62話
短目ですが投稿です。それと、この話からサブタイトルが数字になります。すいません。
「あれ?。何にかあったのかな?」
和菓子の専門店が見えてくると、琴音が人だかりに気が付き指差す。
「並んでる様では、無い様ですわね」
人だかりの様子を見て、美和が警戒した様に呟く。そして、更に人だかりに近付いて行くと、黒姫が琴音と美和だけに聞こえる様に小さな声で言う。
「血の匂いがするでありんす」
「えっ?、血の匂いって。怪我人がいるの」
琴音の質問に黒姫が首を横に振る。怪我人以外の血の匂いと聞き、一瞬何の事か分からない琴音と美和の二人だったが。考える間もなく、鋭い悲鳴と共に人だかりが蜘蛛の子を散らす様に店の前から逃げ出していく。
「……えっと、人なのかな?」
逃げ惑う人がいなくなった後、店の中に立っていた物を見て琴音が首を捻る。
店の中にいたのは、人の形をしていたが。全身が黒い靄の様な物に包まれており、黒い靄が揺れる度に人の形も変わっていた。
「|影の人形《シャドウ·マリオネット》!!」
「黒姫さん、それって!……っ!!」
黒姫の声に、美和が何かを思い出し叫ぶが。直後、影の人形を複数の魔法が襲う。
「君達、ここは危険だ!。すぐに指定の避難場所迄逃げなさい!」
琴音達に逃げる様に言いながら完全武装の聖騎士が6名、影の人形を取り囲む様に囲み3人の聖騎士が封印の魔法をかける。
「駄目でありんす!。逃げるでありんす!」
黒姫が悲鳴にも似た叫びをあげる。ただ、聖騎士達は黒姫の叫びを無視し徐々に包囲を縮めて行く。
そして、影の人形迄。十分な距離まで近付き、封印の魔法を完成させようとした時、影の人形の腕の形が変わる。
「盾構えぇぇ!」
影の人形の腕の形が変わったのに気が付いた聖騎士の一人が、大声で仲間に向かい叫び、封印の魔法を詠唱している仲間を守る様に盾を構える。
「………」
影の人形が、無言で細長く伸びた腕を聖騎士目掛け伸ばす。細長く伸びた腕は、一度封印の魔法に触れ弾かれると。先端から複数に裂け、再度聖騎士達に襲い掛かる。
「嘘ですわよね?」
美和が自分が見た物が嘘だと言う、美和の前には影の人形の細長く別れた伸びた腕に全員が貫かれていた。
「くそ、よくも聖騎士の人を。【火のだん】」
「駄目でありんす!。攻撃しちゃ駄目でありんす!」
琴音が怒りのまま、影の人形に魔法を使おうとするが。黒姫が琴音に抱き着き無理やり詠唱を止めさせる。
影の人形は、魔法を詠唱していた琴音の方を向いていたが。攻撃してこないと分かると、細長く伸びた腕が元に戻る。
「………」
黒姫に抱き着かれ、何も出来ず影の人形を睨み付ける琴音の目の前で。影の人形の形が変わり狼に似た姿になると、そのまま一度大きく跳躍し屋根の上を走り去って行く。
「行った様ですわね」
美和があんどした様に息を吐き出す。そして、自分を睨んでる琴音に気が付き溜め息を吐き出す。
「説明して欲しそうな顔ですわね」
「説明して欲しいよ!。黒姫ちゃんも、美和も何で見逃したんだ!」
怒りで叫ぶ琴音を黒姫に任せると、美和が聖騎士の元に走り一人一人確認しいていく。
「やっぱり。今、回復させますわ」
聖騎士が全員生きているのを確認すると、美和が拙いながらも回復の魔法をかけていく。
「ここまで回復させれば、取り敢えず大丈夫ですわね。問題は、あっちですけわね」
「さて、説明して貰おうか」
抱き着いていた黒姫を抱き抱えた琴音が、不機嫌そうな顔のまま美和に詰め寄る。
「取り敢えず、ここでは他の人にも迷惑になりますわ。今、聖騎士の応援の部隊が来ますし、場所を替えた方が良いですわ」
そう言いながら琴音の横を通り過ぎる美和だが。
「詩音さんに関わる事ですわ」
「…!!」
琴音の横を通り過ぎる際、琴音の耳元で小さな声で詩音だと言う。琴音は、一度叫びそうになったが、グッと叫ぶのを抑え美和の後に着いていく。
「ここなら良いですわね」
美和が一つの店の中に入る。その店は、本屋と食事処が合わさった店であり。完全防音の個室がある店である。
「で、早く説明して欲しいんだけど!。何で詩音ちゃんの名前が出て来るのか?、あの影の人形が何なのか?、詩音ちゃんが今何処にいるのか?、詩音ちゃんの好きな食べ物とか」
不機嫌そうな顔のまま、琴音が美和に詰め寄る。
「最後の二つについては、私も知りたいですわ!。……じゃっなくて!。まずは、影の人形についてですわ」
そう言い、美和が個室の部屋を出て一冊の本を持ってきて琴音の前にページを開いて置く。開かれたページには、影の人形について短い説明が書かれていた。
「|影の人形《シャドウ·マリオネット》。悪夢の夜に現れた謎の人形ですわ。正体は、闇の魔法と光の魔法、それと影の魔法と幻影の魔法の複合魔法ですと言われていますわ」
「言われていますわって事は、分かって無いの?」
「超がつく程に、高度で難しい魔法だと言うことですわ。一定以上近付くか、攻撃すると襲ってくるそうで、何も分からないと言う事ですわ」
美和がそこまで言うと、部屋の中のベルがなり。ベルを鳴らし返すと、少しして人数分の飲み物と甘いケーキが運ばれてくる。
「何時の間に頼んだの?」
「さっき、本を取りに行った時ですわ」
美和が堂々と言うと、甘い物を見て黒姫の目の色が変わる。
「甘い物でありんす!」
運んできた定員から、引ったくる様に黒姫がケーキを奪うと。幸せそうな顔でケーキを頬張ってゆく。
「それで、話を戻しますわね」
一旦飲み物で喉を潤した美和が、黒姫にケーキをあ〰️んしている琴音に言う。
「悪夢、詩音さんの。いえ、亡霊の二つ名の一つですけど、影の人形は多分ですけ詩音さんの魔法ですわ」
「そうなの、黒姫ちゃん」
琴音が、黒姫を見ると黒姫は首を横に振る。
「詩音の魔法であり、詩音の魔法では無いでありんす」
「どういう事?」
「詩音は、魔法が使えないでありんす。だから、詩音の魔法であり、詩音の魔法では無いでありんす」
そう言い、黒姫が首を傾げる。そして、何かを言おうと口を開くが、口を開いたまま首を傾げ、何も言う事無く口を閉じる。
「詩音ちゃんの魔法であり、詩音ちゃんの魔法では無い。何か謎々みたいだね」
「当たってると、思ったんですけど。残念ですわ」
琴音が首を捻り、美和が残念そうに呟く。
「そう言えば、さっきの事件の内容がわかりましたわ。さっきの事件なんですけど、どうやら和菓子の専門店は関係無かったようですわ。
暗殺者の組織を一つ潰した帰りの影の人形を、他の組織が襲撃。落っこちた先が、和菓子の専門店だったそうですわ。
それで、騒ぎを聞き付けた巡回中の聖騎士が駆け付けたそうですわ。聖騎士の人達は全員生きてますけど、襲撃した組織はあの後逆に襲撃に合い。全員死んでますわ」
「良かった」
聖騎士の人が全員生きていると聞いて、琴音があんどの溜め息を吐き出す。
「でも、詩音ちゃんの魔法だとして。詩音ちゃんは何がしたいんだろ?」
詩音以外誰も分からない疑問を口にして、琴音達が考え込むのだった。




