⭕ 枩閊の村 1
──*──*──*── 関所
マオ
「 此処が最初の関所か。
関所って出口に在るんだな 」
キノコン
「 セロフィート様、此方が通過印を押したスタンプ帳ですエリ 」
キノコンは前以て用意していたスタンプ帳を笠から取り出すとセロに手渡す。
マオ
「 これが関所で押して貰える通過印──。
何か……可愛いスタンプだな…… 」
玄奘三蔵法師
「 これを6つ集めるのですね。
確かに通過印にしては可愛いですね(////)」
マオキノ
「 三蔵も記念にスタンプ帳に通過印を押しとくエリ 」
マオ
「 マオキノ、気が利くなぁ~~。
オレのスタンプ帳は無いのか? 」
マオキノ
「 マオ様のスタンプ帳はセロ様が持ってますエリ 」
セロフィート
「 では出発するとしましょう 」
マオキノ
「 マオ様、ボクの笠に座ってくださいませエリ~~ 」
マオキノは自分の笠の上をポンポンと軽く叩いて、オレにアピールして来る。
器用な手だよ。
マオ
「 えぇ~~。
恥ずかしいよ…… 」
セロフィート
「 ふふふ…。
マオ、諦めて堪忍してはどうです? 」
マオ
「 はぁ…………分かったよ(////)」
玄奘さんは〈 馬人形 〉の背中に跨がり、オレはマオキノの笠の上に座る。
〈 馬人形 〉の手綱を握って歩くのはセロだ。
異様過ぎる玄奘三蔵法師一行の出来上がりだ。
関所を管理しているキノコンに見送られながら≪ 攀盖の都 ≫を出発した。
──*──*──*── 2ヵ月後
──*──*──*── フィールド
≪ 攀盖の都 ≫を出て早くも約2ヵ月が経った。
2つ目の関所がある≪ 都 ≫を目指した旅が続く。
≪ 都 ≫に到着する間には幾つもの≪ 村 ≫を通過した。
妖怪に襲われたり、妖怪の被害に遭った≪ 村 ≫を通過したり、封じられた神将を探したりしながら、ひたすら≪ 都 ≫を目指している。
代わり映えのしない殺風景な景色を眺めながら、比較的に退屈な旅が続く。
大きな≪ 街 ≫を通過したら、また幾つもの≪ 村 ≫を通過しないといけない。
流石に飽きて来るぅ~~。
退屈なのはオレぐらいかな。
セロはというと殆んどを玄奘さんと話してばかりだし、マオキノはノリノリで歌を歌って歩いてるし、マオキノの分身体は地図を見るのに忙しいらしい。
うん、誰もがオレに無関心みたいで退屈だ!!
寂しくなんかないんだからな!
いっその事、寝てようかな~~。
セロフィート
「 ──という事から、神将同士を交神させ、新たな神将を生み出す事も可能になるかも知れません 」
玄奘三蔵法師
「 この錫杖にその様な力が── 」
セロフィート
「 可能性の話です。
今、錫杖に宿っている神将は1属性しか使えませんけど、神将同士を交神させる事で、2属性,3属性を使える神将が── 」
玄奘三蔵法師
「 それは心強く頼りになりそうです 」
セロと玄奘さんが錫杖の話で盛り上がってるみたいだ。
神将が、どうのこうの──って事らしいけど、マオキノの歌が邪魔をして上手く聞き取れない。
面白そうな話をしてるのに残念だな……。
マオキノ:分身体
「 セロフィート様、3km先に≪ 村 ≫が在りますエリ。
≪ 枩閊の村 ≫ですエリ 」
セロフィート
「 妖怪に襲われていなければ良いですね 」
マオ
「 廃墟だったら、また野宿になるんだよな?
嫌だなぁ~~~~ 」
セロフィート
「 マオ、野宿も旅の醍醐味です。
楽しんでください 」
マオ
「 それは聞き飽きたっての! 」
玄奘三蔵法師
「 マオ殿は元気ですね(////)」
セロフィート
「 ふふふ…。
マオは面白い子です♪ 」
マオ
「 面白くな~~いっ!! 」
約3km歩いた先に≪ 村 ≫が見えて来た!
また1体のキノコンを残して≪ 村 ≫を再生させるパターンは勘弁してほしい。
マオキノ:本体
「 煙が上がってますエリ 」
マオ
「 妖怪に襲われてるのか?!
助けないと!! 」
セロフィート
「 違います。
アレは妖怪を焼いてます 」
玄奘三蔵法師
「 “ 妖怪を焼いている ” とは?
何故村人が妖怪を焼いているのでしょうか? 」
セロフィート
「 ≪ 村 ≫へ行けば分かります 」
という訳でオレ達──玄奘三蔵法師一行は、煙が上がっている≪ 枩閊の村 ≫を目指して進んだ。
──*──*──*── 枩閊の村
玄奘三蔵法師
「 人集りが出来ていますね 」
マオ
「 野次も飛んでるな 」
セロフィート
「 野次馬さん達に聞いてみましょう 」
セロは〈 馬人形 〉の手綱をマオキノに渡すと野次馬の元へ歩いて行った。
セロは野次馬の1人と話している。
セロが野次馬の中へ入って行った。
マオ
「 オレも行って来る!
マオキノ、玄奘さんを頼むな! 」
マオキノ:本体
「 マオ様ぁ~~、ボクから降りちゃうですエリ? 」
マオ
「 降りないとセロの所に行けないからな! 」
オレはマオキノの笠から降りると野次馬達へ走った。
セロの後を追って野次馬を掻き分けて先へ進んだ。
マオ
「 セロ! 」
セロフィート
「 マオ、どうしました? 」
マオ
「 …………何をしてるんだ? 」
セロフィート
「 大きな豚さんを買いました。
今夜の夕食は豚さんの丸焼きです♪ 」
マオ
「 豚の丸焼きぃ~~?
やったぁ!!
食べごたえ有るな! 」
セロフィート
「 マオ、其処に吊るされている豚さんを運んでください 」
マオ
「 オレ1人でか? 」
セロフィート
「 マオしか居ないでしょうに 」
マオ
「 …………分かったよ。
焼いてるの妖怪じゃなかったな 」
セロフィート
「 マオ、向こうで焼かれているのは妖怪ですよ 」
マオ
「 え゛っ!?
マジで妖怪を焼いてるのか!? 」
セロフィート
「 ≪ 村 ≫に悪さをしに来た妖怪達だそうです。
毎回、見せしめに殺した妖怪の死体を焼いているそうです 」
マオ
「 マジかよ。
セロなら真っ裸にして全身の皮を剥いだ状態で逆さ吊りの刑なのにな! 」
セロフィート
「 失礼ですね。
マオ、早く運んでください 」
マオ
「 分かったよ…… 」
オレは逆さ吊りされた状態の豚に目を向ける。
豚は良く肥えていて美味そうだ。
焼き具合は──未だ焼く前みたいだからか、豚らしい独特の色をしている。
豚を丸焼きにしようとしていた人は、セロが支払った銭袋の中身を見ながらニヤニヤと笑っている。
一体セロは豚に幾ら支払ったんだろうな?
オレは前足と後ろ足を縄で縛られている豚を担いで、セロの後ろを歩く。
マオ
「 セロ、何処で豚を丸焼きにするんだ? 」
セロフィート
「 ≪ 村 ≫の外です。
今夜は野宿になります 」
マオ
「 マジかよ?!
折角、宿屋に泊まれると思ったのにぃ~~~~!!
豚の所為で野宿かよ!! 」
人集りから抜けるとマオキノが両手を振ってくれる。
マオキノ:本体
「 セロ様ぁ~~!
マオ様ぁ~~! 」
オレを乗せて歩くサイズのマオキノはデカいな。
可愛さは変わらないけど、脅威だ……。
玄奘三蔵法師
「 何があったのですか?
それにその豚は一体── 」
マオ
「 今晩の夕食だってさ。
コイツの所為で今夜も野宿だよ! 」
セロフィート
「 ≪ 村 ≫の外れにテントを張りましょう 」
マオキノ:本体
「 はいですエリ!
豚の丸焼きは精が付きますエリ。
特に豚の●●●●は馬の●●●●には劣るものの── 」
マオ
「 マオキノぉ~~。
一旦、黙ろっか? 」
マオキノ:本体
「 マオ様、笑顔が笑顔に見えませんエリ~~ 」
──*──*──*── 村の外れ
≪ 枩閊の村 ≫から少し離れた場所に野宿する為のテントを張った。
テントの準備も食事の準備もマオキノが全部してくれるから有り難い。
玄奘さんはセロと一緒に豚を丸焼きにする為の準備を見ている。
オレはマオキノと一緒に豚を丸焼きにする準備をしている最中だ。
マオ
「 それにしてもデカい豚だな~~。
食べごたえが有るのは嬉しいけど、丸焼きにするだけじゃ勿体無い気がするな 」
マオキノ:本体
「 豚にしては珍しく立派な●●●●ですエリ。
マオ様、霄囹ちゃまへの “ お土産 ” にしましょうエリ 」
マオ
「 とんだ嫌がらせだな。
豚なだけに!
オレ──、今、面白い事を言ったよな? 」
マオキノ:本体
「 去勢を始めますエリ 」
マオ
「 無視するなよ、マオキノぉ!!
恥ずかしいだろ(////)」
玄奘三蔵法師
「 豚の丸焼きを食べるのは初めてです。
どの様な味がするのでしょうか?
楽しみです(////)」
セロフィート
「 そう言えば、ワタシも初めて食べます。
調理はしても丸焼きにした事はなかったです。
マオキノ、去勢の後に体内の臓物を外へ転送させます。
腸を使いウインナーを作りましょう 」
マオキノ:本体
「 畏まりましたエリ 」
豚の臓物を入れる為に使う入れ物をセロが〈 テフ 〉を構成する。
豚の近くには一般的な寿司桶
マオキノ:本体
「 此方
マオ
小さめの寿司桶
玄奘三蔵法師
「 はぁ~~…………確
お土産にすると言っていましたが、何
セロフィート
「 霄
陰陽術を使った実験に使うと思います。
どう使うかはワタシにも分かりませんけど 」
玄奘三蔵法師
「 陰陽師……ですか?
聞いた事の無い職業です 」
セロフィート
「 この≪ 大陸 ≫には居
セロは古代
転送された臓
マ
マオキノ:本体
「 丸焼きを始めますエリ 」
別のマ
マオキノ:本体
「 豚の丸焼きが出来上がる迄、時間が掛かりますエリ。
此方
セロフィート
「 豚さんの焼き具合はマ
マオ
「 そうだな~。
早く食べたいよ 」
玄奘三蔵法師
「 私も早く食べてみたいです(////)」
マオキノ:本体
「 三
玄奘三蔵法師
「 有
オレ達はマオ
豚の丸焼きが完成して、綺麗に片付けられたテーブルの上に置かれる。
マ
マオ
「 すげぇ~~!
こんがり焼けてるぅ~~!
色も匂いも良
美
玄奘三蔵法師
「 外
中
美
セロフィート
「 やはり唯
マオ
「 うん?
唯
妖怪って──、どゆことだよ?? 」
マオキノ:本体
「 マオ様は気
マオ
「 マオキノは気
マオキノ:本体
「 勿論ですエリ★
明らかに普通の豚の●●●●
マオ
「 気
豚の妖怪の食べて身体
セロフィート
「 心配ないです。
牛
マオ
「 通
セロは牛
セロフィート
「 ふふふ…。
ワタシの分も食べてください♪ 」
マオ
「 セロぉ~~~~!!
セロもたべろぉ!! 」
セロフィート
「 はいはい。
マオ──、『 あ~~ん 』してください♪ 」
マオ
「 オレに食べさせんな!
セロが『 あ~~ん 』しろぉ!! 」
玄奘三蔵法師
「 あははっ…(////)
セロフィート殿
セロフィート
「 ふふふ…。
仲良し兄弟です♪ 」
マオキノ:本体
「 マオ様、未
残さず食べてくださいませエリ 」
マオ
「 豚の妖怪の肉なんて食べたくないよ! 」
マオキノ:本体
「 マオ様、好き嫌
お残しは駄目ですエリ~~ 」
マオ
「 オレばっかに食べさすなよな! 」
セロもマオ
…………………………悔しいけど、美
癪