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チートがある?素晴らしい人材です!  作者: こんにちは酒
異世界転移したから手続きしよう
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いざ職場へ?

 田中さんは語った。

「まず最初に佐藤さんの名前を知っていたことですが、種を明かせば簡単です。あなたを魔法で鑑定しました。」

 あれ?鑑定したなら名前以外のステータスも知っていそうだけど・・・

「まず鑑定はそこまで優秀な魔法ではないのです。分かるのは名前と今のレベルだけです。MPや魔法がなんであるかは分からないのですよ。」

 なるほど、だから名前は知っていたが、若返ったから地球での年齢を聞いたのか。たしか異世界に来たら若返るか転生するかだったな。

「次に先ほどあったユーヤ君ですが・・・彼は転生者です。転生者はある条件がない限り、子供の時から働いてもらいます。条件とは前世で子供だった場合です。前世が大人の方は5歳を超えたら働くように法律で定められております。ちなみに転移と転生はこちらに来る前に神様が本人に聞いてるので間違いはありません。」

 なるほど、でも転生を選ぶメリットはなんだ?転移でも若返るなら転生を選ぶ理由はないのに?

「転移のメリットは若返ること、転生のメリットも若返ること。同じようですが、転生は1歳からはじまるのでこちらの世界に長く暮らすことがメリットです。まあ転移にしても転生にしても、すぐに働いてもらいますけどね。」

「あのー・・・さっきから働くことを重視してますが、何をすればいいのでしょう?やはり定番の冒険者?それとも勇者?」

「冒険者はいません。こちらでは冒険する場所がないからです。あと魔物もいません。普通の動植物しかいません。勇者はいますよ。毎月投票でその月の勇者を決めます。先月の勇者は奥手な女性が好きな男性に告白して付き合ったのが決め手で、告白した女性が勇者になりました。今月の勇者はまだ決まっておりませんが、嫌いなピーマンを頑張って食べたソラム君7歳が最有力候補です。」

 なんだそりゃ・・・冒険者がいない?つまりあれだ。悪い先輩冒険者に絡まれることもないし遺跡やダンジョンでワクワクする場面もない。だって魔物がいないし!まぁ勇者は放っておこう。うん、告白しただけで勇者とか逆にキツイ。というか悲しい。しかし魔法があるのに魔物がいないって平和だなー・・・がっかりだよ!

「ユーヤ君は転生者ですが私も転生者です。そして転生者はこちらにくると神殿の前に光りながら落ちてきます。1歳の姿でね。その後は孤児院で5歳まで過ごし、働きに出ます。私の場合は役所に働くのが希望だったので、23歳の今でも役所に勤めております。初めてこちらに来た人にいきなり名前を呼ぶととても驚きます。それが楽しくてねー・・・」

「まさかそんな理由で鑑定魔法を?」

「はい、そのまさかです。あと名前を思い出せないということもないので距離感が近づきますよ。それで孤児院出身で今も孤児院で生活してるのでユーヤくんたちには兄と慕われております。」

「私の身の上話は以上です。次は魔法の適正による職業案内です。ここから先は私の管轄外なので別の方にお願いします。まずはミユさんのところに行ってください。それではまた・・・」



 さて受付に行こう。お婆ちゃんなミユさんのところに・・・

「なんか失礼なこと考えてますね。田中さんの話は終わったようですね。こちらへどうぞ。転移者用の用紙があるので記入してお待ちください。」

 おっと、勘がいいな。なるべくミユさんには無心でいこう。ついていくと待合室のような場所だった。ストーブがあるがまだ火はついてない。寒くなってから稼働するんだろう。昨日は春だったのに今日から秋とか体がおかしくならないか心配だ。まぁ南半球に旅行に行ったら同じ経験するしなんとかなるだろう。さて用紙用紙っと・・・

 転移者用職業案内用紙。長いな。記入するのは名前、今の年齢と前の年齢、そして前職と使える魔法ね。あ、魔法は任意で記入か。でもよく分からないし記入しておこう。別に変わった魔法でもないし。あぁ・・・火魔法で冒険したかったなぁ・・・魔物も冒険者もいないけどな!

「佐藤さん、佐藤忠志さん。3番窓口へご案内します。」

 呼ばれたか。さて、職業案内とはなんだろ?ハロワ?

「こんにちは、佐藤です。よろしくお願いします。」

「はい、こんにちは。担当のワモサです。よろしくお願いします。転移されてからいろいろあったでしょう。もう少し頑張ってくださいね!」

 ワモサさん。まず男なのか女なのか分からない。うん、蜥蜴人(リザードマン)だ。神殿に行くときに見かけたが声は高い。高いけど声変わり前の男の子みたいな高さだ。性別を聞いたら失礼だな。そして異世界の名前だと余計に分からない。まぁ日本でもカオルやシノブみたいに男女両方に使える名前あったし気にしないでおこう。

「用紙を拝見します・・・なるほど、34歳ですか。前職はサラリーマンって・・・すいません。ちょっともう少し具体的に教えていただけますか?」

「あー・・・失礼しました。私は機械の営業をしてました。工場で使うような精密な部品の営業です。これで分かりますか?」

「営業ですね。分かりました。次に魔法ですが・・・土魔法が5!さらに水魔法が2!素晴らしい農家になれますよ!もしくは道路工事が天職ですね。」

「え?農家?たしかに夢のなかでスローライフがいいとは言いましたが・・・だからなのですか?」

「はい、転移、転生者の方はこちらに来る前に神様と対話します。覚えてる方は多くないですけどね。あなたはスローライフに憧れていたのでしょう。それで農家でのびのびと生活したいと願ったのがこの魔法に出たのでしょう。土魔法で耕して水魔法で雨を降らせれば簡単に手入れできますよ。もちろん肥料などは作ったり購入する必要はありますけどね。」

 なるほど、たしかに楽だわ。問題は俺が本当に農業をやりたいことかだが・・・聞いてみるか。聞くはひと時の恥、知らぬは一生の恥と言うしね。

「すいません。私は本当に農家になっていいのでしょうか?あとからやりたくないとか言い出したら私も他の方も困りますし・・・」

「大丈夫ですよ。今までそういう心配をした人はいましたが皆さん勧められた仕事を楽しくやってますよ。もし転職したいときは神殿で魔法の交換ができますよ。魔法は2ランクダウンしますけどね。」

 なんだ、救済はあるのか。でも最初は農家になるか。よし、まずは農家になってみよう。憧れていたしね。

「では農家でよろしいですね?これが農家募集の村の名前と場所になります。トルナマ村というところです。場所はここから馬車で3時間です。この役所から西にある乗合所でトルナマ村行きの停留所で待ってれば・・・ちょうど1時間後に出ますね。転移者なら村の方は喜んで受け入れますよ。こちらから持っていくものはありません。まぁ転移者は今着ている服以外は基本的に持ってませんしね。では頑張ってください。なにかあれば来てくださいね。親身になって相談に答えましょう。」

「ありがとうございました。では行ってきます!」

「はい、いってらっしゃい。新たな人生に祝福を!」



 さて、まずは西へ行くか。方角は知らないが看板はあるから分かりやすい。雑多な街を歩く。30分ほど歩くと停留所が見えてきた。馬車か。これ馬なの?角があって6本足でムキムキの体。どっかの世紀末な覇王さんが乗ってそうな凶暴な風貌。え、これが引く馬車に乗るのかぁ・・・まぁ引いてる馬車が車というよりバスみたいなデカさだけど。バスも車の1種だから間違えてはいないな。

「すいません、トルマナ村行きの馬車はここですか?」

「そうだよ。見ない顔だな。それに荷物は何もないところを見ると転移者だね?私はこの馬車の運転手のドルだ。あと少しで出発するから乗って待ってな。」

「あ、私は佐藤忠志と申します。よろしくお願いします、ドルさん。」

「タダシっていうのか。あ、サトウは転移者に多いから苗字だから下の名前を使いな。昔はサトウとスズキばかりでみんな困ったんだよ」 

「分かりました。これからはタダシと名乗ります。では中で待たせてもらいますね。」

 中には数人の先客がいた。俺は真ん中あたりの窓際に座る。10分ほどしただろうか。ドルさんが乗客に声をかけた。

「これからトルマナ村に向かう。では行くぞ。出発!!」 

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