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転生少女は色のない魔法で無双する  作者: 小谷草
第5章 色のない魔法使いと北での戦い
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第295話 海上での攻防

 海岸の岩山のそばに、かなりの数の船があった。


「え? こんなに船があったの? レオン先生が命じて作らせたって聞いたけど、こんなところにあるなんて」

「ふん! 私たちの魔法で隠してた虎の子だがな! フランメ家の力、あなたにもわかったでしょう?」


 ハイデマリーがドヤ顔をした。確かにこれだけの数の船を用意したのは見事だけど、こいつに言われるとなんかイラっとするよね。


「ハイデマリー様! こちらの準備はもうできています! 今ならランドルフを狙うことも可能です!」


 そう。ランドルフが乗る船はかなり前のほうに出てきている。弓の射程内にレオン先生を引き込もうとしたみたいだけど、それってこっちにもチャンスではある。周りに護衛の船があるみたいだけど、それを抜ければランドルフ本人を攻撃することも可能なんだ!


 ハイデマリーが私を睨みつけた。


「あなた、分かってるんでしょうね。確かにランドルフを倒すチャンスだけど、こっちが全滅する可能性も高い。結構な賭けになる。確かに何もしなければ本営が狙われる危険性があるけど」


 私は神妙な顔で頷いた。


「分かってる。でもこのままじゃあ、あの魔法でかなりの被害が出ちゃう。相手がこっちの魔法使いを優先的に狙ってきているからね。強力な魔法が使える魔法使いが全滅したら新型の杖があっても闇魔を倒せない。ましてや、レオン先生がやられちゃったら・・・。その前に、ランドルフを倒さないといけないわ」


 やられる前にやる。それしか私たちが勝ち残る手段はないと思う。


 魔法使いの中にはおじい様やハイデマリーのように一人で戦況を変えちゃう人もいる。でもそういった人が倒されちゃえば戦況は一気に向こうに傾いちゃう。あの泡で有能な魔法使いが、最悪、地脈の力を付与できるレオン先生が倒されちゃうと、こっちの負けが確定してしまうんだ。


「あいつの攻撃がレオン先生に届く前に何とかしないと。やるよ! 私たちでアイツを倒すんだ!」


 私の言葉にフランメ家の面々が頷いた。そして次々と隠していた船に乗り込んでいく。


 私も一艘の小型の船に乗り込んだ。2人乗りの小さめのボートで、たくさんの人が乗れない代わりにかなりのスピードがでるはずだ。


 私が小さなボートを選んだことに、フランメ家の面々は絶句した様子だった。


 でも、この船がいい。この船なら、かなりのスピードで相手に向かうことができるはずだから。


「私は一人でいい! いくよ! 私がランドルフを直接狙う! 近くまで行ければ、私の示巌流で行けるはずだから!」


 私はちらりと周りを見た。王国の陣営は混乱が続いている。エレオノーラの陣営はコルドゥラがうまくやってくれているのだろうけど、時間の問題かもしれない。うちでもそなんだから無属性魔法が使えない他の陣営では、かなりの被害があるようだ。逃げ回るのだってかなり限界があるはずなんだから。


「かなり嫌だけど、ランドルフを倒せるかどうかはアンタにかかってるわ。まあアンタがいなくても私たちは行くんだがな。いい? 私たちがあなたをランドルフのところまで届ける。悪いけどランドルフは任せたわよ。新型杖を使う余裕もなさそうだし」


 私は前を向いて頷いた。この一戦で、ランドルフを倒して見せるんだ!



◆◆◆◆


 船はランドルフたちに向かって突き進む。相手の船から魔法が飛んでくるけど、それは前のほうの船が防いでくれたみたいだった。


 ランドルフの船からは砂浜に向かって何度も矢が飛んでいった。


「ランドルフの奴、こっちに気づいているのに王国陣営への攻撃を止めない。余裕見せやがって!」


 オイゲンが吐き捨てた。彼の言葉通り、ランドルフはこっちに来を止めずに王国側を攻撃し続けている。こっちに攻撃してくるのはもっぱらアイツの部下で、本人は全くこっちを気にしていないようなのだ。


「ランドルフの奴は気にしてないのに、部下が進路を防いでくるなんて! おい! 迂回するぞ!」


 ハイデマリーの言う通り、私たちの進路を数隻の船が塞いできた。確かにこのままだとあいつらにぶつかって止められてしまうけど・・・。


 でも、私にそんな時間はない! 一刻も早くランドルフを倒す必要があるんだ!


「海の上にかなりの藻屑が浮かんでいる。ヴァッサーの魔法で落とされた船の破片が漂ってるんだ!」


 これを利用すれば、私だってランドルフに辿り着けるはずだ!


 私は船を加速させて踏ん張った。


 私の船は前に布陣したハイデマリーたちの船を抜き去り、一台だけ突出していく。


 直撃さえよけられればいい! 何だったら、この船が壊れちゃってもいいんだ! ランドルフのそばに、たどり着くことさえできれば!


「おい! 何をやっている! このままでは相手の船にぶつかるぞ! 避けろ!」


 フェーベが焦ったように声を上げた。私は、船の勢いを止めずに進ませていく。


 前の船には闇魔が乗っていて、魔法を放って私を撃退しようとしているみたいだけど、私は船を最小限に動かして直撃を避けていく。船は傷だらけになったが沈没だけは防げているようだった。


「ば、ばかな! ぶつかるぞ!」


 オイゲンが驚きの声を上げていた。


 でもこれでいい! ランドルフを倒すために最短距離を走るんだ!


「てああああああ!」


 船が当たる直前に、私は海の上に身を乗り出した!


 私の船が闇魔の船と激突した。2つの船は大きな音を立てて炎上する。おそらく、船を動かしていた魔道具が燃え上がってしまったのだろう。


「だから言わんこっちゃない! おい! あの女を探せ!」


 ハイデマリーが部下に指示を出しているんだけど、私は玉砕覚悟で突撃したわけじゃない! ちゃんと勝算があって船をぶつけたんだ!


「ハイデマリー様! あそこです!あ、あのビューロウの小娘、海の上を走ってる!?」


 フェーベが驚きの声を上げていた。


 そう! 私の無属性魔法なら海上で走り回ることも可能なんだ! 海に浮かんだ破片を一瞬だけ強化することで足場にする。破片から破片へと飛び移ることで海の上でも自由に動くことができる。私の無属性魔法は、闇魔の魔力障壁を壊す以外にも使えることを証明してみせたのだ!


 私は前方の船に狙いを定めた。大きさは、私が乗ってた船を一回り大きくした感じか。ランドルフの盾になると同時に、上陸して私たちを攻撃しようというつもりだね! あの船にはリザードマンが乗っているようだけど、悪いけど私の足場になってもらうよ!


「てあああああああ!」


 私は船に飛び乗ると、リザードマンの一体を斬りつけた!


 驚きに固まるリザードマンは魔力障壁も展開できずに倒れ伏した。私は止まることなく、そのまま2体目、3体目と斬り裂いていく。


 小さなボートに魔物の姿が消えたのを確認すると、私は再び前を見回した。


 ランドルフの位置はあそこか・・・。まだ距離があるな。こうなったら!


「くそが! このまま済むと思うなよ!」


 前の船から闇魔のそんな声が聞こえてきた。そっちを見ると、同じくらいの大きさの船から闇魔が大量の水魔法を放ってきているようだった。水弾は船に当たり、大きく揺れる。私は何とかバランスを取ると、闇魔たちの船を睨んだ。


 位置を確認した。あの船に辿り着けば、ランドルフにさらに近づけるはずだ! 次のターゲットは決まった。


「とう!」


 私は海に乗り出した。


 さっきのように海を水切りのように飛び続け、闇魔のボートを目指す。闇魔は水魔法で撃退しようとするが、そんな付け焼刃の魔法、私に当たるわけないじゃない! 私は細かく避け続け、そのボートに飛び乗った。


「バカな!? なんで!?」


 闇魔から驚きの声が漏れるが、私相手にそれは命取りだ!


「てあああああ!」


 私は刀を振るって闇魔を斬りつけた。その一撃は、闇魔の首を取るのに十分だった。その勢いのまま刀を振るい続け、すぐに船上の魔物を蹴散らし続けた。


「次は・・・。どいつだ!?」


 私が周りを見渡すと、大きな波がこのボートに襲い掛かってくるのが見えた。


 水弾では私を止められないと感じた闇魔たちがある程度規模の大きな魔法を使ったのだろう。

 でも、アンタたちごときが私を止められると思うなよ! 私は前方から船を飛び降り、その波に向かって足を勧めた。


「ばかな! 波に向かっていくなど!」


 闇魔から驚愕の声が聞こえてきた。


 私は船の前にある破片の上に立った。そして刀を下段に構えると、波目掛けて秘剣を解き放つ!


「秘剣! 鷹落とし!」


 下段から斬り上げた剣は波を真っ二つに斬り裂いた! そして波の切り口から次の船目掛けて突撃する!


 前のボートに乗っているのは闇魔が3体か! でも私なら、一瞬で闇魔を倒すことも不可能ではない!


「きええええええええええええ!」


 私は吠えると、一気に船に近づいて飛び乗った!


 闇魔は驚いて立ち止まった。驚愕の顔をするやつもいるけど、私は続けざまにその三体を斬りつけた!


 残りのリザードマンが後ずさる様子が見えた。私が睨むと、リザードマンたちは慌てて水の中に逃げ込んでいく。


 まあ、懸命だね。このまま私に斬られるよりはということだろうけど。あいつらは水陸両用だから、そう簡単には死なないだろうからね。


 ランドルフのところには大分近づいた。私は肩で息をつく。少し疲れたけど、まだいける。私は次のターゲットを探し、あたりを見回したのだった。

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