不滅の男と不老の男
都会のビルの喧騒から少し外れたぐらいの場所、隠れ家のようにして存在しているカフェ[ムーンナイト]は終のお気に入りであった。
「最近ストーカーどもに追われまくっててお疲れだから、こうババっと眠気が覚めるのを頼む」
いつものカウンター席入口からすぐの席に腰掛け馴染みのマスターに注文をする。
「久々に来たと思ったらストーカー被害の報告かい、モテモテだねぇ?」
「よしてくれよ、いくら俺がナイスガイだからって男からのプロポーズなんて受けれるかってんだ」
暫く静かで落ち着いた時間を過ごしていると、人気のない店内に誰かが入ってきて隣に陣取った。
「お楽しみ中悪いね、あんたが不滅の男ってやつかい?」
「なんだい?ナンパにしちゃあ誘い方が雑だぜ」
急に話しかけてきた怪しげな男に対し警戒を怠らない。
「おっとと、そんなに警戒しなくていいさ、俺はただあんたと話がしたいだけなのさ」
「ふーん、じゃあ、お前が奢ってくれるってんなら乗ってやるよ」
「おっし決まりだ!マスターこいつが飲んでるのを俺に、ついでに何か食べるものも頼むぜ!」
コーヒーが運ばれてくるまで二人は無言のままだった。
「んで、あんたは何もんなんだい?俺のこと調べてくるなんて随分と用意がいいじゃないか」
「あんたの情報なんて調べなくても自然と耳に入るぜ、雑に切ってある黒髪に190を越える身長でグラマラスな筋肉を持ってる日本人。そんな奴が目立たないわけないさ」
「ま、俺様は最高にイケメンだからな、それであんたは?」
「俺は、あー、名前なんてどうでもいいだろ?とりあえずフロウとでも呼んでくれ、実はあんたと似たようなもんでいわゆる不老なのさ」
「不老だからフロウね、随分と個性的なネーミングセンスだことで」
話すことで乾いた口を潤すためにコーヒーを飲み、一息をつく。
人がカフェで寛いでる時に話しかけてきやがった不届きな野郎フロウと名乗ったその男は不老だと言いやがった、へー、そうなんだ。
ま、嘘でも本当でも奢ってくれるらしいし、少なからず退屈しのぎにはなるだろうよ。
次回、シュウとフロウ、生きてりゃまた会おうぜ