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転生少女は色のない魔法で無双する  作者: 小谷草
第3章 色のない魔法使いと闇魔の炎渡り
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第130話 高位の闇魔

「くっ! わたしだってぇぇぇ!」


 アメリーが右手をヨルダンに構えると、赤い魔法陣が浮かぶ。なんかいつもより、複雑な文様が浮かんでいるように見えるけど・・・。


「ドリッテ・スピール!」


 魔法陣から生まれた三又の槍がヨルダンを襲う!


 アメリーは星持ちだけあって相当の熱量を展開したようだ。かなり離れた場所にいる私にもその熱が感じられるんだけど・・・。


 ヨルダンは動かない。避ける必要のないことを知っているのだ。


 激突の衝撃音は大きい。炎の槍は、ヨルダンに直撃したように見えたんだけど・・・。


「ふん。無駄なことを」


 土煙が起こる中、呆れたような声が響いた。


 少しずつ晴れていく土煙の中に、人影が見えた。


 そして衝撃の中心にいたヨルダンは無傷だった。


 星持ちのアメリーの攻撃は、ヨルダンに傷一つ付けることができなかった。嘲笑するヨルダンを、アメリーは信じられないものを見るかのように目を見開いていた。


「もう一発! レフェクション・シュピーゲル!」


 ヨルダンの周りにエレオノーラが作った鏡が出現した。さっき見た範囲内の敵を殲滅する魔法か! しかもヨルダンの属性は火。あの水の魔法なら、ダメージを与えられるはず!


 しかし――。


「ロレーヌの秘術か。だが、貴様ごときではその魔法の真価は発揮できぬ」


 ヨルダンが左手を上げると、エレオノーラの鏡が一瞬で粉々になった。


「くっ! 一枚くらい壊したところで!」


 残りの鏡から水弾が発射され、ヨルダンを襲った。


 だけど・・・。


「無駄だ! 子供ごときが私を倒せると思うなよ!」


 水弾はヨルダンの魔力障壁を貫けない。死角から発射された魔法も、魔力障壁に当たると簡単に打ち消されてしまっていた。


 嘲笑を浮かべるヨルダンだが、エレオノーラの顔を見て急に真顔になった。


「そうか・・・。お前が、彼女が欲しがっていた人物なのだな」


 そう言ってエレオノーラのところに一歩踏み出した。


 そしてエレオノーラを捕えようと動いたときだった。マリウスが両手を突き出して光魔法を放った!


「させるか! サキューレ・フレーゲン!」


 オーガを一撃で消し飛ばした光の球がヨルダンを襲う。


「いいね! 行ける!」


 私は勝利を確信した。


 だけど、その一撃もヨルダンの余裕を崩せない。


「無駄だ! この程度の光魔法、私に通じると思うなよ!」 


 ヨルダンが右手をかざすと、マリウスの魔法がかき消された。これでもダメなの!? 高位闇魔の魔力障壁は強いと聞いていたけど、ここまでとは思わなかったよ!


「ヨルダン!」


 おじい様が右手をかざして魔法を展開した。


 複雑な青い魔法陣は、水魔法の最高峰とされるあの魔法だね!


「エイス・ヌクテェ!」


 狼を象った氷の塊が、ヨルダン目掛けて解き放たれた! 


「うおおおおおお!」


 さすがのヨルダンも、両手をかざしておじい様の魔法を受け止めたようだった。


 白い煙があたりに充満する。おじい様のエイス・ヌクテェとヨルダンの魔力障壁がせめぎ合ったのだ。


「消えてしまえええええ!」


 おじい様の叫び声があたりに轟いた。


 どおおおおおおおおおおおおん!


 すさまじい激突音が響いた。爆風と共に、白い煙が沸き起こっていた。


「くっ! これが最上位魔法と魔力障壁のぶつかり合いか! 前が全然見えない!」


 ギルベルトが感嘆の声を漏らした。


 おじい様の呼吸は荒い。でも会心の一撃だったのか、してやったりの笑みを浮かべていた。


 しかし――。


「ば、バカな!?」


 そこに現れたのは、平然として服の汚れを払うヨルダンの姿だった。おじい様の魔法も、ヨルダンの魔力障壁を崩すことはできなかったのだ。


 高位闇魔の恐ろしさって、やっぱりこの防御力だよね。おじい様は火に強い水の、それも最高位の魔法を使ったのに、ヨルダンの服すら傷つけることができなかったのだ。


 ヨルダンは姿勢を戻すと、呆れたような顔でおじい様を見つめていた。


「さて。もう気が済んだかな。狼の成りそこない風情が、私に傷をつけられるとは思わんことだ」


 そう言っておじい様を見ると、右手を突き出した。まずい!


 ヨルダンの右手から赤い魔法陣が浮かぶ。あれは火の魔法? 炎でおじい様を攻撃しようとでもいうの!?


 おじい様は茫然として、動くことができないようだった。


「させるかぁ!」


 私は素早くおじい様の前に踏み込むと、ヨルダンの炎を叩き切った。


「なっ! ばかな!?」


 私が斬った炎が消えたのを見て、ヨルダンは面食らったようだった。


 私はヨルダンに向かって剣を突きつけた。


「さて。魔法の出番は終わったようね。次は私の番だ。私の色のない魔法、アンタに止められると思うなよ」

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