潜入一日目…取り引き
「ちっ…やっと撒けたか」
追い掛けて来た生徒を撒くのに、予想以上に時間がかかり。思わず舌打ちをする。
(魔法が使える替わりに、身体能力がかなり落ちるな。それに、予想以上に人格にも影響があるな)
女体かの薬のお陰で、魔法が使えるが。副作用で身体能力が落ちていた。
それとは別に、仕事の為に産み出した人格が。女体かの薬の影響を受け、予想外の人格に成っていた。
(まあ、殺しの時には人格変えるから。このままでも良いか……こう思うのが、既に可笑しいんだけどな)
そう思いながら、廊下を歩くがすぐに違和感を感じる。
(此所何処だ)
学園の間取や見取り図、設計書等の情報は全て記憶している。ただ、この廊下は記憶に無かった。
すぐに、ナイフを取りだし。壁に向かって投げる。ナイフは、壁には当たらずに直前で速度を落として落ちる。
(結界…それも場所に干渉するタイプか)
魔法の結界には、人物に干渉するタイプと、場所に干渉するタイプの二つがあり。
人物に干渉するタイプは、その名の通り人に干渉し。干渉した人物を守ったり、動きや魔力を封じ込めたりできる。魔力の消費は、少く場所も選ばない。ただ、範囲が狭いのと、術者の魔力の量で強度、干渉できる人数が決まる。
場所に干渉するタイプは、その名の通り場所に干渉し。干渉した場所にいる人物全員に干渉できる。一度場所に干渉し結界を張れば、壊されるか。術者自信が解くまで永続できる。 ただ、場所に干渉する為何処でもできる訳では無く、魔力の消費も大きい。
(この廊下…いや校舎自体全てに結界か。何れだけの魔力保持者か確認だな)
今後暗殺の際に、役立つか邪魔になるかも。確かめる為に、結界を張っている人物の場所を探す。
(此所か、中には手前に二人。奥に一人か)
校舎の一番上のある部屋の前で、人の気配を感じ探る。ドア近くに、おそらく武器を持って迎撃仕様と待ち構えてる二人と。奥に結界を張ってるだろう一人の気配がした。
(さて、開けるか)
勢いよくドアを開ける。直後左右から脚と胸を狙った薙刀による斬撃が襲うが、その間を潜る様にして紙一重で交わす。
「「……っ!」」
間を潜る様に交わし、薙刀を持つ二人を見ると。
(やっぱりか)
床と天井に棒状の何かが刺さっていた。もし、しゃがんだり、飛んで回避したら。あの棒に貫かれていた。
(奥の奴か…違うな。薙刀に細工でもしてるのか)
奥の人物は、先程から微動だにしておらず。棒を投げた素振りは無かった。
薙刀を持った二人も、斬撃を放っている最中。可笑しな動きはしていない、三人以外に人がいない以上。薙刀に何か細工が有ると睨む。
(一度食らって見るか)
一度攻撃を食らい、薙刀の細工を調べる事にし。そっと、胸に手を当てた。
「「しっ!」」
薙刀を持つ二人が、今度も同時に切りかかって来る。
(同じか…いや違うな)
さっきと全く、同じ場所同じ軌道で襲って来た斬撃は。間を潜ろうとした瞬間、胸を狙っていた薙刀がぶれる。
先程と同じ様に交わしたが、胸には棒が刺さっていた。 そして、その場に倒れる。
「「倒しました朝実様」」
薙刀を持った二人が、全く同時に。奥にいる人物にたいし、頭を下げながら言う。
奥の人物が、何か言う前に二人が何かに気付き同時に振り替える。
そこには、胸から棒手裏剣を生やした。先程倒した筈の少女が立っていった。
「「何だと!、なら今度こそ」」
「遅いですよ」
「「……!」」
二人の首にナイフをあてながら、そっと耳打ちした。その時胸ポケットから、凹んだ薄い鉄板が落ちた。
「その薙刀、柄の部分が全て棒手裏剣でできていますね。それも、魔力を流せば自由に打ち出す事ができる仕組み。で、あってますか?」
二人は、無言だったが。その顔がそうだと言わんばかりに、悔しそうにしていた。薙刀の細工を予想し、前もって刺さるであろう場所に数枚薄い鉄板を仕込んでおいた。
二人をよく見ると、背格好は元より。顔やちょっとした所までそっくりだった。違うのは、髪を右で結んでるか。左で結んでるかだった。
(双子か)
そう思いながら、二人の首のナイフから仕込んでおいた電気を流す。
二人の意識が無くなったのを確認してから、奥の人物に話しかける。
「始めまして私、影霧 詩音と言います」
笑みを作りながら話す。
「この、結界を維持してるのは貴女で間違えありませんか?」
奥の人物は、先程から無言を貫く。暫く待ったが無言のままだったので、近寄ると。
座った格好のまま、器用に気を失っていた。
(起こすか)
肩を掴み、思いっきり揺らす。
「ひゃい!?」
短い間悲鳴と共に、意識を取り戻す。そして、倒れている二人を見て。
「私も殺すの?。亡霊さん」
呟かれた一言に、危うく反応する所だった。亡霊それは、殺し屋としての俺の通り名であり。此所で聞く筈の無い名前であった。
「違いますよ。私は、影霧 詩音です。それに、殺すって誰をです?」
目の前の少女が首を傾げる。そして何かを納得したらしく何度も頷くと。
「そうですね。貴女は今は、影霧 詩音さんですね。…葵と蒼は、気を失ってますから。亡霊さんに戻っても良いですよ」
「何の事ですか?」
あくまで、しらを切るつもりだったが。次の一言で気が変わる。
「助けてくれませんか?、校長先生を殺して」
「どういう意味だ!」
影霧 詩音の仮面を外し。暗殺者として聞く。少女が答える前に、部屋に誰かが入って来た。
「誰ですか?」
仮面をつけ直し聞く。相手は何も答えずに、真っ直ぐ少女に向かって来た。
「暗殺者か」
相手の迷い無い動きと、その血の臭いから暗殺者だと判断しナイフを投げる。ナイフは、暗殺者の肩に刺さるが、暗殺者はそのまま向かって来る。
「残念終わりだ」
暗殺者が突然前のめりに倒れる。その体からは大量の汗をかき、呼吸が速くなっていった。
「毒さ…何で効くんだ、と思ってるだろうけど。それを知ることは無いな」
倒れている暗殺者が、何かをする前に。黒い拳銃で頭と胸を撃ち抜く。
死んだ事を確認し、死んだ暗殺者を調べると案の定。自爆用の魔方陣が体に刻まれていた。
「今度は、驚かないんだな」
少女の方を向きながら言うと、顔を青くしながらも答える。
「殺さなけれべ此方が死んでましたから。それに、占いで今日暗殺者が来ることもわかってました」
「占いね。それで俺の事も解ったんか」
「はい、ただ亡霊と言う暗殺者が来る事と。暗殺者が、殺しに来る事二つの結果が出ましたので。てっきり亡霊が、殺しに来ると思いました」
「何で暗殺者に狙われてるんだ」
「私は薄紫 日向の妹の薄紫 朝実です。姉に、いえ薄紫家に怨みがある人物は、大勢いますので」
「薄紫…思い出した。犯罪者それも、違法魔術者の尋問を専門に行う家系だったか。確かに、違法魔術者の多くが暗殺者だからな。そりゃ怨まれるだろう」
暗殺者の死体の上に、特殊な魔法を描いた紙を張りながら話す。
「それも、ありますが。私の占いの力を恐れている。人達も大勢いますので」
「だから、此所に結果を張ってった訳か」
「はい」
紙を張り終わったので、黒い拳銃の弾を抜き。赤い色の弾に替え撃つ。
直後死体が燃え上がり、灰すら残さず一瞬で燃え尽きる。
「さて、取引でもしないか」
「取引ですか?」
薄紫 朝実が首を傾げる。
「あんたを俺が守る替わりに、俺の事は秘密にして欲しい」
「…断ったら」
「何もしないさ、ただお前は一生此所で暗殺に怯えながら過ごす事になるさ」
薄紫 朝実は暫く俯いた後
「……葵と蒼も…二人も守ってくれますか?」
倒れてる二人を見ながら言う。
「そっちが、約束を破らない限りな」
笑みを作りながら言う。
「解りました。貴方の事は秘密にします」
「取り引き完了だな」
言いながら、薄紫 朝実をお姫さま抱っこする。
「ひょわい!?」
薄紫 朝実が悲鳴をあげるが、御構い無しに運び部屋の外に出る。
部屋には、死体は無いが。血が広がっていたので、汚れないようにしての事だった。
部屋を出て、空を見るといつの間にか、太陽はかなり傾き夕暮れになっていった。
薄紫 朝実は、諦めたのか胸の中で静かになっていった。
誤字、脱字が多くてすいません。気付いた事は何でも良いです、ダメ出しでも良いです。ご意見、ご感想おまちしてます。
(説くに誤字、脱字は作者が漢字に弱く気付いて無いことが多いいですの。今小一の漢字から勉強しなおしてます)