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転生少女は色のない魔法で無双する  作者: 小谷草
第1章 色のない魔法使いは領地ですくすくと成長する
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第20話 身体強化と属性

「さっき使った身体強化って、なんか弱くなかったです? 私、寝込んだときはもっとすごかったように思うんですけど」


 私の身体強化の印象を聞くと、おじい様は腕を組んで考え込んだ。


「ふむ・・・・、無属性だと、体の外の強化はそれほどではないからの。まあ、体の外側の強化だけだとそんなもんじゃろ」


 うう、ここでも属性が私の邪魔をするのか。色のない魔法使いって、ホントきついよね。おじい様は無属性魔法が身体強化向きときと言っていたけど、正直実感はない。まあ内と外の強化を合わせれば濃い色の属性魔法で強化したのと同じくらいにはなっているから、弱いとは思わないんだけど。


 私は何とかおじい様に違和感を伝えようとするが、なかなかうまくいかない。そんな私を見かねたのか、ラーレが慌ておじい様に質問する。


「あ、あの! 四代属性の身体強化に属性って関係あるんですか? いえ、水魔法が有利だって話は聞いたことあるんですが、なんかピンと来なくて」


 おじい様が私たちを見てニヤリと笑う。


「あるぞ。身体強化と属性には大いに関係がある」


 おじい様はもったいぶったように私たちを見つめる。そんなのいいから、早く教えてよ!


「まず、一番身体強化能力が高いのは火属性だ。火属性は攻撃能力が高い分、身体能力の度合いも高い」


 そういえば、おじい様はグスタフと戦う際に火属性の魔法で全身を覆っていたよね。でも火属性は身体強化に向いてないって聞いたけど?


「だが、火属性による身体強化には欠点がある。攻撃性が強すぎて、自分の身も傷つけてしまうのだ。火の赤によるダメージをなんとかせん限り、この身体強化は使えぬ。水の魔力で軽減したり、魔道具を使って被害をなんとかしたりな」


 そう言えば、おじい様はあのとき体の中を薄めた水魔法で強化していたよね。そうか。あれは攻撃性の高い火魔法を水魔法で中和するという目的もあったんだね。


「そして次が水魔法と土魔法だ。水魔法は形がなく全身に纏わりつけやすい。体の中にもわずかだが通すことができるしの。そして土魔法は体の表面にくっつくようにすることができる。防御に向いておると言われておる。水魔法と同じくらい、体の外から強化するのに向いておるからの」


 そうか。デメリットなく使えるから水魔法が身体強化に向いているんだね。そして土も同じくらい使えるらしい。こちらは固定化するから、防御に向いているみたいだけど。


「反対に、身体強化に向かないとされるのが風魔法だ。なぜなら、風魔法は同じ場所にとどまりづらいという特徴がある。同じ場所にへばりついて作用する身体強化とは相性が悪いのだよ。まあ昔の戦士の中には動き出す際の一瞬だけ強化した例があったがの。センスがない者には決して使いこなすことはできんのだ」


 なんかイメージ的には風も身体強化に向いてそうなんだけどなぁ。


 でも無属性魔法はどうなのだろうか。


「無属性魔法もあまり向かない。というか、体の外の身体強化は色が濃い方がより強化できる。色を薄くする必要がある無属性魔法とは、相性が悪いという意見もある」


 がーん! そ、そんな・・・・・、無属性魔法しか使えない私にとって、身体強化だけが希望だったのに!


「だがさっきも言ったが、無属性魔法は体の内部強化に向いている。色が薄ければ薄いほど、魔力を体の内部に深く浸透させることができるからの。外の強化と併用することで、濃い色で強化するのに匹敵する魔力強化を実現することができるのだ」


 無属性魔法は体の中と外の両方から使えるということか。でも、今やってるやり方だと、思ったほどの強化にならないんだけど! 確かに前にデニスが強化したときよりも強いみたいだけど、それでも私の想像程強くなかったりする。こんなので、他の魔法使いより強くなれるの?


 私は憮然とした表情をするが、おじい様は余裕の表情だ。


「たしかに、一見お前は無属性魔法による内部強化もできておるようにみえる。だが、魔力の操作がまだ未熟だな。操作が上手くなれば、強化の度合いも大きくなると思うぞ。もっと魔力の扱いが上手くなれば、別の技術も応用できるからな」


 確かに私はまだ未熟だろうけど、それでもなぁ。


 半信半疑な私を見て、おじい様は何かを考えこんだ。


「しかし色のないお前の場合、魔力による瞬間的な強化を身に着けるべきかもしれんの」


 おじい様はそう言うと、呆れたような顔で私を見た。


「小さいころ、よくお前は両親や兄妹を振り回しておったじゃろう? 昔のお前は、逃げ出すと誰にも捕まえることはできんかった。あれは、無意識に足の筋力を魔力でさらに内部強化していたのだ」


 え? 私が? でも、魔法を使っていた覚えなんてないんだけど。


「そういえば、昔はよく怪我をして運び込まれてた気がする。腕とか足を怪我していたよね。あの怪我の原因って、もしかして?」


 おじい様は頷く。


「ああ。そうだ。思い出しただけで疲れてくるわい。お前は魔力の内部強化に失敗して筋肉を傷めてよく運び込まれてきてな。おかげでワシも治療術の腕ばかり上がってな。泣いているお前を両親が慌てて運び込んだこと、忘れたとは言わさんぞ」


 いやごめん。忘れてた。光魔法ほどじゃないけど、水魔法でも傷を癒すことができるんだけど、私のせいでおじい様の水魔法の腕が上がったみたいだ。


 でも、私がもっと身体強化を極めたいのなら、もっと魔力の使い方を覚えなきゃなんないってこと? 全然やり方が分かんないんだけど!


「しかし、まったく意識しておらんかったとはな。これは少し、工夫が必要かもしれん」


 うん。これ以上の内部強化なんて、できるイメージがない。


「無意識ではなく、意識して強化をするのなら、自分の体のどこに魔力があるのか、しっかり意識しなければならん。お前はしばらく、ラーレの力を借りて識覚を磨きなさい。それができるようになったら次の段階も見えてくるはずだ」


 うう。ちょっと不安だけど、今はラーレとの修行を続けるしかないか。不安そうなラーレと目が合った。私は溜息を吐くと、ラーレに頷き返した。もうここまで来たら、おじい様を信じて頑張るしかないよね。

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