やっと職場だよ
出てきた料理はパンとサラダにベーコンエッグだった。めっちゃ普通。でも美味そうな匂いがプンプンする。これは楽しみだ。
「モーニングセットお待ち!ソースはそこの小瓶に入ってるから好きにしな。食べ終わったらカウンターまで皿を持ってきてくれ。その時に弁当も渡すよ!」
そういうとおばさんは厨房に戻った。言われた小瓶を見る。2つあり、陶器でできているので中身は分からない。匂いを嗅いでみると使い慣れた匂い。醤油だった。もう片方はウスターソースだった。
「どうしました?醤油があるのは変ですか?ここは転移者で日本人ばかりいるんですよ。あって当たり前です。まぁ作るのは少し苦労したみたいですけど。」
すげーな!異世界でも日本人の食に対する情熱!たぶん俺が思いつく食材とかは作られているんだろうな。あれ?米はあるのかな?とりあえず食べながら聞こう。
「パンも美味いしサラダも新鮮で美味いですね。でも元日本人としては米もあると嬉しいのですが・・・」
「米ですか?ありますよ。お弁当はお握りなんで期待してて下さい。ここのお握りは美味しいことで有名なので。」
あったわお米。しかもお握り!ありがたい・・・さすがに今まで食べてた米がなくなる心配はなくなった!良かった!マジで!
「食べ終わったらこれから働く農場に案内します。そこで班長の人に会ってもらいます。そこで私の仕事は終わります。なにかありましたら役所に来てください。問題は起こらないとは思いますが・・・暇なら来てお茶でもご馳走してください。出来れば忙しい時にでも。」
これはフラグが立って・・・ないな。どう考えてもサボる口実を作るだけだ。チートあってもハーレムはないな。というか出会った人はおっさんとババァ(ロリ)と鉄面皮のガーネットさんのみ!なにこの地獄。
「「ごちそうさまでした」」
あ、こっちでもごちそうさまは同じか。まぁ日本人多いしこんな感じか。食器を下げに行くとやっぱり精悍なおばさんが話しかけてきた。
「美味かったか?美味いよな?それ以外の感想はいらんよ。これが頼まれた弁当だ。今日中に食べてくれよ。じゃ、仕事頑張れよ!」
さて行くか。頑張れよと言われたときに尻を叩かれたが気にしない。少しエロい感じに叩かれたが気にしない。
「ではついてきてください。」
さて行きますか。やっと仕事だ。
喫茶店から20分、家から30分?くらいで農場についた。あれ?俺なんも道具持ってきてないぞ、どうしよう?
「ここで待っていてください。班長のシゲルさんを呼んできます。」
シゲルさんってことは転生者か転移者か。話は合いそうで安心だ。あ、ガーネットさんがおっさんを連れてきた。おっさん多いなぁ。
「ようこそシゲル農場へ。名前の通り農場主のシゲルだ。土と水のチート持ちらしいな。歓迎するよ。」
「はじめまして、タダシです。そんなにチート持ちって珍しいんですか?」
「敬語はいらねぇよ。チートか?日本人ならだいたい持ってるぞ。そんで仕事してる。俺も土のチートあるしな。」
「そんじゃため口で。チートってもっと戦いとか内政とかに使うんじゃ・・・?」
「戦いはないぞ。魔物がいないのは聞いてるよな?そんで戦争もない。さらに犯罪者もいない。ほら、戦いようがないだろ?あと内政は無理だ。ちゃんと政府が頑張ってるから俺たちに出来ることはない。」
「戦争がないって平和すぎません?それに犯罪者は少なからず出るでしょう?」
「そこの説明は私がしますね。戦争がないのは近くに他国がないからです。隣国に行くのに馬車で5年ほどかかります。船で行くにも探しても大陸が見当たらなくて帰ってきました。神様に聞きましたら戦争にならない位置に国を作ったそうです。あ、ちなみに他国との交流はありますよ。」
それなら戦争にはならないだろう。でも内戦やテロはどうなんだ?
「政府がちゃんと行政してるから内戦にはならんぞ。テロは犯罪者と同じでいない。理由はだな、「犯罪を起こそうとすると頭が痛くなって倒れます。理由はやっぱり神様のおかげです。もちろん喧嘩は起きますけど傷害にはなりませんよ。」言われたわ・・・」
なんかディストピアみたいな感覚だな。ほとんど神様のおかげで回ってる。でも安全ではあるな。別に問題を起こそうとは思ってないし。
「それより仕事の話に戻るぞ。土魔法で開墾や土木工事をしてもらう予定だ。水魔法では雨を降らせてもらおう。特に難しい仕事ではないから安心しろ。ここからは俺たちの仕事だ。役所のねーちゃんは帰っていいぞ。」
ガーネットさんとはここでお別れか。最後までよく分からない性格だったな。
「それでは失礼しますね。なにかありましたら来てください。特に暇なときで美味しいケーキを持ってるときにでも。」
「あー、分かりました。それではまた。ありがとうございました。」
そう言って帰ったガーネットさん。やっぱり暇つぶし目的?
「なかなか好かれてるなタダシ。じゃぁ頑張って仕事して金を稼ごうか!」
好かれてるのかよあれで!やっぱり分からんよあの人!