長い事ずっと “ 絶滅してた ” って思われてたようがセロを産んだじつって事かよ?

  どおりで人より無駄に白いと思ったよ!!

  でもさ、どうやって親父と出逢ったんだよ? 」


セロフィート

「 それは聞いてません。

  ワタシを産んだすうじつ、母は行方知れずとなってしまったので── 」


マオ

「 行方知れずぅ~~?

  なんで産まれたばかりの子供を置いて行方知れずになるんだよ? 」


セロフィート

「 さて──。

  育児放棄を選んだ母の考えは分かりません 」


 セロめぇ──、さては考えてないんだな!

 いきなりアドリブをれるのめてほしいよな、まったく!!

 でもこれで、セロは妖怪と人間のハーフって事になった。

 オレは人間同士の子供って事だ。


 でもさ、妖怪と人間のハーフの子供もぎゅう魔王の蘇生実験の被害を受けて豹変してないとよなぁ?

 なんで誰も突っ込まないんだよ!

 誰か不思議に思えよ!!


玄奘三蔵法師

「 あのぅ……宜しいでしょうか?

  セロフィート殿どのは妖怪と人間のハーフなのですよね?

  、セロフィート殿どのは平静をたもつ事が出来ているのですか? 」


 げんじょうさんっ!

 ナイスな突っ込みだよ!!


猪八戒

「 そらな仙人の子孫やさかい、狂わへんのや 」


 ちょはっかいさんが、まさかの援護射撃だ。


マオ

ちょはっかいさん、“ 仙人の子孫だから ” って、どゆこと??

  所帯を持ったら仙人は≪ 仙人界 ≫から追放されちゃうんじゃないの?

  仙人をめないといけないのが≪ 仙人界 ≫の決まりなんだよね? 」


猪八戒

「 マオはん、それはな “ 所帯を持つ事を強く望む仙人 ” に対してやで。

  所帯を持つ気のない仙人には適用されへんのや 」


マオ

「 えっ??

  所帯を持たずに子供を産んで育てる──って事? 」


猪八戒

「 そやで。

  仙人ってのは世俗を捨てた世捨てびとや。

  独身である事が仙人でられる1番の条件なんや。

  仙人の中には『 仙人でたい。でも子供は欲しい 』っちゅう奴や『 仙人でたい。でも子孫は残したい 』っちゅう奴はぎょうさんるんや。

  そういうとき、男の仙人は≪ 下界 ≫にざんしては気にった人間の女を見付けては手当たり次第に自分のだねを植え付けるんや 」


マオ

「 えっ…………それって…… 」


猪八戒

「 女の仙人も≪ 下界 ≫へざんしては気にった男のだねを子宮胎へそそがせるんや 」


マオ

「 ……………… 」


猪八戒

「 産まれた子供は≪ 仙人界 ≫では生きられへんからな、≪ 下界 ≫に残して帰るんや。

  仙人の血を受け継いどるさかい、40年前に始まった異変の影響を受けずにしょうたもてとるっちゅう事や。

  探せばほかにもると思うでぇ 」


マオ

「 そうなんだ…………。

  仙人のイメージが崩れちゃったな。

  めちゃくちゃ世俗にし…… 」


猪八戒

「 そんなん、ほんの一握りの仙人だけですわ。

  普通の仙人は気楽な独身を謳歌しとりますしな。

  ──それより、は登山するんでっしゃろ?

  まで登る予定なんや? 」


セロフィート

「 それは雹次第です。

  にならなければ分かりません 」


マオキノ:本体

に備えて温泉に浸かってくださいませエリ 」


マオ

「 温泉?

  こんな所に天然温泉が在るのか? 」


マオキノ:本体

「 即席で作りましたエリ。

  簡易温泉ですエリ。

  温泉水は持参しましたエリ 」


マオ

「 ………………キノコンのさかなかって凄いんだな……。

  もしかして、ブラックホールとかじゃないよな? 」


マオキノ:本体

「 違いますエリ~~。

  冷めない内にはいってくださいませエリ。

  寝床の準備は、お任せくださいませエリ 」


マオ

がとな、マオ()キノ()と分身たい達! 」


 そんな訳で──、食後のデザート(鍋プリン)を切り上げる事にした。

 げんじょうさん,ちょはっかいさんと一緒に()オキ()()達が作ってくれた簡易温泉に入浴する事にした。


 簡易温泉の周囲には()オキ()()達が見張り役として待機してくれているお蔭で、安心して温泉を堪能する事が出来そうだ。

 げんじょうさんは久しりの温泉に喜んでいる。

 ちょはっかいさんは温泉とか初めてなのかな?

 はだかになってはいるのにちゅうちょしているのか、躊躇ためらっているのか、あれこれと戸惑ってるみたいだ。

 温泉水に豚のが出ちゃったりして??

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