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転生少女は色のない魔法で無双する  作者: 小谷草
第1章 色のない魔法使いは領地ですくすくと成長する
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第4話 素振り

「ダクマー! 大丈夫なの? 汗だくじゃない! 頭は痛くない? 怪我とかしてないよね」


 ラーレの言葉に、私は意識を取り戻した。気づいたら、道場で倒れていた。どうやら気絶するまで素振りを繰り返していたらしい。


「ラーレ? えっと、私、何してたんだっけ?」

「何してたじゃないわよ! 心配したんだから! 朝の練習でもないのに、おじい様の道場を勝手に使うなんて、何考えてるのよ!」


 あ、そうか。おじい様の道場を勝手に使っちゃったんだ。それは悪いことをしたなぁ。


 この道場は屋敷の外にある道場と違い、一般の練習生は侵入禁止だ。普段は限られた者しか使わないが、魔道具作成するための部屋や魔法の試し打ちための個室もあり、かなり豪勢なんだよね。


 道場そのものは当家の初代様が作ったといわれているが、おじい様が魔法練習用の個室を追加するなど代々の当主が最新の設備にカスタマイズしてきたそうだ。他の道場より近代的で豪勢なんだけど、貴族家には秘伝とかがあるから、それを練習するためのスペースはどの家にもあったりするらしい。


 この道場は私とラーレは使えるようになっている。私とラーレがおじい様の部屋の近くで住むことになると、なぜか私たち2人も道場を自由に使えるように許可してくれたのだ。


「心配かけてごめんね。でも私、剣術をもうちょっと頑張ってみようと思うんだ」


 そう言って立ち上がり、素振りを再開する。そんな私を、ラーレは心配そうな表情で見つめた。


「もう。起きたかと思ったらすぐに練習を開始するなんて。あんまり無理しちゃだめだからね」


 そう言うと、私の邪魔にならない位置まで下がって、私の修行を見守ってくれた。道場にはしばらく、私の素振りをする音だけが響いた。



◆◆◆◆



「はあ! はあ! はあ!」


 私はその日から、おじい様がいない隙を見つけては素振りを行った。最初は戸惑っていたラーレも、あきらめたのか、次第に隣で魔力操作の訓練をするようになった。そして誰かが来たのに気づいたら、すぐに教えてくれたりする。


 上段から木刀を振り下ろす。実際に木刀を振ってみると、今まで習っていた剣と前世の剣術との違いに気づかされる。片手剣と刀という武器の違いもあるけど、全身を使って刀を振るう前世とは違い、おじい様から教えてもらった今世の剣術は片手で剣を扱うため、腕力に頼ることが大きい気がする。こちらでは、魔法で身体能力を強化できるから、片手でも十分に剣を振ることができるのだ。


 私は考える。このままおじい様の剣術を継承するだけじゃ、強くなることはできない。私は身体強化くらいしかできないけど、それでも前世の剣術を合わせれば、他の貴族と同じくらい強くなれるかもしれない。


 日本の私がさっぱり消えたような気がしてたけど、前世の剣術を再現できれば、日本の私が生きていた証を残すことができる。示巌流の素振りをすることで、そう思えるようになったんだ。


「おじい様の剣術とは足運びなんかは似ているけど、やっぱり根本的に違うものなんだよね。こっちでは片手で剣を扱って、もう片方の手で魔法を使ったりするらしいし。でも、せっかく剣を訓練するからには、あの剣術を使いこなしたい。まずは正確な素振りを身に沁み込ませて、いつでも完璧に刀を振るえるようにしよう! そして魔力をうまく使えば、前世で真似事しかできなかった剣術を完成させることができるかもしれないし」


 前世では筋力も技術も足りなかったけど、こっちなら魔法がある。この世界では男女差はあんまりない。魔法は女性の方が優れているとされているからだ。


 他の属性は使えないけど、身体強化だけなら私でもちゃんと行える。こっちの世界なら、私でも剣術を極めることができるんだ!


「ダクマー!」


 ラーレの鋭い声が響く。そして思わず廊下を見ると、入口からこちらを見るおじい様の姿があった。なんかすごく驚いたような顔をしているんだけど!


 今の素振りは、このビューロウ家の剣術とは違う。それはおじい様が見れば一目瞭然だろう。直系の私が別の流派の練習をするなんて、許されないかもしれない。


 びくつく私たちだが、おじい様は何も言わず立ち去っていく。


 ほっとするとともに不思議な思いがする。気づかれていないはずは、ないと思うんだけど。

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