誰も死なせない、殺しの依頼③
すいません、終わらなかったです。
「そう、それが君の答えか」
琴音の答えに小人の人形が頷く、そして持っていた鍵を琴音の前に差し出す。
「その答えの先に何があるか、側で見せて貰います」
人形がそう言いながら形を変える、その姿は暗くて良く見えないが女性の姿だっと分かった。
そして、女性の姿になった人形が琴音に抱き付く。一瞬何が起きたか分からなかった琴音だが、女性が離れるとその手には詩音から貰った魔力が込められたブローチを手に持っていた。
「それ、詩音ちゃんから貰った大事な物だよ!、返して!!」
琴音が必死にブローチを奪う変えそうとするが、女性は笑顔で琴音の取り替えそうとする手をかわしていく。
「追い掛けっ子も良いけど、死ぬわよ。それと、ここを出る為には代償が必要。これは貴女が助けた蒼の分、それで此が貴女の分」
一瞬で琴音の背後に廻った女性が琴音の髪に触ると、琴音の持っている鍵と同じ鍵で鍵を開けると琴音を蹴って無理矢理扉の中を通す。
「うわぁあああー!」
扉の中は深い縦穴になっており、琴音は何も出来ず其の穴を落ちていく。穴を落ちていく途中で女性の声が琴音に聞こえた。
「あっちに戻ったら伝えて。近々私を必要になる日が来る、その時に後悔したく無いなら私を早く迎えに来なさいって」
「それ、誰に言えば良いの!?」
半ばやけくそに琴音が叫ぶと、琴音の耳元で女性の声が聞こえた。
「亡霊。いえ、詩音と言わないと分からないかしら」
「え!?、それってどういうー」
琴音が最後まで言い終わる前に、琴音の体が光に包まれ消える。琴音が無事に帰れたのを確認した女性は、一人で虚空に向かって話す。
「私を待たせ過ぎよ、名前を教えたのは貴方への嫌がらせ。早く迎えに来なさい、私の愛しい私が認めた人」
そう言い残し女性の姿は闇と同化して消える。後には、何かが大量に闇から這いずり出て喰らい合う光景が広がっていた。
「そろそろ諦めたらどうですか?」
猫の仮面の人物の前には、膝をつき肩で息をしている雪と葵と蒼の三人がいた。
三人係で亡霊が持つ魔力が宿った、巨大な二振りの剣を破壊する事は出来たが。一瞬で別の武器を魔方陣から取り出して戦う相手を前に、既に三人の体力は限界を迎えていた。
無言のまま三人が亡霊を睨む、亡霊はそんな三人を無視して琴音の方を見る。
(仕方ない時間が無い、依頼の失敗か)
そう思いながらも、石になってる琴音を元に戻すために一瞬で移動し、琴音を守ってる美和と朝美の二人の首を軽く叩き気を失わせる。
そして、琴音を石から元に戻そうと手を伸ばした瞬間。琴音の体が光石かが元に戻る。
そして、眼を開けた琴音が最初に言った一言は。
「教えろ~!………あれ?」
その一言に雪と葵と蒼の三人が琴音の方に振り返り、亡霊は頭を片手で押さえて踞る。
一人状況が分からない琴音が暫く何かを考え、そして思い出して目の前の猫の仮面の人物を睨む。
そして猫の仮面の人物を睨んだ後、琴音がその正体を大声で叫ぶ。
「詩音ちゃんだよね?」
そして、その一言に雪がすぐに猫の仮面の人物の正体に気付く。遅れて葵と蒼も猫の仮面の人物が詩音であると気付く。
自分の正体が張れた事を気配で感じた詩音が、猫の仮面を外す。
「一つ何故分かりました?」
「えっと、何となく?」
琴音がそう答え、続く様に葵いが答える。
「詩音さんだから、私達の攻撃を防げたんですね」
二人の答えに詩音が溜め息を吐く、そして水晶を取り出すと水晶に向かって話仕掛ける。
「智利此方は終わりました。まあ、予想外の終わり方ですけど………え?……」
そこで詩音が固まる。そして、大きく溜め息を吐くと頭を抱えて踞る。
「兄様……あれ、今は姉様でしたね」
そう言いながら、黒姫に手を引かれながら。智利が避難シェルターの出入口を塞いでいた土の壁を、騎士を使って壊しながら現れる。
「兄様って事は、詩音ちゃんはやっぱり亡霊何だ!」
「何処で其を!。……いや、彼奴か。なら、何か私宛にメッセージを受け取ってませんか?」
「近々私を必要になる日が来る、その時に後悔したく無いなら私を早く迎えに来なさいって。言ってたよ、そんな事より詩音ちゃんが亡霊なら、詩音ちゃんて男の人だよね」
「そうですけど、それが何か?」
詩音の答えを聞いた琴音の顔が徐々に紅くなり、最終的には茹でた海老より紅くなる。
「僕達と一緒にお風呂に入ったよね?。あの時は女の子の体だったよね、別人だったの?」
「いえ、私は私ですが?」
「兄様とお風呂に入った?」
琴音の質問に、何故か智利が詩音を見えない眼で睨む。睨まれてるのが分かった詩音が、智利を手で呼んで側に越させると。そのまま智利の頭で始める。
「兄様何を!」
「わっちも撫でるでありんす!」
智利が抗議の声をあげ、黒姫が自分も撫でろと催促する。そして、もう片方の手で黒姫の頭を撫でながら、詩音が全員に聞こえる様に言う。
「ここでは事情を話せませんので、後で皆さんスラム街にある廃協会に来てください。勿論、朝美さんや美和先輩もつれて」
そう言って詩音が猫の仮面を被る。それに続く様に智利がフードが着いたローブを羽織る。
「智利、チャシャネコに連絡。引きますよ」
「分かりました兄様、先に行きますね」
そう言ってフードで顔を隠した智利が、騎士をつれて避難シェルターから出ていく。
「バイバイでありんす、また合うでありんす」
そう言って黒姫が琴音達に手を振ると、刀に姿を変える。刀になった黒姫を詩音が腰に指し布で見えない様に隠し、懐から札を一枚取り出して琴音に投げる。
「回復の魔法が籠った札です、全員を癒す事が可能ですから全員回復させてあげて下さい」
琴音は無言で札を受けとり、機械的に頷き返す。詩音がいなくなって暫くした後、琴音が顔を両手で隠しながら悲鳴をあげる。
「僕男の人と一緒にお風呂にはいちゃった!。それも、あの時の人と!!」
それから暫く琴音は悲鳴をあげていた。その間、相手が詩音だと分かり張っていた気が切れて、智利が来る直前で雪と葵と蒼の三人は気を失っており。
朝美と美和の二人は、今だ詩音から貰った一撃の所意で気を失っていた。
「智利何であの時兄様って呼んだ」
亡霊からの質問に、智利は口を開きかけ閉じる。そんな智利の様子を見て、亡霊は予想した事を言う。
「影花か?」
影花と聞いた瞬間に智利が震える。その震えは、恐怖から来る震えだった。
「間違いなく琴音に、俺の正体を教えたのも影花だな。琴音達を落とした場所は、影花の庭みたいな場所だからな」
そう言いながら脅える智利の頭を優しく撫でる。そして、智利に向かってはっきりと言う。
「俺は、ちゃんと智莉の兄様のままで帰ってくる。約束は守る」
「兄様」
智利が隣にいる亡霊を見る。見えない眼でも、兄が笑ってるのを見て智利も笑う。
「それより、協会の方をどうにかしないとな。彼奴らが来る以上、ガキ達をどっかに連れ出しておかないと。
場所はあそこで良いとして、誰を護衛に着けるかだな」
そう言って亡霊が考え込む、そんな兄の横顔を見ながら智利が密かに願う。
(どうか兄様が、優しい兄様のままでいられます様に)
そんな光景を、残虐な笑みを浮かべて闇の底から見ている女性がいた。
「さあ、そう上手く行くかしら」
そして、ある学園でも。誰にも気付かれていない、蝶に囲まれた少女が微笑んでいた。




