⭕ 枩閊の村 2
──*──*──*── 翌日
──*──*──*── 枩閊の村
≪ 枩閊の村 ≫に滞在する事になって、宿屋を探す。
マオキノの分身体はマオキノに戻り、マオキノは一旦、裏野ハイツに転移された。
セロ,玄奘さんと3人で宿屋を探して、宿泊の手続きを済ませたら飲食店へ向かう。
今回、宿泊する宿屋には食堂や酒場が無いからだ。
飲食店と言っても何軒も在る訳じゃない。
朝食,昼食をメインに経営している飲食店が2軒と夕食,酒場をメインに経営している1軒の合計3軒だ。
セロと玄奘さんと一緒に入店した飲食店には、昨日見た男が居た。
どうやら飲食店の関係者らしい。
昨日の男
「 おっ──、昨日の羽振りの良い兄ちゃんじゃねぇか! 」
セロフィート
「 昨日は豚さんを譲ってくださり、有り難う御座いました。
とても美味しくて食べごたえのある豚さんでした 」
昨日の男
「 そりゃ良かったよ!
あんなに大金を渡されたら、断るなんて出来やしないよ!
豚1匹を渡すだけでウチの店を建て直すのに十分な資金を貰えたんだ。
此方が感謝したい方だよ! 」
セロフィート
「 御互いに良い売買で良かったです 」
マオ
「 ねぇ、お兄さん。
あの豚ってさ、随分と立派な豚だったよね?
唯の豚じゃなくて──、本当に妖怪だったの? 」
昨日の男
「 あぁ──、昨日の豚はとんでもねぇ野郎だよ!
豚なだけに! 」
マオ
「 上手い事、言う~~ 」
セロフィート
「 豚さんは何をしたのですか 」
昨日の男
「 食い逃げだよ!
無銭飲食の常習犯さ!
かなり有名な食い逃げ犯で、デカい≪ 街 ≫で何軒もやらかしてるヤバい奴だ!
この≪ 村 ≫で捕まえる事が出来て幸いだったよ! 」
マオ
「 食い逃げぇ~~?
妖怪って人間を襲うんだよな?
何で人間の飲食店で食い逃げなんてするんだ? 」
玄奘三蔵法師
「 確かにそうですよね?
妖怪が人間の飲食店で無銭飲食をするとは……。
妙ではありますね? 」
マオ
「 牛魔王に支配されたら≪ 都 ≫が解放されたから?
それとも牛魔王の蘇生実験が阻止されたからかな? 」
セロフィート
「 関所を通れる様になった事は無関係でしょう。
牛魔王さんが倒されたとしても妖怪が人間を襲わなくなる事はないですし 」
玄奘三蔵法師
「 そうですね。
旅の道中でも遠慮なく妖怪から襲われますし……。
牛魔王が倒されても妖怪達の抑制,抑止にはならないという事ですね 」
マオ
「 でもさ、≪ 街 ≫で無銭飲食するわ≪ 村 ≫でも無銭飲食するわ──って変な妖怪だよな? 」
セロフィート
「 人間を喰らうのは牛魔王さんの配下だった残党妖怪だけです。
牛魔王さんとは無関係な妖怪だったのでしょう。
人間を喰べず無銭飲食をするぐらいです、食に関して拘りの強い妖怪なのかも知れません 」
マオ
「 色んな妖怪が居るって事か。
食い逃げなんて犯罪を積み重ねて来たから、とうとう人間に捕まってオレ達の夕食になっちゃった訳だな。
同情も出来ないな…… 」
セロフィート
「 する必要ないです 」
玄奘三蔵法師
「 あの──、無銭飲食の常習犯だった昨日の豚の名前は…… 」
昨日の男
「 名前かい?
確か──猪八…………猪八………………何だったかな?
オレは忘れちまったけど、≪ 街 ≫に行けば名前が出てるんじゃないかな。
かなり有名な妖怪だったからな! 」
マオ
「 猪八豚……とかかな??
それとも猪八豚?? 」
セロフィート
「 マオ、幾らなんでも名前に “ 豚 ” は使わないと思いますけど? 」
マオ
「 でもさ、相手は妖怪だぞ。
入れて使うかも知れないだろ? 」
という訳で──、オレ達は無銭飲食の常習犯だった豚の話に花を咲かせながら昼食を始めた。
話の中で次の≪ 村 ≫を通過すると大きな≪ 街 ≫が在るらしい。
≪ 街 ≫の名前は “ 犖榮 ” で、≪ 街 ≫に “ 牛 ” って字が入っている様に乳牛で栄えた≪ 街 ≫らしい。
牛魔王とは無関係の≪ 街 ≫だけど、搾り立ての新鮮で美味しい牛乳が飲めるって有名らしい。
因みにバターやチーズ,ヨーグルトの事を然り気無く聞いてみたら知られていないみたいだ。
これは乳製品を使ってガッポリ出来る予感がプンプンするぅ!!
セロフィート
「 そろそろ出ましょう。
≪ 村 ≫を観光したいですし 」
マオ
「 だよな! 」
玄奘三蔵法師
「 御馳走様でした 」
支払いはセロがしてくれる。
飲食店を出たオレ達は、のんびり≪ 村 ≫を観光して楽しんだ。
──*──*──*── 夕方
──*──*──*── 酒場
一頻り観光を楽しんだ後、夕食を食べれる酒場に入店する。
酒場だから人が多くて賑やかだ。
空いてる席に座って料理を注文する。
運ばれて来た料理を食べていると、近くに座っている客達の会話が聞こえて来た。
何でも突然、空から白い石みたいなのが沢山落ちて来る場所が在るらしい。
白い石の大きさはマチマチで、小さかったり大きかったりと変わるらしい。
先に進むに連れて段々と落ちて来る白い石の量が増えるんだとか──。
マオ
「 セロ──、空から落ちて来る白い石ってもしかして……雹だったりして? 」
セロフィート
「 可能性は有ります 」
マオ
「 だけどさ、雲の無い晴天なのに雹が降るなんて妙な話だよな? 」
セロフィート
「 そうですね。
気になるなら次の≪ 村 ≫へ行く前に寄ります? 」
マオ
「 う~ん……。
晴天なのに空から降って来る雹か──。
玄奘さんは、どう思う?
寄ってみる? 」
玄奘三蔵法師
「 ──妙な事が起きている場所には神将が封印されている可能性が高いと思います。
私は立ち寄ってみたいです 」
セロフィート
「 それが良いでしょう。
急ぐ旅でも無いですし、寄り道しましょう。
神将が関係無くても誰かが解決させなければならない事です 」
マオ
「 もしかしたら、神将が雹を降らしてるかも知れないのか~~。
どんな神将何だろう? 」
玄奘三蔵法師
「 想像も付きません…… 」
セロフィート
「 神将ではなく、妖術を悪用している妖怪の仕業かも知れません。
現地に行けば分かるでしょう 」
マオ
「 だな!
よし、じゃあさ、何時行く? 」
セロフィート
「 3日後にでもピクニックがてら行ってみましょう 」
マオ
「 ピクニックって……。
セロにはそうなんだろうけどさ…… 」
玄奘三蔵法師
「 錫杖に反応が有れば良いのですが…… 」
という訳で──、オレ達は3日後に≪ 枩閊の村 ≫を出発する事になった。
次の≪ 村 ≫である “ 秉凋 ” へ向かう途中に雹が降るって噂されている場所へピクニックがてら寄り道する事になったんだ。