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転生少女は色のない魔法で無双する  作者: 小谷草
第4章 色のない魔法使いと貴族と王族と
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第215話 vs ハイデマリー

「きえええええええ!」


 私は剣を上段に構えた。『羆崩し』で、あの杖を一気に叩き切って終りにしてやる!


「馬鹿の一つ覚えみたいに突進しても、私をやれるとは思わないことね!」


 ハイデマリーは杖を構えてきた。馬鹿の一つ覚えかどうか、試してみるといいわ!


「たああああ!」


 私は勢いよくハイデマリーに突撃した。だがハイデマリーは後ろに飛んで躱すと、すぐに私に向かって大杖を突きつけてきた。


「フレアエンスチレッジ!」


 ハイデマリーの杖から、扇状に衝撃が広がっていく!


「なっ!」


 私は勢いよく吹き飛ばされ、壁に背中から張りつけられた。


 くっ、ただの炎弾なら至近距離でも避けられると思ったのに!


 何これ、炎が全面に伸びてきた!? 火魔法の、範囲攻撃とでもいうの!?


「炎弾を避けるのは得意なんでしょう? そうならば、避けられない範囲攻撃で撃退すればいい! 火の魔術は、あなたみたいにワンパターンなわけじゃあないのよ!」


 くっ、やるな! 点じゃなくて面の攻撃に切り替えるなんて!


 羆崩しは最短距離で突撃する技だ。器用に避けながら攻撃することはできない! 私は壁にもたれかかりながら、何とか立ち上がった。


 ハイデマリーはこれまで戦ったどの魔導士よりも強い。前の闇魔との戦いで見せた炭の魔法と言い、この炎といい、いろんな火を使いこなしている。アメリーだって、こんな魔法は使わなかったはずだ。


『羆崩し』で素早く彼女に近づくことは難しい。直線に移動するなら、あの範囲攻撃の餌食になってしまうのだ。それならば!


「はああああああ!」


 私は魔力で足をさらに強化した。無属性魔法が静かに足に浸透していく。これなら、ハイデマリーにも足に魔力を込めたことが分からないはずだ!


 ハイデマリーは再び大杖を私に突き付けて魔力を籠めてきた。


「これでおしまいよ。この後、エレオノーラも倒さなきゃいけないんだから、あなたにかまっている暇はないわ!」


 そういうと、無表情に私を見てきた。


「とどめよ。フレアエンスチレッジ!」


 彼女の大杖から広範囲に火魔法が展開された。


 私は足に込めた魔力を展開し、素早く横に移動する。そしてハイデマリーの魔法を避けると、半円を描いてハイデマリーに肉薄した。


「秘剣! 『鴨流れ』!」


 ハイデマリーには一瞬で私が移動したように見えたかもしれない。直線の動きの羆落としとは違い、鴨流れは攻撃を避けながら静かに接近できるのが特徴だ。足に魔力を籠めることで、素早く回り込んで素早く一撃を放つことができるんだ!


「はあああ!」


 私は素早くハイデマリーに肉薄すると、横薙ぎに木刀を振るってハイデマリーの大杖を真っ二つにした。杖に頼りきりの南の貴族なら、これでもう戦えないでしょう!


 だがハイデマリーの目の光は変わらない。


「まだ!」


 ハイデマリーは右手を私にかざすと、迅速に魔力を展開した。


 コイツ! 杖なしでも魔法を構築することができるの!?


 ハイデマリーの右手から扇状の火が放たれた。私はなんとか木刀で炎を防ごうとするが、吹き飛ばされて再び壁に激突した。


 コイツ! 強い! 杖を失ったはずなのに、おじい様の次に早い構築スピードだ!


「私は魔法使いよ! 杖がなければ何もできないとは思わないことね!」


 くそっ! そう言えばデニスが言ってたな。クラスで自分より優れた魔導士は、エレオノーラとハイデマリーだって! 金満の南の貴族のくせに、自力の力だけで魔法を発現できるなんて聞いてない!


 私は木刀を杖にして立ち上がると、再び構えた。ハイデマリーは油断なく私を睨むと、右手を前にかざして魔力を展開しようとしてきた。


 だがそんな私たちを遮るように、ラーレが声をかけた。


「マリー! やめなさい! 実戦ならダクマーは杖じゃなくてあなた自身を斬ることもできた! 今日は、あなたの負けよ! 大人しく下がりなさい! ダクマーも、もう十分でしょう! 武器を下ろしなさい!」


 ラーレが決闘を止めようとするが、ハイデマリーは激しく首を振って私を睨んできた。


「だって、このまま行かせてしまったら、お姉さまは二度と私と会ってくれないじゃないですか! せっかく再会できたのに、もう会えないなんて嫌です! お姉さまは私と一緒に来るのが幸せなんです!」


 なんか知らないけど、ラーレとハイデマリーは昔会ったことがあるみたいだ。大事な人と会えなくなる苦しみは、私にもわかる。でも、私だって引くわけにはいかない!


「向こうがやるって言うなら、私だってやめるつもりはない! 腕の一本や二本くらい、覚悟してもらう!」


 私たちがラーレの言葉を拒む。すると、ラーレの表情が抜け落ちたのが分かった。


 あれ? ラーレってば、理性が限界を迎えていない? あ、これヤバイ。


 ラーレが手のひらを上に向けると、黒い炎が生まれた。あの禍々しい炎は、発現されたら終りのラーレの固有魔法だ。


 あれ? もしかして私に撃とうってんじゃないでしょうね!


「ラ、ラーレ。 私、助けに来たんだけど!」

「お、お姉さま! 落ち着いてください! その炎、仕舞って・・・」


 私とハイデマリーが慌てて止めるが、ラーレの怒りは収まらない。


「2人とも、少し反省しなさい!」


 ラーレは私とハイデマリーの間に、黒い炎を放った。


 炎は私たちの間に落ちたが、もちろんそれだけではない。炎から出た煙が一瞬にしてあたりに充満してきた。


 ちょっと! この魔法、密閉空間だとさらに凶悪になるんだけど!


「い・・・! え・・? これ、ちょっと無理・・・!」


 私は魔法を展開して身を守ろうとするが、煙はあっさりと私の周りに集まってきた。


 息を止めて煙を吸い込まないようにするが、こうなっては後の祭りだ。私が限界になって煙を吸い込むと、私の意識はそのまま闇に消えていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ⋯流石に閉鎖空間での黒炎不意打ちは無理だわー
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