⭕ 攀盖の都 3
──*──*──*── 温泉宿の何処か
セノコン
「 ──という報告を受けましたエリ 」
セロフィート
「 齊天大聖孫悟空を捕らえましたか 」
セノコン
「 …………………………それが……捕獲した筈の齊天大聖孫悟空は──、錦斗雲に連れ去られてしまったそうですエリ~~~~。
齊天合神の解けた錦斗雲をノーマークしていたのは失態でしたエリ…… 」
セロフィート
「 捕獲して直ぐに連れ去られた訳ではない筈です。
何が起きたのか──、全力で言い訳をしてみなさい 」
セノコン
「 はいですエリ!!
報告では、鉄扇公主が現れましたエリ! 」
セロフィート
「 鉄扇公主さんです?
齊天大聖孫悟空の救出に出て来たと? 」
セノコン
「 分かりませんエリ…。
報告では鉄扇公主は妙な武器を所持していた様ですエリ 」
セロフィート
「 妙な武器…です?
それは気になりますね 」
==*==*==*== 回想シーン
キノコン達により齊天大聖孫悟空が捕獲された。
その数分後──、錦斗雲が見知らぬ人物を乗せて戻って来た。
?
「 呆れた!
あんなに大見栄を切っといて何て様なの!
チッ、脳筋馬鹿猿なんかを当てにしたのが間違いだったわね! 」
錦斗雲
「 姉御ぉ~~。
オイラの相棒を助けてやってくださいヨークシャテリア 」
姉御と呼ばれた人物
「 チッ、めんどくさいねぇ!!
死んだ亭主の兄貴弟子って誼だよ!!
これじゃあ、蘇生実験が進みやしない!! 」
錦斗雲
「 あの玄奘三蔵法師ってのが持ってる錫杖には神将が宿ってるんでショートケーキ。
手間が省けたじゃないっすカットフルーツ 」
?
「 馬鹿言ってんじゃないよ!
一体全体アレの何処を見て “ 玄奘三蔵法師 ” だなんて思うんだ!
玄奘三蔵法師は人間だよ!
アレの何処が人間に見えるってんだい!
お前の目は節穴かい!! 」
錦斗雲
「 自分から “ 玄奘三蔵法師 ” って名のってましたけどネグレクト 」
?
「 真に受けてんじゃないよ!!
だけど、あの錫杖は頂かないとねぇ──。
蘇生実験を成功させる為には “ 神将の神力が必要 ” って事が判明したんだからねぇ!! 」
錦斗雲
「 姉御はあの怪しい術師を信じ過ぎてやしませんカマキリ? 」
姉御と呼ばれた人物
「 煩いねぇ!!
何だって構わないんだよ!
どんな方法だろうと、アタシの愛しいを紅孩児が戻って来てくれるならねぇ!!
亭主の命の1つや2つ、幾らでも熨斗を付けてやるさね!! 」
錦斗雲
「 亭主の牛魔王が愛人を100人も作ったのが、そんなに許せないのかねぇ~~。
相棒なんて愛人が1000人も居るんだぜぇ!
100人程度で目くじら立て過ぎダッチワイフ 」
?
「 黙れぇ!!
アタシだけって──、お前を一途に愛する──って、プロポーズしたくせにぃぃぃぃぃぃーーーーー!!!!
男の愛人ばっかり作って侍らせてぇ~~~~、毎晩激しく発情しやがってぇぇぇぇぇぇーーーー!!!!
キェェェェェェイ!!!! 」
錦斗雲
「 そりゃ御愁傷様っスクランブルエッグぅ~~。
はよぅ、相棒を助けてくださイルミネーション 」
?
「 あんなヘンテコリンな化け物なんか、アタシの芭蕉扇の力が吹き飛ばしてやるよ!! 」
姉御と呼ばれた人物は豊満な胸元の谷間に指を入れ、小さくしている芭蕉扇を取り出した。
たわわに実っている豊満な左右の胸は上下にバインと揺れる。
姉御と呼ばれた人物は芭蕉扇に妖力を流して大きさを変える。
?
「 この鉄扇公主様の宝具──芭蕉扇の攻撃を食らいなぁ!! 」
鉄扇公主は巨大化させた芭蕉扇を軽々と持ち上げて扇ぐ。
物凄い風力の暴風が、筋肉ゴツ盛りムキムキマッチョなキノコンと通常サイズのキノコン達を直撃する。
突然の暴風により、殆んどのキノコン達が≪ 都 ≫の外へ吹き飛ばされた。
筋肉ゴツ盛りムキムキマッチョなキノコンは何とか暴風に耐え抜いている。
鉄扇公主は容赦なく芭蕉扇を扇ぐ。
何とかして筋肉ゴツ盛りムキムキマッチョなキノコンを暴風や爆風の力で転倒させ様としている。
筋肉ゴツ盛りムキムキマッチョなキノコンは鉄扇公主に向かってキノコン砲を放つ!!
然し、芭蕉扇で起こす風により鉄扇公主はキノコン砲のダメージを受けない。
鉄扇公主が芭蕉扇を巧みに扱い筋肉ゴツ盛りムキムキマッチョなキノコンの相手をしている間に、錦斗雲はどさくさに紛れて、気を失いヘロヘロパーで役立たずな状態となっている相棒──齊天大聖孫悟空を回収し、≪ 都 ≫から連れ去ったのである。
──*──*──*── 温泉宿の何処か
セノコン
「 そんな訳で齊天大聖孫悟空と錦斗雲の行方は未だに不明との事ですエリ…… 」
セロフィート
「 齊天大聖孫悟空,錦斗雲に関しては、捨て置きなさい。
捜索も中断して良いです 」
セノコン
「 宜しいのですかエリ!?
分かりましたエリ。
齊天大聖孫悟空,錦斗雲の捜索は打ち切らせていただきますエリ 」
セロフィート
「 鉄扇公主さんは、どうなりました? 」
セノコン
「 錦斗雲が齊天大聖孫悟空を連れ去ったのを見届けたのか、芭蕉扇に乗って逃走しましたエリ 」
セロフィート
「 まんまと “ 逃した ” と言う訳ですか 」
セノコン
「 申し訳が御座いませんエリ~~。
でもでも、鉄扇公主と紅孩児の実子を捕虜にする事が出来ましたエリ!! 」
セロフィート
「 鉄扇公主さんと紅孩児さんの実子…です? 」
セノコン
「 はいですエリ!
鉄扇公主は夫である牛魔王との間に一子を産んでますエリ。
それが実子であり長子の紅孩児ですエリ。
鉄扇公主の正体は仙人ですエリ。
仙人という種族は不老に近い体質で長命ですエリ。
実子である紅孩児も仙人の血を受け継いでおり、牛魔王より長命ですエリ。
紅孩児は若くて美しい実母の鉄扇公主と恋仲となり──、鉄扇公主は実子の紅孩児を受け入れ子供を産んでますエリ。
その子供が今回、牛魔王城にて捕獲した捕虜ですエリ 」
セロフィート
「 捕虜の名前は何と言います? 」
セノコン
「 “ 罧寧 ” と名乗りましたエリ。
双子の兄が居て、現在は “ 行方知れず ” の様ですエリ 」
セロフィート
「 双子の兄の名は何と言います? 」
セノコン
「 はいですエリ。
── “ 菻犁 ” ですエリ 」
セロフィート
「 その捕虜──罧寧さんは今後、使い道が有るでしょう。
大義でしたね。
引き続き “ 菻犁さん ” の捜索は継続する様に──。
芭蕉扇も使えそうです 」
セノコン
「 セロ様、続けて牛魔王城で行われていた牛魔王の蘇生実験の件に関しての御報告をさせて頂きますエリ。
牛魔王の城内を隈無く捜索した結果──、蘇生実験に関する資料やデータは全て処分されていましたエリ。
怪しい術師の姿も見当たりませんでしたエリ 」
セロフィート
「 そうですか。
場所を移転したのでしょう。
牛魔王城は現状維持を保ち管理しなさい。
到着する楽しみが増えました 」
セノコン
「 御報告は以上ですエリ 」
セロフィート
「 宜しい。
持ち場へ戻り、今後も任務に励みなさい 」
セノコン
「 はいですエリ 」
セノコンは絶対主へ深々と頭を垂れた後、背筋をピン──と伸ばしてビシッと敬礼をする。
セロフィートはソファーから腰を浮かせて立ち上がるとセノコンの笠を優しく撫でてから部屋から退室した。
セノコン
「 …………………………セロ様が………………セロ様が…………セロ様に………………撫で撫でされたエリぃ~~~~(////)
恐悦至極エリぃ~~~~♥️♥️♥️♥️♥️ 」
セノコンは嬉しさのあまり、ヤバい胞子を大量に室内の中に飛び散らせまくった。
──*──*──*── 庭園
温泉を堪能したマオと玄奘三蔵法師は温泉宿の敷地内に作られた四季を感じられる庭園の中を散歩していた。
マオ
「 あっ──桃だ!
玄奘さん、桃が実ってるよ!
甘くて美味しそうな香りだな~~♥️ 」
玄奘三蔵法師
「 本当ですね。
何と芳しい香りでしょうか(////)」
マオキノ
「 これは “ 宝白桃 ” と呼ばれる品種エリ。
あっちは “ 宝黄桃 ” と呼ばれる品種エリ 」
玄奘三蔵法師
「 品種……ですか?
桃は桃ではないのですか? 」
マオキノ
「 桃にも色んな種類が有るエリ。
香り,味,大きさ,色と違いが有り穫時期も異なるエリ。
あっちに実っている桃は “ 桃源郷 ” と呼ばれる品種の1つエリ。
仙人が “ 最も好んで食べる桃 ” と言い伝えられている程に古い品種エリ。
全ての桃の原種──桃赤宝仙と呼ばれる稀少な桃エリ。
人格・釈迦や仙人・太公望の “ 大好物 ” としても言い伝えられている桃でもあるエリ。
真相は眉唾エリ~~ 」
玄奘三蔵法師
「 マオキノ殿は桃に詳しいのですね 」
マオキノ
「 キノコンは茸だけじゃなくて、野菜,果物にも詳しいエリ!
遠慮なく何でも聞くと良いエリ★ 」
マオ
「 マオキノ、仙人って何だ?
この≪ 大陸 ≫には人間と妖怪だけじゃなくて、仙人ってのも居るのか? 」
マオキノ
「 仙人は長命で不老に近い存在ですエリ。
不死ではない為、寿命は来ますエリ。
仙人は世俗と離れた “ 仙人界 ” と呼ばれる地で暮らしてますエリ。
仙人は地上の事を “ 下界 ” と呼んでますエリ。
人格・釈迦の御先祖は、≪ 仙人界 ≫から≪ 下界 ≫へ下山した仙人・太公望だとも言い伝えられている程、仙人の歴史は長いですエリ 」
マオ
「 へぇ~~。
大乗佛教を後生に残した釈迦も随分と大昔の人なのに、御先祖様が “ 仙人かも知れない ” ってのも途方もない話だよな…… 」
玄奘三蔵法師
「 仙人様は滅多な事でもない限りは≪ 下界 ≫に干渉しないと師匠から聞いた事があります。
妖怪とも昔から仲が悪いとか── 」
マオ
「 そうなんだ?
じゃあさ、仙人・太公望が≪ 仙人界 ≫から≪ 下界 ≫へ下山した理由は──、仲の悪い妖怪を退治をする為だったとか? 」
マオキノ
「 真相は誰にも分かりませんエリ~~。
桃赤宝仙の搾り汁を酒で割って飲むと “ 気力が霊気に変化する ” とも言われてましたエリ。
嘗ての仙人は人間であり、桃赤宝仙の搾り汁を酒で割って飲んだ事で、人間から仙人へと変化した──という古い民謡も残ってますエリ 」
マオ
「 マジかよ!?
じゃあ、玄奘さんが桃赤宝仙の搾り汁を酒で割って飲んだら──、気力が霊気に変化して仙人になったりして── 」
キノコン
「 マオ様、桃の搾り汁を酒で割って飲んだぐらいで仙人になる訳ないですエリ。
ロマンは有っても嘘ですエリ~~ 」
マオ
「 だよな………… 」
玄奘三蔵法師
「 然し、仙人様が何処から現れたのかは気になります。
人間が仙人様になった訳ではないならば、何者なのでしょうか?? 」
マオキノ
「 仙人の事は専門外エリ。
旅をしていれば謎が解けるかも知れないエリ~~ 」
マオ
「 そうだな!
仙人かぁ~~。
会ってみたいね、玄奘さん 」
玄奘三蔵法師
「 はい。
仙人様と御近付きになりたいものです 」
マオキノ
「 マオ様、あっちには蜜柑が実ってますエリ 」
玄奘三蔵法師
「 蜜柑もですか!?
高級品な桃だけでなく、蜜柑も見られるとは── 」
マオ
「 見るだけなんて蛇の生殺しだよな!
マオキノぉ~~、桃と蜜柑をもぎって食べたら駄目かな? 」
マオキノ
「 マオ様、夕食に出ますエリ。
観賞用の果物は取っちゃ駄目ですエリ~~。
渋くて美味しくないですエリ 」
マオ
「 マジかよ…… 」
目の前に美味しそうな桃と蜜柑が実ってるのに食べれないなんて残念過ぎるぅ~~~~。