表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生少女は色のない魔法で無双する  作者: 小谷草
第3章 色のない魔法使いと闇魔の炎渡り
156/395

第156話 東側の貴族の反応

「エレオノーラ! どうしよう! 公開処刑が決まっちゃった!」


 私たち東側の貴族はエレオノーラが借りた談話室に集まった。いつもは逃げ回るラーレも、今回は私の後に黙ってついてきてくれた。


「ええ。11月に闘技場で公開処刑を行うらしいわ。南の貴族はライムント様の暴走を止められなかったみたいね」


 くっ、私が試合に出られればなんとかなったかもしれないのに! 


「実は、ダクマーが試合に出させるという話もあったけど、それは東側の上層部でつぶしたそうなの。もうビューロウの力はアピールできてるし、何のメリットもないからね。南の貴族もこの公開処刑を止めたかったみたいだけど、やっぱり王家には逆らえなかったみたい。なにしろ王太子夫婦がやる気になっているみたいだからね」


 私の参戦は断られていたのか。


「でも私が戦えば勝てるかもしれないよ?」


 私はそう主張するが、エレオノーラは首を振った。


「勝てる勝てないの問題じゃないの。私たち東側の貴族が、王家に好きに使われるか、そうでないかもかかわってくるのよ。だから東側のトップとして、あなたの参戦を認めるわけにはいかないわ。それこそ、王家から頭を下げられないことにはね」


 私の参戦は認められないのか。でもエレオノーラの言うことは分かる気がした。東側の貴族が王家の好きなように動かされるって、私はいいけどラーレやマーヤさんたちも好きに戦わされるわけだからね。さすがにそれは認められない。王家に頭を下げられて仕方なしに、って言うならわかるけどね。


「くやしいけど、最初にジークが戦うのは避けられない。王家は、ジークの次にマルティンを動かすつもりみたいよ。マルティンって、魔力障壁持ちの魔物を倒している経験もあるから、王太子はかなり自信があるみたい。実際、ダクマーの目から見て彼はどうなの? 光魔法を使うのを見たことあるって話よね?」


 私は先日のラーレとの話を思い出した。ラーレを見ると、彼女も首を振っていた。剣術の授業の時にマルティンを見たけど、全然怖いとは感じなかったんだよね。光の資質が高いみたいだけど、それがどうしたって感じだし。


「正直な感想を言わせてもらうと、マルティンはうち一番の戦士よりだいぶ弱いと思う。うちのグスタフでもヤーコプに勝てるかどうかわからないらしいから、ヤーコプに勝つのは無理だと思うよ」


 ギルベルトも渋面を作った。


「そうか、この前は会えなかったけど、ビューロウには『灰の剣豪』って言われるグスタフがいるんだよな。マルティンじゃあ勝てないってのは決まりっぽいな。エレオノーラ、どうする?」

「どうするもなにも、家とは関係のないことよ。王家と南の貴族が何とかする問題よ。王家から頭を下げられない限りは、うちらが動くことはないわ」


 エレオノーラの言葉に、東側の貴族から安堵の声が聞こえてきた。


「でも王家が頭を下げてきたら? 確か、10人抜きしたらヤーコプは解放されちまうんだろう? そんなやべぇやつを野放しにしたら、何人犠牲者が出るか分からないぞ。ビューロウでもダメみたいだし」


 ギルベルトがさらに突っ込んで尋ねてきた。ん? ビューロウがなんだって?


「ちょっと待って。ビューロウなら、私が出ればやれると思うわ。多分私なら一瞬でケリが付くと思うし」


 東側の貴族から驚きが漏れた。エレオノーラも絶句した様子だ。


「えっと、灰の剣豪と互角みたいなこと言わなかった?」


 他の貴族もその言葉にうなずいている。


「この子、近接戦闘に対してはちょっとおかしいですから。この子が本気になったらグスタフでも止められないんです。なにせ、グスタフ本人も勝てないって言ってましたからね」


 ギルベルトの表情が驚愕に染まった。ん? あなた、私が戦うところ見てたよね?


「ダクマーさんがそんなレベルになっているとは思わなかったよ。いざと言うときはダクマーさんが戦うってことか? なんかずいぶんやる気になってるみたいだけど」

「ふっ、よく言うじゃない? なぜ戦うかって聞かれたら、そこに強い奴がいるからよってね。ビューロウ家として、挑まれたら勝負を避けることはないわ」


 私の言葉に慌てたのがラーレだ。


「いえ、ビューロウ家で好戦的なのはこの子だけですから! 私もデニスもホルストも、全然大丈夫じゃないですからね!」


 でもあなた、炎の秘術一発で魔犬どもを一気に無効化したよね? 正直ラーレなら、マルティンごとき瞬殺できると思うんだけど。なんか、魔法構築のスピードが、さらに速くなってる気がするからね。逃げ足も尋常じゃないし。私でも追いつけないんだから相当だ。


「そういえば、デニスやホルストはどうなの?」

「デニスは取り巻きを外されたみたい。公開処刑では試合会場に立たされるみたいだけど、そのあとはライムントから離れるみたいなことになってるそうよ。なんか不興を買ったとかで突き放されたようなこと言ってたわ。ホルストは、ちょっとわからないかな」


 デニスはライムントのことが合わないって言ってたし、取り巻きから外されたのは逆によかったんじゃないかと思う。ホルストのことはラーレでも分からないみたいだ。


「とにかく、東側はこの騒動に基本ノータッチということで。実はちょっと南側にコンタクトを取ってみたの。でも全く見向きもされなかったから、関わるのは難しいと思うわ。私たちは当日、ジークが勝つ、いえ、生き残ることだけを祈りましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ