用語解説その2
無駄に長いです。読み飛ばして構いませんので。
《魔物関連》
『魔物』
従来の生物とは異なる謎多き生物の総称。
ルーツについては未だに謎が多く、現在有力な説は「霊脈の影響でエーテル濃度の高い環境で生物が変質化したものが起源とされる」である。
この諸説は、エーテル濃度の高い環境に生息し、そこから魔物が離れようとしないことからの推測である。
歴史の中、魔物の生態が研究され魔法による生物の改造や擬似生命を創り出されたものがいることから「魔術的力を持った生物」、「魔性の力に呑まれた生物」の略称として今の呼称が使われている。
カテゴリとして、野生動物が由来と考えられる「魔獣」、死者がエーテルの影響で動く「アンデット」、錬金術などにより無生物に擬似生命が宿った「アライフ」などがある。
『魔物のランク』
魔物の危険度を基準とした評価。
危険度は推定被害などを換算した末に評価されたものである。
F>E>D>C>B>A>Sの七段階のランクで区分。
F〜Eランクなら戦闘技術を習得した高等学院の生徒でも十分相手出来るとされ、訓練目的で利用されることもある。
ただし、このランク区分は基本的に魔物一体での評価であり、群れを成すタイプの魔物では群れの規模次第でランクが上昇する。
『ゴブリン』
カテゴリ:魔獣
ランク:F
類人猿が由来とされる人型の魔物。体躯は子ども位で非力、弱い魔物の代名詞とされる。
簡単な道具を使う程度の知恵はあるため、棍棒や短剣など武器を手にしていることが多い。
これらは主に犠牲者などの死体が持っていた物を略奪したもので、手入れをするなどの知恵はないため不衛生でボロボロの場合が多い。
同種族間に限らず、人型ならば異種族の雌との間でも繁殖が可能であるため、殺されずに繁殖に利用されてしまう犠牲者も少なからずいる。
繁殖速度が速いため、常に討伐の対象とされている。
『ホブゴブリン』
カテゴリ:魔獣
ランク:E
ゴブリンの上位種。ゴブリンよりも体格に優れており膂力もあるため、ゴブリンを相手にしてなまじ自信をつけてしまった者が返り討ちに遭うことがよくあるとされる。
ゴブリンの群れの規模が中規模ほどまで拡大してくると発生するようになるため、群れの拡大の基準にもなっており、ホブゴブリンが出現し始めたら早急に討伐する必要がある。
『ブラックウルフ』
カテゴリ:魔獣
ランク:E
漆黒の体毛を持つ狼型の魔物。単体の戦闘能力はゴブリン以上ホブゴブリン以下。だが狼ならではのその敏捷性は同ランク帯の中でも高く、駆け出しの戦士や魔法士にとって苦戦が強いられることが多い。
『グレートベアー』
カテゴリ:魔獣
ランク:C
大熊の魔物。両腕を中心に筋肉が発達しており、自分の胴体くらいの太い大木を容易く圧し折るほどのパワーを持つ。縄張り意識が強い上に気性が荒いため、格上の魔物であっても攻撃する。
『レッドタイガー』
カテゴリ:魔獣
ランク:C
大虎の魔物。体毛が赤みがかっているのが特徴となっている。生存目的だけでなくとも獲物を狩るという危険な性質があり、獲物の返り血を浴びてきたことで体毛が赤くなったと言われている。
『ロック・バイパー』
カテゴリ:魔獣
ランク:C
巨大化した蛇の魔物。ケイ素成分を多く含み岩石と酷似した鱗に覆われているため、その耐久力は同ランク帯の魔物の中でも上位に位置する。全身が筋肉である蛇であることから巨体に反して素早く、熱を感知するピット器官と匂いを感知するヤコブソン器官により岩石地帯を中心に活動。その姿を用いた擬態によって近づく獲物を捕食する。
『ゴーレム』
カテゴリ:アライフ
ランク:個体によって様々
主に錬金術によって生み出された固形物で作られた擬似生命体の総称。無生物で構築された肉体を“核"からの魔力で動かしている。材料や完成度などによりランクが変わるため、駆け出しの戦士や魔法士は力量を見誤って返り討ちにあうこともある。
野生のゴーレムも存在する。こちらは人工的に作られたゴーレムが野生化し偶発的に増殖したパターンや、ゴーストなどの実体のないタイプのアンデットや精霊の類が核となって発生したパターンがある。
『ガーゴイル』
カテゴリ:アライフ
ランク:F〜C(形態等により変動する)
ゴーレムの一種。主に鳥類をあしらった像が動いたものを指す。
魔力により飛行能力を有しており、像のモデルとなった生物によって戦闘能力や飛行能力は異なる。機動力と耐久性の面からアライフの中でも手強い存在である。
『スケルトン』
カテゴリ:アンデット
ランク:F
エーテル濃度の高い環境に置かれた白骨死体がプラーナによって動くようになった存在。生前の動きを再現しようとし、生者の気配を追うアンデットの本能のみで自我はない。
本体が骨であるため、破砕し動けない状態にしなければならない分最下級のランクの割に倒し難い。
※作中では名称のみ登場。
『スケルトン・ゴーレム』
カテゴリ:アライフ
ランク:F
スケルトンを再現したゴーレムの一種。本来スケルトンは白骨死体(つまり人の死体)から生まれるのに対し、こちらは動物の骨灰を素に成形してスケルトンに似せたものであるため見た目が似てるだけで完全に別物である。
対アンデット戦闘の訓練用に生み出された魔物である。実際にアンデットを用いるのは死者の冒涜として違法とされているため、アライフによる再現がなされた。
『ゴースト』
カテゴリ:アンデット
ランク:E
死者の魂魄の内、魂がエーテルの異常により、魂だけで動いた実体のないもの。非常に不安定な存在なため、時間経過で消えることも多い。生前の記憶や感情が残っているため、その未練を晴らすことで消滅---ヤマトなどでは成仏という---する。
アンデットとしてはスケルトン以下の力しかない最下級のものだが触れた生物から生気を吸い取るため、集団で遭遇すると命の危険もある。実体がない性質上倒すのが厄介なため、ランク区分としてはスケルトンより上となっている。
これが凶暴化したりしたものがレイスやファントムである。
※作中で登場したのは魔法で模した幻影体。
『レイス』
カテゴリ:アンデット
ランク:E
ゴーストの中でも生前の強い感情により暴走した個体。原因の感情は主に憎しみや怒りといった負の面を持った感情であることが多いため、生者へ危害を加えることが多い。復讐心で生まれたものだと復讐を果たすことで消滅することもある。
※作中で登場したのは魔法で模した幻影体。
『リッチ』
カテゴリ:アンデット
ランク:C以上
魔法士がアンデット化したもの。生前の魔法を使うこともあるが、肉体自体は朽ちているため耐久性は生前以下。行動は生前のものを反映されたものであり、高位の魔法士がリッチとなった場合の驚異度はランク以上のものとなる。
実体を持つがゴーストのように生気を吸い取るため非常に危険性が高い。
※作中では名称のみ登場。
『リッチ・ドール』
カテゴリ:アライフ
ランク:D〜B
リッチを模したゴーレムドールの一種。対アンデット対策用の訓練に用いられる。ただし、生前の記憶や癖などが反映されるリッチと異なり、行動がパターン化されているアライフのため、驚異度は本物に劣る。そのため、ランクもA以上にはなり得ない(本物のリッチならばなり得る)。
『バンシー』
カテゴリ:アンデット
ランク:C
女性のアンデットから現れる特殊個体。生体が近づくと泣き叫ぶかのような絶叫を響かせるという特徴がある。その叫びは聴いたものに精神的負荷をかけ、精神が弱っているものなら即死する場合もある。
一説には叫びながら殺された女性がアンデット化し、死に際の恐怖からこのような特徴を有したと考えられている。
※作中では名称のみ登場。
『ゴーレムドール』
カテゴリ:アライフ
ランク:個体により様々
ゴーレムの一種。主に「人間を模した造り」のゴーレム全般を指す総称でもある。
ゴーレムドールは戦闘訓練用に用いられる人工の魔物の代表格で、戦闘能力を調節出来るようにされている。
開発の段階で起動・停止の設定が加えられていることも多く、あまり複雑な機構は持ち合わせていないため(技術的な難易度から)、他のカテゴリの魔物を模したものは本来のものより能力的に劣る。
『ストーン・ゴーレム』
カテゴリ:アライフ
ランク:D〜C
ゴーレムの一種。ゴーレムの名称で最も思い浮かぶ魔物でもある。岩石で構築された身体を持つ。人を模した形を成しているが、関節はなく核からの魔力によって身体の岩石の位置を変えることで一見歩いたり腕を振るったりしているように見せている。
『デュラハン・ドール』
カテゴリ:アライフ
ランク:C
デュラハンを模したゴーレムドール。見た目や特徴を模してはいるが、あくまで模造した魔物のため、行動はパターン化されている分、驚異度はリッチ・ドール同様、本物のデュラハンには劣る。
『デュラハン』
カテゴリ:アンデット
ランク:C以上
戦士がアンデット化したもの。生前の武技を使うことが出来、痛みを感じないために怯むことなく攻め込んでくる様は対峙する者を恐怖させる。行動は生前のものを反映されたものであり、高位の戦士がデュラハンとなった場合の驚異度はランク以上のものとなる。
名前の由来は初めて存在が確認された個体が首を切られた騎士だったため。現在では首のあるものや騎士とは呼ばない風体の個体もデュラハンの名称で呼ばれている。
※デュラハン・ドールの説明のため記載。
『ビッグ・スライム』
カテゴリ:アライフ
ランク:C以上
『スライム』の中でも巨大なスライムを指したもの。質量の大きさから流動的な身体故の倒し難さに拍車がかかっている。倒した際に身体を飛散させるため、酸性や毒液の類で構築されたビッグ・スライムの退治は倒し方で苦労させられる。
『スライム』
カテゴリ:アライフ
ランク:個体によって様々
主に錬金術によって生み出された液体で作られた擬似生命体の総称。無生物で構築されて肉体を“核"からの魔力で動かしている。材料や完成度などによりランクが変わるため、駆け出しの戦士や魔法士は力量を見誤って返り討ちにあうこともある。
ゴーレム以上に動きは鈍重だが、弱点である核を体内で動かせること、身体を構築する材料を核からの魔力を用いて周囲から集めて構築・再生出来るためゴーレム以上にしぶとい。ゴーレムと比べて身体を構築する材料を見た目で判断するのが難しい。
過去に汚水の類で出来たと油断した戦士が倒した際に飛散したその粘液を被って死亡した事件もある。ちなみにその時の粘液の材料は強酸であった。
※ビッグ・スライムの説明のため記載。
『魔物使い』
魔法士の中でも魔物の使役を得意としそれを生業とする者の総称。一般的な者は魔法道具を駆使するが、稀に魔物と心を通わせることで使役する者もいる。この場合は魔物側も知能が高いものであることが必須となるため、必然的に後者の魔物使いの方が実力は上となる。
『暗い森』
セーレンド帝国内にあるエーテル高濃度領域の一つでもある原生林。
高濃度のエーテルにより魔物が生息しており、森林は生い茂り過ぎてしまって日中でも森の中は薄暗いことが名前の由来である。
中心部に近いほど生息する魔物の危険性が高く、逆に外周部に近いほど危険性は低いという特徴を持つため、セーレンド帝国学園をはじめとした国内の学生の訓練地として重宝されている。
《武技関連》
『聴覚強化』
局所強化の一つ。名称の通り、聴覚を鋭敏化する。感知魔法が使えない戦士にとって感覚を強化するものは重宝されている。
『発勁』
格闘術の武技。全身の力を淀みなく一点に集め、プラーナと共に内部へ叩き込み、突き抜ける。そのため、硬い装甲で身を護ってもこの武技の前では意味を成さない。
一般的には掌打を介して用いるが、熟練者ならば蹴りや頭突きからでも実践出来る。
『斬鉄』
強化の武技。刃物の切れ味を上げる「鋭刃」の上位版。
「鋭刃」以上の量のプラーナと「鋭刃」よりも更にムラなく纏わせるコントロールを持って初めて完成する。名前の通り、鋼鉄並みの硬度を斬り裂く切れ味を誇る。
『鉄拳』
拳と腕にプラーナを纏わせ強化した状態から拳打を放つ格闘術の武技。格闘術の武技としては基礎的なものだが、適切なフォームで使わなければ自身を傷つけてしまうリスクがある。シンプルなものが多い武技の中でも特にシンプルな分、威力は使い手の技量を示す指標にもなる。
『閃華・秋桜』
連続切りの武技「閃華」の一つ。八つの斬撃を繰り出すもので、素早く振るう膂力と太刀筋を狂わせない技術の二つをもって完成する。その軌跡故に華に喩えられている。
『摩利支天』
最高位の局所強化の一つ。肉体の耐久性を最大まで高めたもの。この領域に達することでようやくある程度の攻撃を防ぐことが出来るため、鎧や防具を強化する「堅固」を基礎とした武技の方が利用されている。ただし、使い熟せばいざという時の防御手段として熟練者からは重宝されている。
『堅固』
強化の武技。物体の強度を高める。肉体の耐久性を強化するものと比べて防御力が高くなる分、好まれて利用されている。
『回気功』
強化の武技。肉体の代謝機能を促進することで自己回復機能を高める。治癒魔法ほどの回復力は一般的に望めないため、あくまで治癒魔法や魔法薬による回復手段を得るまでの時間稼ぎの意味合いで用いられる。
《魔法関連》
『符術』
魔法の応用技術。
魔法の術式を専用の顔料を用いて書いた専用の札に魔力を込めることで魔法を即時展開する。札一枚につき一度きりしか使えないが「即効魔術杖」の様に一つの魔法しか使えないというデメリットがなく、多彩な魔法を仕込んでおくことが出来る。
ヤマトなどの東方系の国由来の技術。刻印魔法は符術の技術の一部を参考にしているとされる。
『多重展開』
魔法の応用技術。
一度に一つしか発動出来ない魔法の弱点をカバーするため、複数同時に魔法を展開する高等技術。
「二重の」など専用の詠唱を組み込むことが指標となっている。
ただし、一度に一つが基本原則である魔法の行使を同じものとはいえ複数同時に展開することは使い手にかかる負担も大きく、魔力の消費量の増加やクオリア(脳)への過負荷を招くため失敗すれば意識レベルの低下や魔力の過剰消費を引き起こして衰弱してしまう危険性も孕んでいる。
学生クラスで二つ同時展開出来れば上出来とされている。
『浄化魔法』
不浄を祓う魔法の総称。主にアンデット対策に用いられるものが多く、治癒魔法に通ずる性質から治癒魔法の素質を持つ者はこちらを習得していることが多い。
『従者創造魔法』
錬金術の一種。無生物を媒体として一時的に「無機生命」を作る魔法。
媒体に応じた魔力の性質調整が求められるため、下級のものでも元素魔法などと比べて難易度が高い。
詠唱では魔法名の前に「我が従者は」とつく。
『空間魔法』
空間そのものに干渉する魔法の総称。空間を飛び越える、空間そのものを遮断するといったものがあり、非常に強力なものが多い。結界魔法も空間魔法に属するものである。
『対物理防御』
下級の防御魔法。
自身のマナを障壁状の力場として展開することで、外部からの物理の影響を遮断する。
「対魔法防御」とは逆に物理攻撃のみを防ぐため、対戦士用の防御手段として活躍する。
詠唱は、
【我が魔力よ、他が力を阻め、対物理防御】
『魔法の矢』
下級の攻撃魔法。
魔力を矢の形にして放つ。攻撃系の魔法を習う際、魔力のコントロールを身につけるために最初に習得する教本的存在でもある。威力は同級の元素魔法に劣るが射程距離と速度に優れている。
詠唱は、
【我が魔力よ、矢となり放て、魔法の矢】
『探査』
下級の感知魔法。
自らの魔力を放射し、それに触れた生体を感知する。生体が発する波長を介して動きの有無や速度、生命力(強さの指標)を感じ取れる。一方、アンデットのような生体でないものは対象外。
詠唱は、
【掌の盤上で、動く駒々、探査】
『探信音』
下級の感知魔法。
自らの魔力を音波状として発することで周囲の地形や物体の存在を把握する。「探査」と違って生体の状態を感じ取ることは出来ないが、アンデットのような生体でないものの位置を把握することが出来る。
【音の波よ、拡がり探れ、探信音】
『魔物避けの結界』
結界魔法。中級以上。
古来より魔除けの効果を持つ銀や水銀を触媒として用いる結界魔法である。結界より放たれる波動は魔物が不快に感じて忌避する性質を持つ。使い手の技量や触媒の質次第で避けられる魔物のレベルが決まる。
『魔を縛する者』
上級魔法。
自らのマナを介して大気中のエーテルに干渉し光の鎖として実体を持たせて対象を拘束する。エーテルで構築された鎖は生半可な力では破壊できない。
元々、魔物を使役するために開発された魔法でもある。
詠唱は、
【恐れ知らずの奔放なる王、その手に鎖を穫り、魔性の物達を縛し、己が騎馬とせよ、魔を縛する者】
『次元転送』
刻印魔法。空間魔法。上級。
魔法陣内にあるものを別の場所にある同一の魔法陣の方へと移動させる。魔法陣内と限定される代わり、建築物などの大型の物体も転送出来る。
セーレンド帝国学園で使われる避難用の魔法陣も刻印魔法の技術と併用している。
詠唱は、
【彼方と此方、距離という名の隔たりを、時という名の境界を、全てを超えて顕れよ、次元転送】
『雪姫の抱擁』
元素魔法。上級。
対象の水分の熱を瞬時に奪い瞬間凍結させる。ただし魔法の効果範囲は非常に狭く、作中では「魔を縛する者」の鎖を介する形で範囲を補っていた。
詠唱は、
【霜の翁の孫娘、春の血を引くその身なれど、触れるものは全て、凍てつき眠る、雪姫の抱擁】
『土の壁』
元素魔法。下級。
土砂を隆起させることで即席の壁を展開する防御系の魔法。あくまで土砂を持ち上げるだけなので、地盤の強度で壁の強度が決まってしまう。そのため緩い地面で行使すると防壁としての実用性に欠ける。
詠唱は、
【土塊持ち上げ、壁となれ、土の壁】
『石の壁』
元素魔法。下級。
岩石を集約して即席の壁を展開する防御系の魔法。「土の壁」と比べて耐久性が得やすいが、展開場所近辺から素材を集めるため、展開場所によっては地盤の崩落を招く危険性も孕んでいる(作中ではそれを利用して足場を破壊している)。
詠唱は、
【石塊積み上げ、壁となれ、石の壁】
『水』
元素魔法。初級。
大気中の水分を凝結することで水を出す。普通は多くてもコップ一杯位の量。
詠唱は、
【流れろ、水】
『放電』
元素魔法。初級。
些細な放電現象を起こす。基本的に静電気より少し強い程度。
詠唱は、
【弾けろ、放電】
『火球』
元素魔法。下級。
炎を球体状にして放つ。燃焼現象を操作して球体を維持しているため、着弾による衝撃などで簡単に霧散する。
詠唱は、
【熱き火よ、弾丸となれ、火球】
『爆破』
元素魔法。中級。
魔力で高密度に圧縮された炎の塊を放ち、集約された熱エネルギーは解放によって強力な衝撃と熱風を生み出す。中級魔法の中でも上位に位置する威力を持つため、習得を目指す者は多い。見た目は「火球」と大差がない分、相手の翻弄にも役立つ。
詠唱は、
【紅蓮の炎よ、怒号の衝撃以て、打ち砕け、爆破】
『大気滑空』
元素魔法。下級。
気流を操作することで落下物や飛行物体の方向をコントロールする。落下時の衝撃緩和にも使えるが、空を飛ぶこと自体は出来ない。
詠唱は、
【大気の坂にて、緩やかに降れ、大気滑空】
『念動力』
元素魔法。下級。
重力法則を一時的に変更し物体を触れずに動かす。
重力操作の魔法は元素魔法に通ずるが自然界の法則を整えて現象を発生させるもの(火や電気の発生など)と比べて法則そのものを変えるためランクに反して難易度は高い。
操れる物体の数や重量は使い手の力量次第だが、多いほど・重いほど消耗が増し、操作の幅も狭まってしまう。
「騒霊の遊戯」も原理は同じだが、刻印魔法による補助と対象を刻印が組み込まれたものに限定したことで複雑な操作を可能としている。
詠唱は、
【我が意志よ、第三の手となれ、念動力】
『声明の反響』
元素魔法。下級。
空気の振動を増幅させることで、声の音量を増幅させる。「沈黙」の対となる魔法。
詠唱は、
【彼方へ響け、我が言霊、声明の反響】
『蛍の光』
元素魔法。下級。
その場に光球を生み出す「明かり」に使い手から一定距離保つ形で追随する機能を持たせたもの。使い手から魔力を搾取し続けることで一定時間消えずに存在するため、暗所での活動に役立つ。
詠唱は、
【暗闇に囚われた我等に、優しき光を、蛍の光】
『沈黙』
元素魔法。下級。
空気の振動を遮ることで、対象の音声を消す。魔法の詠唱妨害にも使えるが、無詠唱には当然意味を成さず、射程自体あまり長くないため実用性はあまり高くない。
詠唱は、
【彼の声よ、静まれ、沈黙】
『震離法陣』
元素魔法。結界魔法。中級。
使い手を中心に高圧電流が放電する領域を生み出す。放電の規模を誤ると使い手自身が感電してしまうリスクを抱えているため、習得する者は少ない。
詠唱は、
【駆け抜けるは雷獣、その足跡に大地は轟き、天は鳴り響く、震離法陣】
『強風の殴打』
元素魔法。下級。
「突風」並みの量の風の流れを一点に集約して放つことで「疾風の礫」以上の威力を出す風の下級魔法の中でもトップクラスの威力を持つ魔法。
大気の集約に時間がかかるため速射性・連射性に欠ける。
詠唱は、
【集え風よ、叩きつけろ、強風の殴打】
『土の兵士』
従者創造魔法。下級。
土を媒体として「無機生命」の兵士を生み出す。土で構築された身体はある程度形状を変えていけるため状況に応じて攻撃方法を変えることが出来る。
詠唱は、
【匠な侏儒腕を奮い、土塊集まり兵とならん、我が従者は土の兵士】
『砂の兵士』
従者創造魔法。下級。
砂を媒体として「無機生命」の兵士を生み出す。砂で構築された身体は土や岩と比べて崩れやすいものだが、その分再構築もしやすく、その性質上敵の足止め目的で使われる。
詠唱は、
【匠な侏儒腕を奮い、砂粒集まり兵とならん、我が従者は砂の兵士】
『岩の兵士』
従者創造魔法。下級。
石や岩を媒体として「無機生命」の兵士を生み出す。岩石で構築された身体は耐久性と一撃の重さに秀でているが、その代わり動きは遅いため、敵の動きを止められる状況での使用が基本。
詠唱は、
【匠な侏儒腕を奮い、石塊集まり兵とならん、我が従者は岩の兵士】
『大地の巨人』
従者創造魔法。中級。
大量の土砂岩石を媒体にして「無機生命」の巨人を生み出す。魔力の消費量は下級の「兵士」の比でない代わり、その耐久性や破壊力は数段上である。
詠唱は、
【名工侏儒は槌で打ち、大地を骨肉に魔力を血潮に、我が意志を心臓にして現れよ、我が従者は大地の巨人】
『妖精の輪』
治癒魔法。中級。
一定範囲内の者に癒しを与える範囲型の治癒魔法。ただし、単体への回復量は「治癒」に劣る。又、範囲内の負傷者の数が多過ぎると回復量が更に落ちてしまうため、費やす魔力の量を増やす必要が出てくる。
詠唱は、
【奔放なる妖精よ、手を取り輪となり、輪舞を見せて、妖精の輪】
『天灯流し』
浄化魔法。中級。
死者を安らぎの炎で包み込むことでその魂を昇天させると言われる弔いのための魔法。
アンデットを消滅させる効果を持つが、意思を持つ個体に対してはその個体が承諾することが必要となる分、中位以上のアンデット相手だと成功率は格段に落ちてしまう。
詠唱は、
【常世に行けぬ者達よ、この送り火を導に、天へと還りなさい、天灯流し】
『泣女の慟哭』
幻術。上級。
アンデットのバンシーの叫びを再現しようと開発された魔法。
音を介して人の精神に直接負荷をかけることで意識を刈り取る。精神の弱い者なら死に至ることもある。音を僅かでも聞くと意味がないため、完全に音を防ぐか、精神を強く保たなければ耐えることは出来ない。
詠唱は、
【彼女の嘆きは、絶望の慟哭、聞くものは皆、息絶える、泣女の慟哭】
『虚偽の手掛かり』
幻術。結界魔法。中級。
領域内の者の「思い込みを誘発」させることで、判断ミスを引き起こさせる魔法。戦闘時などの咄嗟の判断が求められる状況下において効果を発揮する。
詠唱は、
【其方の目に映るもの、それは真か否か、選択を誤れ、虚偽の手掛かり】
《魔法道具関連》
『魔法の鞄』
内部が空間魔法によって拡張されているため、見た目以上に物が入る魔法道具。素材の質や施された魔法の精度次第で性能が異なる。
例として、最低品質のものだと見た目の2〜3倍は収納出来るものの重量軽減の魔法が施されていないため重さは収納量に準じたもので、経年劣化も早く整備しなければ一年以内には使えなくなる。逆に最高品質のものは見た目の数十〜数百倍の収納量、入れたものの重さがない、整備すれば半永久的に使用可能となる。
ちなみにセーレンド帝国学園の備品の「魔法の鞄」は見た目の5倍以上の収納量と重量軽減が施された中級の品質である。
『アダマンタイト』
超金属の一つ。通称「最硬の金属」。
地上に存在する物質の中で最も硬く、並大抵の手段では破壊することはもちろん、形を変えることすらも非常に困難。
加工には専用の炉を用いて超高温の熱で溶かした上で強い力を加えていかなければならない。
又、比重も圧倒的に重いため、アダマンタイトのみを用いた道具の使用は困難を要する。一般的には他の金属との合金にして強度を上げるのに用いられるがそれでも重量が嵩むため10%が精々である。
作中では純アダマンタイト製の盾が存在するが、これはギリギリまで使用する量を切り詰めて加工されたことと使用者の膂力の高さがあることで使用出来ている。
『魔石』
高エーテル濃度領域にて採掘される結晶体。
魔力を蓄積することが出来るため、魔法発動の補助装置として利用される。又、込めた魔力の持ち主なら魔石を起点に魔法の発動も可能である。ただし、その場合だと使用した魔石を破損するリスクが高く連続での使用はほぼ不可能。
『戦戯盤』
元々は軍議で地図の上に駒を配置している様から着想を得て開発されたシミュレーション用の魔法道具。
現在では過去の戦場の状況を専用の記録札を介して再現し、専用の駒を用いて勝敗を競う遊戯目的でも利用されている。
『アメジスト』
魔法の触媒にも用いられる鉱石。雷電系の魔法と相性が良く発動を補助する。
『パール』
魔法の触媒にも用いられる宝石。治癒系の魔法と相性が良く発動を補助する。
『アンバー』
魔法の触媒にも用いられる化石。土砂岩石系の魔法と相性が良く発動を補助する。
『ダイヤモンド』
魔法の触媒にも用いられる鉱石。魔力を集約する性質があり、防御や結界といった魔力の集約が必須の魔法と相性が良い。
『クリスタル』
魔法の触媒にも用いられる鉱石。どの魔法に対しても可もなく不可もなく使える汎用性がある。
 




