第2話 魔王のおしごと
みんなが僕にひれ伏すし、僕の言うことも聞く。
僕は魔王様ライフを堪能してた。
「おいそこのゴブリン! 喉がかわいた!」
「りょ、了解致しました!」
こんなふうに命令すればなんでもしてくれる。
人の上に立つのって気分がいいね。 まあ人じゃなくて魔物だけど。
「ちょ、ちょっと!魔王様! そろそろ魔王様にも仕事をしてもらわないとなりません! 」
し、仕事? あっそっか。威張るだけが王様じゃないもんな。 なんだろう。ほかの種族とバトるのかな?
「仕事って... 具体的に何をするの?戦争?」
それ以外思いつかない。
「戦争て...... そんなことじゃないです! 例えば、城下町に最近問題視されてるヤンキーがいますので、注意をしてきてください!」
......は?注意?? なんでまた僕が?
「えぇ?そんなのほかの奴がすればいいじゃん! なんで王がヤンキーの注意なんてしなきゃ!」
まず、魔族にもヤンキーっていう概念あるんだ。
「そうやって、国民の行いを正し、お手本になれるような魔王でないといけません!」
確かにこいつが言ってることは一理ある。
仕方ない、行ってみるか!
「わかった。行くよ」
僕は渋々城から出てった。魔王って地味な仕事が多いのかな。なんだか退屈。
そんなことを考えてたら宿屋の前でたむろしてる奴らがいた。
「やあ、君達! そんなところにいると、通行人が困ってしまうから、帰ってくれないか?」
人を注意したことなんてめったにないから、こんなことしか言えない。そしたらリーダー格っぽいデカいデーモンが至近距離まで寄って睨みながら話しかけてきた。
「あんだよニンゲン! 俺達に指図するとはいい度胸じゃねえかよ。 でも次言ったらお前の身体を八つ裂きにするかんなァ?」
......こええよ!!尋常じゃないくらいこええよ!何!魔族にはこういうことよくあるの!?
「え、ええと、そうだな…ぼ、僕は魔王だぞ? 君の攻撃なんて効きっこないよ! と、とにかく! 早くおうちに帰りなさい。」
うん。効きっこないよ。
んなわけねえだろ!!あんなやつの攻撃喰らったら跡形もなく消え去るよ!!
とか思ってたら急に汗かいてきた... 滝みたいに......
「あん?テメェが魔王だぁ? 馬鹿なこと言ってんじゃねえ!!」
そういうとデーモンはナイフを懐から取り出して僕に突進してきた!もう終わりだ!!この世の終わりだ!!
「やめろ!! くるな!」
......
............
......?
下を見るとそこには、胸に刺さったナイフがあった。え、どういうことだ?
前には口を開けたままたってるさっきのデーモンがいた。
「ど、どうやら僕には効かなかったようだね。
さ、さあ...... 今度はこっちの番だよね?君みたいな下級魔族なんで一撃だと思うけど?」
こちらの方が圧倒的に上だとわかったので、
僕のお得意の威張りを見せつけた。
「は、は、 魔王様! 申し訳ございませんでした!! おい野郎共帰るぞ!」
「もうすんなよ?」
あーあ怖かった。 取り敢えず一件落着!
と思ったら急に空が暗くなった気がした。
「雨かな?」
そうして空を見上げた...... そこには......
「は? お、おい...... う そ だ ろ?」
そこには大量の騎士たちが竜みたいのに乗って現れた。
ということは....?
そうしたら城が急に騒がしくなった。
「戦闘の準備をしろ!」 「すぐに国民を避難させるんだ!」
お?戦闘? 避難? ということは???
「バトル! 戦争!!」