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暗殺者は今日も女装をする。  作者: 木陰の蛇
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誰も死なせない。殺しの依頼。蒼

 「もう止めてくれ」

 蒼が目の前に映る光景を見ながら呟く。目の前では、朝実の母親が殺される光景が流れていた。

 「私が死ねば良いんだろ、なら私は死ぬからもう止めてくれ!」

 蒼が叫ぶが、過去の光景は消える事無く繰返し蒼の前に映る。 何度も繰り返される過去の光景に、蒼の目から光が徐々に消えていく。

 「蒼ちゃん!」

 蒼の目から全ての光が消え去る瞬間、自分の名前を呼ばれ蒼が振り替えると。そこには、ここには居ない筈の琴音がいた。

 「琴音さん?、何でここに?」

 「蒼ちゃんを助けに来たよ」

 蒼の質問に、琴音が直ぐに答える。迷いの無いその答えを聞いて、蒼が琴音に向かって叫ぶ。

 「助けに来た、何で貴女まで私を助け様とするんですか!」

 叫んだ蒼の目には涙が貯まっており、今にも泣き出しそうなまま琴音を睨む。

 「僕が助けたいから」

 琴音が力強く言い切る。その答えを聞いて蒼が、映し出されている過去の光景を指差す。

 「琴音さん、貴女にも見えていますよね。これは、私の過去です。私の所意で先代の薄紫当主であり、朝実様の母である輝夜(かぐや)様が死んだんです」

 琴音が蒼の過去の光景を見る。そこには、蒼の目の前で倒れ血を流し倒れている女性が写っていた。

 「私は、前は輝夜様の身代り兼側仕えでした。何時も側でお仕えし、何かあった際に輝夜様の身代りになれるように。

 でもあの日、薄紫家に怨みがある犯罪者が襲撃してきた日。私は輝夜様の身代りになる処か、輝夜様の脚を引っ張り。

 その所意で輝夜様は、私の事を助け様として……………

 私は自分の役目を果たす事が出来ず、それ処か日向様と朝実様の母親の命を奪った存在です」

 そう言う蒼の後ろでは、襲撃者と思われる人物が薄紫家の警護の人間との戦闘で闇雲に放った魔法と、自分に迫るその魔法に気付いていない昔の蒼がいた。

 そして、魔法に気付いていない昔の蒼を、側にいた女性が横に突き飛ばす。突き飛ばされた昔の蒼は、驚いた顔のまま女性に迫る魔法に気付く。

 そして、何故か笑顔を浮かべた女性が。自分の替わりに魔法を喰らう瞬間を、泣きながら見る事しか出来ない昔の蒼がいた。

 「この後からですよ、朝実様が外に出ずに引きこもられたのは。それに、日向様も急遽薄紫家の当主の座を与えられ。拷問や自白の方法やそれに抵抗する方法等を、本来ゆっくりと年月を欠けて教える事を。休む暇なく体に覚えせられ、一年間屋敷に日向様の悲鳴が響かない日はありませんでした。

 私は輝夜様の命を奪っただけで無く、日向様と朝実様の人生を奪った存在です。

 人に助けて貰って良い人間じゃありません、琴音さんも私の事など助けず。他の人を助けてあげて下さい」

 蒼はそう言い、琴音に背を剥けて座り込む。そんな蒼を見ながら、琴音が話し掛ける。

 「復讐するなら強くなれ、蒼ちゃんはこの言葉を聞いてどう思う?」

 琴音の等々な問い掛けに、蒼が困惑しながらも振り向き答える。

 「復讐する相手よりも、強くなれって事ですか?」

 「じゃあ、復讐何て物は自己満足だ、少しで迷いが生まれた出来なくなる。

 それでもなを、復讐したいのなら。心を殺して、迷いをつくるなっ。って聞いてどう思う?」

 少し考え蒼いが答える。

 「其の通りだと思いますが」

 その答えを聞いて琴音が頷く。

 「僕もそう思うよ。でも、違うんだよ」

 「何が違うんですか?」

 琴音の答えに、蒼が訪ね返す。琴音は蒼の側まで行くと、その隣に座る。

 「知ってると思うけど、僕は両親を暗殺者に殺されてるんだ。ただ、両親が死んだのは僕の所意何だよね」

 蒼が何かを言おうとして止め、黙って琴音の方を見る。

 「僕があの時あの場所にいなければ、もっと早くに防衛魔法を張ってれば。考えれば考える程、後悔と自分を許せない思いが募っていくんだ。

 僕は両親の仇を、暗殺者を殺せるなら自分の命何て要ら無いってさっきまで考えてたんだ。

 でも、過去を見てさっきの言葉を聞いて考えた時。違う事が分かったんだよね」

 そこで琴音は一旦喋るのを止めると、何かを掴む様に手を一度握り開く。

 「復讐するなら強くなれ。最初は僕も、復讐する相手よりも強くなる事だと思ってたんだ。

 でも、これって復讐する相手って誰なんだろうね?」

 「それは、殺した相手です」

 蒼が答えると、琴音が首を横に振る。

 「普通そうなんだけどね、僕は自分自身だと思ったんだよ。自分自身に復讐何て可笑しいよね、でも誰よりも一番許せないのは自分自身だから。

 そう思ったら、さっきの復讐何て自己満足だって意味も違う様に思えたんだ」

 「どう思ったんですか?」

 「僕も、上手く言えないけど。復讐する相手が自分なら、自己満足ってなんだろうって考えたんだ。それって、過去に自分が出来なかった事だとすると。

 自分自身が過去に出来なかった事を、それでもなを自分でしたいなら。少しでも迷いが生まれたら出来なくなる。心を殺して、迷いをつくるな。

 僕もまだ、心を殺して、迷いをつくるなって意味は分からないけど。僕は、自己満足の為に蒼ちゃんを助けるよ」

 「強引で無理矢理な考えですね」

 「やっぱりそうかな?、僕もそう思うけどそう思う事にしたんだ」

 琴音が笑顔で言いながら蒼の方を向くと、蒼が苦笑いを浮かべながら琴音を見る。

 「もし、蒼ちゃんが復讐したいなら。まずは、ここからでよう。そして、朝実ちゃんと日向先輩に謝る」

 「嫌ですって言っても強引に連れて行かれそうですね」

 「うん、連れてくよ!」

 「分かりました。ここから出たら、朝実様と日向様に謝ります」

 蒼がそう言った瞬間、蒼の体が光る。蒼が驚いていると、蒼と琴音から離れた場所から声がする。

 「蒼さん、貴女は現実世界に戻れます。替わりに、琴音をここに閉じ込めます」

 「琴音さん、どう言うことですか!?」

 蒼が琴音に向かって叫ぶ、琴音は蒼の顔を真っ直ぐ見ながら答える。

 「蒼ちゃんを助けると、僕が死ぬって言われてたんだ。たぶんあれは、僕をここに閉じ込めて殺そうとしてるんだと思うよ」

 そう言いながら、琴音が遠くに浮かび上がる複数の影を睨む。

 「琴音さん、貴女まで私を助ける為に……」

 蒼が琴音に掴み掛かるが、琴音は笑顔で答える。

 「僕は死なないよ、蒼ちゃんを助けて僕も生きてここから出る。だから、僕が戻るまで皆を頼んだよ」

 琴音がそう言って虚空に浮かび上がった剣を取ると、影に向かって行く。

 「必ず戻って来てください!。私も戻るまで、必ず皆を守り抜きます!」

 そう言いきった直後、蒼の体が一段と光消える。

 「復讐するなら強くなれ、僕は昔の事をもう悔やまない。その代わり、今やれる事を全力でやる。もう昔の様に後悔しないように、そして誰も悲しませない為に僕は生きてここから出るんだ!」

 影を切り裂きながら琴音が叫ぶ。だが、影は減る処か増えて行く一方だった。

 そんな様子を、遠くから小人の人形が見ながら微笑む。そして、ゆっくりと琴音に向かって行くった。

 


 

 

 

 


 

  

 

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