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転生少女は色のない魔法で無双する  作者: 小谷草
第4章 色のない魔法使いと貴族と王族と
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第180話 オリヴァーの訓練と補修と

「そこの強化には気を付けて! 水魔法を薄く使えば内部強化はできるけど、間違った筋肉を強化すると、十分に力が入らない! もっと詳細に、薄く魔力を使うのよ!」

「はい! お師匠様!」


 私の指導に、オリヴァーは元気よく答えた。


 戦いに引き分けたというのに、オリヴァーは私を師匠と呼ぶようになった。まあ私の指導が的確だったのだろう。オリヴァーの身体強化は確実に上達し、動きは見違えるほどよくなった。悔しいけど、学園随一の近接先頭者は彼だと言って間違いない。悔しいけど! 悔しいけど!


「よし! 今日はこのくらいで! あんまりやりすぎるとかえって逆効果になるから、適度に休憩をはさむのよ」


 そう言って彼に背を向けると、オリヴァーは深々と頭を下げた。


「今日もありがとうございました!」


 オリヴァーはとても丁寧だ。模擬戦で引き分けたというのに、こうして私を師匠として扱ってくれる。なんか照れくさいけどね。


「いやあ、今日も得難い光景でしたわ。エレオノーラ様もそう思うでしょう」

「はい。オリヴァー様が日に日に強くなっているのを時間しますわ。素晴らしいです」


 なぜか、エレノーラと土魔法のルイーゼ先生は毎回見学しに来ている。なんか「インテリ筋肉最高」とか言って2人で盛り上がってるのを聞いた。エレオノーラはともかく、ルイーゼ先生は既婚者でしょう! 大丈夫なの?


「じゃあ私はもう行くね。これから学園長室で補修を受けなきゃいけないんだ。冬休みを病室で過ごしたのは不可抗力なのにひどいと思わない?」


 そう愚痴りながら立ち去ろうとする私を、エレオノーラが引き留めた。


「あ、待って。卒業式にはラーレ先輩も出るんでしょう? ちょっと早いけど、そのあと挨拶をしたいから、式が終わったらちょっと時間を取ってくれるよう言っておいてくれるかな。なんか、ギルベルトも挨拶したいみたいなこと言ってたし」


 うう。もうすぐラーレが卒業して領地に帰っちゃうんだよね。やっぱり毎日ご飯を食べていた家族がいなくなるのはさみしいよ。私が卒業するまで傍にいてくれたらいいのに。まあさすがにそんなわがまま言えないけどね。


「わかった。今日もご飯食べに来ると思うから、その時言っとくね」


◆◆◆◆


「というわけで、従姉のラーレが卒業しちゃうんですよ。私の強化についてもっと相談したかったのに。ラーレ、戦いに行くのかな? おじい様の指示に従うって言ってたけど、戦地に行ったりしないよね」


 私は学園長室で愚痴をこぼした。


「まあ、バルトルド先輩なら、彼女ほどの才能を無下に扱ったりはしないでしょう。なにせ、秘術を授けるくらいかわいがってる様子ですしね。それよりも、よく的確にオリヴァーさんを指導できるみたいね。私が言うもなんだけど、無属性魔法は見えずらいから指導は難しいでしょう?」


 そう尋ねてきたのは無属性魔法を担当するマヌエラ先生だ。私の補修の時たまたま学園長室に尋ねてきたので、授業の後になぜか一緒にお茶をすることになったのだ。


「私の場合、最初は魔力の存在をほとんど感じられなかったんですけど、識覚を鍛えることで徐々に分かるようになった感じですね。まあ、ラーレが力を貸してくれたからなんですけど。最初は全然わからなかったんですけど、彼女が魔力で部屋を赤く染めると、無属性魔法が動いている箇所が分かるんです。それを追ってるうちに、ラーレが染めなくても無属性魔法の位置が分かるようになったんです」


 私がそう説明すると、2人は驚いた表情になった。


「ダクマーさん。あんまり人の魔法適性が分かるようなことを言ってはいけないわ。その発言からラーレさんの素質を予想できる人もいるのよ。貴族の資質に関する問題はデリケートですから気を付けてね」


 マヌエラ先生が穏やかに注意してきた。


 いけない、やっちゃった! 確かに個人の素質を調べるのは下品って風潮があるよね。


「すみません。彼女とは親しくしているから、つい。でもこないだの公開処刑で、彼女が火の適性が強いことはバレちゃってますよね?」


 レオンハルト先生も注意を続けてきた。


「まあ素質があるのは分かったが、どれくらいの力があるかはあれだけでははっきりしないからな。部屋を赤く染めるといったが、これは簡単にできることじゃない。火に対する高い適正と、周りを燃やさないだけの制御能力の両方が必要だからな。ラーレ君は火魔法の授業は取っていないはずだが、その素質はすさまじいものがあるな。南の貴族が炎の巫女だと騒ぐのも分かる気がする。強引に彼女をまつり上げようとする勢力もあるかもしれない。君も十分に気を付けるんだぞ」


 そうは言われても、領地に帰る彼女に私ができることはない。


「大丈夫だと思いますよ。あいつのことはおじい様がかなり真剣に考えてくれているはずですから。まああいつは家族だから、私にできることは何でもするつもりですけどね」

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