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⭕ 雹が降る山 3


 今夜のゆうは賑やかになった。

 げんじょうさん,セロ,オレのほかたいしょっかんちょはっかいさんが加わったからだ。


 ちょはっかいさんは、したつづみを打ちながらしそうに、()オキ()()達が作った料理を食べる食べる食べる食べる。

 まるで体内にブラックホールでも渦巻いてるんじゃないか──って思うほどだ。


 オレも食べるけど、ちょはっかいさんも食べるから、()オキ()()達は嬉しそうに腕を振るって料理を作っている。

 ちょはっかいさんは幸せそうな顔をして料理を食べている。


玄奘三蔵法師

「 ……凄い食べっぷりですね。

  じんがい仙人様はく食べるのが一般的なのでしょうか? 」


猪八戒

「 ちゃうで、ちゃうちゃう!

  本来の仙人は≪ 下界 ≫の料理はわんもんや 」


マオ

「 じゃあ、なんちょはっかいさんや(ちょ)(はっ)(こん)さんは≪ 下界 ≫の料理を食べてるんだ? 」


猪八戒

「 ワテはもと(もと)食用の家畜やったんや。

  人間にわれる為だけに生まれ、育てられた豚やったんやで。

  仲間と乗せられた馬車が妖怪に襲われてな、ワテちり(ぢり)になって逃げたんや。

  そやけど所詮は豚やさかい、妖怪(ども)つぎ(づき)に狩られたんや。

  勿論、ワテも── 」


マオ

「 妖怪につかまったの? 」


猪八戒

「 ギリギリやったわ。

  ワテは御師匠さんに救われたんや。

  御師匠さんはとくを積む為に≪ 下界 ≫へとってんな。

  御師匠さんはとくを高める為、生き残ったワテを弟子にしてくれたんや。

  ワテは御師匠さんのもとで修行して仙人の一員になれたんやけどな、仙人になるんは簡単な事やない。

  仲間のなんたいかは挫折してな、仙人になる事を諦めた仲間もったんや。

  妖怪として生きる事を選んだ仲間もる 」


マオ

「 へぇ~~。

  もとは食用豚でも仙人の弟子になれるんだ?

  凄いはなしだよ!

  ロマンあるな~~(////)

  でもさ、挫折して脱落するほど仙人になるのってむずかしいんだな。

  仙人になるのを諦めたら妖怪として生きれるんだ? 」


猪八戒

「 そやで。

  豚として生きる事を選んだ仲間はらへんでぇ 」


マオキノ:本体

しく頂かれちゃいますエリ~~ 」


猪八戒

「 そやで!

  人間にわれる豚になんかに誰も戻りたいとは思わへんでぇ。

  40年前に起きた妖怪達の凶暴化には≪ 仙人界 ≫も注目しとるんや。

  なんめいもの仙人がとくを積む機会と考えて≪ 下界 ≫へとるんや 」


マオ

「 えっ?!

  そうなのか?

  40年も前から仙人が……。

  でもさ、会った事ないよな? 」


セロフィート

「 マオもまだ(まだ)ですね。

  ≪ そんしょうの村 ≫の酒場で会ってますし 」


マオ

「 えっ──??

  どゆことだよ? 」


セロフィート

「 酒場で話した人が “ 仙人だった ” という事です。

  旅人に声を掛けては情報を集めていたのでしょう 」


マオ

おっさんが仙人だった!?

  全然かなかったよ…… 」


セロフィート

「 そう言えば、ちょはっかいさんの顔が腫れていましたね。

  なにか有りました? 」


猪八戒

「 あれは蜂に刺されたんや 」


マオ

「 えっ?

  森の中に蜂の巣なんて有ったんだ?

  かなかったよ 」


猪八戒

まったく──、あんさんの所為なんやでぇ 」


マオ

「 え?

  オレの所為なの?!

  オレ、ちょはっかいさんになにかしたかな?

  存在も知らなかったのに…… 」


猪八戒

「 あんさんが足を滑らせたきんに蜂の巣が有ったんやで。

  あんさんが落ちた拍子で蜂の巣が刺激されたんや。

  蜂からしたら巣を攻撃されたと思ったんやろな。

  あんさんの前に飛び出した兎に気を取られたワテが、落ちてったの代わりに蜂の大群に襲われて刺されたんやでぇ 」


セロフィート

「 それは災難でしたね。

  腫れが引いてかったです 」


マオキノ:本体

「 人間だったら死んでましたエリ~~ 」


猪八戒

「 そやで、まったく!

  えらい目におおてもうたわ!

  責任を取ってほしいぐらいやで! 」


マオ

「 責任って言ってもな~~。

  オレだって飛び出てた兎の被害者なんだぞ!

  泥だらけになって、落ちた枝を拾い集めて大変だったんだ! 」


セロフィート

「 縁とは面白いです。

  そうは思いませんか、げんじょうさん 」


玄奘三蔵法師

「 はい。

  そう思います。

  目の前に本物のじんがい仙人様がられるなんて……凄い縁だと思います 」


猪八戒

げんじょうさんぞうほうったら──、げんさつの神託を受けて≪ てんじく ≫目指しとるっちゅう僧侶はんかいな 」


玄奘三蔵法師

「 はい、そうです。

  まだ(まだ)未熟者で修行の身ではありますが、げんさつ様からかんぜんおんさつ様の錫杖をうけたまわり、≪ てんじく ≫へ届ける旅をしております 」


猪八戒

「 ほっほぅ~~。

  そいつはえろぉ難儀な旅になるんちゃいまっか?

  関所が自由に通行が出来るようになったさかい、ラクになったとは言っても、ぎゅう魔王の配下だった残党はまだ(まだ)多いでっしゃろしなぁ。

  平気で僧侶を襲って食らうんやろ? 」


マオ

「 そういう事は仙人も知ってるんだ?

  仙人はぎゅう魔王の蘇生実験の被害は受けなかったんだ? 」


猪八戒

ぎゅう魔王の蘇生実験??

  なんやねん、それ 」


セロフィート

「 人間と良好的に暮らしていた妖怪達を豹変させた原因です。

  てっせんこうしゅさんとせいてんたいせいそんくうが関与していた事件です。

  ワタシのキノコン達が関所の≪ 都 ≫を制圧した事で、ぎゅう魔王さんの蘇生実験も阻止する事が出来ました。

  それでも豹変してしまった妖怪達がもとに戻る事はないです 」


猪八戒

「 そうやってんな……。

  てっせんこうしゅせいてんたいせいそんくうかいな……。

  関わりとう無い最悪な組み合わせやわ 」


マオ

なんでだ? 」


猪八戒

てっせんこうしゅは美しい人間の容姿をしとんのやけど、本性はコウモリおんななんやで。

  コウモリおんなはおっかないんや。

  てっせんこうしゅが持っとるほうしょうせんは厄介な武器なんや。

  せいてんたいせいそんくうもワテやてっせんこうしゅど同じじんがい仙人なんやけど──、手の付けられん暴れん坊やったらしくてな≪ 仙人界 ≫を追放されとる仙人として有名や。

  味方に出来たらこころづよいんやろうけど、ままで傍若無人な俺様主義な奴さかい、関わらん方がえぇんや。

  ついでに言っとくとてっせんこうしゅの夫──ぎゅう魔王の4なんぼうせいてんたいせいそんくうとは兄弟やったんやで。

  せいてんたいせいそんくうあに弟子でな、おとうと弟子の4なんぼうしりぬぐいしとったっちゅう話しも有名やったんやでぇ 」


マオ

「 へぇ~~。

  オレはあに弟子なんて御免だよ。

  なんで大人しくしりぬぐいしてたんだろうな? 」


猪八戒

「 4なんぼう王は奴やったんや。

  なんで4なんぼうせいてんたいせいそんくうしたっとなんて本人でもない限り分からへんて。

  そやけど、4なんぼうてっせんこうしゅと夫婦になった噂を聞いたときは吃驚やったで。

  耳を疑ったもんや 」


セロフィート

「 それだけ有り得ない “ 組み合わせ ” と言う事ですか? 」


猪八戒

「 そやな。

  “ 事実は小説より奇なり ” とはゆうたもんやわ。

  4なんぼうだんしょくだったさかい、女と所帯を持つなんて誰も思ってなかったんや。

  なにが4なんぼうの身に起きたんやろなぁ~~ 」


マオ

「 じゃあさ、てっせんこうしゅは4なんぼうだんしょくだったのを知ってて結婚したって事か?

  凄いな……。

  じゃあさ、てっせんこうしゅの夫だったぎゅう魔王も仙人だったて事か? 」


猪八戒

「 ちゃうで。

  4なんぼうは仙人にはんや 」


マオ

「 えっ?!

  どゆこと?? 」


猪八戒

「 所帯を持ったら仙人にはなれんのや。

  せいてんたいせい孫悟空が≪ 仙人界 ≫を追放されたのはおとうと弟子が仙人になる道を捨てて所帯を持ったあとなんや。

  ぎょうさん荒れたやろうなぁ…… 」


マオ

「 仙人って独身じゃないと駄目なんだ? 」


猪八戒

「 そやで。

  所帯を持ちたいなら、みずから仙人をめて≪ 仙人界 ≫を出なあかんのや。

  それが≪ 仙人界 ≫の昔からの決まりなんや 」


マオ

「 へぇ……。

  仙人同士の結婚も仙人を2人で仙人をめて≪ 仙人界 ≫を出ていかないと駄目って事? 」


猪八戒

「 そやで。

  仙人は独り身ばっかりやな 」


マオ

なんでだろう??

  仙人同士で結婚したっていと思うんだけどな…… 」


セロフィート

「 ≪ 仙人界 ≫には≪ 仙人界 ≫の事情が有るのでしょう 」


マオ

「 結婚したけりゃ仙人めろってのはひどい気もするけどな…… 」


猪八戒

「 仙人は基本、世俗の暮らしをみずから捨てた世捨てびとなんやで。

  所帯を持つって事はや世俗と関わるっちゅう事や。

  世俗の暮らしを捨てた世捨てびとから “ 卒業する ” っちゅうこっちゃ。

  この決まりは誰にも変える事は出来ひんのや 」


マオ

ちょはっかいさんのお蔭で仙人の事、沢山知れたよな。

  じかに感じるよ 」


猪八戒

「 ワテが話せる事なら聞かせたるでぇ!

  めしわせてくれるんならや! 」


 ちょはっかいさんはまだ(まだ)食べりないみたいだ。

 ()オキ()()達は料理の作りがある事を喜んでいる。

 オレも負けちゃられないな!

 よぉ~~し、オレも食べるぞぉ!!

◎ 訂正しました。

  家畜豚 ─→ 食用豚

  牛魔王蘇生実験 ─→ 牛魔王の蘇生実験

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