表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

第三話

 一年第二クラスの教室へ到着する。

 百人規模が入る教室とあってかなり広く、教壇側が下になる坂のようになっている。

 大体どこに座っても見えないということはなさそうだ。

 前の机から配布物を一通り取り席に着く。

 ずっとか今回だけかは分からないが一応座る場所は決められていてヨルとは離れてしまった。


「それじゃ、またあとでね。誰か一人くらいはいい人見つけてきてくれると嬉しいな~」

「はいはい。期待しないでね」


 さっきのグループ演習の件だろう。

 一人ずつ連れてくれば計四人で確かにちょうどいいかもしれないけど……

 

 僕の席の前後の席に人は居たが前の人は別の人と話していたので後ろの人にしよう


「こんにちは」

「……こんにちは?」


 随分と変な顔をされてしまった。

 何かおかしかっただろうか。

 そして話しかけてから気が付いたのだがこの人結構イケメンだ。

 赤みがかった茶髪でどうも庶民には見えない気がするが……

 話しかけてしまったものはしょうがない


「とりあえず一年仲良くできる人をってことで近かった君に声をかけたんだ。僕はオシロ シュウ」

「あぁなるほど。俺はエヴァン、詳しい自己紹介はホームルームでするだろうからその時に。察するに一年生のグループ演習の事もあるのかな」


 グループ演習とやらはそんなに有名なんだろうか。

 僕に学校のことを教えてくれた人は何も言ってなかったけど。


「そうそう。実はもう一人いるんだけどそっちも一人連れてきて合計四人でグループを組もうって言っててさ。どう?」

「そういうことなら、せっかくお誘い頂いたんだ。ぜひお願いしたい。特に誰と組むかは決まってもいなかったからね」


 やった、一人確保できたぞ。

 とりあえずこれでヨルに何か言われずに済むな。

 

 何を気にしてるんだろうか僕は。


「さて、もう少し話したいが時間みたいだ」

「はい皆さん。席についてこちらに注目してください」


 入口の方から先生らしき人が声を掛けながら入ってきたので僕も席につく。

 ってあの先生入学式の時にいたエルフの先生じゃない?


「今年一年、皆さん第二クラスの担任を務めることになりました、セルジア・リンデルハウスです。よろしくお願いします。」


 その先生が自己紹介した途端、教室がざわめいた。

 有名人のようだが残念ながらこちらの人間ではない僕には全く分からないのでちょっと聞いてみよう。


「ごめんエヴァン、あの先生有名な人?」

「おや知らないのかい?この魔法大学の教授連の一人、クラスⅤの魔導王じゃないか」

「いやちょっと事情があってあんまりその辺知らなくてさ……」


 しかしなるほどクラスⅤの人……




 クラス、その人が何をする人かを表す資格のような物。

 魔法などを扱う魔法系、剣や槍、斥候などの戦士系、あとは鍛冶や商売などもあるらしい。

 いくつか大まかな分類がありすべてに共通しているのはⅠからⅥのレベルに分かれている事とそれぞれ対応する協会や組織が認定を行っていることがある。

 レベルⅠは基礎的なことができれば取ることができるようだが、上に行くほど化け物じみた話がたくさんあるようでクラスⅤ以上は数えられるほどしかいないらしい。

 そういえば僕をこっちに引っ張り込んだノエルさんは何のクラスだったんだろう。

 この話を教えてくれたノエルさんの娘さんはクラスⅣって言ってたけど。




「何か困ったことがあれば遠慮なく私の所に来てくださいね。さてじゃあちょっとこのクラスのメンバーで自己紹介をしておきましょうか。名前と二年生での希望学科かな。後はまぁ他に何かあれば」


 これでヨルとエヴァンの詳しい事聞けるかな




「ヨルです!二年希望は戦士学部剣士科ですけど将来は魔法剣士志望なので魔法も勉強する予定です!よろしくお願いします!」


 ヨルは何を目指してるのかが分かっただけでシンプルな自己紹介だった。

 次に気になるのはエヴァン、の前に順番的に自分の番かな。


「オシロ シュウです。シュウの方が名前なのでこっちで呼んでください。魔法学部術式科希望です。かなり遠い所の出身なのでこちらの常識で疎い所もありますがよろしくお願いします」


 自己紹介はこんなものだろう。

 そして次はエヴァンの番だ。

 席から立った時になにやらざわついたような……


「俺はエヴァン、エヴァン・ナル・エンボルテン。エンボルテン王国の第四王子だ。王族ということにはなるがあまり気にしないでほしい。俺は王位継承権も高くなく、まして今はこの学校の一生徒だからね。戦士学部騎士科希望で卒業したら国で騎士団に入る予定だ。よろしく」

 

 その自己紹介で教室がさらにざわついた。

 え、僕もしかして結構な人に声かけちゃった……?

 謝っておいた方がいい?


「あの……エヴァン様、先ほどは無礼な口をきいて大変申し訳なく……」

「いや、今も言ったが気にしなくていい。むしろ声を掛けてもらって助かったくらいだ。君は本当に俺のことを知らなかったようだし、それなら下心もないだろう?話し方もさっきまでと同じで構わないよ」

「じゃあ……そうさせてもらうけど……」


 後から首を切られたりしないだろうか……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ