不死不滅と機械のムカデ
2話です、書き方変えました。
でっかい鉄の迷路をズカズカと突き進む、にしても白一色の廊下なんて味気無いよな?俺様はやっさしいから真っ赤に染めてやったぜ、鉄臭いのもここにゃあお似合いだな。
「 さってと、ここが親玉のいる部屋、でオーケー?」
「そ、そうだ! だから、早く離してくれ!!」
「オーケーオーケー、まぁそう焦んなって、直ぐに離してやっからな、直ぐに。オラァ!」
「へ?」
部屋の中に蹴り出された瞬間、警備兵は大きくて黒いナニカに捕らわれた。
「あ、ガァッ!」
ミシミシと音を立てながら、身体が壊れていくのを感じてしまう、脳はなぜか機能を止めることなく全てを理解させようとしてくる、目の前にある明確な死。
迫り来る終わりに、どうしようもなく流されていく。
「君が管理番号472かね?警備兵、案内ありがとう。君には休暇を出そう、ゆっくりと休みたまえ。」
部屋の中の60歳程の男がそういうと、彼を捕らえていたモノが大口を開け警備兵を飲み込む、ゴリゴリという音と叫び声と共に。
「ヒュー!随分と悪趣味なおもちゃだこって、そんで、椅子に踏ん反り返ってご登場ってか!ここの大ボスさんよぉ、ご用件はなーに?」
「その前に自己紹介でもさせてくれ、私はバウグ博士と呼ばれている。472番君、君には大きな価値がある、私としてもそんな君を失いたくは無い、どうだ、ここは穏便に部屋へ戻ってくれはしないかい?」
「 へっ、冗談抜かすな!このマッドメガネめ!後ろのおもちゃを見せてるあたり、脅しかけてる癖に。それに俺は他人に472<死なず>なんてつけるネーミングセンスのやつとは仲良くなれないね!」
「そうか、それは非常に残念だ。では、力ずくでもお帰り願おうか!殺れ![センチピード]」
バウグがそう呼びかけると、彼の後ろに控えていた大きくて黒い機械のムカデが、472番へと襲いかかる。
「思いっきり抱きしめて、激しいキッスでイかせるって寸法かい?あいにくと俺は虫にも機械にも興味ないの!ごめんなさいね」
巨体を活かし逃げ道を塞ぎ確実に仕留めにかかるセンチピードだが、472番はそれをヒラリヒラリと避け、お返しにと胴に当たる部分に拳を打ち付ける。
しかし仰け反りはしても、明確なダメージとはなってならない。
「ククク、どうだい私の可愛い娘は、その子は一途でね、狙ったら絶対に逃がさないのさ!」
「そのメガネは随分とお曇りのようで!度も会ってなさそうだ、どうです?この際老眼鏡にでもお変えになったらいかが?」
「ククク、父親にとって娘とはどのような姿でも最高に美しく映るものさ。 さぁ[センチピード]!思いっきりやりなさい!」
その言葉を境に、攻め方がガラリと変わり、じっくり追い詰めるようなことはせずに、体をしならせて打ち付けようとしたり、多くの脚を使った素早い動きで的確に472番に傷をつけていく。
そして、遂にその牙が472番を捉えた。
口から伸びるおぞましく鋭い牙は確実に472番を貫いていた。
「うっ! おいおい、部屋に戻すんじゃなかったのかよ?俺じゃなきゃ完全に死んでるぜこれ?」
「ククク、フフフハーッハッハ!!!!そうだ、その不死性だ!素晴らしい!!とても素晴らしい!!!私の娘たちにその不死性がつけば!完璧なものとなるだろう!!!!さぁさぁさぁ!もっと私に見せてくれたまえ!君の全てを!!!」
幾度となく、センチピードの牙によって身体が粉砕されていく、幾万の肉片になっても、その魂までも砕かんと、機械の大百足は牙を動かし、その肉を咀嚼する。
「フハハハハ!どうだい、これでわかっただろう!!私の娘の強さが!わかったなら部屋に戻ってくれて構わんよ、君とこの娘たちとの子どもの研究に入らねばならないからね」
「あぁ、よーくわかったぜ、俺がこういうタイプのヤンデレっつー女が嫌いってこともな!」
その声が聞こえた直後、センチピードの胴にいくつも穴が空いていく、腹の中から殴り内部から破壊を始めているのだ。
「オラオラ!やってるのは大百足だが、さながら一寸法師だなぁこりゃぁ!」
内部からの攻撃に対する防衛手段を持っていなかったセンチピードがなす術なく鉄の塊になるのは早かった。
「これで一丁上がりってね!そんでどうする?今度はあんたが相手してくれんのかい?お義父さん?」
「ああ、それでこそ!私が求めた不死の男だ!!その強さが欲しい!!!!!しかし、ここは一旦退くとしようかね、ではまた会おう472番よ!!」
バウグは手元のスイッチを押すと、座っている椅子ごと急上昇し、施設の奥へと消えていった。
これ以降も未定です。