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転生少女は色のない魔法で無双する  作者: 小谷草
第1章 色のない魔法使いは領地ですくすくと成長する
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第18話 アメリーの困惑

「あ、あの!」


 おじい様の授業が終わって、部屋を出ようとした時だった。

 妹のアメリーが声をかけてきた。なにか、意を決したような表情をしているけど、どうしたんだろうか。


「アメリー? 何かあった? 体調でも悪いの?」


 私が尋ね返すと、アメリーは一瞬動きを止めて視線をさまよわせた後、深々と頭を下げた。


「お姉さま! 本当にごめんなさい!」


 急に謝ってきた彼女を見て面食らう。

 え? どうしたの? 彼女に何かをされた記憶はないのだけれど・・・。


「お姉さまが魔法を使えないとは知らず、しつこく魔法を練習するように言ってしまい・・・・。思い返せば、両親もお兄様もこのことを察していらしたのですね。だから、魔法の練習をしないお姉さまを責めたりしなかった・・・」


 う、そのことかぁ。おじい様のせいで私が属性魔法を使えないことが知られちゃったんだよね。


 まあこれは仕方のないことだから、アメリーを攻めるつもりはない。私も恥ずかしくて自分から言わなかったことだしね。


「お姉さまにそう言う事情があるのでしたら、もう魔法のことは言いません。魔物の討伐だって、私が代わりにやります。お姉さまは危険な戦闘はしなくてもいいんです」


 へ? なにいってるの? アメリーが突然変なことを言い出したんだけど!


「いや、それは大丈夫だから。魔力に色がなくても戦えることは、おじい様が言ってくれたからね。色のない魔法使いだっけ? その人みたいに強くなれば、問題ないと思うし」


 私はへらりと笑いながらアメリーを説得した。


「でも! お姉さまは魔法が使えないじゃないですか! のどが乾いたら水を飲むことも、寒いときにこっそり暖を取ることも、暑いときに風でひんやりすることもできないんですよね? それに、遠距離攻撃ができないなら、戦闘で勝つことは難しいじゃないですか! 近接攻撃が得意な魔物にも自分から近づいていかなきゃいけないですし。危険です!」


 アメリーは言い募った。


 この世界での魔法の使い方を改めて言われるとちょっと自分が情けなく思う。この世界の人って、本当に魔法を便利に使っているよね。具体例を示されると、自分が何にもできないことを思い知らされる。


 そんな私を援護してくれたのはラーレだった。


「アメリー。デニスとの模擬戦はみたでしょう? この子は、魔法が使えなくても十分に戦える。接近戦なら魔物だって簡単に倒せちゃうでしょう。魔法を使う貴族相手でも簡単には負けたりしないんだから」


 アメリーはラーレをキッと睨んだ。


「そんなこと言っても、遠距離魔法が得意な相手には何にもできないかもしれないじゃないですか! 今は短杖もあるんだから、魔法を瞬時に使う相手も増えています。戦闘でお姉さまが怪我をしてしまうなんて、私は耐えられません!」


 うむむむ。アメリーは、どうやら貴族との戦闘で私に勝ち目がないと思っているようだ。


 まあ、それが普通だよね。


 この世界では魔法が使えるのは一般的だ。魔法が使えない貴族なんて、戦闘では的でしかない。そう言う考えが主流なんだけど・・・。


「遠距離魔法が得意な貴族だって、私は何とかできるよ! そのために鍛えてるんだから。まあ、おじい様クラスの相手には難しいかもだけど、普通の魔法使いになら何とかする自信がある!」


 私はこぶしを握り締めながら言うが、アメリーは納得しない様子だった。


「いくらお兄様に勝ったとはいえ、剣術の修行に限ったことじゃないですか! こう言っては何ですが、お兄様の本領は、剣術よりもむしろ魔法にあります。本気で戦ったら、魔法の使えないお姉さまが勝てる相手ではありません! お兄様クラスの相手には多分勝てない」


 アメリーが叫ぶように言った。


 ううむ。どうやって説得したらいいのか。


 私は何とかアメリーを説得しようとするが、アメリーは首を振るばかりで全然いうことを聞いてくれない。


「ふむ。ならばアメリーも体感してみるといい。色のない魔法の、恐ろしさをな」


 気づいたらおじい様がそばにいて、そんなことを言い出した。


 ちょっと! いきなり声を掛けられたら驚くんだけど!


「よし。皆の者、ワシの道場に来なさい。ダクマーとアメリーの模擬戦をしようじゃないか。ルールは、剣あり魔法ありだ」


 へ? この爺、いきなり何を言い出すの?


「ダクマーよ。かわいい妹が相手だからとはいえ、手は抜くなよ。ここで先入観を消さないと、あとで困るのはアメリーだからな。剣術だけでも魔法使いに勝てるということを、ワシらに証明するのだ」

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