第八十六話 敗戦
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たった一人残った暴食軍だったが、そんな彼ももう身動き一つ取ることが出来ない。なぜなら炎によって拘束されてしまったからだ。そして次の瞬間、光の粒子となった暴食軍の彼の姿があった。そこから、将軍格のような魔族が飛び立った。やばいやばいと【隠密】を発動するが、特に俺がバレたわけではなかった。結界を壊しに行ったのだ。たぶんだが、あいつはNPCだ。特に確証はないが、なぜだかそう感じるのだ。そしてその魔族は結界を破壊する。結界を破壊するにはかなりの高火力が必要であるというのは俺が身をもって知っているが、その魔族の放った攻撃はとてつもない威力だった。それこそ、魔王の側近だったベルとバルデにも匹敵するレベルの攻撃だ。たしか強い魔族は領地外に出ることはできないはずだが、これが自力だというのなら他の面で圧倒的な弱点があるか、これ以上に強い魔族がいるってことになる。
「嫉妬の国……予想以上の強敵になりそうだな……」
俺はまだまだ偵察を続けた。
嫉妬軍は割った結界の中を全員で進軍していく。色欲軍のように統率が乱れるなんてことはなく、全員がきっちりとしている。その中にはプレイヤーも混ざっているのに、だ。リーダーのカリスマが異常なのか他の要因があるか、になる。けど、魔王の恩恵ってことはないだろう。嫉妬って罪がそういう支配系ではないと思うし、支配系なら色欲軍の得意とするところのはずだ。
「うおっ!まじか……!」
先ほどやられた暴食軍がリスポーンし、再び戦場へと向かった。しかし、先ほどと同じように突っ込むことはせず、しっかりと距離を保って遠距離攻撃を仕掛けていった。暴食軍のプレイヤーのほとんどが魔法やサブ武器のような遠距離攻撃の手段を持っていたことに俺は驚いた。プレイスタイルは人それぞれだから特に口を出すなんてことは頼まれでもしない限りしないがこれは戦争になると強いなと思った。
もっと見ていたい気持ちはあるが、そろそろ戦争も激化し、俺も巻き込まれないとは限らないのですたこらさっさと逃げてくることにした。本来の目的である戦力の分析もしっかり出来たからな。
♢♢♢♢♢♢
「帰りました~っと。」
飛んで帰ったその足で俺は魔王城へと報告へ向かった。普通に念話でもいいのではないかとも思うが、ダメらしい。魔王城にて待っていたのは魔王様とドリスら側近何人かだった。俺は見たままの情報を伝える。戦力に戦闘の仕方、恩恵の内容、主戦力についてなど、様々な情報を伝えた。
「なるほどな、確かにそれは気になるな。我の知る限り嫉妬の魔王、レヴィアタンにそんな能力はなかったはずだ。配下の誰かの能力の可能性も考えねばならんな。」
俺の感じた違和感についても話してみた。すると、俺には考え付かないことも教えてもらった。戦いは情報を制したものが勝つ。だが、誤った情報は何も知らないよりも恐ろしい。色んな可能性を考えて対面したときにその場で確かめるか調べに調べて正しい情報とのすり合わせを行うのがいいだろう。
「ありがとう。これで我からの依頼は終わりとなる。お礼と言っては何だが、これを受け取ってくれ。」
「あ、ありがとうございます。」
そういって手渡されたものを俺は受け取る。見てみるとそれは人魂のようなものだった。誰かの魂?とも思うが、ウィンドウが正しい情報を教えてくれる。
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名前:力の根源
説明:魔王の力の結晶。
効果:鍛造の際に混ぜることで大きな力を得るだろう。
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また、とんでもないものを貰っちまったみたいだな……
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