エピソードONE
音が流れる。がたんごとん。がたんごとん。
きみは揺れる。がたんごとん。がたんごとん。
大サビに入る直前、ドアは開く。
途端、君は周りの人の目など気にせず僕の手をとって改札まで走り抜ける。ぐんぐんぐん。駆け抜けて駆け抜けていく。この胸の高鳴りはテクノポップスのエクスタシーなんかじゃない。必死に必死に僕が探してた「モノ」の名なんだと思う。えっと、これなんだったっけ.......。
駅の出口を抜けて程なく、君は何かを言いかけて口をもたつかせる。「えっ.....」音が聞こえかけてふとその口を凝視すると辺りは白く染まり君の姿はわからなくなる。
しゅゅゅゅゅーーっっっっ!!!ぐんぐんぐん。どぎっだんっ、たんたんたん、ぱっぱっ。
「ひゃはひゃはひゃは今日はここまでだよ?」「楽しかったねまた後でね。」
むくっむくっ、、、、どすっ。
ちりりりりりーん。目覚まし時計がなる。
さっきまでの出来事は夢だったとわかる。今日のも夢か。似たような夢をよく見る。女性が出てきてまさにロマンチックな出来事を為す。
モテない男だからこそだろうなあ。ロマンだけで日々の生活をつないでいく。そしてどんどん現実に失望する。
幸せだとは言えないのかもしれないな。架空世界に逃げてるだけ。
ーーーーーーーーっっぱんっ!おっと、いつものように自己嫌悪に陥って自身の世界に籠るところだった。これはもし誰かに覗かれたとしても恥ずかしくなくしなくては。
そうそう、これは「日記」である。あとから自分のその日の様子、コンディション、そしていつでも自分の至らなさを見つめ直すための。
(僕と日記とヘポタイヤ)エピソードONE