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暗殺者は今日も女装をする。  作者: 木陰の蛇
63/66

63話

四千文字行かず。最低、五千文字は書きたいんですけどね。打つのが遅くて、中々難しい現実です。


 「久々にここに来ましたね」

 朝実が詩音と始めてあった校舎の部屋を見ながら呟く。本当なら、葵と蒼の二人も連れてくるつもりだったが。

 「うちに用があるってさかい、呼び出すなんて朝実もかわったんやな」

 朝実の背後からそう声が聞こえると共に、朝実の背後から日向が朝実に抱き着く。

 「お、おねいちゃん。急に抱き着かない……ひゃい!」

 日向に抱き着かれた朝実が、日向に抗議の声をあげるが。抗議の声は、胸を揉む日向の所意で途切れ、替わりに色気のある声が部屋の中に響く。

 「うん、うちは満足したわ。………で、どうしたん朝実?。顔赤くして、息切らして?」

 「お、おねいちゃんの。せ、せいだよ」

 顔を赤くして息を切らせながらも、何とか日向に言うが。日向は、何処吹く風で息を切らしている妹を見ている。

 「おねいちゃんに聞きたい事があって、詩音ちゃんて女の子だよね?」

 「何言うてんのや?。この学園は、女の子意外は入学出来んのやけど」

 朝実の質問に、日向が質問の意味が分からないと首を捻りながら答える。日向の答えに、朝実が納得のいかない顔をしながら次の質問をしていく。

 「最近、何か思い出せない時がある?」

 「うちは、まだ物忘れする歳じゃ無いんやけど?」

 「詩音ちゃん、最近バイトに行ってる?」

 「たまにだけど、ちゃんと来てるわ。お陰様で偉い儲けさせて貰ってるんやよ」

 「じゃあ、最近詩音ちゃんに変わった事って無い?。可笑しな所とか?」

 「ん〰️、そう言えば最近やけど、手加減が少ない位やな」

 「じゃあ、最後だけど。詩音ちゃんの秘密何処まで知ってる?」

 朝実の最後の質問に、日向の目の色と纏う雰囲気が一瞬にして替わる。

 「それは、朝実の姉に聞いてるん?。それとも、薄紫日向に聞いてるん?」

 朝実の姉では無く、薄紫日向の顔で尋ねる日向の纏う冷気の様な冷たい雰囲気に、朝実の全身から冷たい汗が流れ落ちる。

 普段は優しい。と、言うより、溺愛に近い程に朝実を愛している日向だが。薄紫日向としては、肉親だろうが妹だろうが敵対する物には容赦はしない。

 そして、薄紫家にとって情報とは、武器であり身を守る盾でもある。姉として答えるなら良いが、薄紫日向として姉とは言え情報を簡単に妹に言う訳にはいかなかった。

 「お、おねいちゃんじゃない。う、薄紫日向に聞いてるの」

 「その意味が分かって言ってるんやな」

 「ヒゥ!」

 日向からの殺気に、朝実が短い悲鳴をあげるが。それでも、健気に姉に向け殺気を叩き返す。

 「ええ覚悟や、その覚悟確かめさせて貰うで」

 日向の声と同時に、朝実を物凄い衝撃が襲い。一瞬にして壁まで吹き飛ばされると、何時の間にか張られていた結界に辺り止まる。

 「う、あ"」

咄嗟に自身を守る結界を強めたお陰で、何とか直撃は避けたが。衝撃で意識が少し飛び、ふらつく頭のまま何とか日向の事を探すが。

 「え?……!!」

 日向の姿を見付ける前に、また衝撃と共に吹き飛ばされ結界に叩きつけられる。

 「その程度なん?」

 朝実を結界ごと蹴り飛ばしている日向が、朝実に向かって小さく言う。朝実は、結界を強めるだけで何も攻撃してこない。

 (このままだと、負けるで?………いや、これは不味いで!)

 雪と朝実が戦っていた時の事を思い出し、急いで朝実から距離を取ろうとする日向だったが。

 「無駄やで」

 「っ!!」

 一瞬で日向の目の前に移動した朝実が、日向目掛け拳を繰り出すが。鎧通しの拳でも、日向の結界を抜く事はできず。日向の結界に絡め取られる寸前、朝実は拳を引き急いで距離を取る。

 「今のは、初見やったら食らってたわ。成長したんやな。なら、うちも本気で相手をせな失礼してやな」

 そう言いながら、日向が鉄扇を取り出すと。優雅に開き、流れる様な動きで顔の前に持っていき顔を隠す。

 戦闘中相手から顔を隠す行為は、自殺にも等しいが。朝実は、日向が鉄扇を取り出した瞬間から身体の震えを止める事が出来なかった。

 (おねいちゃんが、本気だ)

 震える身体を両手で抑えながら、鉄扇で顔を隠した日向を見る。日向は、依然として顔を隠したままだったが。日向が顔を隠している理由を知っている朝実は、攻撃せずに黙って結界を強く張りながら様子を見る。

 「正解や、攻撃したら終わってたわ。まあ、攻撃しなくても終わるんやけどな」

 顔を隠していた鉄扇を退けると、その顔には白い般若の面が掛かっていた。

 「般若の面は、嫉妬と恨みの面。歴代からの薄紫家への恨みが籠ったこの面は、本来なら術者を呪うんやど。うちは、その力を利用しうちの能力を倍以上に高める事ができる。それに、呪いは攻撃した相手や攻撃してきた相手に自動で襲いかかんや…………行くで、朝実」

 日向が朝実に向けて言うが、日向の鉄扇を振るった一撃は音を置き去りにし、結界を強く張りながら呼び出すなんて見ていた朝実を吹き飛ばす。

 「あかん!。結界まで、壊してもうた!」

 日向の呪いが籠った一撃は、日向が張った結界を部屋ごと破壊し校舎の一部を吹き飛ばす。

 「朝実!、無事でいてや朝実!!」

 日向が鉄扇を仕舞うと、般若の面が虚空に欠き消える。そして、最愛の妹の朝実を探し瓦礫を結界で吹き飛ばす。

 「………ええ根性やな」

 結界で瓦礫を吹き飛ばした日向の後ろに、血を流しながら拳を日向の背中に当てている朝実がいた。

 日向の一撃を何とか耐えきった朝実は、瓦礫を吹き飛ばす為に結界を広げた日向の隙をつき背後を取った朝実だったが。魔力はもう全く無く、体力も限界でありただ手を当てているだけだった。

 「ふぅ、うちの負けや。質問に答えるわ。だから、今は休み朝実」

 両手を上げ日向が降参すると、朝実が力無く崩れ落ちる。日向は、崩れ落ちる朝実を優しく受け止めると、いとおしげな目で朝実の事を見ながら頭を撫でる。

 「強くなったんやな」

 日向がそう言いながら、朝実を背負い保健室に向かう。途中で擦れ違った先生方に校舎を壊した事を説明しつつ、誰にも聞こえない程に小さな声で呟く。

 「詩音はん、うちの朝実を強くしてくれた事は感謝するわ。でもな、このどうしようも無く沸き上がる怒りは、誰にぶつけたら良いと思う亡霊(ファントム)はん」

 日向の目は、全く笑っておりず。怒りからか、僅かに髪の毛が逆立っていた。

 「ここわ?」

 「ごめんなさい、ココワは丁度切らしてるの。替わりに、コーヒーなら出せるわよ」

 保健室にいた桃木が、朝実のボケを素直に受け取り。ココワの替わりに砂糖とミルクを入れ、甘くしたコーヒーを朝実に渡す。

 「有り難う御座います、桃木先生?」

 「何か可笑しいかしら?」

 朝実が桃木の事を見ながら首を捻る。今の桃木は、何時もの白衣では無く。ゆったりとした私服を着ており、何時もとは違う雰囲気だった。

 「この服かしら、急用で呼び出されたから急いで来たのよ。そしたら、校舎が壊れてて驚いている所に、朝実さんが運ばれて来たって訳ね」

 そう言って自分の分のコーヒーを飲んだ桃木は、私服の上から白衣を羽織ると部屋を出ていくが、ドアを締める途中で開けなおし朝実の事を見る。

 「診断結果は、魔力切れと全身打撲に裂傷多数。それ以外にも色々とあったけど、今は完治させたか大丈夫よ」

 そう言い残し、桃木は今度こそドアを締め部屋を出ていく。

 「誰に、言ったのかな?」

 朝実が首を捻った瞬間、背後から誰かが朝実の事を強く抱き締める。

 「良かった、良かったわ!」

 「おねいちゃん!」

 自分に抱き着いているのが日向だと分かると、安心と疑問から暫くの間固まっていた。

 「それで、質問の答えやけど。詩音はんが亡霊(ファントム)である事。亡霊(ファントム)が昔は悪夢(ナイトメア)と呼ばれていた事。

 そして、今街を騒がしている犯人が亡霊(ファントム)である事間でなら知ってるで」

 日向の答えに、朝実の目の色が替わる。それは、まるで長年解けなかった謎が解けた瞬間の様だった。

 「おねいちゃん、亡霊(ファントム)は男だよね?。なら、何で詩音ちゃんは女の子なの?」

 「それは…………まさか、記憶を改竄されてたんやな。………何時や、何時記憶を書き換えられたんや」

 日向が一人で考え込むなか、朝実が精霊と契約したね時の事を話す。その話を聞いた日向は、驚きで目を見開くと少ししてから小さな声で呟く。

 「あかん、張れとる。…………!!。逃げるで、朝実!」

 日向が自分と朝実を結界で覆った直後、保健室の壁が崩れ落ちる。何とか、崩れ落ちる瞬間に脱出した二人が見た光景は、半壊した校舎に抗議を壊したであろう全身が黒い靄の様な物で包まれた、黒い人の様な者だった。

 「|影の人形《シャドウ·マリオネット》やな」

 影の人形を一目見て言い当てた日向の背を、冷たい汗が流れ落ちる。

 「一体でも化物やのに、この数は多すぎやわ」

 日向と朝実を狙っている影の人形は、全部で十体以上おり。中には、日向ですら見た事も聞いた事もない形の影の人形もおり。その四つの手には、様々な武器が握られており。馬の様な形の下半身では、何時でも飛び掛かれるぞと言わんばかりに蹄をならしていた。

 「最悪……災厄の方がええか」

 朝実が聞いた事の無いほど弱々しい声で、日向が呟く。朝実は、そんな日向を優しく抱き締める。

 「おねいちゃん、私も戦うから」

 朝実の言葉に、日向が一瞬おどろいた表情を浮かべた後。優しい笑みを浮かべながら、朝実の頭を撫でる。

 「そやな、なら任せるで。一緒に彼奴等倒そうか」

 そう言い、鉄扇を二本引き抜き構える。朝実も結界を張ると、小さな声で呟く。

 「おねいちゃんと、私を守って!」

 朝実が呟くと、何時の間にかいた小さなそれは力強く頷く。その場にいた朝実以外、誰もが気がつかなかったそれは、雪との戦闘で朝実と一緒に戦った者であり。朝実の頼れる相棒であった。

  

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