第五十話 本選ペア部門part5
いえーい、五十話です。ぜひぜひ、お楽しみください。
「「はぁ、はぁ、はぁ。」」
シェードにも、アミにも疲れが現れる。二人は事前に話していた切り札を切ることを決める。それぞれ切り札なだけ負担も大きい。決めきれなければ負けるが使わなくても負けるという状況において、使わないという選択肢は存在していなかった。
「行くぞ、アーヤ。真っ向から叩き潰す。『刀剣解放』」
シェードの握る刀が浮いて自動的にシェードの目の前に漂う。【刀剣解放】、刀剣術スキルがレベル30となり、刀剣士スキルへと姿を変えたとき現れるスキル。持っている刀の力を100%解放する力。使用者に刀の、武器の最適な使い方が頭へと流れ込む。力のかけ方がわかる、切るべき場所がわかる、力の本質がわかる。今までの使い方がばからしくなるほどだ。刀自身もそれに応えようと力を引き出す。
ハッキリ言って最強、この状態に敵うプレイヤーは現時点で存在しないと断言しよう。しかし、この状態は最大HPの3%を毎秒消費するとともに、リアル世界への負担がかかる。頭に情報を流し込むというのはたとえVR内のことであっても大変なことなのだ。持って1分というところだろう。
「『覚醒』『身体強化』」
さらに体感時間を引き延ばす。勝ちたいという思い、その一点で痛みを伴う力を組み合わせているのだ。
「マズイ!『聖なる矢』!」
「遅い」
先ほどはギリギリだった矢を切る行為、それを容易く行うシェード。どれだけの強化が行われたかわかるだろう。
「『抜刀・陽光羅刹』『抜刀・百花繚乱』」
スパッ
決勝戦という舞台で軽々とアーヤを切り捨てたシェード。観客は今までのシェードとの違い、自身とのレベルの違いに戦慄しているのだった。
「『納刀・光閃』」
♢♢♢♢♢♢
こちらアミVSブレイブ、時間はシェードが刀剣解放をする前へと遡る。こちらも切り札を切ると決めたアミ。そのための準備を着々と進めていく。隣で明らかに高い力が出たことに気づき、早く加勢に行きたいブレイブは最後の突撃を決めることにした。
「うおぉぉぉ!」
「残念ですが私が勝たせてもらいます。『テレポート・ショック』」
バチィ!たった一回の攻撃、アミの呟きがあっただけで観客には何が起こったかわからない。それはブレイブも同様で自分が攻撃を食らった、という事実しか認識できていない。しかし、攻撃を食らう前に聞こえたテレポート・ショックという言葉。これが自身を傷つけた、アミの持つ全力だと理解する。
ブレイブは頭を働かせながら移動する。テレポート、という単語。そこから連想されるは転移、しかも攻撃の転移。それなら自分が見えなかったのも納得できる。先ほど自分が攻撃を仕掛けるまで周囲を逃げ回っていた。あれが何かの条件なのかもしれない。しかし、分かったところで打つ手がない。攻撃自体を転移させて攻撃してくるならばこちらに取れる手段はない。ならば相手に攻撃される前に倒すしかない。
バッ!再び駆け出した。
「『テレポート・ショック』」
その声が聞こえる少し前に躓きそうになったブレイブは勢いを止める。そして発動したはずの魔法は俺になんの害も与えなかった。なぜだろうか?前回と違うのはブレイブが動いていないこと。そしてアミはブレイブが止まっている間はテレポート・ショックを使ってこない。共通する点は動きを止めること!
そう、テレポート・ショックは対象を任意の場所に物体を転移させる。一人では魔法を飛ばしたりできないが、二人以上で最も輝く魔法なのだ。しかし、今は一人。そこでアミが取った作戦はそこらにある尖った欠片や木片などを体の中に転移させること。しかし、ただ転移させるだけでは意味がないため、相手が動いた瞬間に発動することで転移させた後、転移させられたプレイヤーが移動することで、体内に刺さるという攻撃方法だったのだ。見破られてしまっては仕方がないが、もうどうすることもできない。この魔法は一度使用するとMPを回復するまで他のスキルが使用できないという制限付きだったのだ。
「『ファイナルスラッシュ』!」
「くっ、あとは任せました……シェードさん」
ズザァァァ。ここで到着したのはシェードだ。任せる、その言葉を聞いたシェードが返したのはこの大会中幾度となく口にしたこの言葉だった。
「任せとけ。」
いざ、リーダー同士の、友人同士の、そして、ライバル同士の戦いが今、始まろうとしていた。
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