変わらぬ日常と、小さな違和感
短めで復活です。いま読み返すと、かなり大変な事になってる事に気が付きました。
一応、完結迄書ききりますが。矛盾等が生まれると思います。
琴音達が守護精霊と契約してから数日が経ち、学園襲撃の混乱が収まり始めた頃。体育館では毎日の様に琴音達が、守護精霊の扱いを詩音から学んでいた。
「もうダメですわ」
「僕も限界だよ」
美和と琴音がその場に力抜く倒れこむ。その少し遠くでは、先にダウンした朝実が葵と蒼に介抱されていた。
「わっちは、遊び足りないでありんす」
二人に稽古をつけていた黒姫が、遊び足りないと騒ぐと。何とか立っている雪の元に向かう途中で、セットしていた時計のアラームが鳴り響く。
「今日は、ここまでです」
時計の側にいた詩音がそう叫ぶと、黒姫は雪では無く詩音の元に走り込む。
「今日もわっち頑張ったでありんす、頭を撫でて欲しいでありんす!」
そう言いながら、詩音に抱き付く為に飛び込むが。寸前の所で詩音にかわされ、地面に当たる直前で脇に抱き抱えられる。
「頭を撫でるのは、汗を流してからです。先輩方、私は先にお風呂に行ってますね」
詩音んはそう言い残し、いまだに動けない琴音達を置いてお風呂に向かう。何とか動ける雪も、ノロノロとお風呂に向かって歩くが。途中で小さな段差に躓き、盛大に転けそのまま動かなくなる。
「はぁ、毎日頑張ってるのに。まだ上手くいかないな」
「琴音は、まだ良いじゃありませんの。私のこの子は、いまだに言うことを聞いてくれないんですわよ」
琴音と精霊と契約していない葵以外の。美和に朝実と雪に蒼の四人は、未だに契約した精霊を自由に扱えていなかった。
「何でねねちゃんは、そんなに上手く精霊を扱えるの?」
『それは、私も知りたいです』
葵におんぶされながらの朝実と、雪が琴音に向かって言うが。
「僕も良く分かんないんだよね。それより、早くお風呂に行かないと詩音ちゃんがあがっちゃうよ」
琴音も良く分かっておらず、話を強引に変えてお風呂場に向かう。
「良くない走って行けますね」
遅れてきた蒼が、走り去った琴音を指差しながら言う。走り去る琴音を見ながら、全員が蒼の言葉に頷いていた。
「はぁ、生き返るよ」
何とか全員が無事にお風呂にたどり着き、熱いお湯に全身を浸す。今日のお風呂のお湯には、詩音が勝手に魔力と体力の回復を早める薬草を浸しており。
琴音が言うように、本当に生き返るよ様な感じがするのだった。
「わっちは、もう良いでありんす」
「あっ、じゃあ髪の毛洗ってあげるね」
顔まで赤くした黒姫は、琴音逃げる捕まり。洗い場の椅子前まで連れていかれ、髪を石鹸で念入りに洗われる。
「お返しに、わっちも洗うでありんす」
「じゃあ、お願いしようかな」
最後にお湯を掛けられた黒姫が、そう言いながら琴音の髪を石鹸で洗い始める。
「琴音の髪は、短いので洗いやすいでありんす」
琴音の髪は、肩に少し掛かる位の長さしかなく黒姫でも洗いやすいのだが。
「そう言えば、何時髪を切ったんですの?」
琴音と黒姫の方を見ながら、美和が琴音に尋ねる。
「えっと、あれ?。何時切ったんだっけ?…………思い出せないけど、今の方が洗った後、すぐに乾くから楽で良いよ」
何時髪を切ったのか、思い出せないけ琴音に向かって。
「ねねちゃんは、前みたいに長い髪の方が良いかな」
朝実がそう言った瞬間、耳元で誰かが何かを囁いた気がして振り向くが。
(誰もいないよね?)
「どうしたんですの?」
「何かあるでありんすか?」
琴音が急に振り向いたので、美和と黒姫がつられてそちらを見る。
「うんうん、何でもないよ。ただ、誰かに何か言われた気がしたんだよね。それに比べて最近何か忘れてる気がする時があるんだよね」
「そう言えば、私も最近何かが気になる時があるんですわ」
「わっちも、何か忘れてる気がするでありんす」
琴音の言葉に、美和と黒姫も頷く。
(何か大切な事を、忘れてる気がするんだけど)
そう思い、何を忘れているのか思い出そうとするが。
「何を話してるんですか?」
そう言いながら、詩音が近付いて来る。
「最近、何か忘れてる気がするって。話をしてたんですわ」
「そうですか。もしかしたら、精霊と契約した影響で一時的に記憶が曖昧になってるのかも知れませんね。
そのうち、思い出す筈ですから。今は、気にしないで忘れた方が良いですよ」
詩音がそう言うと、不思議と忘れた方が良いと思い。何を忘れているのか考えるのを止める。
「そう、無理に思い出さない方が良いですよ」
そう言いながら、お風呂場から出ていく詩音の後ろ姿を見た瞬間。琴音の眼に違う姿の詩音が見える。
(あれ、詩音ちゃんって女の子だったよね?。何で今一瞬男の子に見えたんだろう?)
一瞬感じた違和感だったが、詩音の言葉を思い出すと。不思議と違和感が消えていき、最後には何も違和感等無くなっていた。
とある学園の一室で、少女が琴音達を見張らせていた蝶が戻ってくると。側にあったナイフを見ながら、小さく呟く。
「嫌な予感が当たったようね」
その声には、怒りが含まれており。少女の周りに止まっていた黒色の蝶が、静かに飛びたつ。
「貴女には渡さないわ」
そう言い、少女の姿が部屋から消える。少女がいた部屋には、ただ静寂だけが残されていた。




