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ん~どうしたあたし? 言いたいことをズバッと言えないのはらしくないなぁ

『あ~ヤバい。こんなに時間になってしまった』


今は二十三時過ぎ。

明日は学校だし、朝のジョギングもあるから、普段ならもうとっくに寝ている時間なんだけれど、まだ隼人と約束したことを華子に伝えられずにいるのだ。


華子の帰宅を待っている間は、すぐにでも言うつもりだったのに、いざ会ってみると言いだせないのはなぜだ?


これって、ヒジョーにあたしらくしない。

う~ん、おかしいなぁ。

華子と隼人をあれだけくっつけたがっていたくせに。

そう、何か、何かきっかけがあれば。

けど、華子は絶賛読書中で話しかけるなバリアー出まくりだし、どうしたものか?


ベッドの上でスナック菓子を食らい、粉末の付いた指を舐めて唾液をシーツで拭う。

いつも拭う場所が同じだからか、ママがちゃんとシーツを洗濯してもその跡地はくっきりと残っている。

さらにそこに狙いを定めて拭うから余計に汚れる。


そして明朝の販売分として届いたジャンプのページをめくりつつ、珍しく考えを巡らす。

まぁ、漫画を読むついでレベルの考えだけれど。

そんなゴロゴロウダウダしているところに、


「未來」


なんと華子から話しかけてきたのだ。

これは珍しい!

よっし、このタイミング、貰った!


「えっ、何?」


取りあえずの相槌を打つ。


「ベッドでお菓子食べないでって、何回言ったら気が済むわけ? いい加減学習してよねホントに」


「ムッ!」


腹の立つやつ!

それになんだよその挑戦的な態度は!

あたしがせっかくいい話してやろうと思っていたのに!


「あとその漫画、さっき入ってきた商品じゃないの? お菓子で汚れた手でべたべた触らないでよ。というより、商売ものに手をつけたらダメでしょが」


正論。

だけど、いや、だからこそムカつく!


「それにあんた今食べているのも商品じゃないでしょうね?」


鋭い!

なんでわかったんだろ?

発注数をうまい事誤魔化して隠しておいたお菓子なのに。


「なわけないだろ! ちゃんと自分のお小遣いで買っているよ」


「そう、ならいいけどさ。あんた毎日なんか食べているからどう考えてもお小遣いの範囲超えているような気がしてね」


いやらしいヤツだなぁ。

あたしが食べているお菓子から使っているお金を割り出しているのかよ。クソ!

頭に来た!

悔しがらせてやる。


「あ~あ、そういうこと言っちゃうんだぁ。せっかく華子のために……」


「結構」


いい話持ってきてあげたのになぁ~、って最後まで言わせろよ!

全部聞きもしないで「結構」ってなによ!


「どうせいい話とか言いたいんでしょ? あんたがその手の話をするときは決まって碌でもないことだから」


ヤバい!

このままでは隼人との約束が果たせなくなってしまう。


「いやいや、本当にいい話なんだって!」


あたしの話など無視してまたも読書の世界に戻ってしまった。


「ねぇ~華子ぉ~」


「ますます結構。あんたが甘えた声を出すときは決まって不吉なことが起こる前兆なの」


ここに来て一気に頭に血が上った。


「なんだよ! 話くらい聞いてくれたっていいだろ、このけちんぼ! 隼人のおじいちゃんが困っているのに、お前は平気なのかよ!」


「早川君のおじいちゃん? 一体どうしたの?」


おっ?

なぜか食いついてきたぞ。

しめしめ。

これを機に一気に話を。




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