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鳥になる  作者: 雨世界
7/11

7 青色の空の中に ハッピーバースデー。

 青色の空の中に


 ハッピーバースデー。


 そこには子供の鳥がいた。


 一羽の親のいない、子供の鳥だ。


 私たちの止まった木の枝には、ぼろぼろになった小さな鳥の巣があった。その巣の中にその子供の鳥がいた。


 木の根元には二匹の親鳥の死体があった。(もしかしたら、あの嵐によって、この二羽の鳥は命を落としたのかもしれないと思った)


 子供の鳥は泣いていた。

 

 そんな子供の鳥がやってきた私たちを見て、怯えたような目をして、そっとその姿を

鳥の巣の中に隠そうとした。(全然隠れていなかったけど)


「どうしたの? 大丈夫?」とわたしは言った。


 すると子供の鳥は、そっとその顔を巣から出して「あなたたちは誰ですか?」とわたしとあなたを見て、そんなことを私たちに言った。


「あなたたちは誰ですか、か。うん。なかなかいい、哲学的な質問だね」とあなたは(その子供の鳥を安心させるように、きっと冗談のつもりだったのだろう)にっこりと笑ってそう言った。


「ここでなにがあったの?」わたしは言った。


 するとその子供の鳥は、「強い嵐が来て、わたしはこの場所にお父さんとお母さんに隠れているように言われて、それで、さっきまでずっとこの巣の中でわたしはお父さんとお母さんに言われた通りに隠れていたんです。お父さんとお母さんは仲間の鳥たちと一緒に嵐の中で、他の仲間の鳥たちを助けようとしていたみたいなんですけど、でも、……二人とも死んでしまったんです」とその子供の鳥は目に涙を浮かべながら、私たちにそういった。


 その子供の鳥の言葉を聞いて、やっぱり木の下にある二匹の親鳥の死体はこの子供の鳥の両親の死体なのだと思った。


 そのことをわたしが子供の鳥に「あなたの両親はどこに行ったの?」と聞いてみると「この木の下で眠っています」と泣きながらその子供の鳥はわたしに言った。

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